Carmel Reilly著『True Tales of Angel Encounters』より
ケビン(44) バリー イングランド
僕は、インターネットのチャットルーム中毒だった。家の書斎で、1日に何時間も、夜中まで見知らぬ人々との会話に夢中になっていた。たまに性的なものもあった。
僕はそれを妻には内緒にしていて、いかにも仕事をしているかのように取り繕っていた。妻は私が家に大量の仕事を持ち込みすぎると思っていたようだ。
僕は自分のしていることに気づいていたが、深刻になるのには少し時間がかかった。10代の頃、ギャンブルにはまっていたことがあったけれど、これはそれとは違う、借金を作るわけでもなし、無害だとどこかで自分に言い訳をしていたのだ。
ある夜、僕はベッドに入ってから「仕事のメールを1本送るのを忘れてた」とか何とかごまかして、書斎に行った。
コンピューターの電源を入れて、椅子に座ったら、途端にこんなことをしている自分がどうしようもなく情けなく思えてきた。自分は愚かで、クズだ。
そして頭の中で、「誰か助けてくれ!!!」と祈った。
そのとき、不思議なことが起こった。
部屋全体がなんともいえない雰囲気に満たされて、暖かさを感じ、ローズウォーターのようなとても良い香りがした。天使がここにいる、と確信した。
僕は再び、自分の行いに対してものすごい後悔の念に襲われた。
そして、姿は見えないが確かにここにいる天使が自分を見つめていて、その表情が悲しく、僕を咎めるような辛辣さがあることを、痛いほど体中で感じた。
僕はいたたまれなくなって、号泣した。
その瞬間、僕は壁を乗り越えたと思う。
僕は泣くのをやめ、コンピューターの電源を引き抜き、天使の気配が消えるまでずっと椅子に座っていた。
しならくして、僕は自分がどんなに自身と、この結婚を危機に晒していたかを知った。
翌日、僕は妻に、コンピューターにトラブルがあったので修理に出す、と嘘を言い、実際修理に出して中身をすべてクリアにしてもらった。
戻って来たコンピューターは、寝室のドアの外の廊下に設置し、どんな隠し事もできないようにした。
興味深いのは、僕が窮地に陥っているのを知りつつ何もしなかった間は何も起こらず、僕が心から助けを求めた時に手がさしのべられたということだ。
助けを懇願するまで到達しないとならなかったのか、助けを呼ばないと天使は手助けをできないことになっているのか、それはわからないけれど、とにかく中毒を乗り越えて、今はとても良い気分でいる。