太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

バレンタインデー

2018-02-15 07:56:02 | 日記
昨日はバレンタインデーだった。

日本では女子から男子にアプローチするが、アメリカでは反対に男子が女子にサービスする日だ。

バレンタインとチョコレートを結びつけたのは、日本の商業的な企みだといわれているけれど、そうかもしれない。


バレンタインだと気づいたのは、夫の両親側の家に行ったら

HAPPY VALENTINE DAY

と書かれた大きな風船と、ピンクのカード、薔薇の花束が活けられていたからだ。

両親とも72歳になるが、彼らは(特に舅は)本当にマメにこういうことをやる。

職場に行ったら、男子の同僚からみんなにチョコレートがふるまわれた。

まるでクリスマスのように、会う人に「ハッピー バレンタイン!」と言う。




うちの夫は、というと、特になにもなし。

私も忘れていたぐらいだから、別にどうってこともなし。

夫の同僚は、奥さんに指輪を買い、平日の夜だというのにオシャレなレストランに行くのだと言う。

それが奥さんの希望だそうで、いやぁそれは大変なこっちゃナァと思う。

だいたいが、バレンタインをそうやって祝う意味がわからん。

日本人の男に疎ましがられていた、私が求める暑苦しい愛情の表現が、

やっとガイジンである夫と釣り合ったのであるが、こういうイベントにはどうも気が乗らない。

夫も、両親の家の風船を見ているから忘れていたわけではなく、私と同じ温度なのだろう。

「うちなんか、毎日バレンタインデーだからね」

と夫はうそぶく。

花束をもらったり、素敵な店で食事をしたり、指輪をもらったりすることで

相手にとっての自分の価値が確認できる、という人もいるだろうが、私はそういうふうには思わない。

誕生日ですら、あげたいものが見つかった時だけプレゼントを買う。

記念の食事ぐらいはするけれど、基本的には心をこめた手紙を送りあう。

友人とそんな話をしたら、彼女もうちと同じだった。





「今夜は何かお祝いするの?」

同僚が聞く。

「べつに」

と言うと、ちょっと悲しいような顔をするので、

「日本じゃバレンタインは祝わないんだよね」

と文化のせいにしておくのである。








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帰省

2018-02-14 08:35:14 | 日記
3月に、日本に行くことにした。

父が、記憶が緩くなるときがたまに出てきて、秋に行く予定ではあるけれど、

そのときに父がどうなっているかわからないし、

倒れてから駆けつけても、会うのは病院だろう。

今なら家で過ごしていて、私や夫のこともしっかりわかっている。

それに3月には父の誕生日もあり、父だけにはサプライズで行こうと決めたのだ。


行くとなったら、俄然俊敏になるのは、大の日本好きの夫である。

すぐに、ネットであれやこれや探し始め、伊豆の早咲きの桜が満開であることがわかり、

家にばかりいる父を連れて行こうということになった。

私たちも、桜はもう7年以上も見ていない。

私たち二人だけなら電車を乗り継いでどこまでもいけるけれど、両親も一緒となると長く歩くことができない。

しかし、父の車はもう売ってしまって、姉の車は家族限定の保険しかかけていない。

そこで、4日間だけレンタカーを借りた。



父を伊豆に連れてゆきたいと姉に言ったら

「一緒に住んでいると、どこかに連れていってあげようとか思うことがないから、きっと喜ぶヨ」

と言った。

両親とも、自分達だけでどこかに出かけることができなくなっているのだし、

たまには連れ出してあげてほしい、という気持ちは正直、ある。

けれども、一緒に住んでいることの煩わしさ、大変さは、離れている者には到底わからないのもわかっている。

姉は姉で、精一杯やっている。

たまに来て、優しくすることなら誰でもできるのだ。

外野に説教されるなんて、私だって御免だ。



たった1週間の滞在で、今回は友人たちの誰にも会わず、

殆どの友人には行くことも告げずに行く。



レンタカーを借りるのに、日産レンタカーに電話をかけた。

