OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

命をかけて、齢を重ね

2021-12-31 19:26:24 | 歌謡曲

命をかけて / 麻里圭子 (日本ビクター)

ついに本日は大晦日!

若い頃のこの日は、年越しライブとか気の合う仲間と宴会とか、あるいは家族揃ってレコード大賞~紅白歌合戦♪

なぁ~んていう愉しみが様々諸々ありましたが、この年齢になると、もはや自分のハートビートでさえも、地獄への足音に感じたりして、殊更今年は全く上向きにならなかった世相も含めて、あまり気分が前向きになりません (^^;

しかし、それでも皆様からの応援や励ましを沢山頂戴出来ました拙ブログを今日も、こうして綴れている幸せには心から感謝 <(_ _)>

あらためて、一期一会の覚悟を決め、独断と偏見ばかりではありますが、この場を継続させていただきとうございます。

ということで、本日掲載したのは、あの傑作スポコンドラマ「サインはV」の主題歌を熱唱し、人気特撮映画「ゴジラ対ヘドラ」でもトラウマ的な印象を残し、さらにはプティ・マミとしてフェロモン歌謡も披露していた麻里圭子が昭和42(1967)年に出した、おそらくはデビュー作と思われるシングル盤で、特にA面収録の「命をかけて」こそは、現在のサイケおやじを奮い立たせてくれる名曲・名唱!

なにしろ、それは作詞:水島哲&作編曲:猪俣公章という、当時の歌謡界では、ある意味では「脂っ濃さ」を特徴的に表出していたソングライターコンビからの提供ですから、イントロからの低音系のギターとネチッとしたストリングス、さらにはロッカバラードっぽいリズムアレンジもキャッチーですし、曲メロそのものも、リスナーの耳に「こびりつく」感じのムードが強く、だからこそ、麻里圭子が持ち前の歌唱力で真っ向勝負の歌いっぷりという、これが実に熱いんですねぇ~~♪

というよりも、曲タイトルどおり、命をかけた恋愛から逃げないところを自らのボーカルで表現しようとする必死さが、逆に言えば、幾分前向き過ぎる感もあり、それゆえの素直な素晴らしさが伝わってくるあたりが、サイケおやじの好みにはジャストミートの大ホームラン (^^♪

もちろん、皆様ご存じのとおり、これはヒットしたとは言い難く、直ぐに彼女は正統派歌謡曲からポップス歌謡へと路線変更された様ですが、楽曲そのものの素晴らしさは不滅だと思いますし、もうちょいとハスキー系の女性歌手が吹き込んでいたら……!?

なぁ~んていう、不遜な妄想も打ち消せないんですが、いかがなものでしょう。

個人的には八代亜紀のバージョンが聴いてみたいと願っているんですが、もしかしたら制作されているのかもしれず、探索している次第です。

そして残り少ない貴重な自分の人生において、やはり好きなものに集中出来る幸せを少しでも拡大出来れば、それこそが「幸せ」だと思うばかりあります (^^;

それでは皆様、良いお年をお過ごしくださいませ。

来年も、よろしくお願い申し上げます <(_ _)>


この人だぁ~れ part-59:中村有子

2021-12-30 17:41:03 | 歌謡曲

夜汽車は東へ / 中村有子 (ユニオン / テイチク)

これまた先日の猟盤からの獲物の1枚でして、サイケおやじにとって、歌っている中村有子は例によって「この人」シリーズに分類するしかない存在ではありますが、収録A面曲「夜汽車は東へ」は、昭和49(1974)年末頃のラジオからは、それなりにオンエアされいたもんですから、楽曲そのものは刷り込まれていながら、レコード現物を確認したのは初めてという嬉しさでした (^^♪

ですから、もちろん主役たる中村有子のルックスに接したのも、このジャケ写ポートレートが初めてであり、しかも当時、15歳だったにしては、相当に大人の雰囲気が!?

そこで肝心の「夜汽車は東へ」は作詞:千家和也&作編曲:都倉俊一というクレジットが確認出来て納得するしかない、イントロから大仰で壮大なバラード仕立てのポップス歌謡であり、新しい旅立ちのはずが、やはり男に裏切られた失意の女心が、じっくりと盛り上がるメロディラインと脹らみのあるオーケストラ&コーラスに彩られているという、生半可な歌唱力じゃ~、ヘタレは確実なところを彼女は、きっちり答えを出した熱唱で締め括っているんですねぇ~~♪

このあたりの狙いは当時の都倉俊一が手掛けていた麻生よう子、高橋まり=高橋真梨子を擁していた時代のペドロ&カプリシャス等々の一連の楽曲に通じる世界観(?)が強く感じられわけで実際、麻生よう子の「逃避行」を別角度から作り直した様な、もうひとつの失恋物語ではありますが、それでも一抹の希望が滲み出ている気がするのは、このメロディとアレンジがあればこそ!?

