OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

マックス・ローチのスリルと安定

2008-12-31 11:39:04 | Jazz

Max Roach 4 Plays Charlie Paker (Mercury)

モダンジャズの基本は全てチャーリー・パーカー(as) に帰結するというのは、歴史上の真実のひとつでしょう。ですから、多くのミュージシャンは「チャーリー・パーカーの楽曲」を演じることによって、ジャズの奥儀を極めんとするのでしょうか。

と、本日もまた、独断と偏見の書き出しではありますが、実際、私なんかはそうしたアルバムをノー文句で聴いてしまうんですねぇ。同系の企画盤としては「デューク・エリントン集」とか「セロニアス・モンク集」とかもあるんですが、一番「らしい」のは、やはり「チャーリー・パーカー集」だと思い込んでいるのです。

で、このアルバムもそのひとつとして、堂々のタイトルがつけられていますが、リーダーのマックス・ローチは全盛期チャーリー・パーカーのバンドではレギュラーを務めていたドラマーですから、説得力は十分!

その内容は当時のレギュラーバンドによる演奏ですが、メンツと時期が異なるセッションが収められ、まず1957年12月23日の録音はマックス・ローチ(ds) 以下、ケニー・ドーハム(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ジョージ・モロウ(b) というお馴染みの面々♪ そして翌年4月11日のセッションになると、新鋭のジョージ・コールマン(ts)、実力派のネルソン・ボイド(b) がそれぞれ後任として交代参加しています。

A-1 Yardbird Suite (1957年12月23日録音)
 チャーリー・パーカーのニックネームを「組曲」なんて大袈裟なタイトルにしていますが、その実態は有名スタンダード曲のコードを借りて改作した、ビバップ特有のものです。しかしここでも明らかなように、そのリラックスしたメロディ展開と曲構成は、エキセントリックだと先入観が強いビバップとは一線を隔していると感じますから、私は大好き♪
 ここでの演奏も、そうした雰囲気を大切にしたゆったりテンポですが、マックス・ローチのドラミングは既にしてハードバップから離脱しつつある、所謂ポリリズムの萌芽があるようです。実際、終盤のドラムソロは実に躍動的ですよ。
 またケニー・ドーハムやハンク・モブレーも、まったく自分達の個性に沿った安定感を聞かせてくれます。

A-2 Confirmation (1957年12月23日録音)
 もちろんチャーリー・パーカーが作曲した幾何学的なメロディはビバップの聖典ですから、ここでのテンションの高い演奏は当たりまえだのクラッカー! アドリブ先発のケニー・ドーハムが必死のツッコミを聞かせれば、続くハンク・モブレーは悠々自適の「モブレー節」に専心しますが、ピアノレス編成でマック・ローチのドラミングに自由度が高い所為でしょうか、特にハンク・モブレーに微妙な浮遊感があって、妙な心持ちにさせられます。
 そしてクライマックスではマックス・ローチの爆裂ドラムソロが堪能出来ます。その流れるように構築されるリズムとビートの嵐は、後のロックインストにも影響が大きいところでしょう。

A-3 Ko-Ko (1958年4月11日録音)
 既に述べたように、この1958年のセッションではメンツが交代し、ジョージ・コールマンの参加が注目されるところでしょう。
 曲はチャーリー・パーカーが自らのアドリブフレーズで作った、モダンジャズでは歴史的なリフなんですが、実は「アドリブ命」というのが、その真相!
 ですからケニー・ドーハムが、「イブシ銀」なんてイメージをブッ飛ばす猛烈な勢いで疾走すれば、ジョージ・コールマンが恐るべき全力投球で、後に加わるマイルス・デイビスのバンドでのライブ演奏を彷彿とさせます。
 しかし、このベースの居直ったような手抜きは??? 決して演奏スピードについていけないから? とは思いたくないのですが……。
 まあ、そこのところを充分にフォローして大車輪のマック・ローチのドラムスが、劇的に強烈至極ですから、きっと意図的なんでしょうねぇ。結果オーライと納得するしかないのでしょうか……。

B-1 Billie's Bounce (1958年4月11日録音)
 これまたモダンジャズの創成、ビバップの完成に大きく関与したチャーリー・パーカーが自作のブルース♪ その覚え易くて弾んだリフだけで最高の気分になりますねぇ。ジャズが好きになって良かったと思える瞬間が楽しめます。
 ここでの演奏も、当然ながら躍動的なマックス・ローチのドラムスに煽られ、まずはジョージ・コールマンが全く正統派のアドリブを聞かせてくれますが、おぉ、ハンク・モブレーに似ていますねぇ~~~♪ ただし、本家に特徴的な「タメとモタレ」は当然ながら表現しきれず、まろやかでパワフルな黒っぽさだけを自分流儀で演じていますが、それでも高得点でしょう。
 またケニー・ドーハムのクールなブルースフィーリングは、後の大名盤「Quite Kenny (New Jazz)」へとダイレクトに繋がる名演だと思います。
 演奏はこの後、ネルソン・ボイドの堅実なウォーキングベースのソロとなって、その背後ではマックス・ローチが変幻自在な4ビート♪ そしてテンションの高いドラムソロへと繋がるのは、全くの美しき流れで、もう、たまりませんねっ♪♪♪

B-2 Arres-Vous (1957年12月23日録音)
 フランス語みたいな曲タイトルになっていますが、これも聴けば納得というチャーリー・パーカーの有名オリジナル「Au Privave」ということで、アップテンポのハードバップが存分に楽しめます。
 俺流を貫くハンク・モブレーに続いて登場するケニー・ドーハムが、特に良いですぇ~♪ もちろんマックス・ローチとの丁々発止も醍醐味です。

B-3 Parker's Mood (1958年4月11日録音)
 そしてアルバムの締め括りは、もう、これしか無いのスロ~ブル~スのハードバップ的解釈が最高です。力強いペースとドラムスには、ある種の猥雑性が滲んでいますから、黒人モダンジャズのクールというカッコ良さが、存分に味わえるのです。
 特にケニー・ドーハムが大名演ですよっ! ピアノが入っていない空間の自由度が、本当に何とも言えず、ジョージ・コールマンも素晴らしかぎり! マックス・ローチのテンションの高いブラシの妙技、またシンプルな音使いがジャストミートのネルソン・ポイドも、流石にレギュラーバンドとしての存在感を示していると思います。

ということで、単純な企画盤という感じから軽視される傾向の作品ですが、正統派モダンジャズとしては安心して聴ける1枚だと思います。中でもケニー・ドーハムの好調さは出色というか、所謂代名詞の「イブシ銀」よりは、クールな名演が聞かれますよ。

このあたりは、いろいろとあった1年、特に年末の哀しさから、どうしても安定感を求めてしまう今の自分の心境にはちょうど良い感じです。

思えば今年は5月頃からの仕事の多忙とゴタゴタでプログが中断に追い込まれたり、また有名人の突然死とか、世界的な不景気による閉塞感、政治の貧困や役人の独り善がり、そしてやるせない犯罪が多発した、本当に嫌な出来事ばかりが印象に残ります……。

そこで、せめて日頃の音楽鑑賞ぐらいは、楽しみと癒し優先でいきたいと思います。

本年は皆様のご厚情に支えられました。来る年もよろしくお願い致します。

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ソニー・クリスの珈琲はブラックで

2008-12-30 11:43:14 | Jazz

This Is Criss! / Sonny Criss (Prestige)

歴史云々よりは、鑑賞の現場における人気ミュージシャンの存在こそが、ジャズの世界では圧倒的に多いと思っていますが、いかがなもんでしょうか?

本日の主役たるソニー・クリスは、まさにそうしたひとりで、人気リーダー盤も数多く、例えば「Up Up And Awqy (Prestige)」や「Criss Craft (Muse)」、あるいは「Saturday Morning (Xanadu)」、そして「I'll Catch The Sun (Prestige)」あたりは決定的でしょうが、個人的にはこのアルバムが一番好きだと、ある日、突然に揺れてしまうのがサイケおやじの節操の無さです。

録音は1966年10月21日、メンバーはソニー・クリス(as)、ウォルター・デイビス(p)、ポール・チェンバース(b)、アラン・ドウソン(ds) というワンホーンのカルテット! ですから、艶やかに泣きながら、ハードボイルドな感傷も存分に表現するソニー・クリスの魅力が、それこそたっぷりと楽しめます。

ちなみに、このアルバムは多分、ブレスティッジと契約しての最初の作品でしょうか? チャーリー・パーカー直系の情熱的なスタイルで押し通してきた一徹な姿勢が、ようやく報われようとしていた意気込み、それとリラックスした感情の機微が、実に上手くバランスのとれた好セッションだと思います。

A-1 Black Coffee
 ペギー・リーの名唱が有名なブルース系の歌謡スタンダードですから、そのじっくりと醸し出されるソウルフルな泣きこそが、ソニー・クリスにはジャストミート♪♪ ハードボイルドな泣き節と艶やかなアルトサックスの音色には、初っ端からシビレまくりです。
 アラン・ドウソンのジャズ魂がこもったブラシ、ギリギリのところまでケレンの芝居を演じているウォルター・デイビスのピアノもニクイ助演ですが、なによりもソニー・クリスの熱い歌心、激情と忍び泣きのコントラストが最高です!
 じっくりとしたビートをキープするポール・チェンバースも、決して派手なプレイはやっていませんが、その地味な心地良さ♪♪ まさにワンホーン演奏の醍醐味でしょうねぇ。

