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百舌鳥・古市古墳群:「イコモス」の世界遺産登録勧告の判定は信用できない。安倍自公政権は科学的研究を無視し歴史を捏造する歴史修正主義者集団

2024-09-10 23:34:16 | 世界遺産

 百舌鳥・古市古墳群は49基の古墳で構成され、その内29基は、神聖天皇主権大日本帝国政府が天皇家の陵墓として指定したものを、戦後の自民党日本国政府が非合法的であるにもかかわらずその「指定」をそのまま引き継ぎ、天皇家の陵墓として占有し、宮内庁の管理下に置き、研究者の自由な立ち入りを禁止し全面的な発掘調査も実施させないため、被葬者や築造時期などは科学的学術的に明らかになっていない。また、文化財保護法での「特別史跡」や「史跡」という文化財にも指定されていない。そのような状態にある、宮内庁管理下のいわゆる「陵墓」を、文化庁大阪府などは世界遺産登録の手続きの際仁徳天皇陵古墳」「履中天皇陵古墳」「応神天皇陵古墳」として行っているのである。これは歴史の捏造と言って良い行為であり、学術研究を冒涜する行為(日本考古学協会など歴史・考古学系の13団体は学術的に被葬者が確定していない中で特定の被葬者の名をつける事は誤った理解を導く可能性があると批判している)であり、主権者国民の真実を知る権利を否定する行為であると言うべきで、決して許してはならない。このような状態にあり、登録に対して虚偽の説明をしているいわゆる「陵墓」に対し、疑問を呈する事もなくイコモスが登録を勧告したという事については、その評価が適正に行われたのかどうか極めて不信に思う。組織は公明正大に機能しているのかどうか極めて疑わしいと言わざるを得ない。

 2019年5月13日、ユネスコの世界文化遺産の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が百舌鳥・古市古墳群を世界遺産に登録するよう勧告した。その知らせを受けて歓喜する地元の人々の反応をみると、遺産登録する正しい意味をまったく理解していない。彼らにとっては、「正しい」意味などはどうでもよい事であるのだ。遺産登録をきっかけに商売を繁盛させる事ができるのではないか、今以上に金儲けができるのではないかという事(つまり、深く物事を考えず、儲かりさえすれば良いとして、そのためには周りの雰囲気にあわせて何でもやるという習性。深い意味を分かろうとせず、何となく楽しく思い、まわりに同調してお祭り騒ぎをする習性)こそが狙いなのである。極めて姑息で無責任な商売人根性金儲け主義に基づいているのである。この行動の仕方は残念であるが日本人独特のもので、神聖天皇主権大日本帝国下においては、今日以上に強いものであって、侵略戦争を肯定する事にもなった意識である。例えば、Co・FUNカフェ経営者は「ご飯を前方後円墳形に盛ったランチを提供している」。古墳の缶バッジのプロデューサーは「お祭り騒ぎで一般の人も巻き込んでいきたい」。土産物店では16年にメーカーと共同で「古墳こんにゃく」を開発し、観光客向けに販売してきた。はにわ作り体験ができる「河内こんだハニワの里 大蔵屋」がオープンした。

 2017年1月31日NHK「ニュースホット関西」では、「古フンでコーフン 魅了される人々」と題して、百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録をめざす堺市民の様子を伝え、NHKが視聴者に賛同を呼びかけていた。

 このニュースを知って私は違和感をもった。それは、「仁徳天皇陵」とか「応神天皇陵」という表現を使用していたからである。なぜなら、高等学校の教科書では、「大山古墳(伝仁徳陵)」とか「誉田御廟山古墳(伝応神陵)」と書かれているところを上記のように表現していたからである。

 教科書で上記のように表現されている大きな理由には、いわゆる「仁徳」や「応神」と称される人物の古墳であるかどうか、発掘調査研究が実施されていないため、学問上確定する事はできないという点と、「仁徳」や「応神」の時代には「天皇」という称号を使用しておらず、「大王」を使用していたという点が歴史学界の認識となっているためである。また、「大王」が「大和政権」の「リーダー」であるとの理解も誤りで、支配被支配の階級関係に基づく「支配者」と理解すべきである。

 この点だけで、NHKの編集内容は「放送法第4条」の中の「報道は事実を曲げない」という規定に明確に違反した「偏向報道であるといえるもので、視聴者に対して訂正と謝罪をすべきであるとえる。さらには、「BPO放送倫理検証委員会」において問題とすべきであると考える。

