OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

夏のロギンス&メッシーナ

2010-07-08 16:59:05 | Loggins & Messina

Full Sail / Loggis & Messina (Columbia)

さて今日も、ジャケットからして夏向き全開のアルバムです。

ご存じ、ウエストコーストロックの人気バンドだったロギンス&メッシーナが1973年秋に出した人気盤♪♪~♪ ただし我国で発売されたのは翌年の春でしたから、いよいよウキウキする季節には、そのジャケットイメージもジャストミートの結果オーライでした。

ちなみに、ここでロギンス&メッシーナを「バンド」と書いたのは、既にロギンス&メッシーナが単なるデュオチームではなく、前作以降、きっちりバックメンバーを入れたレギュラーグループとしてライプ巡業やレコーディングを行っていたからで、ケニー・ロギンス(vo,g)、ジム・メッシーナ(vo,g)、アル・ガース(sax,cl,vln)、ジョン・クラーク(sax,cl,fl,etc)、ラリー・シムズ(b,vo)、マール・ブリガンテ(ds,per) というのがその布陣でした。

そして特に助っ人として、お馴染みのマイケル・オマーティアン(key)、ミルト・ホランド(per)、ヴィンス・チャールズ(steel-ds) 等々が参加しています。

 A-1 Lahaina / 思い出のラハイナ
 A-2 Travelin' Blues
 A-3 My Music / 放課後のロックンロールパーティー
 A-4 A Love Song
 A-5 Medley:You Need A Man / Coming To You
 B-1 Watching The River Run
 B-2 Pathway To Glory / 栄光への道
 B-3 Didn't I Know You When
 B-4 Sailin' The Wind

まずはA面に針を落とした瞬間、なんとも楽天的なカリブ風味のメロディが流れてきます。そのバックを彩るスティールドラムやパーカッションも良い感じ♪♪~♪ しかも曲メロそのものが、う~ん、どっかで聞いたことがあるようなぁ~~♪ というあたりが、実に快感なんですねぇ~♪

まさにジャケットイメージどおりの音が出てくるという「ツカミ」は本当に上手いと思いますが、このロギンス&メッシーナのバージョン(?)をパクッた歌と演奏が内外に溢れている事実は、皆様も良くご存じのとおりです。

そして気だるいレイドバックなムードが逆にお洒落な「Travelin' Blues」から先行シングルとして大ヒットした「放課後のロックンロールパーティー」へと続く陽気な流れは、所謂ナチュラルな心地良さで、ジャズっぽいホーンの使い方もイヤミになっていません。特に「放課後のロックンロールパーティー」は、ウェスタンスイングやハワイアンムードミュージックの味わいも楽しいところでしょう。もちろんR&R本来の弾けたビートとエレキギターの炸裂は「お約束」です。

また、そうした狂騒から一転、実直な愛と夢を綴った「A Love Song」をシミジミと歌ってくれるケニー・ロギンスの幾分厚ぼったいボーカルも、なかなか存在感があります。

という様に、このLPは曲の流れも最高に素晴らしく、なんとAラスのメドレーは前半の「You Need A Man」がファンキーロック、そして後半の「Coming To You」がトロピカルポップスという、ちょっと想像もつかない異形の繋がりが実際に聴いてみると、これほど上手くいった仕上がりには悦楽すら覚えますよ。というよりも、ハッと気がつくとA面ド頭のムードに起承転結したというか、その目論見の完成度は流石!

う~ん、それにしても「You Need A Man」は乾いたジム・メッシーナのギターやホーンセクションの存在、また16ビートでグルーヴしまくるリズム隊が最高ですから、本音はLP片面全部を使った長尺演奏でも聴いていたいほどなんですが、後半「Coming To You」のお気楽ムードも捨て難い魅力がありますよ♪♪~♪

そしてB面にレコードをひっくり返す時の気持が急かされるようになっているのは、もう完全にロギンス&メッシーナに魅せられている証でしょうし、するとそこにはアコースティックフォークのハリウッドポップス展開が心地良い「Watching The River Run」が置かれているのですから、たまりません。いゃ~、本当にこの2人は素敵な曲を書いてくれますねぇ~♪ 爽やかにしてハートウォームなコーラスハーモニーも上手いです。

しかし続く「栄光への道」は、またまた一転しての、極言すればプログレ~フュージョン風の歌と演奏が強烈! それはバイオリンのアドリブやヘヴィなファンキーなビート、また管楽器のソロパートまでも含んでいますから、一般的なウエストコースロックの観念からは逸脱していると思います。曲調も決して明るくはなく、なんと演奏時間は8分半を超えているんですよっ! しかもジム・メッシーナのギターからは、その音色共々にドライなフレーズが連発され、まさに当時のバンドの纏まりと勢いが、きっちり記録された名演でしょう。