A-2 Days Of Wine And Roses
 これも誰もが知っている有名スタンダードのメロディですから、幾分早めのテンポで演じられるソニー・クリスのバージョンだって、モダンジャズとしては十分に許容範囲でしょう。とにかくスピード感満点に思うがままのフレーズを吹きまくるソニー・クリスには、ジャズのスリルと喜びがいっぱいです。
 アラン・ドウソンのハイハットが十八番の至芸を聞かせてくれるのも嬉しく、また正統派ビバップのフレーズに拘るウォルター・デイビスは、全くの正統派! こういう真っ向勝負のモダンジャズこそが、何時までも生き残れるという証のような仕上がりです。

A-3 When Sunny Gets Blue
 これも通常よりも幾分早いテンポで演じられる歌物解釈が潔い演奏です。しかし、おそらくは十人十色の賛否両論かもしれません。ただ、個人的には、この軽いタッチのスイング感が、ソニー・クリスのアクの強い自己表現にはぴったりだと思っています。
 実際、些か違和感のある最初のテーマ演奏が、アドリブパートに入っていく頃になるとリスナーの耳と心の感性にグッと入り込んで、それこそ琴線に触れまくりじゃないでしょうか。いゃ~ぁ、ソニー・クリスって、本当に良いですねぇ~~♪ なんて会話がジャズ者の間で交わされるのは、こういう時だと思います。
 実際、ソニー・クリスの節回しは絶品ですし、ウォルター・デイビスの絶妙に抑制されたファンキー感覚も聞き逃せませんねっ♪♪♪

B-1 Greasy
 ウォルター・デイビスが書いた楽しいブギウギゴスペルの代表曲で、ジャッキー・マクリーンも演じていますが、同じアルトサックス奏者として、ソニー・クリスはさらにストレートな表現で素直に演じているのが憎めないところです。
 ポール・チェンバースを要に、弾むようなリズム隊のグルーヴも実に楽しく、ソニー・クリスが十八番のアドリブで独り舞台! 2分半ほどの短い演奏時間が完全に成功しています。

B-2 Sunrise, Sunset
 これまたお馴染みの泣きメロ人気曲♪ それをソニー・クリスが、なんでこんなに胸キュンなっ! というフレーズばっかりで吹いてくれるんですから、たまりません♪♪ しかもアルトサックスの音色そのものが、ビロードような黒光りなんですよっ♪
 素晴らしすぎるメロディフェイク、感傷的なフレーズの繋がりも、力強くて用意周到なリズム隊のサポートがあればこそ、決して浮き上がっていない名演だと思います。 

B-3 Steve's Blues
 そして一転、痛快な4ビートの熱いハードバップ!
 覚えやすいテーマリフと情熱のアドリブという、それはソニー・クリスのイメージどおりですから、ファンにとっては心地良い安心感に身をまかせてしまう至福の演奏でしょう。
 う~ん、それにしてもチャーリー・パーカーの、ジャズの真髄が秘められたアドリブスタイルを、ここまで俗っぽく演じてしまうソニー・クリスは、それでもピュアなジャズ魂を存分に感じさせてしまうのですから、本当に凄い人です。
 それはリズム隊の自然体な熱演を呼び、特にアラン・ドウソンのドラムソロとパッキングは、何時聴いても良いですねぇ~♪♪♪

B-4 Skylark
 あぁ、これまたソニー・クリスのソフトな黒っぽさが見事に表現された名曲にして名演です。とにかくテーマメロディの穏かにソウルフルなフェイクには、絶句して感涙するほかはありません。
 そしてアドリブパートの完成度! こんな真摯なモダンジャズの喜びは、ちょっと他に体験するのが難しいと思うほどです。しかもソニー・クリスの力まない姿勢が、もう、最高なんですよねぇ~~~♪
 ウォルター・デイビスの控え目なピアノにも好感が持てますし、基本に忠実なドラムスとベースに支えられ、全篇に歌心が溢れ出た仕上がりは、真の隠れ名演だと思います。

ということで、かなり分かり易い演奏ばかりなんですが、そのコクがあって濃密な仕上がりは、聴くほどに味わいが深まるばかりです。

ソニー・クリスの諸作中では、些かシブイ作品かもしれませんが、演目も素敵ですし、聴けば納得のアルバムじゃないでしょうか。

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ありがとう、バド・パウエル

2008-12-29 12:16:22 | Jazz

Inner Fires / Bud Powell (Elektra Musician / ワーナーミュージック = CD)

狂気の天才と称される黒人ピアニストのバド・パウエルは、全くそのとおりに天国と地獄を往復して生きた巨匠ですが、そのリアルな天才性が記録された演奏は、ほんの僅かしか残されていないのは周知の事実でしょう。

しかしその他、数多く世に出た演奏も、かなりボロボロなものも含めて、何かしら強く訴えてくる不思議な魅力のあるピアニストです。

本日の1枚も、そのひとつとして、1982年に発掘されたプライベート音源ですが、何故、これが今まで眠っていたのか!? とファンは驚愕感涙の演奏でした。もちろん録音状態は最良とは言えませんし、演奏そのものにしても、完璧な全盛期からは些か遠い出来なのですから……。

録音は1953年4月5日、メンバーはバド・ハウエル(p)、チャールズ・ミンガス(b)、ロイ・ヘインズ(ds) という、当時のレギュラートリオによる巡業から、ワシントンD.C.におけるライブを収録しています。

ちなみにアナログ盤LPは、かなり丁寧に音質補正された仕上がりでしたが、やはり今日のレベルからすればヌケの状態はイマイチでしょう。しかし演奏、特にパド・パウエルの力強いピアノタッチが存分に楽しめる印象でしたから、局地的ながらも、当時は好評だった1枚です。

当然、私もジャズ喫茶で聴いて、即ゲットしたのですが、その輸入盤には、なんとプレスミスがあって2ヵ所ほど音飛びが……。そこで購入した店で交換してもらったのですが、それもまた同じところで……。どうやらそこに入荷していたブツは、ほとんどが同じ状態だったようです。

そして結局は入手を控えているうちに、ズルズルと時が流れ……。何時しかCD時代となって再発されたこのアルバムを聴いてみたのですが、それは所謂ドンシャリというか、シンバルがやたらにシャカシャカした薄っぺらいリスマターに、がっくりした記憶が今も鮮明です。

それが先日、我が国で高音質素材を使ったリマスターCDとして復刻され、昨夜、とにかくゲットしてみると、これが個人的には満足の仕上がりでした。

 01 (A-1) I Want Be Happy
 02 (A-2) Somebody Loves Me
 03 (A-3) Nice Work If You Can Get It
 04 (A-4) Salt Peanuts
 05 (A-5) Conception
 06 (A-6) Lullaby Of Birdland
 07 (B-1) Little Willie Leaps
 08 (B-2) Hallelujah!
 09 (B-3) Lullaby Of Birdland
(alternate)
 10 (B-4) Sure Thing
 11 (B-5) Woody N' You
 12 (B-6) Bud Powell Interview
(1963年1月15日、1963年5月6日)

上記の演目は説明不要、パド・パウエルの十八番ばかりですから、後は当日の気力と体調がノリに繋がるという、まさに瞬間芸たるジャズの本質には、実際に聴く前からドキドキさせれます。

そして結果は、なかなか良いんですねぇ~~~♪

この時期のパド・パウエルは病も癒えて、一応の社会復帰をしたばかりとあって、ヤル気が充分に感じられます。その勢いというか、自分の信じるジャズの世界を真摯に追求していこうという意気込みが潔いところでしょう。

まあ、それでも指の縺れとか気持ちの焦りみたいなものは、全盛期に比べると明らかに表出しています。が、やはりパウエルはパウエル! 独特のピアノタッチとエキセントリックな音選び、それなりのコードミスも自分の音楽にしていったとしか言えない部分は、不思議にも私を惹きつけるのです。

サポートの2人、特にロイ・ヘインズのツッコミ鋭いドラムスも素晴らしく、録音の具合から、時には耳が痛くなるような瞬間もあるんですが、これだけ緊張感と勢いに満ちた演奏を聞かせてもらえれば、贅沢は敵です。

さらにオーラスに入れられたインタヴューは、パド・パウエルの貴重な生の声、その日の気分に接することができるドキュメントでしょう。

ジャケットが前衛的ですから、あまりビバップのレコードという感じはしないのですが、その多面的に崩れた肖像画は、案外とパド・パウエルの存在に肉薄しているような気もしています。

そして冒頭の話に戻れば、私はパド・パウエルの演奏は、どんな劣悪な録音でも聴きたくなります。それはボロボロであろうが、尖鋭的な天才性を発揮していようが、如何なる時でも私を惹きつけて止まないパド・パウエルの音楽の秘密に触れたいからです。

そういう「聴きたい」というピュアな時間を与えてくれるパド・パウエルに感謝!

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フレディのダークなハードバップ

2008-12-28 12:06:31 | Jazz

The Artistry Of Freddie Hubbard (Impulse!)

昨日の続きというか、本日もスカッとしたアルバムを出してしまいました。

主役のフレディ・ハバードは説明不要の名トランペッターですが、その活躍が華々しすぎて、時には顰蹙という媚びた演奏もしてしまうのが賛否両論でしょう。特に我が国のジャズ喫茶では、そうした節操の無さが取りざたされることも度々でした。

しかしハードバップを起点として新主流派の最前線に飛び出した1960年前後から、ジャズメッセンジャーズの花形として活動していた時期の諸作は、間違い無くピュアなジャズ魂に溢れた名作が多く、このアルバムのその1枚!

