太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ふたつの世界

2023-05-15 07:36:27 | 絵とか、いろいろ
作品を置いているギャラリーのうちの一つで、6月にショーがある。
今年のテーマは「小品」。144スクエア(だいたい15センチ四方)以内におさまる作品でなければならない。
インディアナに行った時に買ってきた、変わった形のキャンバスがいくつかあったので、それを使った。

Nene

Ko'olau

写真だとそうは見えないけど、山のほうがいくぶんサイズが大きい。
Neneは全部染めたティッシュペーパーだが、Ko'olauは、染めたばかりの紙の染料を吸わせる紙(新聞紙と同じ紙)で作ってある。
ビショビショの染めたばかりのティッシュペーパーを、紙に挟んで乾かすと、挟んだ紙のほうにも色が残る。それも作品に使えるのだ。


これらの作品が出来上がった頃、ティッシュペーパーを染めるワークショップがあった。

いつもなら、どこか場所を借りて25人ぐらいの大所帯で染めるのだけれど、今年はペギーの自宅で、6人に限定してやることになった。
マノアにある、ペギーの自宅のガレージに集まったのは、セリース、ベネデット、カット、シルビア、ペギー、そして私。
小人数でやると、個人的に欲しい色を多めに染めたり、いろんな実験ができたりと自由度が高くて良いことばかり。
持ち寄りの食べ物でランチ。
私は定番の稲荷寿司。ケールと海老のサラダや、アボカドトースト、ミートボールとパスタ、一口サイズの可愛いケーキ。
おしゃべりに花が咲き、とっても楽しかった。

私は仕事があるので、アートの仲間たちとは殆ど会う機会がない。
にもかかわらず、ちゃんと声をかけてくれるペギーに感謝でいっぱいだ。
ワークショップの誘いのメールに、

『その日が仕事じゃないといいんだけど。あなたが来てくれるのと、そうでないのとでは全然違うから』

と書いてあり、胸が熱くなった。
幸いその日は休みの日だったけど、そうでなくたって、そんなことを言われたら万障繰り合わせて参加するとも。



職場で仕事をしている世界、アートの世界、私にはふたつの世界がある。
12年前、ハワイに来たばかりの時、私には夫と、その家族しか知り合いがいなかった。
コラージュにも出会っておらず、この英語力ではできる仕事もないように思えて、自分がとても小さくみえた。
家で水彩やパステルを細々と描いたり、水彩のワークショップに行ってみたりの手探りは、仕上がった絵をシュートメに見せたときに、

「で、その絵をどうするつもりなの?」

と冷たく言われたときに、何の意味もないように思えた。
けれど、日本の友人が、

「好きなことをやっていれば、そのうち道がついていくよ」

と言ってくれた一言に、私はどれだけ救われたろう。

今でもあの頃のことを思い出すと、夢中で歩き続けてきた12年を思って、しみじみとこみあげてくるものがある。
どれだけの人に助けられて、今の私があることか。