ですから、続くファンキーポップな「Didn't I Know You When」が、これまた心地良く、ケニー・ロギンスのホワイトソウルな歌いぷっりにリードされた仕上がりは、マイケル・マクドナルド期のドゥーピー・ブラザースに近いものがあると言えば、納得していただけるでしょうか。個人的にはロギンス&メッシーナのベストカセットを作る時には、必ず入れていたトラックです。

そしていよいよオーラスの「Sailin' The Wind」は、まさにこのアルバムの締め括りに相応しい厳かにして優しい名曲で、ちょいと神秘的な前半からラテンファンキーなビートを活かしたサビの展開、神秘的なコーラスとジム・メッシーナの抑え気味のバッキングも、実に計算されたものだと思いますが、決して不自然ではないと信じています。

ということで、このB面も流れが素晴らしく、つまりはアルバム全体の完成度は極めて高い名盤だと思います。しかも大衆性が決して蔑にされていないんですねぇ~♪

まあ、そのあたりがマニアックな音楽ファンにすれば、ロギンス&メッシーナって物足りない!? と決めつける要因かもしれませんが、後に発売されるライプ盤を聴けば、そこにはシミジミとしたアコースティックな歌からスタートし、痛快なポップス&ロック、さらにはジャズフュージョン系の長尺演奏までも、そのバンドとしての一体感を大切に繰り広げる真骨頂が記録されていますから、スタジオ録音のアルバムを纏まり過ぎと非難することは間違いではないかもしれませんが、的外れなのは確かでしょう。

むしろカチッと作られたアルバムがあればこそ、ライプステージが親しみ易く、また奔放に展開されるのであって、そこに集う観客だって百も承知のお楽しみ!

と、まあ、例によって回りくどい文章になってしまいましたが、とにかく夏に向かって聴けば素敵な中身は保証付きです。またアルバム劈頭を飾った「思い出のラハイナ」に因んだのでしょうか、ハワイで撮影されたというジャケットもイカシていますねぇ~♪

これもまたウエストコースト崇拝主義を象徴する1枚かもしれません。

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春先にロギンス&メッシーナ

2010-02-23 14:44:34 | Loggins & Messina

Loggins & Messina (Columbia)

ここ2~3日、グッと春めいてきましたですね。うん、こうなると聴きたくなるのが本日の主役たるロギンス&メッシーナ♪♪~♪

1972年の結成デビュー当時から、玄人筋を中心にジワジワと人気を集めていたのですが、個人的には翌年に我国でも大ヒットした「愛する人 / Thinking Of You」、またその前段となるR&Rヒットの「ママはダンスを踊らない / Your Mama Don't Dance」あたりから、急速に一般ウケしたのが、当時の事情でした。

そして本日ご紹介のアルバムは、その初期の2大ヒットを含んだ人気盤で、通算2作目のLPです。

 A-1 Good Friend
 A-2 Whiskey
 A-3 Your Mama Don't Dance / ママはダンスを踊らない
 A-4 Long Tail Cat
 A-5 Golden Ribbons / 勲章
 B-1 Thinking Of You / 愛する人
(album version)
 B-2 Just Before The News
 B-3 Till The End Meet / 片思い
 B-4 Holiday Hotel
 B-5 Lady Of My Heate
 B-6 Angry Eyes

まず特筆すべきは、普通、こうしたシンガーソングライター系のレコーディングにはスタジオセッションで活躍するミュージシャンが集められ、実際のライプ巡業では専用のツアーバンドが編成されるところを、ロギンス&メッシーナは、まずレギュラーのバンドを率いての活動からレコード作りも、その体制を維持していたことでしょう。

ですから全体の仕上がりは、なかなかバラエティに富んでいて、さらに纏まりがきっちりと気持良いほどにキマッています。

メンバーはケニー・ロギンス(vo,g)、ジム・メッシーナ(vo,g) 以下、ラリー・シムズ(b,vo)、メレル・ブリガンテ(ds,per,vo)、アル・ガース(fiddle,sax)、ジョン・クラーク(sax,fl,key) という実力派のレギュラーが集められ、さらに特別ゲストとしてマイケル・オマーティアン(key) やミルト・ホランド(per) 等々の売れっ子も参加しているのですから、ジム・メッシーナのプロデュースもツボを外していません。