録音は1962年7月2日、メンバーはフレディ・ハバード(tp)、カーティス・フラー(tb)、ジョン・ギルモア(ts)、トミー・フラナガン(p)、アート・デイビス(b)、ルイス・ヘイズ(ds) という颯爽としたセクステットです。

A-1 Caravan
 デューク・エリントン楽団の、と言うよりも、私の世代ではエレキインストのべンチャーズが十八番の名曲ですから、そのギンギンのイメージがない演奏バージョンは受け入れられないんですが、これは立派な合格点!
 ルイス・ヘイズの溌剌したシンバルワークからメカニカルなキメが入ったテーマの合奏が出ただけで、ドキマギするほどのカッコ良さにシビレます。
 もちろんアドリブパートも痛快で、フレディ・ハバードがメリハリの効いた音使いと絶妙のコントロールでブッ飛ばせば、カーティス・フラーは悠々自適のスライドワークで応戦しています。さらに煮詰まり寸前の熱い存在感を聞かせるジョン・ギルモアも大健闘でしょう。
 そしてトミー・フラナガンのスインギーで抑制されたピアノ、重量感満点のアート・デイビス、また大ハッスルのルイス・ヘイズのドラムスというリズム隊も流石ですねっ♪ とにかくスピード感が楽しくも痛快な仕上がりです。

A-2 Bob's Place
 これまたシャープなアンサンブルとカッコ良いテーマリフが初っ端から冴えまくったハードバップの真髄です。その基本はブルースながら、メロディに潜む絶妙のマイナー感覚がシブイですねぇ。ちなみに作曲はフレディ・ハバードということで、アドリブ先発もキラキラに輝いています。
 しかし続くジョン・ギルモアが煮え切りません。ただしリズム隊が全く容赦無い、実に強烈な煽りですから、結果オーライでしょう。こういう混濁も、実はこのアルバムの魅力のひとつだと思います。ルイス・ヘイズ最高!
 そしてハスキーな音色でシンプルにキメまくりというカーティス・フラーのトロンボーンが、良い味出しまくりです。続くトミー・フラナガンも十八番の「トミフラ節」ばっかりですよっ♪♪~♪
 アート・デイビスのアルコ弾きのアドリブも、ほどよい過激さですし、終盤には「お約束」というトランペット対ドラムスの直接対決も大興奮という素晴らしさなのでした。 

A-3 Happy Time
 フレディ・ハバードが書いた躍動感溢れる隠れ名曲ゆえに、最近の若手ジャズメンもカバーすることが多いようですが、これはそのオリジナルバージョンです。ノビノビと吹きまくるフレディ・ハバードが実に良い感じですねっ♪♪~♪ 当たり前すぎるほどに素直なんですよ。
 ジョン・ギルモアもギクシャクしながら自分に忠実のようですし、カーティス・フラーの快調さは言わずもがなでしょう。そしてトミー・フラナガンのソフトなタッチの心地良さ♪ 歌心とは、こういうフレーズの連発を指すのかもしれません。
 さらにラストテーマへと繋がるキメの合奏の潔さ、そのカッコ良さは、まさに当時のフレディ・ハバードならではだと思います。

B-1 Summertime
 ジャズだけでも数多の名演バージョンが残されているガーシュインの名曲メロディを、フレディ・ハバードはモード系ワルツビートでやってくれます。素直なアレンジもさることながら、ルイス・ヘイズのドラミングが、まずは快適♪♪♪
 ですから、そよ風の中で吹いているようなカーティス・フラーのノンビリムードも憎めませんし、そのホンワカ―ムードがジョン・ギルモアの暗中模索でギトギトに変質していく、云わば集中鑑賞のジャズ喫茶的な快楽も狙いどおりなのでしょうか……。
その意味でトミー・フラナガンを助っ人に選んだのは大正解で、ここでの雰囲気を壊さないプレイは全く流石です。続くフレディ・ハバードも、アドリブというよりはテーマメロディの変奏主体でラストまで持っていくという、些か物足りない姿勢も、最後には納得させられてしまうと……。

B-2 The 7th Day
 なんだかユダヤ教推薦みたいなタイトルですが、これまたワルツビートのモード演奏で、作曲はフレディ・ハバードとなっています。しかし、どっかで聞いたことがあるような……。
 まあ、それはそれとして、これはなかなかの力演で、重厚なテーマアンサンブルではルイス・ヘイズが良い仕事! それに続くトミー・フラナガンのピアノも味わい深いアドリブを聞かせてくれますが、個人的には好きではない中近東系のメロディやスケールを使いながら、イヤミの無いものに仕上げているのは流石だと思います。
 そしてフレディ・ハバードが情熱的な心情吐露! その熱き心を受け継ぐカーティス・フラーも、思わずこみあげてくるようなアドリブ構成が素晴らしく、このあたりは完全にジャズメッセンジャーズも顔色無しの名演でしょう。続くジョン・ギルモアがウェイン・ショーターになっているのも、ムベなるかなです。
 また伴奏の要所で意図的にアルコ弾きを使うアート・デイビスも用意周到でしょうね。

ということで、溌剌として颯爽としたA面、思索的に重厚なB面というプロデュースも上手い名盤だと思います。

ちなみに録音セッションが行われた時期は、既にしてフレディ・ハバードもカーティス・フラーも3管編成のジャズメッセンジャーズで活躍していたわけですが、そこでの連日の演奏をフレディ・ハバードの流儀で表現したのが、このアルバムかもしれません。その、ちょっと面映ゆいような若気の至りが、憎めないんですよねぇ~~♪

ダークなアルバムカパーの雰囲気も、暗いジャズ喫茶では尚更に味わい深い印象でした。

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ジミーとウェスの痛快な対決

2008-12-27 13:28:48 | Jazz

The Dynamic Duo / Jimmy Smith & Wes Montgomery (Verve)

どうも気分が落ち込んでいるので、本日はスカッとした1枚を選んでみました。

それは大物顔合わせが得意技というヴァーヴレーベルの中でも、オルガンとギターの超大物が正面から対決した、このアルバムです。しかもオリバー・ネルソンが指揮・編曲のオーケストラがバックアップしているのですから、見事な緊張と緩和、そして熱気溢れるグルーヴィな演奏は間違い無いところです。

録音は1966年9月、メンバーはジミー・スミス(org)、ウェス・モンゴメリー(g) の二大巨匠をメインに、リチャード・デイビス(b)、グラディ・テイト(ds)、レイ・バレット(pre) が要のリズム隊! そしてアーニー・ロイヤル(tp)、ジョー・ニューマン(tp)、ジミー・クリーヴランド(tb)、フィル・ウッズ(as,cl)、ジェローム・リチャードソン(ts,fl,bs) 等々がメインとなった豪華なブラス&リード陣がオーケストラを編成していますが、あくまでもアドリブパートはジミー&ウェスが主役です。

A-1 Down By The Riverside (1966年9月23日録音)
 まさにアルバムのド頭を飾るに相応しい、猛烈にハードドライヴしまくった熱演トラック! 原曲は黒人ゴスペルとして有名なメロディですから、誰もが一度は聞いたことがあろうかと思います。オリバー・ネルソンのアレンジも小細工よりはストレートなスイング感を大切にしているようですが、カラフルな音の積み重ねは侮れません。
 肝心のジミー&ウェスはアドリブパートに入ると豪快な丁々発止! ジミー・スミスの熱いオルガンのバックで最高の合の手を入れるウェス・モンゴメリーが、実に良いですねぇ~♪♪ しかも、バックのオーケストラが最高のタイミングでリフをぶっつけてきますよっ♪♪ もちろんウェス・モンゴメリーはテキパキとした単音弾きから十八番のオクターブ奏法、そして迫力のコード弾きと出し惜しみしない姿勢が、実にジャズ者を感涙させてくれるでしょう。
 グラディ・テイトのドラミングも迫力がありますし、クライマックスのソロチェンジは何時までも聴いていたいほどです。
 ちなみにこのアルバムのセッション全体に感じることですが、あくまでも個人的な感想として、オーケストラのパートにはダビングと編集が施されているのかもしれません。

A-2 Night Train (1966年9月23日録音)
 ジミー・フォレストのヒット曲にして、今ではR&Bインストの定番となっているはずですから、これまた誰もが、一度は聞いたことのあるメロディでしょうが、それにしてもこのバージョンのアレンジと演奏は痛快です! テーマ部分だけで、心底スカっとしますよっ!
 そしてウェス・モンゴメリーがソウルフルなアドリブを始めれば、その場はもう真っ黒ですし、バックのリズム隊のグルーヴィな雰囲気も聴き易くて熱気が満点♪♪♪ 秘められた都会的なスマートさにも好感が持てます。
 それはジミー・スミスのアドリブパートに入って、ますます煮詰められ、心の奥底から自然体に湧きあがってくるようなブルース衝動には感動させられてしまいますねぇ~♪♪ その猛烈なスイング感には、激しく咆哮しているオーケストラさえ、引っぱられている感じです。

