処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

必死剣鳥刺し

2010-07-28 13:08:36 | 映画

いま、流行の時代物、それも藤沢周平原作の下級武士の悲哀に満ちた残酷物語である。

     

時代物も、変れば変ったものである。

50年前、正月の三ケ日、満員の映画館で2本立てで観たのは、市川歌右衛門、中村錦之助、片岡知恵蔵、東千代介、大川橋蔵が主演の旗本退屈男、一心太助、次郎長、忠臣蔵など、いわゆるチャンバラであった。

ここ十年は、藤沢周平作品を中心に、一人の侍の生き様、死に様を描くようになった。右肩下がり、リストラ、非正規社員と、世相の変化を映し出してのことだろう。
当時と最も大きな違いは、リアリズムという点か。

この『必死剣鳥刺し』も、冒頭の、武家にしては粗末過ぎる兼見三左エ門の屋敷のディーテイルは、ノンフィクションのようである。

     


豊川悦司の起用は、最後の断末魔のシーンのゆえだろう。血まみれになりながら力尽きて もなお、岸部一徳に迫り仕留める鬼気迫る迫力は、豊川の世界だ。

『たそがれ清兵衛』真田広之(2002)
『隠し剣鬼の爪』長瀬正敏(2004)
『蝉しぐれ』市川染五郎 (2005)
『武士の一分』木村拓哉(2006)
『花よりもなほ』岡田准一(2006)

なかなかにキャスティングの重要さがわかるというものだ。

     

映画評論家がかつて言っていたが、日本人の男優なら、たとえ大根役者であっても、《兵隊》と《やくざ》をやらせたら、例外なく上手く行くと。

侍役は、そうはいかないようだ。

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