著者 葉室 麟
発行 講談社文庫
初版 2012年5月15日
頁数 384
価格 1円(アマゾン)
黒田官兵衛がキリシタンだったとは。衆知の事実を知らないでいた。赤面の思いである。
4年ほど前に『播磨灘物語』を読んだが、果してそうした叙述はあったかしら。
西暦千五百年代の後半、日本の戦国時代にキリスト教が渡来、約十万人の日本人がキリシタンとなったとある。随分と多い数である。
ちなみに、登場するキリシタン大名を挙げてみた。小西行長(洗礼名アゴスティーニョ)、高山右近(ジェスト)、蒲生氏郷、大友宗麟、三箇義照(サンチョ)、和田惟政、大村純忠。
商人では日比屋了珪、小西隆佐(行長の父、ジョーチン)など。
九州を治めた大友宗麟はやがて大名をやめて信仰者の道をとり、領土を務志加(ムジカ=MUJICA)と名付けたキリスト教の郷土作りを目指した。織田信長はバテレンとの往来をしつつ、南蛮への侵攻を描いていた。明智光秀は信長を倒した後の世にキリスト世界を志向したフシがある。
竹中半兵衛が信長排除という自身の想念を官兵衛に共有させ、その官兵衛が光秀に仕掛け、光秀が実行者となった。
歴史にイフはあり得ない。その上で、光秀が秀吉に倒されていなければ、我が国はキリスト教国になっていたのかも知れない。想像は楽しい。