B-1 James And Wes (1966年9月28日録音)
 ジミー・スミスが書いたブルースで、オーケストラが抜け、タイトルどおりにジミー&ウェスがストレートな対決を繰り広げた名演です。ちなみにリズム隊はグラディ・テイトとレイ・バレットだけというのも高得点でしょう。
 そしてメインのアドリブソロはウェス・モンゴメリーの流れるようなフレーズの積み重ねが流石で、あのライブの名盤「Half Note (Verve)」あたりを彷彿させられます。もちろんジミー・スミスとのコンビネーションは鉄壁! ですから、一方の主役であるオルガンの狂熱地獄も、バンドが一丸となった大噴火に収斂していくのでした。

B-2 13 (1966年9月21日録音)
 ゲイリー・マクファーランドが書いた、どうやら映画の劇伴曲らしい心地良いメロディが、オリバー・ネルソンの厚みのあるオーケストラアレンジで楽しめます。もちろんボサロックのビートとソフトロック系の曲展開、そしてジミー&ウェスのアドリブは冴えまくり♪
 と書くと、なんかフワフワした演奏と思われるかもしれませんが、実はとても重厚でハードエッジな雰囲気が捨て難いんですねぇ~♪ 全体としては、後にウェス・モンゴメリーが当たりをとるCTI路線の先駆けというムードですが、ジミー・スミスの空気を読んでいないようなツッコミのオルガンゆえに、一味ちがったハードな仕上がりは最高です。
 そしてウェス・モンゴメリーのアドリブは美メロの出来すぎですよ♪

B-3 Baby It's Cold Outside (1966年9月28日録音)
 確か水着の女王こと、エスター・ウィリアムスのヒット曲だったと思いますが、クリスマスソングとしても有名ですよね。それをグルーヴィに演奏していくジミー&ウェスというだけで、ワクワクさせられ、期待を裏切らない楽しい仕上がりになっています。
 ジミー・スミスの強靭なベースパートのドライヴ感も見事ですが、ウェス・モンゴメリーのアドリブソロが、これまた出来すぎの美メロ大会♪♪~♪ ちなみにこの演奏もオーケストラが抜けたシンプルなスタイルが良い方向に働いた感じで、ジミー・スミスもノビノビと自己主張しながら、全く破綻のない凄い出来栄えになっています。

ということで、一部のスキも感じられないという凄いアルバムです。しかも何度聴いても飽きないんですねぇ~~♪ そして当然ながら名盤認定されている1枚として、ジャズ入門にも最適でしょう。

こういう基本に忠実な作品ほど、実はジャズ喫茶では鳴らない傾向にあるんですが、このアルバムは別格でした。音量が大きいほどに圧倒される強烈なノリは当たり前として、自宅で軽く聴いても熱くさせられる1枚だと思います。

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MJQのブルーな品格

2008-12-26 12:19:44 | Jazz

Django / The Modern Jazz Quartet (Prestige)

今年の年末は世界的な大不況、深刻な経済状況と暗い話題ばかりですが、そんな中に飯島愛の孤独死というのも、哀しいものがあります。芸能界から引退していたとはいえ、ネットのブログは人気を集めていたそうですし、訃報が伝えられた後からもコメントが殺到しているのは、AV時代も含めて決して平穏な人生ではなかった飯島愛という人に共感出来る何かがあるのでしょう。世の中の男達が癒されたのは間違いないところですが、女性のファンが多いのも、さもありなん……。

実は今年の夏前に、夜の街の某所で彼女を見かけました。その時は数人の男達にとまかれていましたが、タレント時代と変わらないギャル系のファッションで華やかな雰囲気でしたねぇ……。そういう彼女が孤独の変死というのは、本当に人生の空しさを感じてしまいます。

さて、本日の1枚、ジャズ史的にも名盤の中の大名盤というMJQの代表作ですが、あまりにも有名な表題曲、そしてアルバム全編を貫くジェントルで陰鬱、荘厳なムードは黒人ジャズでありながら、所謂ハードバップとは一線を隔した、味わい深い演奏ばかりです。

そしてこの中の「ニューヨークの秋」が、かなり以前ですが、飯島愛が出ていた旅の番組で使われていたのを、私は印象的に覚えています。そこで本日は追悼の意味で選んでみました。

録音は1953年~1955年までの間に行われたセッションを集めていますが、メンバーはミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、そしてケニー・クラーク(ds) という初代の面々です。

A-1 Django (1954年12月23日録音)
 MJQの代表曲というよりも、今やモダンジャズを超えて20世紀の名曲となった、そのオリジナルバージョンがこれです。ちなみに「Django」とは、ベルギーの名ギタリストだったジャンゴ・ラインハルトを指すのは言わずもがな、その死を悼んでジョン・ルイスが書いたメロディは静謐な重厚さに満ちている、まさに魂の鎮魂歌です。
 そしてMJQの4人が作りだすブルーなアンサンブルと気分はロンリーな演奏は当然素晴らしく、ミトル・ジャクンソンのソウルフルな余韻を含んだヴァイブラフォン、泣きのメロディをシンプルに紡ぎ出すジョン・ルイスのピアノ、緊張と緩和を演出するパーシー・ヒースのペースワーク、落ち着いたビートでバンドを支えるケニー・クラークと、まさに名演ばかりです。というかバンドとしての一体感が見事過ぎるほどです。
 モダンジャズとしての粋なセンスとスリルも、当然ながら存在していますから、やはりジャズが好きになったら避けて通れない演奏でしょうね。

A-2 One Bass Hit (1954年12月23日録音)
 ジャズ史の中の名人ベーシストのひとりであるオスカー・ペティフォードが書いたオリジナル曲を、これも名手というパーシー・ヒースが薬籠中の物として演じています。そしてもちろん、それはMJQだけのバンドアンサンブルが存分に活かされているのですから、抜かりはありません。
 パーシー・ヒースの、如何にもウッドペースという響きも、当時としては見事に美しく録音されていますねぇ♪♪ こういうのを聴くと、ヴァン・ゲルダーの手腕は全く見事だと思います。

A-3 La Ronde Suite (1955年1月9日録音)
 ジョン・ルイスがバンドメンバー4人の個人技を活かすために書いた組曲ですが、元ネタはMJQの面々が在籍していたディジー・ガレスピー楽団の十八番という「Two Bass Hit」だと思います。
 まずは初っ端、ジョン・ルイスのピアノがスピード感満点に疾走し、次はパーシー・ヒースがじっくりとハードバップ! ここはバンドアンサンブルが、如何にも「らしい」というMJQの本領でしょう。
 そしてお待ちかね、ミルト・ジャクソンのパートに入っては、軽快なドライヴ感に満ちたヴァイブラフォンのアドリブ、そしてバンド全体の纏まりが冴えまくり♪♪~♪ 今となっては、些か軽すぎる感じもしますが、演奏全体の流れからすれば結果オーライだと思います。
 さらに最後のパートはケニー・クラークのドラムスが元祖モダンジャズの響きを聞かせてくれますし、そこからバンドが一丸となってハードバップしていくのは、実に美しい「お約束」としか言えません。
 ただし、やはり全体としては纏まり過ぎて面白くない感も免れませんねぇ……。これはあくまでも個人的な我儘な思いなんですが……。

B-1 The Queen's Fancy (1953年6月25日録音)
 MJQと言えば、クラシックっぽいアレンジによる演奏がウリのひとつですが、これもそうしたジョン・ルイスの嗜好がモロに出たオリジナル曲です。ペースとドラムスはグイノリ、ミルト・ジャクソンが歌心を全開させるのはハードバップの王道でありながら、テーマメロディの欧州的な雰囲気、そしてジョン・ルイスの優雅なムードのピアノとアドリブ♪
 ハンドアンサンブルの味わいもイヤミが無いと思います。

B-2 Delaunay's Dilemma (1953年6月25日録音)
 これまた如何にもヨーロッパに憧れました、というジョン・ルイスのオリジナル曲で、しかし黒人モダンジャズの矜持は失っていない名演です。ベースとドラムスの基本に忠実なグルーヴが実に心地良いですねぇ~~♪
 しかもミルト・ジャクソンのアドリブが冴えまくりですよっ♪♪ ジョン・ルイスもシンプルでメロディ優先のピアノを聞かせてくれますが、背後では地味なブラシで強靭なビートを送りだしているケニー・クラークのイブシ銀! 流石だと思います。

B-3 Autumn In New York / ニューヨークの秋 (1953年6月25日録音)
 これが私の大好きな演奏で、曲は哀愁のスタンダードですから、たまりません。
 MJQはゆったりとしたテンポで、ミルト・ジャクソンのバラードの天才を証明していきます。あぁ、このシミジミとしてブルーなムードが横溢した味わいの深さ……。
 細やかに行き届いたアレンジ、それを演奏で表現していくアンサンブルも最高です。
 ちなみに飯島愛はニューヨークが大好きだったそうですね。
 この曲を聴きながら、あらためて合掌です。

B-4 But Not For Me (1953年6月25日録音)
 これも有名な歌物スタンダードをMJQならではのアンサンブルで聞かせた、実に完成度の高い演奏です。
 緻密なテーマ演奏、そして緊張感が強くなるアドリブパートでは、ミルト・ジャクソンの強烈なアドリブに絡んでいくパーシー・ヒースのペースが全く見事! そしてそれが大団円のバンドアンサンブルに繋がっていく展開は、まさに唯一無二でしょうねぇ~♪

B-5 Milano (1954年12月23日録音)
 さてオーラスは、これまたブルーなムードがいっぱいという、ジョン・ルイスが書いたメロディには、せつない気分がいっぱいです……。恐らくはイタリアのミラノをイメージしているでしょうが、この胸キュンな雰囲気は、本当にジンワリきます。
 全体をリードするミルト・ジャクソンのヴァイブラフォンからは、実に品格漂う響きが流れだし、その場の空気を柔らかくしていきます。強いビートを維持するパーシー・ヒースのペース、小技に集中するケニー・クラークの対称性も流石の存在感!