 「天皇陵」と指定し、「仁徳天皇陵」や「応神天皇陵」という呼称を使用しているのは「宮内庁」の独善的判断といえるものなのである。それというのも、宮内庁はこれまで、「天皇陵は陵墓であり学術調査の対象にはなり得ない」として、研究者による発掘調査研究をまったく認めてこなかったため、研究者には学問的にまったく信憑性が疑わしい判断であると見なされているからである。歴史学者の森浩一氏は「今の指定のままでいいと言えるのは、天武天皇の野口王墓と天智天皇の御廟野古墳だけだ」(『毎日』1986年6月8日朝刊)とし、大塚初重氏は「古墳時代の天皇陵31基のうち、現在の治定(指定)と被葬者が合致しているのは、天智天皇陵と天武・持統天皇の合葬陵の2基だけ」としているのである。

 ちなみに、宮内庁は1973年に「歴代天皇陵の決定について」という文書を公表した。それには、幕末までの陵墓探索結果を明治政府が継承した事、探索考証の根拠は「古事記、日本書紀、延喜式その他の古文献並びに伝承等」によった、と正当化している事を付け加えておこう。そして、現在、宮内庁が管理している「皇室典範」第27条に規定する「」は、「歴代天皇陵」は111、「歴代外天皇陵」が13、皇后陵が62で合計187である。また同様に、「墓」は893である。

 ところで、神聖天皇主権大日本帝国政府はなぜ歴代天皇陵指定しなければならなかったのか。それは他でもなく、神聖天皇制国家神道体制、政教一致の政治)を精神的支柱とした大日本帝国政府の重要な政治アイテムとして利用し、国民を効果的に支配統治する事とそれを諸外国にアピールするためであった。大日本帝国政府太政官は1874年5月、各府県に対して通達「御陵墓調査上古墳の届出方」を出した。内容は、「上世以来御陵墓の所在未定の分」について取り調べ中で、開墾の時、「口碑流伝の場所は勿論其他古墳と相見え候地」は、発掘などせず、「絵図面」などを付けて教部省へ問い合わせるようにせよと命じた。1880年11月にも宮内省は、沖縄県を除き「再届出方の通達」を出し、古墳と思われるような土地は、個人所有であってもみだりに発掘してはならないと命じた。そして、74年7月10日には、大日本帝国政府としては初めて「神代三陵」を指定した。

 そして、大日本帝国憲法と、皇室典範が公布された1889年、歴代天皇陵をすべて指定したのである。『明治紀第七』には、「条約改正の議起るに際し、伯爵伊藤博文以為らく、万世一系の皇統を奉戴する帝国にして、歴代山陵の所在の未だ明らかならざるものあるが如きは、外交上信を列国に失う事になる速やかにこれを検証、治定し国体の精華を中外に発揚しようとした」とある。

 伊藤博文は、天皇が「万世一系」であるとする「作り話」を、真実であると思わせるために「歴代天皇陵」を偽装偽造し、日本国民はもとより外国に対してアピールする事が狙いだったのである。

 伊藤が主導した「大日本帝国憲法」の前文にも、(上諭)「朕祖宗の遺烈を承け万世一系の帝位を践み」とあり、第1条には「大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す」と定めた。「皇室典範」の「前文」にも、「天祐を有したる我が日本帝国の宝祚は万世一系歴代継承し以て朕が躬に至る」と定め、第1条に「大日本国皇位は祖宗の皇統にして男系の男子之を継承す」と定めた事からも、「万世一系」を真実と思わせる「日本の歴史」を改めて偽造する(現代でいえば歴史修正主義に基づく歴史)事が喫緊の最重要課題であったのだ。

 現在、安倍自民党首相は、現行の日本国憲法を廃止し、「自民党憲法改正草案」を日本の新しい憲法に置き換えようとしているが、その際、現行の「前文」をも廃止し、新「前文」の初めの部分に、「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって」という文言を定めている。この「長い歴史と固有の文化」という文言に「大日本帝国憲法」の「万世一系」の意味を含ませているのである。また、現行「皇室典範」においては、第1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定めているため、「生前譲位」問題の検討においても、「女性宮家の創設」を含む「皇室典範」改正の必要性を認めないのである。

(2019年11月13日投稿)

 

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