変更があって、2回電話をかけたのだけれど、

なんと人々の丁寧で感じがいいことであろう。

私が日本の文化の、なにが1番恋しいといって、こういう人々の感じのよさ、丁寧さでなかろうかと思う。










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獅子文六

2018-02-12 08:32:33 | 本とか
ハワイで日本の本が買えるのは、博文堂という日本のステーショナリーストアかブックオフだ。

博文堂は新しい本だから値段も高く、種類もとても限られていて、読みたい本を探すのは難しい。

それでブックオフに行くのだけれど、日本のブックオフを想像してはいけない。

日本の店の10分の1ぐらいのスペースに、英語の本と日本語の本やDVD、CDなどがあるのだから

推して知るべし。

しかし、アメリカの本屋ですらことごとく倒産して、唯一残ったバーンズノーブルも次々に縮小し、

いまやアラモアナショッピングセンター内でただ1店舗が青息吐息、という状態を鑑みれば

本なしではいられない私にとって、日本の本が買える場所があるだけでもありがたいのであり

それも文庫本が1ドルから5ドルなのだから、これ以上の贅沢はいえまい。



限られたスペースに並ぶ本はそれほど変わり映えがせず、あまりジャンルにこだわらずに本を読む私でも、

食指が動く本がだんだんなくなってくる。

そうなると、未開拓の作家に挑戦するようになり、がっかりすることもあれば

思いがけず楽しめることもある。

その思いがけず楽しかった作家の一人が、獅子文六である。

名前だけは知っていたが、NHKのテレビ小説の1作目『娘と私』(自伝小説)の作者だとは知らなかった。

今、読んでいるのは「てんやわんや」で、

「臆病で気は小さいが憎めない主人公は、太平洋戦争直後、戦犯を恐れた社長の密命により四国へ身を隠す任務を与えられる。

そこは荒廃した東京にはない豊かな自然があり、地元の名士に厚遇を受けながら夢のような生活が待っていた」

という物語で、この四国でいろんなドタバタが起こる。

文体も軽快で、どんどん愉快になってくる。

その調子は、こんな具合である。

四国まで追いかけてきた女に遭遇するが、すっかり洋装になっていて驚く。



しかるに、この女は単に正規の洋装をしているのみならず、衣紋竹を背負っているように肩の張ったスプリングコートでも、

ドラ焼きを叩きつけたような、小さな帽子でも、皮の大黒頭巾のような大きなハンドバッグでも悉くが新調であり・・・




さらに、その女が主人公を襲う。



「ちょいとウ・・暫く会わないうちに日本語忘れちまったの、なぜ黙ってんのよ」

二ッと笑ったその顔が、ちゃぶ台の上に伸びてきた。顔が拡大されて畳一畳敷きほどあるような迫力を、私に感じさせた。

焦げ茶色の噴水のような描き眉、三色版の夕焼けの空のような頬化粧、鶏のゾウモツの心臓のような口紅、それは毒々しいというような、

生優しいものではなかった。




本を読みながら笑ったのは、久しぶりだ。

どれを買おうか迷うほど大量の本が並んでいる、日本の本屋が心から懐かしく思うけれど、

日本にいたら読まなかったであろう本を読むことができるのは、案外楽しいものである。




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ぶるんぶるん

2018-02-11 19:03:24 | 日記
仕事中に、視界に何かがちらちらと入ることがある。

なんだろうと目をやると、そこには何もない。

仕事に戻ると、また何かがちらちらと視界に入る。

目をやると、やはりそこには何もない。


あらー、これはもしかして、いよいよ私も妖精とかいったものが見えるようになったか。


妖精にコネクションがあると言われてから半年近く。

妖精の部屋も作ったし、妖精に話しかけることもあるし、

友人のヴィッキが妖精の写真を撮ることもわかったし、

なにより夫は妖精が見える人だ。

私にだってそろそろ見えたってバチは当たるまい。

いやむしろ遅いぐらいだ。


そうかそうか。

妖精はかくれんぼをしているつもりなんだろうかな。



と、気をよくしていた矢先、それは数日前のことだ。

また視界の端で何かが動き、素早く目をやった私は、動いたものの正体を見た。

