太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

天使に出会った実話 6

2023-05-10 07:48:28 | 天使に出会った実話
Carmel Reilly著『True Tales of Angel Encounters』より



エドアルド  バルセロナ スペイン

僕が子供の頃、家の近くに夏になると水が枯れる川があった。夏休みなどには僕たちはそこでよく遊んだものだ。よく、ちょっと変わった雰囲気のアフリカ男性が、白い猫を従えて枯れ川の土手を歩いているのを見た。彼はいつも僕に向かって「こんにちは、エドアルド」と挨拶をするので、僕はそれに返事をした。僕が一人きりでいるときには、彼は僕の隣に座って少しおしゃべりをした。
彼は僕の手のひらを見て、
「君は大人になったら大きな街に住んで、きれいな奥さんをもらって、素敵な家に住む。子供は3人で、みんな大学に行って立派な人になるよ」
と言った。

ある時、彼が通りかかったとき、遊んでいた僕を呼び止めて、
「今すぐ家に帰ったほうがいい、君のお母さんが助けを必要としているから」
と言う。
走って家に帰ると、母が「ああよくぞ帰ってきてくれたわね!」と喜んだ。家に来ていた祖母が急に倒れて、どうしようかと思っていたところだったという。
僕は母の言いつけどおりに走って医者を呼びに行った。医者は、祖母は心臓発作で、すぐに大きな病院に連れていったほうがいいと言った。すぐに救急車を呼び、祖母は病院に運ばれて一命をとりとめることができた。

あとになって、母が、
「それにしても、あの時、あなたが帰ってきてくれたのは本当に幸運としかいえないわ」
と言うので、僕はあのアフリカン男性の話をした。
すると母は、知り合いにアフリカン男性などいないけど・・・と困惑し、ただし、家に伝わる伝説の人以外はね、と言った。

それは1800年代のこと、僕のおじいさんの、そのまたおじいさんが、ヘビに咬まれたアフリカン男性を助けたことがあったそうだ。
その男性は旅行者で、命を助けてもらったお礼に、あなたの家族を代々見守ります、と言って去ったという。
その男性はとうの昔に亡くなっただろうけど、約束どおりに今でもこうして僕の家族を守ってくれているのだと思った。

さて、その後、大人になった僕はバルセロナに引っ越し、美しい妻と3人の子供に恵まれた。
彼らはまだ大学に行くには若すぎるけれど、みんな賢くてすばらしい子供たちで、必ず何かを成し遂げる人生を送るはずだ。




天使に出会った実話 5

2023-05-10 07:16:32 | 天使に出会った実話
Carmel Reilly著『True Tales of Angel Encounters』より



キャサリン(28)マンチェスター イングランド

私の最初の子供、とても美しい女の子は早産で生まれ、しばらく特別保育器で過ごさねばならなかった。初めの数日は私の体力的なこともあり、会うことも叶わなかった。初めて彼女を見たとき、その小ささと、それでいて完璧さに胸が熱くなった。壊れそうに細い腕に点滴の針が刺さり、保育器の中はほどよく温まって、ハンカチほどの大きさのニットにその身体が包まれていた。
そのニットは誰かが編んでくれたもので、私は自分の子供が誰かの愛に包まれていることに感謝した。

面会できるようになって数日は、できるだけ彼女のそばにいた。
その時私はたったの16で、子供の父親は関わるのを嫌がって近寄らなかった。私の両親が可能な限り顔を出してくれたが、ほとんどは私と、まだ名前もない私の子供だけだった。
ナースたちはみなとても親切で、15分おきに声をかけ、様子を見、献身的に世話をしてくれた。

何日目かに、新しいナースがやって来た。ナースは点滴を取り換えたりの作業のあと、私の隣に座った。ナースがそんなことをしたのは初めてだった。
ナースは「アンナ」という名前だと自己紹介し、それ以外はあまり語らず、ただ一緒に子供を見つめていた。
アンナが仕事に戻る前に、その手のひらを保育器の、子供の頭があるあたりにそっと当てた。
すると、子供はスっと目を開き、顔をアンナの手のひらのほうに動かしたので驚いた。私は彼女が目をあけるのも、ましてや自力で首を動かすのも見たことがなかったから。
アンナは微笑んで、私の両肩を軽く揉むようにしてから部屋を出て行った。

その後1週間、毎日午後になるとアンナはやって来て、私の隣に座った。
アンナはいつも手のひらを保育器にあて、そうすると子供は必ず目を開いて、顔を手の方に向けるのだった。最初は私を見、次にアンナを見る。その時、私は言いようもない幸福感に包まれた。

子供が生まれて10日後のこと、私が保育器に行くと、子供は布の紐で縛られ、上体が浮くようにされていたので、私は驚くとともに怒りが湧いてきて、担当のナースに苦情を言った。
するとそのナースは、こうでもしないと点滴のコードを安定させられないんだと、しゃあしゃあと言い、大きな音を立てて部屋を出て行った。そして、ナースステーションでそのナースが、大声で、私は厄介な母親だと悪口を言い、笑っているのが聞こえてきた。
数分後、アンナが来て、子供を見ると微笑んで、紐をはずし、ベッドに寝かせた。
アンナがいつものように手のひらを保育器にあてると、子供はその小さな手の指を伸ばしてきた。
「この子はもう大丈夫ね」
そう言って、部屋をあとにした。

その翌日、アンナは現れなかった。
私は他のナースに、今日はアンナは休日なのかと聞いてみた。するとナースは、アンナという名前のナースはいない、と言う。そして、私がストレスのために幻覚を見たのだろうと言った。

私は急いで保育器に戻り、確信した。アンナは天使で、子供がちゃんと生きられるように助けに来たのだと。
それきり、アンナには会っていない。少なくとも、見てはいない。
というのも、子供は時々、突然目をあけて、指を伸ばして何かをさぐるようなしぐさをすることがあり、きっとその時にはそばにアンナがいるのだろうと思う。

6週間後、私と子供は退院した。
娘は今元気な12歳で、名前をアンナという。