ということで、MJQの諸作中では地味な演奏が多いアルバムですが、やはり名盤認定されているだけあって、その密度と完成度は聴くほどに納得する他はありません。

誰もが、いずれは目覚めぬ朝がやってくるわけですが、自分にとっても孤独死は決して人事ではなく、このアルバムを聴いていると、ほんとうにシミジミとした気分、悲壮感に酔いそうな気分が怖くなります。

まあ、それも今だけかもしれませんが……。

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ビリー・テイラーは爽やかすぎる?

2008-12-25 12:06:42 | Jazz

Impromptu / Billy Taylor (Mercury)

ビリー・テイラーは素晴らしいテクニックと粋なジャズセンスを併せ持った稀代の名ピアニストだと思うんですが、何故か我が国ではほとんど人気がありません。実際、私にしてもジャズ喫茶でビリー・テイラーのリーダー盤を聴いた記憶は、珍しいほどです。

さて、本日ご紹介の1枚は、そんな名人ピアニストの演奏に加えて、素敵な作曲能力も堪能出来る隠れ名盤でしょう。しかし、告白すると、私は共演者のジム・ホールが「お目当て」でした。なにしろ録音されたのが、あのビル・エバンスのウルトラ名盤「Undercurrent (United Artists)」と同時期ですから! きっと凄い演奏に違いないと期待して、全くそのとおりの出来栄えというのが、このアルバムです。

録音は1962年5月8~10日、ということは、ジム・ホールがビル・エバンスと超絶の「My Funny Valentine」を演じる、ほぼ4日前なんですねぇ~~♪

肝心のここでのメンバーはビリー・テイラー(p)、ジム・ホール(g)、ボブ・クランショウ(b)、ウォルター・パーキンス(ds) という粋でハードドライヴィンなカルテット♪ 演目も全て、ビリー・テイラーのオリジナル曲です。

A-1 Cappicious
 きまぐれな浮気という曲タイトルそのまんま、軽快なラテンビートと可愛いメロディのテーマにウキウキさせられます。ビリー・テイラーのイヤミの無いピアノタッチも素晴らしく、出来過ぎのアドリブにはジャズの楽しみがいっぱい♪♪~♪
 2分半に満たない演奏ですが、アルバム全体の露払いとしては最適だと思います。

A-2 Impromptu
 そして始まるのが、このアルバムタイトル曲で、ある種の組曲形式というか、様々なテンポとリズムによる、文字どおりの「即興」が繰り広げられます。しかしそれは決して場当たり的なものではなく、きちんとしたメロディが大切にされているんですねぇ。
 まずはアップテンポのモード系のパートではラテンビートと豪快な4ビートに導かれ、スピード感満点のビリー・テイラー、ハートウォームな音色でツッコミ鋭いジム・ホールのギターが強烈なアドリブを聞かせてくれます。特に強引なウォーキングベースをバックに独特の浮遊感で自己主張するジム・ホールのギターが良いですねぇ~~♪
 それがビリー・テイラーの無伴奏のピアノに導かれてスローなパートに入ると、そこには「ビル・エバンスの Undercurrent」的な世界が広がります。絶妙なマイナー感覚と歌心の融合、粋なスイング感を保つカルテットの一体感が、それに続く「ビリー・テイラーの歌」の世界に繋がるあたりも、実に快感です。ここはボブ・クランショウのペースワークも縁の下の力持ちでしょう。それがファンキーなフィーリングを醸し出していくのです。
 そして粘っこいグルーヴが表出し、それがさらに高速ラテンビートのパートに繋がっていくという、なかなかに凝っていながら、非常に聴き易いところは流石だと思います。

A-3 Don't Go Down South
 一転して爽快なハードバップ演奏で、まずは開放感に満ちたテーマメロディに夢中でしょう。もちろんアドリブパートも素晴らしくもスイングしていますが、ビリー・テイラーは所々に思索的なバロック風な展開も入れたりして、そのあたりが賛否両論かもしれません。
 しかし演奏全体は安定感のあるドラムスとベースに支えられ、どこまでも気持ち良く進んでいくのでした。

A-4 Muffle Guffle
 これも快適なスイング感に満ちた楽しい演奏ですが、あまりにも滑らかなビリー・テイラーのピアノが物足りなく思えるほどです。また前曲よりもはっきりとバロック風味が露骨なアドリブパートも、なんだかなぁ……。
 このあたりをイヤミと感じるのは十人十色でしょう。
 しかしウォルター・パーキンスのブラシのジャズっぽさ、ボブ・クランショウの弾みまくった4ビートウォーキングによるリズムの楽しさは、まさにモダンジャズだと思います。

B-1 Free And Oozy
 さてB面に入っては、丸っきりウイントン・ケリーみたいな楽しくスイングするブルース♪ 実にウキウキしてきますねぇ~♪
 ビリー・テイラーのピアノは颯爽としたドライヴ感を優先させ、オスカー・ピーターソンとハンク・ジョーンズの中間みたいなバカテク&ジェントルなフィーリングは唯一無二でしょう。
 ウォルター・パーキンスのドラミングも、ほとんどジミー・コブで笑ってしまうほどですが、ジム・ホールの真摯なギターワークには、聴くほどに恐ろしいほどの奥行きを感じてしまいます。う~ん、凄いですねぇ~。
 個人的には、この曲ゆえにB面が大好き♪♪~♪

B-2 Paraphrase
 この曲も、良いですよぉぉぉぉ~~~♪
 ゴスペル系泣きメロを爽やかに解釈し、軽快な4ビートでソフトにスイングさせていく、ただそれだけの展開なんですが、これは出来そうで、なかなか難しいんじゃないでしょうか。実際、ここでの演奏は聴いているだけでジャズ者としての喜びに、それも自然体で浸れてしまうんですねぇ~~♪
 ジム・ホールの堅実な助演も潔く、小粋なカルテットの真髄という感じです。もちろん歌心優先主義が貫かれていますよ。

B-3 Empty Ballroom
 初っ端から緻密なバンドアンサンブルと各メンバーの妙技が冴えた名曲にして名演です。ワルツビートの巧みな変奏、華麗なピアノタッチで優雅なメロディを振りまくビリー・テイラーを聴いていると、なんでこの人が我が国で人気が出ないのか? ちょっと不条理にさえ思えます。
 まあ、そのあたりは黒人っぽい感覚が少し足りないというか、汚れが無さ過ぎるという贅沢な指摘もあるのですが……。
 とにかくここでのクラシック系のアレンジ、お洒落なフィーリングは勿体無いほどです。

B-4 At La Carrousel
 オーラスはモード系の爽やかメロディが疑似ジャズロックで演じられたというか、モダンジャズの美味しいネタがテンコ盛り♪♪~♪
 ビリー・テイラーのピアノは、とにかくスイングしまくっていますし、ボブ・クランショュウの纏まりの良いペースソロ、歯切れの良いウォルター・パーキンスのドラミング、小粋なジム・ホール等々、全く気分が良いかぎりです。

ということで、全篇がソツの無い演奏ばかりです。しかし、この「ソツの無い」という部分が面白くないのかもしれません。ハードバップは少しばかりの「濁り」があったほうが、コクのある仕上がりだと、私は常々感じているのですが、それにしてもここでのビリー・テイラー、そしてカルテットはスマート過ぎるんですよ。

もちろん聴いていて、実に爽快な気分にさせられますし、ウキウキ感もいっぱいなんですが……。

それとビリー・テイラーのピアノスタイルは、既に述べたようにオスカー・ピーターソンとハンク・ジョーンズの折衷スタイルというか、猛烈なスイング感とジェントルな歌心、そして素晴らしいピアノタッチと、まさに言うことなし!