A面ド頭からクラヴィネットが唸るファンキーロックな「Good Friend」が、モロに意表を突いた痛快さっ! ロギンス&メッシーナをカントリーロック風味のウエストコースト系コンビ、なぁ~んて思っていると確実に仰天させられるでしょう。告白すれば、これを最初に聴いた時のサイケおやじにしても、あまりに自分好みのソウル&ジャズっぽさと溌剌としたロック本流の融合に接し、うっと絶句させられた記憶が、今も鮮烈です。

あぁ、このパキパキにファンキーなギター、躍動するリズム隊のヘヴィなグルーヴ、隠し味というにはあまりにも印象的なキーボードとホーンの使い方! 実にクールで熱い仕上がりですよねぇ~♪

そして一転、フルートと生ギターが彩るハートウォームな「Whiskey」は、定番のコーラスワークも含めて、我国の歌謡フォークへの影響も絶大でしょうし、続く「ママはダンスを踊らない」が、これまた楽しい浮かれたR&R♪♪~♪ その突き放したような曲メロとメリハリの効いたビート感、さらにサックスやエレキギターのシンプルなアドリブ等々、まさに当時の流行になりかかっていたオールディズポップスのエッセンスを凝縮していますから、ヒットするのは当たり前田のクラッカー!

さらにポール・マッカートニー調の「Long Tail Cat」、じっくり構えてウエストコーストロックのシリアスな部分を表現した「勲章」と続くA面は、本当に幕の内弁当的なんですが、なんら違和感なく楽しめると思います。

そしてB面には私の大好きなヒット曲「愛する人」がトップに据えられていますが、これはシングルとは別テイク! 比較すれば、こちらはソフトバージョンという感じですが、そよ風のような気持良さは不変ですし、アルバム全体の流れからすれば、これしか無いでしょうねぇ~♪

そうした部分はカントリーロッキンなアップテンポのインスト「Just Before The News」へと見事に繋がり、それを短い前奏曲としたケニー・ロギンスの名唱「片思い」が尚更に味わい深くなるのです。あえて言えばデイヴィッド・クロスビーがスティーヴィー・ワンダーしたような、摩訶不思議な折衷スタイルが良い感じ♪♪~♪

そして王道カントリーロックの「Holiday Hotel」、実にジェントルなメロディがクセになるボサロック「Lady Of My Heate」を経て始まるのが、このバンドの真骨頂となった8分近い長尺演奏「Angry Eyes」で、ズパリ、フュージョンロックですよっ! もちろんメンバー各人のアドリブパートも用意され、ランテタッチのファンキーグルーヴと乾いたジャズフィーリングが絶妙に融合した名演になっています。

ちなみに、この曲は実際のステージでもバンドの実力を披露する、ひとつのハイライトになっていて、それは後に発売されるライプ盤「オン・ステージ」にも熱い演奏が収録されていますが、このスタジオバージョンの纏まりとスリルのバランスも秀逸だと思います。

ということで、今となってはロックの名盤本に載るようなアルバムではないかもしれませんが、時代へ見事にアクセスした仕上がりには、なかなか愛着を覚えるファンも大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

ただしこのアルバムでも顕著なように、ファンキーもカントリーロックもシンガーソングライターも、さらにはフュージョンやプログレにまでも手を伸ばしてしまうバラエティな意欲が、一部では節操が無いとか、融通が利きすぎるという批判にもなっていたようです。

そのあたりは後に発表されていく作品群を聴き進めば、確かに否めません……。

しかし、このアルバムは、イイよなぁ~~~♪

と、私は言いたいです。

特に、この時期! 春先限定の名盤かもしれませんよ。

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ロギンス&メッシーナの愛すべき魅力

2009-05-28 11:51:41 | Loggins & Messina

愛する人 / Loggins & Messina (Coulmbia / CBSソニー)

1970年代前半、サイモンとガーファンクルの不在を癒してくれたボーカルデュオのひとつが、ロギンス&メッシーナでした。

この2人は1972年に正式なデビューを果たしたわけですが、まずジム・メッシーナはニール・ヤングやスティーヴン・スティルス、そしてリッチー・フューレイがやっていた今では伝説の名バンドになったバッファロー・スプリングフィールドの末期メンバーであり、それ以前は十代の頃からエレキインストバンドでささやかな成功を収めていた、知る人ぞ知るの存在でした。そして皆様もご存じのように、前述のバッファロー・スプリングフィールド解散の後には、リッチー・フューレイと元祖カントリーロックの最高バンドだったポコを結成し、アメリカでは大きな人気を集めています。乾いた音色のギタープレイも良い感じ♪♪~♪

一方、ケニー・ロギンスは優れたソングライターとして1960年代末頃から業界では注目の存在であり、例えばニッティ・グリッティ・ダート・バンドで1971年にヒットした「プー横丁の家」等々の代表作を持っていましたし、自身も歌やギターでデモテープ作りや様々なセッションのアルバイトをやっていたのが、デビュー前の活動でした。