今回、初めて、レコード盤に針を落としての鑑賞で、そのあたりの意を強く感じた次第です。

ということで、中村有子は歌唱力もあり、だからこそ、ここまでの難曲を与えられたんだと思いますので、他のレコードや音源も探索せずにはいられません (^^ゞ

これで、来年からの目標が、ひとつ増えたというわけです (^^;


真冬のソフトクリーム

2021-12-28 18:07:17 | 歌謡曲

熱帯魚のタキシード / ソフトクリーム (FOR LIFE)

洋の東西を問わず、意味不明の歌ってのは何時の時代にも作られてきましたが、それを所謂「コミックソング」としてアピールするのか、あるいは「シュール&シリアス」と聴いてしまうのかは、制作側とリスナーでは二極分化するのが常じゃ~ないでしょうか?

本日掲載したシングル盤A面曲「熱帯魚のタキシード」は、曲タイトルからして、そんな思惑がたっぷりと感じられ、しかもソフトクリームと名乗る女の子トリオがジャケ写イメージからも避けえないほど、キャンディーズ系のグループとして売られる予定があったとすれば、まさに「あざとさ」は全開!?

だって、まずは作詞:島武実&作編曲:佐久間正英とクレジットされた制作スタッフは、これが発売された昭和57(1982)年12月の時点でさえ、佐久間正英は四人囃子~プラスティックス、そして島武実もプラスティックスでの活動が業界では和製ニューウェイヴの担い手とまで評価されていたんですから、ソフトクリームが普通のアイドルで収まるはずも無かったのは、それが結果論であったとしても、素直に承服しかねるのがサイケおやじの立場です。

なにしろ曲調がアップテンポのエスニック歌謡の様でもあり、「る~わぁ~る~わぁ」というキメのフレーズがキャッチーではありますが、ど~にも歌詞全体が意味不明ですし、リズムパターンはモータウン調ながら、シンプルな楽しさの裏に潜んでいる絶妙のジャズっぽさは、とても子供向けに作られた楽曲とは思えないんですねぇ~~。

ですから、ジャケットスリーブに記載されているとおり、これが「テレビほとんど冗談(テレビ東京)」というバラエティ(?)番組のテーマ曲だという記載だけは、説得力が強いわけで (^^;

ちなみにソフトクリームのメンバーは遠藤由美子、大塚真実、天野千英とされていますが、サイケおやじには名前と顔が全く一致しておりません (^^;

というか、テレビ等々で動くソフトクリームに接しているはずなのに、全く記憶が残っておりませんで……、唯々……、前述した「る~わぁ~る~わぁ」のコーラスパートだけが刷り込まれているわけです (^^;

正直、これで歌詞が、もう少し下世話だったら、ヒットしていたんじゃ~ないでしょうかねぇ~~~。

つまり、ソフトクリームは大きなブレイクも無いままに溶けてしまったとはいえ、その美味しさだけは、何時までも忘れられない存在と思うばかりです。

ということで、すっかり真冬モードの年末は、だからこそ気分も高揚する気がしております。

豪雪や強風被害は嫌ですが、楽しめるものは楽しんでも、バチアタリにはならないでしょう。

明るい未来を待ち続けながら、という気持ちは大切にしたいものです。


縺れた仕事のその後で

2021-12-27 19:32:28 | サイケおやじの日常

「こじんまり」と忘年会をやっております (^^;

というか、所謂ノミニケーションは難しいので、テーブルから移動せずの食事会なんですが (^^;

もちろん、二次会なんてものは予定されていませんが、少しでも楽しくやりたいもんですねっ!

本日の1枚の休載、ご理解お願い申し上げます <(_ _)>


Not A Second Time の純エリ子

2021-12-26 19:24:28 | 歌謡曲

バラは贈らないで / 純エリ子 (日本コロムビア)

昨日ご報告したとおり、本日は猟盤活動に勤しんだサイケおやじが思わず嘆いてしまったのは、やはりコロナ禍の影響なんでしょうか、ブート業界の低迷&縮小化という現実で、もちろん「新作」と銘打ったブツは店頭に並んではいたんですが、中身は昔かっから流通していた定番音源ばかりで、それを「リマスター」とか「新発見ソース使用」等々、言い訳がましい売り文句で糊塗しての商売なんですから、せめて……、ジャケットデザインぐらいは新味を出して欲しいなぁ…… (^^;

とか言いつつも、実は数点ほど買ってしまったというテイタラクは、それこそ言い訳無用…… (^^;

しかし、そんな思いの中でも、やっぱりアナログ盤の中古漁りは基本に立ち返っての楽しさがあるわけで、我知らずに浮かれてしまった獲物こそ、純エリ子が昭和46(1971)年9月に出したとされる本日掲載のシングル盤!

