人類は大昔、森羅万象に「霊魂」が宿っていると信じていたという。そして、大昔、日本列島に住んでいた人間も同様であったという。それを「アニミズム(有霊観)」ともいう。
広辞苑では「自然界のあらゆる事物が、生物と無生物とを問わず、生命を持つものと、それに精霊特に霊魂観念を認める心意」としている。
木には木霊、稲には稲霊、言葉には言霊、国には国霊、家にも船にも道具類のようなものにも霊魂があると思っていたという。
そして、民俗学においては明らかになっているが、日本人は、「石」にも霊魂が宿っていて、その霊魂が成長すればその「石」も大きくなると考えていたようである。
この事から、国歌とされた「君が代」の「さざれ石(小石)が巌(大石)になる」とするのは、この「石」が成長するという信仰を背景にしていると考えられ、「君」=「天皇」の長寿を願う事を意味する歌なのである。
ちなみに、「君が代」は極めて原始的宗教色の濃い歌であるという事にもなる。世界の国々の中でも唯一のものだろう。憲法の政教分離原則との関係も興味があるが。
(2021年6月1日投稿)