■Strange Kind Of Woman c/w I'm Alone / Deep Purple (Harvest / ワーナー)
大衆音楽をやる以上、そこには所謂ヒット曲が必要とされ、それはロックもアルバムで聴く時代になってさえ、絶対的な「業界の掟」でありました。
例えば既に人気を確立させていた1971年のディープ・パープルにしても、新作LP「ファイアボール」を出すにあたってはキャッチーな先行シングル曲を要求され、そこで如何にも姿勢で発売されたのが、本日ご紹介の「ストレンジ・ウーマン / Strange Kind Of Woman」です。
ただし、そうした裏事情を知ったのは後の話で、リアルタイムで洋楽にシビれていた十代のサイケおやじにとっては、これが「Black Night」に続く、実にゴキゲンなハードロックの決定版♪♪~♪
短くもインパクトの強いイントロから、どっしり構えたへヴィなリズムと覚え易いリフを基調とした曲展開は、どっかで聞いたことがあるような調子の良さが上手いところであり、しかも中盤では意図的にテンポを落しての幻想的なムードの演出という、なかなか香りの高い事までやってくれますから、そのギリギリのシャリコマ感覚が若いリスナーをその気にさせてしまうんじゃないでしょうか。
さらに計算が行き届いているのは、続くリッチー・ブラックモアが演じるところの間奏パートで、これが実に歌謡ポップス調のメロディスなものですし、ギターの音色のほどよい甘さはニクイばかり♪♪~♪
おまけに天才ギタリストたるリッチー・ブラックモアにしては、素人にも「もしかしたら」と思わせるようなコピー可能領域を提示するサービス精神があるですよねぇ~~♪ そして実際、サイケおやじもそれに勤しんだ過去が確かにありました。
というように、様々な意味での親しみ易さが、この「ストレンジ・ウーマン」には露骨すぎるほど!?!?
ですから、ライプの現場では名盤「ライブ・イン・ジャパン」でも聴かれるとおり、イアン・ギランとリッチー・ブラックモアのボーカル対ギターの掛け合いで盛り上げるという、実に自然発火的な仕掛けが施されたのも当然でしょうか。
まあ、それにしたってセミプロや上手いアマチュアの中には、それをそのまんまコピーしていたバンドもあったほどですから、いやはやなんともではありますが、一転してB面収録の「I'm Alone」は、これぞっ、ディープ・パープル絶対主義の真骨頂!
バンド全体でファンキーに弾むリズムとビートを基調に、アップテンポで痛快に突っ走る「津軽じょんがら」的なハードロックと言ってはお叱りを頂戴するかもしれませんが、しかしブレイクでの急速フレーズから細かい技を出し惜しみしないリッチー・ブラックモアのギターソロは寺内タケシ直系がミエミエですし、オルガンの使い方にしても、完全にブルージーンズ~バニーズの路線をブリティッシュ風味にしただけというのが、サイケおやじの独断と偏見による楽しみ方なんですよ♪♪~♪
ですから、通常とは幾分異なる軽い歌い方のイアン・ギランや「ボンとショウガツ」っぽいベースにズンドコファンクなドラムスという、まさに唯一無二の世界がハッとするほど良い感じです。
いゃ~、何度聴いても血が騒ぎますねぇ~~♪
正直、A面よりも、こっちが好きなほどなんですよっ!
そして、これは素人バンドには決して出来ない境地なのも、また事実です。
ということで、これはリアルタイムで買った時から、サイケおやじの愛聴シングルのひとつです。
ちなみに、これは既に述べたように、あくまでもアルバム「ファイアボール」の先行シングルというのが英国での扱いでしたが、ご存じのようにアメリカや日本では件のLPに「ストレンジ・ウーマン / Strange Kind Of Woman」が収録発売されています。
まあ、その所為で「Demon's Eye」が外されるという罪作り(?)な結果にもなったんですが、英国オリジナル仕様ではちょいと地味な味わいの「ファイアボール」には、それで正解だったと思います。
しかし、そんな事は後の感想であって、ご推察のとおり、当時のサイケおやじはLPを買うのが至難……。それゆえに聴きたい曲を優先させてシングル盤をゲットするのが常道であり、そのB面に予想外の素敵なトラックが入っていれば尚更に良しとするギャンブル性が、たまりませんでした。
もちろん、その多くがアルバム未収録曲だった事は言わずもがなですから、そんな邂逅も結果オーライ♪♪~♪
本日は、そうしたLPが買えなかった負け惜しみも含めてのお話でした。