太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

融通がきかず、詰めが甘い

2023-05-18 06:56:00 | 日記
大昔、メトロポリタン美術館の中のショップで買ったというペンダントトップは、私のお気に入りだ。

これは今は亡きクリーバーさんがくれたもの。
クリーバーさんは、30年以上前に、私が働いていた父の会社の近くに猫2匹と住んでいたアメリカ人のおじいさんで、短大の教授をしていた。
クリーバーさんは日本語がほとんど話せない。私は英語がてんでダメ。それでどうやってコミュニケーションしていたのか不思議なのだが、私たちは一緒にお寺巡りをしたり、異業種交流会のパーティに連れていったり、とても楽しく過ごした。
なぜかクリーバーさんは私のことが大好きで、たくさん手紙をくれたり、小さなプレゼントをくれたり、写真を撮ってくれたりした。

クリーバーさんが心臓の手術をし、しばらくしてアメリカに帰った。
そのあと、私は前の夫と一緒にクリーバーさんを訪ねてアイオワまで行った。その時、ニューヨークにも行って、あのツインタワーの屋上に行ったりもした。
それから数年たって、クリーバーさんは心臓発作を起こして、自宅で一人で亡くなってしまったのだった。

クリーバーさんとの出会いは、今の夫と結婚する伏線になっていたと思う。
なぜなら、私が夫と初めて会った時、夫の醸し出す雰囲気、どんな私も見せられる安心感と心地よさ、それはまさしくクリーバーさんといる時とそっくりだった。
「私はずっと待っていた!」そんな気がしてならなかった。



そのペンダントトップ。
裏側にある金具が錆びて、取れてしまった。出かけるたびに、その金具になりそうなものを探していたのだけれど、見つからない。
日本ならクラフトショップに行けばあると思うけど、ここではそうもいかない。
それで、インディアナに行った時に、それになりそうなものを買ってきた。
それは、ブローチのパーツだけれど、針を収めたまま紐を通せばいいかもしれない。
早速、ブローチのパーツをボンドで水平にくっつけた。

でも、ガラスの塊は重みがあって、通した紐が左右に動いてしまい、まっすぐにならない。
はて、どうしたものか。

ひとつのギャラリーにいるラティーシャは、アクセサリー作家でもあるので、ここは専門家に聞いてみようと出かけていった。
ペンダントトップを見せて説明をして、ふんふんと聞いていたラティーシャがおもむろに言った。

「これを縦につけたらいいんじゃない?」

縦につけてみた図

「へ?」

「横だから紐が動く距離が長いけど、縦にすれば動きにくくなるわよ」

そのあと、顔を見合わせて涙を流して大笑い。

「私ってバカ―!あははははははは!」

「いいのいいの、他の目で見ると違うことが見えるから、あはははははは!」


ブローチのパーツだから、何も考えずにブローチのように水平につけた私。
融通がきかず、詰めが甘い。
まったくいかにも私らしい話。
縦にして、確かに動きにくいけれど、装着すると微妙に傾く。
今度日本に行くときに、何か探してみよう。