アントニオ猪木が、自らの信念をかけて創業した新日本プロレスの持ち株を某ゲーム会社に売却したのには、驚きました。50%以上ですからねぇ~。流石の猪木も最近のエンタメ・プロレスには見切りをつけたんでしょうか、それとも!? と思わせるところが、猪木の凄いところかもしれません。
ということで、本日の1枚は――
■Everybody Digs Bill Evans (Riverside)
47年前の今日、つまり、1958年12月15日、ニューヨークで録音された名盤です。
ビル・エバンスは、今更言うまでもなく、エバンス派という確固たる流れを生み出した白人ジャズ・ピアニストですが、これはその源流です。
共演はサム・ジョーンズ(b) とフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、当時全盛だったハードバップ~ファンキー派のイケイケ黒人コンピということで、繊細な味のエバンスとはミス・マッチかと思われますが、これが「吉」と出てしまうのが、ジャズの面白いところです。
つまりどちらかといえば、クールに鋭く突っ込んでエバンスのノリと、グッと後ノリのベースとドラムスが、筆舌に尽くしがたいポリ・リズムを全体から発散させているのです。
それはモダンジャズ~ハードバップの定番曲「Oleo」に顕著で、今では当たり前のグルーヴが、それまでは聴いたことも無い新鮮な感覚を生み出した瞬間ではなかったでしょうか? そのあたりはA面ド頭の「Minority」でも聴かれますが、いずれも黒人ジャズメン、ソニー・ロリンズとジジ・グライスの作曲というところに興味が惹かれます。
しかし、このアルバムの真価はその点だけではなく、やはりエバンスその人の鋭い感覚がはっきりと確立されていることで、ワルツ・タイムで極上にスイングする「Tenderly」や崩れ落ちる寸前の退廃美が凄いソロピアノのウルトラ傑作「Peace Piece」、さらに優しさに溢れた「What Is There To Say ?」は何度聴いても感動します。
ちなみに「Peace Piece」の元ネタはバーンスタインの「Some Other Time」ですが、CDではボーナス・トラックとして、それが入っています。そして、これがまた、素晴らしい! もちろん別テイクとして聴いていいわけです♪
あと、このアルバムのオリジナルはもちろんアナログ盤ということで、A面とB面の区切りがきちんと「Epilogue」というエバンスのオリジナル小品でつけられているあたりに、リーダーの並々ならぬ気合が感じられます。
それはスローな解釈に黒人的なグルーヴをさりげなく取り入れた「Young And Foolis」の潔さ、ただ単にテーマのメロディを弾いているだけなのに、緊張感漂う「間」のとりかたと鋭いハーモニー感覚に溺れそうになる「Lucky To Be Me」、A面に収められたこの2連発で、いきなり頂点を極めているのですから、仰天です。
個人的には、これも棺桶にいれて地獄まで持っていきたい1枚です。