松井一郎・大阪市長は、市として大阪都構想の説明をリーフレット(3月発行)や市広報紙(毎月発行)やパンフレット(9月から配布)を利用して行わせてきたが、その内容が市の「広報」としては極めて偏向したプロパガンダ広告化しているとして問題視され、メディアも取り上げた。
市の広報全般について助言する広告の専門家で特別参与である山本良二・近畿大教授(広告コミュニケーション)と清水柾行氏(グラフィックデザイナー)から、「広報というより広告」「バラ色の表現は避けた方が良い」「なぜ特別区がいいのか、感覚的なままだ。具体的に何がいいのかわからない」など、これまで何度も改善修正を求められてきた。
広報紙については6月、両氏から、「『特別区はいいですよ』と、広報というより広告になっている。広報紙がプロパガンダにならないようにという意識を持った方がいい」「メリット・デメリットなど客観的な情報を伝えていくべきだ」とする厳しい指摘を受けている。自民党市議からも8月の市議会では「広報ではなく、政党(大阪維新の会)の広告になっているのではないか」と指摘されている。
前回2015年の都構想住民投票時には、今回のように広報紙などを利用して偏向プロパガンダ記事を載せる事はなかった。
大阪市内で無料配布されている民間子育て情報誌「まみたん」10月号には、大阪維新の会が実現を目指す大阪都構想に関する1㌻広告(党代表代行・吉村洋文大阪府知事の写真入り)を掲載した。出版元は「関西ぱど」で、社内の広告掲載基準には「子供が見る事もある情報誌の性格上、政党広告は掲載しないと定めていたが、社内で十分に認識されていなかったという事で、配布した約5万部の回収をする。
松井一郎・大阪市長は市民の誰もが常識的に「まさかそんな事はしないだろう」と思うその裏をかいた今回の手法が「バレ」、その揚句の果ての記者会見でのセリフは「ビジネスとして受けていただいた。内規違反とは思わなかった」であった。「ぬかり」のない松井氏が上記の事を知らないはずがないではないか。ここには大阪維新の会の「狡猾さ」と「シラバクレ」の体質が顕わにうかがわれるがどうだろう。
そして2020年9月26日にメディアは、松井大阪市長は大阪市主催の「都構想」住民説明会では前回と異なり、都構想実現を狙う「大阪維新の会」の主張に沿った市のパンフレットだけを使う事を決定したと報じた。
その理由は、「賛成反対を主張し合えば混乱する」とか「あおり合戦みたいになるのが嫌いだ」とか「役所で作ったパンフレットをもとに冷静に判断していただきたい」というものであるが、自治に参加する住民の権利を否定する独善独裁的な主張でしかなく、これに納得できる人がどれほどいるであろう。このような体質を持つ松井氏ら大阪維新の会が実現しようとする大阪都構想が誰を利するのか住民の利益を導く事になるかどうかはすでに明白であろう。