著者 村田沙耶香
出版社 文藝春秋
受賞会見のニュース報道で著者の挨拶に接して、読む気になった。
癒し系のキャラクターという点では、著者は物語の主人公と同類の印象を受けるが、彼女が生きる世界の表現には、ゾッとする。日本社会の今を鮮やかに切り取っている。
羽白さんの造形がユニークだし、恵子とのやりとりや生活の異次元ぶりが頓珍漢で面白い。コンビニ仲間や店長の生態も、普段窺い知れない世界だけに精彩を放っている。
次作は如何なる作品になるのか。コンビニでない世界をどう描かれるか、大いなる関心である。
(台風9号上陸で早退の自宅で)