著 者 東野圭吾
出版社 講談社
形 態 文庫
面白い。東野本は1年前の『真夏の方程式』に続き2冊目。そういえば映画のCMがテレビで流れていたと読了してから思い至った。
物語の中の時間の経過は約半日。舞台は美浜原発。自衛隊に引き渡す日の朝に乗っ取られ、海に没する特殊ヘリコプター《 ビッグB 》。その間の犯人グループ、開発グループ、原発従事者グループ、捜査グループの姿を追い、原発の構造、ネット通信の現在、現代技術の詳細などが綿密に語られる。著者の知識にひたすら脱帽する。著者の前歴が見事に生きている。
普通の文庫の倍の厚さだが、一気読み。
出版は1995年。2011年の東京電力福島原発事故の16年前に世に出されたことに驚く。著者の先見性と社会洞察力、問題提起の深さに敬礼。
それにしても映画を観たかった。活字でイメージする《 ビッグB 》の怪物ぶりが、どんな風なのか、映画の最大の目玉の筈。日本映画が米の科学スペクタクル映画を凌駕出来ているか。残念なり。DVDで我慢するか。