都立美術館で開催中の 《 ポンピドゥー・センター傑作展 》に出かける。
この種の展示はいつも、会期の最後の時期に訪れるのが常だが、今回は早めにでかけた。なので観賞客がラッシュ状態ではなく、ゆっくり観ることが出来た。
主催の朝日新聞が紙上で紹介していたが、割り引いても、なかなか素晴らしい作品群だ。
1906年から1977年まで、1年毎にその年の最高傑作を展示。一作家一作品。これが入場口から年代順に並ぶ。
まず一番最初の作品がデュフィの《旗で飾られた通り》
フランス国旗のトリコロールと構図が強印象。
シャボーの《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》。
ムーラン・ド・ラ・ギャレットはモンマルトルのダンスホールの名。ルノアールに同名作品があり、作品自体もよく知らているが、こちらも当時のパリの夜を表して蠱惑的。
シャガールの《ワイングラスを掲げる二人の肖像》
シャガールの作品はそれほど好きではないが、これはいい。新妻ベラとの結婚生活の喜びとともに、ロシア革命の成功という時代背景があるという。彼はロシア革命を積極的に評価しており、革命政府の要職にもついたという。
コルビュジエの《静物》
世界遺産に登録された国立西洋美術館の建築者のコルビュジエである。同名の別のアーティストの作品ではないかと暫し疑う。他の作品にはピカソ風なものもあるので、やはりあのコルビュジエだろう。
ピカソの代表作《ミューズ》 いいですねえ。
ビュフェの《室内》
円とは珍しい。黄色と茶と黒が印象的。網膜残像長し。
ジャコメッティの《ヴェネツィアの女Ⅴ》
1945年の壁には作品の展示がない。そこの天井のスピーカーから曲が小さく聴こえる。これがこの年の作品。
エディット・ピアフの《バラ色の人生》。 実に粋で洒落た傑作展ではありました。
私もポンピドゥー・センター傑作展を見てきましたので、作品の画像やご説明、ご感想を読ませていただき、20世紀アートの各々が個性的な作品の面白さを改めて体験させていだきました。今回は20世紀美術を制作年代順に配列されていましたため、色々な隆起の作品が入り乱れていて分りにくかったかもしれません。しかし、120世紀美術を、○○派という画家のグループが定着して発展を溶けていったわけではなく、フォービズム、キュビズム、抽象芸術などいろいろな表現が挑戦され模索され、美術界は百花繚乱で混とんとしていた現実であり、当時の社会の現実も含めてある意味でいろいろ考えさせられました。私の好きなシャガール『ワイングラスを掲げる二人の肖像』は、シャガールと新妻ベラの幸福を重力を飛び越えていく生きる喜びとして表現されていて、シャガールにしか描けない作品だと感じました。ピカソの『ミューズ』』は、美しい色彩の中に、眠る女とデッサンする女には、やすらぎと焦燥のコントラストが感じられ、面白い作品でした。
今回ポンピドゥー・センター傑作展を見て、個々の作品の魅力を整理するとともに、20世紀美術の多様な表現の意味とその芸術の本質について考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。