で、この2人がケニー・ロギンスのデビュー盤制作で邂逅し、本来はプロデューサーの立場だったジム・メッシーナが現場復帰というか、ついにはロギンス&メッシーナとして発売されたのが「シッティン・イン (Coulmbia)」という好アルバム♪♪~♪

これは我が国でもリアルタイムの1972年に発売され、音楽マスコミでは忽ち絶賛されましたが、実はサイケおやじは当然ながらアルバムは買えず、どうにか国営FMラジオ放送からエアチェックしたテープを聴いていたわけですが、正直、ピンっとくるものがありませんでした。

なにしろ当時はストーンズがライブ全盛期の勢いで作った傑作盤「メインストリートのならず者」、スティーヴィー・ワンダーの「心の詩」、ディープ・パープルの「マシンヘッド」、クリームの「ライブ Vol.2」等々に加え、ポール・サイモン、ニール・ヤング、アメリカ、マナサスあたりの名盤が毎月のように出ていたのですからっ! 今となっては凄い時代でしたが、それゆえにロギンス&メッシーナは地味な存在として当たり前だったのです。

しかし翌年になって事態は好転というか、当時としては例外的にシンプルでスカっとしたR&Rの「ママはダンスを踊らない」がシングルヒット♪♪~♪ さらには2作目のアルバム「ロギンス&メッシーナ (Coulmbia)」が再び業界からの高評価によって、いよいよ我が国でもブレイクしたというわけです。

そして本日ご紹介のシングル曲、原題「Thinking Of You」が追い撃ちの大ヒット♪♪~♪

しかも前述したアルバム「ロギンス&メッシーナ」に収録のテイクとは、完全に異なるシングルバージョン!

まずドラムスのイントロから始まっていたアルバムテイクとは決定的に違う、最高にカッコ良いエレキギターのリズムカッティングに、グッと惹きつけられます。またアルバムテイクではブラシ主体だったドラムスが、ここではスティックで8ビートを強調したノリの良さ♪♪~♪ さらにアルバムバージョンではジム・メッシーナのソロだったメインのボーカルを、ケニー・ロギンスとのユニゾンといって過言ではない、まさに歌の楽しさを強調したものに変えた事も結果オーライでした。

楽曲全体に漂うホンワカムードを演出するジム・メッシーナのボリューム奏法による絶妙のギター、間奏でのバイオリンというか、カントリーフィドルの浮遊する楽しさ、そしてハートウォームな曲メロの素晴らしさ♪♪~♪

ケニー・ロギンスのコーラスワークは言わずもがな、驚くべきは演奏全体のリズム的な濃密度を高めているのが、クラヴィネットの大胆な使用でしょう。

このクラヴィネットは、同時期に大ヒットしていたスティーヴィー・ワンダーの「迷信」によって一躍広められたキーボードシンセのひとつですが、基本はカントリー系ソフトロックの西海岸的な味わいが強い「愛する人」の演奏に、こんな斬新ファンクなイメージの楽器を使ってしまうセンスには、今更ながらに驚かされます。

そういう先進的な試みは、実はロギンス&メッシーナの本質というか、この曲のヒットに釣られて後追いで聴いた前述のアルバム「ロギンス&メッシーナ」のA面ド頭には、当時のメジャーな白人バンドには珍しいほどソウル&ファンキーな「Good Friend」という、まさにトンデモ系の歌と演奏が入っていたのですから、二度吃驚でした。

そして彼等の作り出す音楽を聴くにつれ、そうしたファンキーでジャジー、ある意味ではプログレっぽい部分とハートウォームな歌と楽曲の魅力が相乗効果となり、ますます私の心をとらえていくのですが、それは後のお話です。

その意味で、昭和48(1973)年の春から初夏にかけて大ヒットしていた「愛する人」は、決して忘れられない曲になりました。

ちなみにジャケット右下に入れられた「JEANS MUSIC」というロゴが、今となっては微笑ましいですよね。

当時はイーグルスがブレイクする前でもあり、所謂「ウエストコーストロック」なんて言葉はあったかもしれませんが、その実態は極めて曖昧でしたから、こうしたシンプルでありながら都会的なイメージも併せ持ったハートウォームなロックを、各社が次のトレンドとして積極的に売っていた歴史的な証として、それを味わっていただきたいところです。

あぁ、それにしても「愛する人」っていう曲は、リアルタイムでも甘くて親しみやすい魅力に溢れていましたが、それは今でも不滅だと思いますねぇ。

ズバリ、良い曲♪♪~♪

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