原題:DER UNTERGANG 英題:DOWNFALL
ブルーノ・ガンツ演じる晩年の狂気のヒトラー。尋常ではない。ヒトラー以上にヒトラー的。
ブルーノ・ガンツの初お目見えは88年のヴィム・ベンダース監督『ベルリン・天使の詩』だったか。男の天使なんて・・と思いつつも、その外見に似合わない優しさに、まあ居てもいいかと納得したことだった。
秘書の目を通して見た第三帝国ナチスの断末魔。権力・冷酷・裏切り・猜疑心・熱狂・懊悩・崩壊・葛藤ありとあらゆる厄災にまみれて自殺に追い込まれてゆくヒトラー。リーダーと側近と組織の崩壊の物語である。
あの『Uボート』と同じに、息苦しさと絶望に胸塞がれた2時間半。一気に観た。そして疲れた。
このような映画が作られるところにゲルマン民族の強さがある。この夏、「靖国 YASUKUNI」上映で揺れたわが国では、未だに誰一人として戦争責任を負っていない。
NHK BShighvision08年8月29日0:00