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トランプ「(難民)一時入国禁止措置」に対する安倍首相の答弁から何が読み取れるか

2017-02-04 12:10:41 | 安倍政治

 簡単にいうと、彼は首相として、主権を有する国民に対して、自己の姿勢を表明すべき責任ある立場であるにもかかわらず、その事の必要性をまったく認識しておらず、「批判的にコメントすれば喝采を受けるというのかもしれないが、そうではない」という安倍政権の体質である、唯我独尊で国民主権を無視した特異な偏向した思考様式を暴露した彼流の答弁となっているのである。安倍政権の政策には、国民の「人権尊重」という理念はなく、単なる「損得勘定」しかないのである

 トランプ米大統領による「一時入国の禁止措置」に対して、安倍首相の答弁を列挙してみると、

 ①1月30日午前の参院予算委員会では、「大統領令という形で米政府の考え方を示したものだろうと思う。私はこの場でコメントする立場にはない」と述べた。また、「難民が出てくる状況を根絶する中で、世界が協力しなければいけないし、日本はその役割を果たしていきたい」とも述べた。

 ②31日の参院予算委員会でも、「米国がどのような出入国管理を行っていくか注視しているが、ただちにコメントする事は差し控えたい」「各国の入国管理政策は基本的には内政事項で、直ちにコメントする事は差し控えたい」などと述べた。

 ③同日の委員会で「難民にどう対応していくかはその国が判断する事だ。日本は日本としての出入国管理、難民に対する対応を行っている」と述べた。

 ④2月1日の衆院予算委員会では「日本が批判的にコメントすれば、喝采を受けるとおっしゃるのかもしれないが、そうではない。この問題にそれぞれの国の特性を生かしてどう対処するかだ同盟国の信頼関係を構築する中で、(そのような)答弁をする事はできない」と述べた。

 さて、この安倍首相の答弁から、何を読み取る事ができるかという事であるが、

 まず①の答弁については、トランプ氏の政策を安倍氏が利用するために各国の反応をみて答弁内容を決めようとしている事をうかがわせる。つまり、「日和見的態度」をとっているという事である。また、安倍政権は、「難民問題」の面から、「難民」を発生させない事を重視しているが、そのために、「積極的平和主義」と称して進めている「集団的安全保障体制」の必要性重要性を、国民はもちろん、諸外国にもアピールするとともに、自ら積極的にその役割を果たす事を宣言しているとともにその姿勢を改めて正当化していると理解すべきである。

 ②の答弁については、「(出)入国管理政策」について、短絡的に「内政事項」であると定義し、「他者(他国)からの批判をすべき事ではない」という安倍氏にとって都合の良い理屈を作り出しそれに基づいて、「コメントを差し控える事」が正当な対応である事を主張するとともに、そうする事でまた、トランプの「入国禁止」政策を支持しているのである。さらに併せて、自民党政権がこれまで実施してきた、また、安倍政権(自民党)が実施してきた「出入国管理政策」の正当性をも主張しているのである。安倍首相は、トランプ氏の「入国禁止措置」を、自己のこれまでの政策を改めて正当化する上で非常に都合の良いものとして利用したのである。

 ③については、「難民政策」についての答弁であるが、この答弁も上記②と関連して、これまでの自民党の、また安倍自民党政権の「難民政策」の正当化を主張しているのである。ちなみに、安倍自民党政権(日本)は難民受け入れに厳しい規制を設けており、2015年は7586人の難民申請に対し、安倍政権が認定した数はたった27人であった。米国はシリア難民だけをみても、2016年末で約6万人の難民を受け入れていた。しかし、トランプ氏はその状況に対して「一時入国禁止措置」を命じたのである。それにより、つまり、安倍政権(自民党)にとって米国は身近な同類となったのである安倍自民党政権にとって大統領令は、これまでは先進国内で孤立し肩身の狭い後ろめたい思いをしていたのを、それを振り払い現在までの「難民政策」について開き直るきっかけを与えてくれる事になったという理解を表明しているのである。

 ④については、安倍政権自民党の難民政策を「国の特性」と規定し、「それぞれ(独自に)どうするかだ」と自己の現行の、さらにこれからの「難民政策」の正当性を主張しているのである。さらに、主権を有する国民への説明には、また国民を納得させる事には、まったく気にかけない態度も露わにしているが、彼が「コメントを差し控える」とする最重要な理由を、「(軍事)同盟国の信頼関係を構築する」ためであるとして「日米安全保障条約」の重要性正当性を主張したという事である。

(2017年2月4日投稿)

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