時々お世話になっているレストランが主催する新春特別企画「長唄・筝曲 人間国宝の会」に臨む。誘いがあった時点で、自身とは余りの異次元世界のゆえお断りしたのだが、尊敬する先輩が行くと聞き、ともに観賞した次第。
結果的に、大いに楽しめた。食わず嫌いはいけませんな、やっぱり。
一般的には、今どきの超マイナーな芸能。そのうえ高額なこともあり、観客はまばらと思いきや、宴会場を仕立てた会場にはおよそ200名。
出演は人間国宝、長唄の’東音 宮田哲男’、 筝曲の’二代目の米川文子’。同じ邦楽の世界に生きながら、競演は初めてという。
プログラムは
合奏 「黒髪」 唄 東音 宮田 哲男
三弦 米川 文子
対談トーク 葛西聖司(司会)、宮田、米川
筝曲演奏「六段の調べ」 米川
長唄演奏「酒」 宮田、三味線2名
家元制度とか流派の世界なのだが、東音というのは東京音楽学校、すなわち芸大出の芸術家を、区別して称するのだという。
ブログ主のような素人が途中で席を立たなかったのは、司会を務めたNHKアナウンサーの葛西聖司によるところが大きかった。
日本の古典芸能を、実によく勉強しており、その豊富な知識を、巧みな話術で分かり易く解説してくれる。退職の暁には、どこぞの大学教授になっても通用するのではないかしら。
「黒髪」から
♪ 黒髪の、結ぼれたる思いには、解けて寝た夜の枕とて、
ひとり寝る夜の仇枕、袖は片敷く妻じやというて
愚痴な女子の心も知らず、しんと更けたる鐘の声、ゆうべの夢の今朝覚めて
床し懐かしやるせなや、積もると知らで、積もる白雪 ♪
「酒」から
♪ おもしろや、酒なくてなんの己が桜かな
春の木陰で酒盛りすれば、花が散りこむ盃に、散れや花、飲めや酒 ♪
芸の道、人の道、素直な人は吸収も早く目標達成と幸福の直道だそうです。