しかしそれが、「ビリー・テイラー」の個性として受け取り難いのは事実です。例えばウイントン・ケリーやレッド・ガーランドは確固たるスタイルがあるでしょう。ビリー・テイラーは誰々に似ているとか、●●のようだとか言われてしまうのが、大袈裟に言えば悲劇かもしれません。

その意味で、このアルバムは、最もビリー・テイラーの色合いが強く出た傑作盤だと思います。もちろん、ジム・ホールも素晴らしいのです。

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こんな激しいメッセンジャーズ

2008-12-24 12:40:42 | Jazz

Unforgettable Lee! / Lee Morgan (Fresh Sound / Sound Hills =CD)

名義はリー・モーガンになっていますが、サブタイトルは「Art Blakey' Jazz Messengers Live At Birdland」!!! しかも上昇期だった1960年の熱い演奏ばかりが収められています。

実はこの音源、アナログ盤時代から元祖海賊盤という「Alto」や「Session」等々のレーベルで流通していた放送録音が元ネタです。しかしそれらは粗悪な盤質とその場しのぎのカッティングによって、必ずしも聴き易いというレベルではなく、ただし演奏そのものは超極上というジレンマに陥っていたブツばかりでした。

それゆえにマニアが密かに楽しんでいたわけですが、ついに近年になって良好なマスタリングによるCD化が実現し、それが本日ご紹介のアルバムです。ただし「良好」と言っても、所詮は古いものですから、ライン録りの高音質ブートに慣れている最近のファンの皆様には、それなりに心の準備が必要でしょうが、それでも十分に普通に聴けるレベルだと思います。

録音は1960年4~6月、ニューヨークの名門クラブ「バードランド」からの放送音源から、メンバーはリー・モーガン(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・メリット(b)、アート・ブレイキー(ds) による爆発的な演奏が存分に楽しめます。

01 The Chess Players (1960年5月28日録音)
 ジャズメッセンジャーズのアルバムでは、このライブセッション直前の3月に録音され、「The Big Beat (Blue Note)」に収録というピカピカの新演目ですが、如何にもウェイン・ショーターらしい作風という、ファンキーとモードが美味しくミックスされたテーマメロディが印象的です。
 もちろんアート・ブレイキーを中心としたリズム隊のヘヴィなバックピートに煽られたウェイン・ショーターとリー・モーガンは、斬新なフレーズと満点の勢いで白熱のアドリブを聞かせてくれます。
 気になる録音状態は部分的に不安的な個所もありますが、各楽器のバランスや分離も秀逸なリマスターによって、アナログ盤よりは格段に向上していると思います。
 それはボビー・ティモンズのファンキー極まりないピアノになると一段と明確に感じられるでしょう。その歯切れの良いピアノタッチ、どっぷりとゴスペルに浸り込んだ真っ黒なムード、さらに粘っこいフィーリングを増幅させるジミー・メリットの骨太ベース! これぞっ、ジャズメッセンジャスーズの恐ろしさだと思います。アート・ブレイキーの重量感溢れるハイハットにも熱くさせられますねぇ~~~♪ 

02 This Here (1960年5月28日録音)
 ボビー・ティモンズの代表的オリジナル曲で、キャノンボール・アダレイがサンフランシスコで演じたライブバージョンがあまりにも有名ですが、それをこのメンツのジャズメッセンジャーズがやってくれるんですから、たまりません。
 あの心が乱れるようなワルツビートのゴスペル的解釈は、アート・ブレイキーという稀代の名ドラマーによって、さらにヘヴィさを増し、またジミー・メリットの蠢くベースによってドロドロのファンキーゴッタ煮大会へと進化しています。
 ちなみにキャノンボール・アダレイのライブバージョンは前年10月の録音で、作者のボビー・ティモンズは、ちょうどジャズメッセンジャーズと掛け持ち的に仕事をこなしていた時期だったと思われますので、聴き比べも楽しいところでしょう。
 肝心のアドリブパートは、ファンキーをシャープに因数分解していくウェイン・ショーター、爆発的に突進するリー・モーガン! バックのリズム隊も驚異的なバカノリとしか言えず、特にリー・モーガンのトランペットソロの背後から襲いかかっていく三連ビートのキメには悶絶させられますよっ! あぁ、何度聴いても興奮させられます。
 そしてお待ちかね、ボビー・ティモンズが加速度を増したゴスペル節の乱れ打ち! そのピアノタッチも痛快至極ですし、アート・ブレイキーの大技小技も冴えまくりです。おまけにホーンの2人が逆襲のバックリフをぶっつけてきますし、もうこのあたりまでくると、ボビー・ティモンズのピアノはブギウギゴスペルの極北までブッ飛んでいます。
 全てのハードバップファン、歓喜悶絶の演奏じゃないでしょうか!?

03 The Midget (1960年6月4日録音)
 リー・モーガンが書いた躍動的なブルースで、リズム隊の尖鋭的に弾んだビートが心地よいテーマ、そしてゴリゴリのグルーヴが強烈な4ビートの魔力が堪能出来ます。
 そしてウェイン・ショーターのアドリブは、独特のシンプルなメロディ感覚とキメの鮮やかで、ショーターフリークにはノケゾリと感涙の瞬間が何度も訪れるでしょう。
 さらにリー・モーガンは十八番の思わせぶりと華麗なるブルースのハードバップ魂が全開♪♪~♪ その歌うが如きフレーズの積み重ねは、単なるモダンジャズのブルースを超えて輝くとしか言えませんねぇ~~♪ まさに上昇期の勢いが存分に楽しめます。
 またピアノが、ここでも嬉々としてゴスペルフィーリングをまき散らしますが、もちろんリズム隊の一員としての自覚も十分ですから、こういう纏まったノリが生まれているんでしょうねぇ~。背後から襲いかかってくるホーンのリフが、ここでも鮮やかにキマッていますよ。
 ちなみにここでのピアニストはウォルター・デイビスか、あるいはボビー・ティモンズか? 微妙な両説があって、個人的にはちょっと結論が出せないところ……。このあたりは皆様のご意見をお聞かせ願いたいと思います。
 演奏はこの後、ジミー・メリリットが野太いペースソロ、さらにアート・ブレイキーの土人系ドラムソロと続きますが、この日の録音状態も実に生々しく、メンバーの掛け声や観客の熱狂、そして特にドラムスとベースの音のメリハリが如何にもハードバップしていて、好感が持てます。 

04 Nelly Bly (1960年4月23日録音)
 ウェイン・ショーターのオリジナルですが、このメロディは前年夏に行われたウイントン・ケリーのリーダーセッションから作られた名盤「kelly Great (Vee Jay)」では「Mama G」という曲名になっていた、実にスピード感満点の印象的なものです。
 もちろん颯爽としたテーマからウェイン・ショーターの流麗な紆余曲折、ブレーキが壊れたように突進するリー・モーガン! 本当にカッコイイですねぇ~~♪
 リズム隊もファンキーというよりは明らかに進化したハードバップのドライヴ感に満ちていて、しかも嬉しくなるようなキメを随所で多用してくれますよっ♪♪ こういうノリが、ジャズメッセンジャーズを最高の人気バンドにしていた秘密だと思います。クライマックスのソロチェンジでは、思わず手に汗!

05 Along Come Betty (1960年4月23日録音)
 ベニー・ゴルソンが書いたジャズメッセンジャーズが十八番のヒット曲ですから、ちょいと手慣れた雰囲気も漂うのですが、そこはヤル気が充実していたこの時期のメンツですから、まずはウェイン・ショーターが独特の空間浮遊を聞かせてくれます。しかもリズム隊が超ヘヴィなビートを出していますから、これが実に怖いんですねぇ~~。現在でも全く古びていない演奏だと思います。
 そしてリー・モーガンが、これまた得意のダブルタイムやタメとツッコミの両刀使い! 若気の至りも感じさせるハイノートも憎めません。
 さらに、こみあげてくるようなボビー・ティモンズのアドリブも、ズバリ、良いです。そこからラストのアンサンブルに入っていく展開も、ハードバップの黄金律でしょうねぇ。

06 Dat Dear (1960年4月16日録音)
 これまたボビー・ティモンズの有名オリジナルで、このライブの直前にはキャノンボール・アダレイのバンドによる歴史的な名演も録音されていますが、流石にジャズメッセンジャーズのバージョンはウルトラファンキー! まさにゴスペルハードバップの極みつきでしょうねぇ~~~♪♪♪
 思わせぶりと強引な駆け引きが熱いテーマの合奏からウェイン・ショーターが、まさにダークな心情吐露! このハードエッジなフィーリングは、同時代のテナーサックス奏者の中でも飛びぬけた表現力だと思います。ひとつひとつの音に魂が宿っているというか!?!
 そしてリー・モーガンが、もはや激ヤバのグリグリ状態! このファンキーで熱血なアドリブは怖いリズム隊の仕掛けをブッ飛ばし、その場を真っ黒な熱気で満たしてしまうのですから、お客さんの拍手も止まりません。
 もちろん続くボビー・ティモンズは、作者ならではの我儘な強みを活かしきった大名演です。あぁ、このゴスペルピアノ! わかっちゃいるけど、ついついノセられてしまうですよぉ~~~~♪ 思わずイェェェ~、の世界ですねっ♪♪
 ちなみにジャズメッセンジャーズのスタジオ録音バージョンは、前述「The Big Beat (Blue Note)」に収録されていますから、聴き比べも楽しいはずです。

07 This Here (1960年4月16日録音)
 トラック「03」の別バージョンですから、ほとんど演奏パターンは同じなんですが、ウェイン・ショーターのアドリブに、より自由度が高いと感じます。実際、このブッ飛び感覚は時代を考慮すれば物凄いですよねぇ~~♪
 そしてリー・モーガンも負けじとハッスル! こういうライバル関係というか、盟友としての意志の疎通というか、全く美しいです。
 またボビー・ティモンズも熱演ですが、幾分スピード重視の姿勢が強いのは微妙な賛否両論があるかもしれません。個人的には、5月28日のバージョンを好みます。

08 Justice (1960年4月16日録音)
 セロニアス・モンクのオリジナル曲ですが、当時のジャズメッセンジャーズのステージ演目には欠かせないという、実に尖鋭的な演奏になっています。とにかく直線的に突進していくリー・モーガンとウェイン・ショーターの勢いが最高!
 実はこのアルバム音源の中では、この4月16日の録音が一番軽いタッチなんですが、それはこのトラックのような演奏では効果的だと思います。
 猛烈なアップテンポでも粘っこいフィーリングを忘れないリズム隊も流石です。

