民間団体「FUJISAN地球フェスタWA」(本部・山梨県)が、2020年東京五輪の閉会式翌日に、「平和メッセージ」を世界に伝えるとして、富士山を人間が手をつないで囲むプロジェクト(実行委員長・渡辺政男)を計画しているらしい。それも、静岡県と山梨県にまたがる国道約113㌔の片側車線を閉鎖してである。そして、五輪が開かれる4年に1度実施したいという。
私は思うのだが、現在の日本を「平和」という視点で見回した場合、彼らはあまりにも国民の生活や社会に対する認識が不足しているのではないかと思う。そして、「平和」という言葉をあまりにも浅薄に使用しており、「世界に平和のメッセージを伝える」などと高慢な(思いあがった)目的を掲げ自己満足に浸っているだけだと思う。
なぜなら、沖縄県辺野古に米軍の新基地作りが安倍自公政権によって、県民の意思を無視して強引に進められている事について、どう思っているのだろうか。知らないとは言えないだろう。彼らの「平和」というものは、沖縄の問題とは関りを持とうとしておらず、現実から国民の眼を意図的に反らせる「平和メッセージ遊び」としか思えない。
そんなエネルギーがあるのなら、本当に平和が大切であると考えているのであれば、安倍自公政権による沖縄辺野古の米軍新基地作りを阻止し、安倍自公政権のこれまでの安全保障政策を改めさせるためのプロジェクト、例えば「平和を要求する人間の鎖プロジェクト」などを行うべきであろう。そうでないところに彼らのプロジェクトのいい加減さがうかがえるのである。新聞記事掲載の写真に彼らが「地鎮祭」を行ったような場所が大きく写っている事も、彼らが国民を彼らの企てに利用しようとしている事をうかがわせる。
敗戦までの国民学校教科書では「富士山」は「神の山」とされていた。
「どこから見ても、いつ見ても、富士のお山は美しい。
白いおうぎをさかさまに、かけた下から雲がわき、
すそ引くはての松原に、太平洋の波が立つ。
やさしいようで おおしくて、
とおといお山、神の山。
日本一のこの山を、世界の人があおぎ見る。」(『よみかた四』「富士山」)
「大昔から雲の上、雪をいただく富士の山。
いく千まんの国みんの 心きよめた神の山。
今、日本にたずね来る よその国人あおぐ山。
いくまん年ののちまでも、世界だい一、神の山。」(『うたのほん下』「富士の山」)
などである。