著者 高村 薫
出版 文春文庫
頁 299
この本は何だ。高村薫がホントに書いたのか。であればその意図は那辺にありや。
山深い限界集落の時間の有り余るジジババ4人を主人公に据えたまではいい。彼らに村の過去を語らせるのもいい。間遠に上がってくる町の人がいてもいい。しかし、彼らとの奇妙奇天烈なやり取りや語る内容には何の意味があるのか。
ひょっとして、作者は、「現代社会のありようを告発した」「言いたいことは言えた」と満足しているのではないか。それは独り相撲です。新境地の、新分野への意欲は空回りに終わりました。他の著作のようには私の心には突き刺さりませんでした。
熱烈なファンの一人は鼻白んでいます。何がブラック・ジョークだ。嗚呼。