レジスターでキャッシャーをやっていた私は、商品を入れる袋の口を広げるのに

両手で袋を持って ぱんぱん と振ったのだ。

その時、私の二の腕の脂肪が ぶるんぶるん と揺れた。

私は我が目を疑い、もう一度腕を揺すってみた。

すると確かに ぶるんぶるん と脂肪が揺れた。

レジスターの引き出しを閉める。ぶるんぶるん

同僚に手を振る。ぶるんぶるん

トイレの場所を聞かれて身振りを使って説明する。ぶるんぶるん





昔は、こんなものはなかった。

今だって、そう太っているわけではないのに、

肉全体にコシがなくなるというか、張っていたものがゆるむというか、

昔は筋肉の一部だったものが、私の許可もなしに脂肪になって、二の腕につるさがっている、

その、ああもうどうにでもしてよ的な自堕落な肉を、じっと見た。

鏡で、真横の姿を写してみる。

確かに、タコ糸を巻きたくなるような腕になりつつある。

よくぞここまで張りがなくなったものよ。



我が脂肪の揺れる様を、妖精だと勘違いしていい気になっていた自分が悲しくも哀れである。






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たかが、されどドリッパー

2018-02-10 19:13:20 | 日記
コーヒーメーカーが壊れて、KEURIGを買った。(その辺の記事はコチラ

が、使い残しのコーヒー豆を手でドリップしたら、とっても美味しかった。

それで、時間に限りがある平日の朝はKEURIGを使い、

休みの朝は手でドリップすることにしているのだが、

実はドリッパーがあれば、もっと早く淹れられるのだ。


というのも、今ドリップするのに使っているのは、壊れたコーヒーメーカーで使っていたもので



こんなやつ。

サイドもメッシュでできているので、お湯をある程度注ぐと横からお湯が漏れる。

漏れたコーヒーがあふれてしまうので、ゆっくーーーーり少しずつお湯を注ぐ必要があり、

1杯のコーヒーを作るのに、えらく時間がかかるというわけだ。

これはドリップ専用ではないのだから仕方がない。

私はちゃんとしたドリッパーを買いに行った。

軽い気持ちで最初に行ったのはドラッグストア。

コーヒーの紙フィルターも売っているし、コーヒーメーカーだって売っているのだから

ドリッパーがないはずがない。

しかし、なかった。

コーヒー豆とか紙フィルターの売り場にあるかもしれないと思い、スーパーマーケットに行ってみた。

しかし、なかった。

4種類のスーパーに行ったが、なかった。

ターゲットにも行った。

ホームセンターにも行った。

ないとは思ったが、家電の店にも行った。

ここまでで、すでに1週間かかっている。

キッチン用品専門店があったのだが、数年前に倒産してしまった。

もしかしたら、あそこにあるかもしれないという店がないこともないが、

片道50分かけてそのためだけに行って、なかったときのことを思うと行くのがためらわれる。


日本だったら、キッチン用品の店とか、コーヒー豆の専門店とか、もしかしたらスーパーとか、

ホームセンターにもあるかもしれない。

欲しいと思った日から、遅くても数日以内で、日本ならドリッパーが買えるはず。

それが買えないのが、ハワイだ。

だからハワイの人は、必要に迫られてインターネットで物を買う。

ドリッパーも、ネットならすぐに見つかるのはわかっている。

けれど「送料無料」の例外になるのも、やはりハワイであって、

(送料無料の下に小さーーーい字で、ハワイとアラスカは除く、と書いてあるいまいましさといったらない)

ドリッパーと同じぐらい、へたをしたらそれより高い送料を払うことを思うと、

ネットショッピングもためらわれる。


たかが、ドリッパー。

されど、ドリッパー。

ちゃんとしてなくていい、横がメッシュでなくて漏れないものならなんでもいい。

プラスティックでもセラミックでも、パンダの絵が描いてあっても、

ドラえもんだってかまわない。

どうってことのないものが、なかなか手に入らない、それがハワイで暮らすということなのである。








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