09 Night In Tunisia (1960年4月23日録音)
 オーラスはジャズメッセンジャーズといえば、これっ!
 親分のアート・ブレイキーがド頭から大噴火のドラムソロ、それに絡むメンバーの打楽器大会から興奮のテーマリフ! リー・モーガンがリードする熱いメロディとアンサンブルも勢いがあって、さらに熱血です。
 そしてウェイン・ショーターが猪突猛進するアドリブの潔さ! ジョン・コルトレーンとは完全に違う方法論で、なんとか新しい表現を模索していく姿勢が、私は大好きです。
 しかしリー・モーガンはお構いなしに好き放題なんですから、これもまた潔いとしか言えません。あぁ、これがハードバップだと思います。
 さらに演奏後半は、このバンドが十八番の打楽器大会となるはずなんでしょうが、時間の関係で短縮されているのは、ちょいと残念……。しかし、これもまた良しでしょうね。最終パートでのリー・モーガンの無伴奏アドリブソロで、全てが許せます。

ということで、公式音源ではありませんが、これは絶対に聴かずに死ねるかの演奏ばかりです。幸いにも、このCDによって格段に音質が向上しているのも僥倖でしょう。

ただし不思議な事に、海外プレスは「Fresh Sound」というレーベルなんですが、それが我が国では「Sound Hills」という会社から発売され、比較すると「Sound Hills」盤の方が聴き易い音になっています。まあ、このあたりは個人的な感覚というか、十人十色かもしれませんが、念のため。ちなみに「Sound Hills」盤はデジパック仕様というのも高得点かもしれません。

それとアルバムタイトルがリー・モーガン名義になっているのは、聴けば納得! とにかく上昇期がそのまんま全盛期というか、その輝き溢れるトランペットが存分に楽しめますから、ハードバップのファンには「お宝」だと思います。

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ローランド・カークの奴隷志願

2008-12-23 10:26:59 | Jazz

Volunteered Slavery / Roland Kirk (Atlantic)

ローランド・カークはモダンジャズ裏街道の人かもしれませんが、実はこれほど人気のあるミュージシャンは、ちょっと見当たらないでしょう。

ご存じのようにローランド・カークは盲目の黒人管楽器奏者で、テナーサックスやフルートの他にも自分で開発した各種の管楽器を自らの体にぶら下げ、ある時にはそれらを同時に吹いてしまう荒業とか、ジャズだけにとらわれない汎用性の高い音楽をやっています。

ところがそれは、ジャズ者からすれば、その奥儀がジャズの真実に近づいていると感じるのかもしれません。実際、一度でもローランド・カークの演奏に接すると、忽ち驚愕してシビレるファンが続出するのです。

なんて、最初から確信犯的な事を書いてしまいましたが、例えば本日ご紹介の1枚を体験すれば、必ずや納得していただけるものと思います。

その内容はA面が1969年7月22&23日録音のスタジオセッション、B面が1968年7月7日に行われたニューポートジャズ祭でのライブ録音という二部構成で、その多様な音楽性と圧倒的な演奏がズバリと楽しめます。

A-1 Volunteered Slavery
 ここから始まるA面のメンバーはローランド・カーク(ts,fl,manzello,stritch,vo,etc.) 以下、ロン・バートン(p)、ヴァーノン・マーチン(b)、ソニー・ブラウン(ds,per)、チャールズ・クロスビー(ds)、チャールズ・マギー(tp,tb)、ディック・グリフィン(tb) 等々が入り乱れ、さらにコーラス隊も加わっています。
 このアルバムタイトル曲は重苦しいゴスペルムードがボーカルやコーラス、叫び声なども交えながら表現されるテーマ部分、そして混濁してドロドロのファンキーな合奏、それがいつしかビートルズの当時の大ヒット曲「Hey Jude」へと流れていくんですから、悶絶感涙です。
 それにしても「奴隷志願」とでも訳する他は無い曲タイトル! ほとんどSM映画みたいですが、なんとも意味深ですねぇ。原盤裏ジャケットには、それを裏付けるようなローランド・カーク自らの言葉も載っていますから、それは現物を見てのお楽しみです。

A-2 Spirits Up Above
 これまた真っ黒なゴスペルムードが横溢した猥雑な演奏で、冒頭からゴスペルコーラスの呻きが充満し、その背後ではローランド・カークのサックスが蠢きます。そして演奏テンポが上がっていくにつれ、それがゴッタ煮のジャズへと変質していくあたりは、ちょっとチャールズ・ミンガス調ではありますが、ローランド・カークも一時はそのバンドに在籍していたのですから、さもありなんでしょう。
 明確なアドリブパートはありませんが、妙に納得させられる演奏です。

A-3 My Cherie Amour
 そしてこれがローランド・カーク的フィール・ソー・グッドな演奏の極北♪♪~♪
 曲はご存じ、スティービー・ワンダーのお洒落な大ヒットですねっ♪♪ それをここではバタバタしたボサロックで猥雑に演じているんですが、この不思議な気持ち良さは唯一無二! 初っ端からの、ど~しようも無いユルユル感と重心の低いビート、さらに不真面目極まりないスキャットが最高としか言えません。
 そしてテーマとアドリブをリードするローランド・カークのフルートが絶品です。特有の唸り声を伴いつつ繰り出されるフレーズには美メロがいっぱいなんですねぇ~~~♪ しかも決して素直では無いというあたりが、ジャズ者の琴線に触れること請け合いです。
 あぁ、何回聴いても飽きませんょっ♪♪♪♪~♪

A-4 Search For The Reason Why
 どっかで聞いたようなメロディがゴッタ煮にされたローランド・カークのオリジナル曲で、ゴスペルっぽいコーラスと調子っぱずれなローランド・カークのボーカルが、これまた不真面目な雰囲気……。しかしバックのリズム隊がご機嫌なボサロックという、ただ、それだけの演奏なんですが、これも不思議と心地良いトラックです。

A-5 I Say A Little Prayer
 バート・バカラックの代表曲が、これもアッと悶絶の演奏にされています。
 なにしろ最初からダサダサのボサロック、猥雑な混濁ビートの嵐なんですが、良く知られたキュートなテーマメロディが、まさにローランド・カーク以下、バンドメンバーにレイプされていくが如き展開が強烈です。
 ガツンガツンのピアノ、ブカブカのトロンボーン、蠢くテナーサックス等々、それらが何時しかジョン・コルトレーンの「至上の愛」へと変質していくんですねぇ~~~!?!
 もちろんローランド・カークは得意技の複数管同時吹きや呻きのボーカル、あざとい仕掛けが見世物小屋の胡散臭さの楽しみという感じで、私には絶対、憎めません。

B-1 One Ton
 さてB面は既に述べたようにライブセッションで、メンバーは一応、ロン・バートン(p)、ヴァーノン・マーチン(b)、ジミー・ホッブス(ds) をリズム隊にしていますが、他にも数名の参加者がいるように感じます。
 そしてこの曲が、猛烈至極な開始宣言! ガンガンに突進するバンドの勢いも素晴らしく、ローランド・カークは唸りまくったフルートで大熱演です。もう、これだけで夢中になってしまうのがジャズ者の宿命じゃないかと思うほどですよっ!

B-2 A Tribute To John Coltrane
     a) Lush Life
     b) Afro Blue
     c) Bessie's Blues
 タイトルどおり、ジョン・コルトレーンに捧げた演奏で、その代表的な演目が選ばれ、巧みなメドレーにしています。そしてローランド・カークの凄まじいばかりのジャズ魂に圧倒されるのです。
 まずは「Lush Life」での歌心と混濁したコルトレーン世界の融合が、テナーサックス王道の響きで鳴りわたります。あぁ、これだけ正統派を演じられては、ローランド・カークを決してゲテモノ扱いしてはならないでしょう。
 それが一転、チャルメラのような音色のソプラノサックスもどきという、独自開発した楽器で「Afro Blue」をやってくれるんですから、ワクワクしてきます。もちろんジョン・コルトレーンのオリジナル演奏と同じく、暴風のようなモード節は「お約束」なんですが、それが「Bessie's Blues」へ流れていくと、今度は熱血のハードバップとローランド・カーク特有のケイレン節が乱れ打ちされるのです。
 あぁ、このあたりは言葉や文章にするのが、本当にむなしくなる暴虐の世界ですよっ!
 とにかく聴いて吃驚、歓喜悶絶としか言えません。実際、これだけ真摯にジョン・コルトレーンの物真似をやったら、それは物真似の世界を超越した被虐のパロディとなるはずで、実はそれこそが、ローランド・カークの裏街道の証明かもしれません。

B-3 Three For The Festival
 そして前曲のラストから、全く休みなしに突入していくのが、バンドテーマとも言うべき演奏です。ドカドカ煩いジミー・ホップスのドラムスからローランド・カークが十八番の複数管同時吹きで響きわたるテーマのリフ! その背後で暴れるロン・バートンの痛快なピアノ! 唯我独尊のペースも良い感じです。
 さらにアドリブパートではローランド・カークがフルートの至芸で、これ以上ないというジャズ魂の完全なる心情吐露ですよっ! その叫びと血が滾るような情熱の嵐には観客も大熱狂! もちろん、このアルバムを聴いているスピーカーの前のファンだって、同じ気持ちになるでしょう。
 オーラスの厳かなオトボケも流石だと思います。

ということで、これはジャズ喫茶の人気盤でもあります。特にB面はリクエストの定番であり、弛緩した店内の空気を戒める店側の切り札的存在かもしれません。とにかくこれが鳴り出すと、知っているファンはグッと気持ちがジャズ寄りとなってしまいますし、初めて聴く者にとっては驚愕し、飾ってあるジャケットを眺めてしまうのでした。

