太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

映画化

2012-08-27 09:24:39 | 本とか
読んだ小説が映画化されると、私はその映画を観ない。

先に映画を観たら、小説は読まないことにしている。

理由は二つ。

小説を先に読むと、映画になったときの配役や、ストーリーの端折り方にストレスがたまることが多いのと、

映画を先にみると(配役を知ってしまうと)小説を読んだときに俳優の顔が頭から離れなくて、読書の楽しみである想像力が妨げられるからである。



過去、最大にガッカリしたのは『三国志』

吉川栄治の三国志を読んで感動し、その感動を映画に求めた私が悪い。

あれだけの長編を映画にすること自体、無理がある。

制作は中国で、出てくる俳優も全員中国人。みんなが濃い顔に化粧を施し、誰が関羽やら孔明やらわからず、

やたらに怒鳴りあっているばかりで、15分ほどで映画館をそっと出てきた。



先に小説を読んでから映画を観て、感動したものも、ないわけではない。

浅田次郎の『壬生義士伝』

ずいぶん前に、正月特番でやっていて、暇だったのでダメ元で見てみたら、これがよかった。

脚本もよかったし、なにより主演の渡辺 謙がほんとうにうまかった。

コチラでも、ケン ワタナベが好きな人は多い。



というわけで、ガッカリ率が高いために、映画化されるものについては自分なりの決まりを守っているのであるが、

うっかりそれが台無しになることもある。



先日、日本から遊びに来ていた友人が、本を何冊か持ってきてくれた。

人からもらう本は、普段私が読まない作家のことが多くて、とても新鮮だ。

喜び勇んで読み始めようとして、本を手に取ったら、本の帯に大竹しのぶと若い女優の顔が印刷されていた。

この小説は映画化されたらしく、

そしてこの一瞬で、楽しみは半減した。

小説はおもしろかった。

でも、どの台詞も、大竹しのぶが喋っており、泣くのも笑うのも、帯に出ていた若い女優で、

振り払おうとしても、とうとう最後までその二人がずーっと演じていた。



もう1冊の本は帯がなく、安心して読み終えて、

ブックカバーを外してみたら、二人の人が写った写真が表紙になっていた。

明るいところでよくよく見ると、それは原田知世と大泉 洋だった。

これも映画化されたのか・・

でも読む前に表紙の写真を素通りしてよかった。

私の世界では、その人は原田知世とは全然違っていた。



読書に何を求めるかは、人によって違うだろう。

私は、私なりの別の世界に入るのが楽しいのと、作家の文章の行間を読むのも好きだ。

だから特定の「顔」があると困るし、翻訳ものよりは日本人作家のほうが好き。

ただでさえ、読む本の数が限られているハワイで、

これ以上読書の楽しみを減らさないために、本の帯は見ない、表紙の写真も見るまえにカバーをかけてしまうという

新しい「決まり」が必要になったということか。







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