やはりジャズが好きになったら、一度は洗礼を受けるべき作品じゃないでしょうか。

白熱興奮のB面も大好きですが、個人的には「My Cherie Amour」だけでもOKです。

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クインシーの爽快ライブ盤

2008-12-22 12:01:19 | Jazz

Quincy Jones & His Orchestra At Newport '61 (Mercury)

クインシー・ジョーンズは既にして歴史に名を刻む、大衆音楽の大御所ですが、常にクールでヒップな音楽を追求するその姿勢は、単にシャリコマとは決めつけられないと、、私は思っています。

それはジャズやR&B、そしてポップスからフュージョンやブラコンに至るまで、その時代の最もカッコイイ音楽を作り出した現場主義の活動から、「良いとこ取り」の要領の良さも指摘されるところです。

しかし結局はクインシー・ジョーンズがやるから、カッコイイ音楽になったという逆説的な言い訳も至極当然じゃないでしょうか。つまりクインシー・ジョーンズが手を染めた音楽こそが、リアルタイムで最も勢いがあったジャンルだと思うのです。

さて、このアルバムはモダンジャズが最高にヒップだった1960年代初頭、実際にクインシー・ジョーンズが率いていたビックバンドによるライブ盤♪

録音は1961年7月3日、ニューポートジャズ祭のステージから、メンバーはリズム隊がパディ・ポウン(p)、レス・スパン(g,fl)、アート・デイビス(b)、スチュ・マーチン(ds) という、これも知名度よりは現場主義の実力者達! そしてブラス&リード陣にはジョー・ニューマン(tp)、ジミー・ノッティンガム(tp)、カーティス・フラー(tb)、ブリット・ウッドマン(tb)、メルバ・リストン(tb)、ジュリアス・ワトキンス(flh)、ジョー・ロペス(as)、フィル・ウッズ(as)、ジェローム・リチャードソン(ts,fl)、エリック・ディクソン(ts,fl)、パット・パリック(bs) 等々の超一流が参集した豪華なバンドになっています。

ちなみにこのオーケストラは、もちろんメンツは流動的ながら、1960年初頭から実際に欧州やアメリカ各地を2年ほど巡業していたのですから、纏まっていながら自然体に躍動するライブ演奏は流石の名演ばかりです。

A-1 Meet B.B.
 ジョー・ニューマンのミュートトランペットがジャズの楽しさを満喫させてくれる、素晴らしくグルーヴィな演奏です。
 ちなみにタイトルの「B.B.」とは、欧州をメインに活躍していた黒人トランペッターのベニー・ベイリーの事で、クインシー・ジョーンズは1958年にスウェーデンを訪れた時、地元のビックバンドにベニー・ベイリーをフィーチャーして、この曲を吹き込んでいます。
 しかし、それにしても、ここでのライブバージョンのタイトでワイルドな演奏は圧巻! ジョー・ニューマンのアドリブソロも、テーマメロディやバンドアンサンブルを巧みに活かしたキメが全く見事で、このあたりはアレンジ譜との兼ね合いから計算されつくしたものかもしれませんが、ここまで自然体で演じてしまうのは、やはりジョー・ニューマンがレギュラーを務めていたカウント・ベイシー楽団では得意技でしたし、またクインシー・ジョーンズも同楽団にアレンジを提供していたという因縁も味わい深いところです。

A-2 The Boy In The Tree
 クインシー・ジョーンズがスウェーデンの映画のために書いたサントラ音源からの実演で、恐らくはフィル・ウッズのアルトサックスと、誰かわからりませんが、情緒いっぱいのフルートが思わせぶりを演じる導入部からして、グッと惹きつけられます。
 そして一転、バンドはグイノリのグルーヴでガンガンに突進するアンサンブルに移り、ここでもジョー・ニューマンのトランペットが白熱のアドリブを聞かせてくれるんですから、気分がどこまでも高揚していきます。
 バンドメンバーや観客からも、そうした様子がダイレクトに伝わってくる、実に生々しい演奏だと思います。フィル・ウッズが我慢しきれずに絡んでくるあたり、またビシバシのやけっぱちドラムスも良い感じ♪

A-3 Evening In Paris
 あまりにも有名なクインシー・ジョーンズのオリジナル曲で、1953年にライオネル・ハンプトン楽団の一員として訪れたパリの印象から作られたメロディは、ハードボイルドな哀愁がたっぷり♪♪~♪ それをここではフィル・ウッズが激情のアルトサックスでじっくりと、そして熱く吹いてくれるんですから、もう、辛抱たらまん状態です。
 バックではフルート主体の彩やトロンボーンをメインとした膨らみのあるアンサンブルも素晴らしく、まさにクインシー・ジョーンズならでは分かり易い味わいが楽しめますよ。
 ちなみにこの曲は前述した1953年のパリ録音、そして1956年に制作したクインシー・ジョーンズのリーダー盤「This Is How I Feel About Jazz (ABC)」でも吹き込まれていますから、聴き比べも楽しいところだと思います。

A-4 Airmail Special
 ベニー・グッドマン楽団の十八番として有名な活劇的な曲を、ここではライブならではのアップテンポでホットな演奏にしています。
 それはカーティス・フラーの急速フレーズが冴えまくりのアドリブから、サックス陣が総出演のソロチェイス、そしてバンドアンサンブルがド迫力です。後半のサックスセクションによる合奏も血沸き肉踊る物凄さですよっ♪♪~♪ クインシー・ジョーンズの指揮と手拍子、掛け声もノリノリで、楽しい限り♪♪~♪
 ちなみにアレンジはアル・コーンですが、これも丸っきり「クインシーの世界」でしょうね。楽しくなければジャズじゃない!?

B-1 Lester Leaps In
 ジャズのテナーサックス奏者の中でも、特に偉大なレスター・ヤングの代表的なオリジナルで、アレンジはアーニー・ウィルキンスですから、躍動的な楽しさは期待を裏切りません。
 今や定番となったリフから続くアドリブパートは、レス・スパンのギターがリードしていきますが、その、ちょいと地味なスタイルも、真空管アンプの如何にもという響きが実に心地良く、聴くほどに味わいが増していきます。リズム隊では他にも、パティ・ボウンのピアノが、そこはかとなくファンキーしていますね♪♪~♪。
 そして続くアンサンブルパートは、明らかにレスター・ヤングが残したアドリブフレーズを再現したものでしょう。そこからエリック・ディクソンが熱血に咆哮するテナーサックスのアドリブに入っていくあたりも、ジャズの楽しさです。

B-2 G'won Train
 このバンドのレギュラーピアニストだったパティ・ポウンが書いたファンキーな隠れ名曲で、フレンチホルンがリードする導入部からマーチビートのテーマメロディに入るという、実に鮮やかなアレンジが秀逸です。
 もちろん作者のパティ・ボウンはファンキーな伴奏で冴えまくりの活躍♪ この人は女性ですが、なかなか侮れませんよ。クインシー・ジョーンズの人選の妙が華やかに証明されたと思います。
 気になるアドリブパートは、ジュリアス・ワトキンスのフレンチホルン、そしてフィル・ウッズのアルトサックスがハードバップど真ん中! バックの力強いアンサンブルも実にファンキーしています。

B-3 Banja Luka
 ちょっと意味不明の曲タイトルは、フィル・ウッズがこのオーケストラで訪れたユーゴスラピアの印象から作ったものだと、原盤裏ジャケの解説にありました。
 しかし、その曲調はハードボイルドな劇伴サントラのようなサスペンス溢れるハードバップで、ジェローム・リチャードソンの正統派テナーサックスとカーティス・フラーのハスキー&ソウルフルなトロンボーンが優良のアドリブですし、気になるパティ・ボウンのピアノはグルーヴィ♪♪~♪ バンドアンサンブルもシンプルながら、メリハリが効いた爽快なノリです。 ただし録音の状態からピアノが引っこんでいるのは残念……。

ということで、なかなかの熱演ライブ盤です。

しかしクインシー・ジョーンズは、この直後にバンドを解散させ、自身はマーキュリーのプロデューサーとしてスタジオの仕事を中心にしていくのです。

その理由は経済的な部分も含めたバンド経営の難しさに加え、大衆音楽の人気がモダンジャズからポップスやR&Bへと移り変わったことにもあるのではないでしょうか? もちろんクインシー・ジョーンズは以降、ポップスではレスリー・ゴーアをブレイクさせ、また自身名義のオーケストラ作品はスタジオミュージシャンを駆使したヒット作を出していきます。また映画音楽の仕事でも素晴らしい成果を残しています。

ですから、このライブ盤はモダンジャズが最高にヒップだった時期のリアルな記録としても楽しめると思います。実際、ここでの爽快な演奏には、聴く度にKOされますねぇ~♪

ちなみに前述のように、録音バランスからピアノの音が小さいのは減点ながら、なかなかシャープな全体のミックス、パンチのある音作りは秀逸で、掲載はモノラル盤ですが、ステレオ盤も捨て難い魅力があると感じます。そしてCDになると、さらにクリアな音質となったリマスターが良い感じ♪

クインシー・ジョーンズのモダンジャズ時代を堪能出来る、実にカッコイイ、名作ライブ盤です。そしてこれが、「クインシーのモダンジャズ決別宣言」とは、決して思いたくありません。

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