いゃ~~、店頭視聴するまでもなく、ゲットする腹積もりは出来ていたんですが、それにしても作詞:吉田央&作曲:浜口庫之助が提供のA面曲「バラは贈らないで」は歌謡フォーク系のメロディが素晴らしく、しかも小杉仁のアレンジが当時の洋楽ソフトロックを強く意識したゴージャスなサウンド作りになっているもんですから、純エリ子のボーカルや節回しにも一概に歌謡曲とは決め付けられないポップスフィーリングが強く表出し、ちょいとオシャレなネクラソング(?)みたいな、天邪鬼な魅力があるんですねぇ~~ (^^)

まあ……、そのあたりは、あくまでもサイケおやじの独断と偏見ではありますが、純エリ子の程好いパワフルさ、ハートウォームで躍動感を滲ませた歌いっぷりは、彼女のファンならずとも、惹きつけられるはずかと思うばかりでし、小生意気な面立ちと佇まいを見せてくれるジャケ写もイイ感じ (^^♪

ということで、実は帰宅したばかりで拙文を綴っているもんですから正直、聴き込みは完全に不足しており、ほとんど第一印象と思い込みだけでのご紹介になってしまいました <(_ _)>

それでも、サイケおやじにとっての純エリ子は、そんなこんなを思い込ませてくれる大切な歌手ですから、獲物は発見したら即ゲット!

つまり Not A Second Time、二度目は無いという「思い込み」も付帯しているのでした。


記憶の中の小野由美

2021-12-25 20:06:07 | 歌謡曲

Heart-Break症候群 / 小野由美 (RIV.STAR)

本日の主役たる小野由美は、ちょうどサイケおやじが島流しにされていた時期に活動していたらしく、それゆえに自分にとっては全くの「幻のアイドル」なんですが、掲載したシングル盤A面曲「Heart-Break症候群」だけは、流刑先に届いた支援物資の中にあったカセットテープという、今では懐かしい記録媒体に入れられていたので、その当時の記憶と共に焼き付けられたフェバリットソングのひとつになっています。

ですから、ご赦免後の浦島太郎状態から脱するために熱を入れていた猟盤活動でも、狙いを定めるブツであり、しかも案外と簡単に入手出来たのは嬉しくもあり、その反面、ちょいと気の抜けた感もありましたですねぇ~ (^^;

そして、あらためて謹聴し、制作クレジットを確認してみれば、作詞:小林まさみ&作曲:山崎一修が狙っていたのは、やっぱりハードな歌謡ロックであり、同時に痛快なアイドル歌謡ポップスとしても聴けるという、逆二律背反!?

もちろん、そこにはアップテンポのロックフィーリングが求められますから、歌いまくる小野由美の節回しが所々て不安定になるのは、そりゃ~、納得するしかないとは思いますが、山中紀昌のアレンジがストレートで容赦無いところから逃げていない雰囲気に好感が持てるんですねぇ~~♪

とすれば、ジャケ写スリーブに記載があるとおり、未見ではありますが、「魔龍戦記」という思わせぶりなタイトルのアニメ主題歌という真相も、なんだか納得するしかありませんが、肝心の小野由美が、どんな感じでライブギグをやっていたのか、好奇心は増すばかり!

なぁ~て思いつめていたんですが、驚いた事に(?)彼女はアイドルからアダルトビデオの女優へ転身してしまったそうで、他に音源があるか、否かは探索中であります (^^;

ということで、明日は久々に猟盤活動に入れそうなんで、本日は早めに寝ます (^^ゞ

素敵な獲物に巡り会えますようにっ!


サンタに逢える街へ行きたい

2021-12-24 17:45:39 | Rock

サンタが街にやって来る / Bluce Springsteen (Columbia / CBSソニー)

サイケおやじはキリスト教徒ではないので、クリスマスなんて、カンケーネェ~~!

と言きたいところなんですが、そんなストレートな天邪鬼が安易に通用するほど世間は甘くなく、むしろ……、それに甘えきっての享楽を求めてきたのがサイケおやじの本性であります (^^;

つまり、体裁の良い事ばかりを言いながら、いざっ、クリスマスパーティ等々になると、そんな浮かれた態度を見透かされ、薄かった人望を尚更に失うという悪循環が、毎年末の好例行儀となり、今日に至っているんですねぇ……(^^;

そんなわけですから、本日は堂々のクリスマスソングのご紹介ということで、ブレイクしたばかりのブルース・スプリングスティーンが、1975年12月にボストンでのステージで披露したという、楽しいクリスマスの定番曲「サンタが街にやって来る / Santa Claus Is Coming To Town」のライブバージョンをご紹介させていただきます。

ご存じのとおり、今となっては、この音源の初出は、翌年に米国内で配布されたラジオ放送用のプロモーション盤であり、それが様々なブートに収録され、ファンの間では普通に知られていたわけですが、それでもレコード会社側は、あえて企画物のオムニバスLP「イン・ハーモニー2」に公式収録し、1981年に発売した事から、ついには1985年末に出した「My Hometown」をA面に入れたシングル盤のカップリング曲として、更なる人気音源(?)になったという流れがあります。

それが我が国の場合は、おそらくは件のLP「イン・ハーモニー2」に歩調を合わせたのでしょうか、掲載したシングル盤はプロモオンリーの見本品でして、関係者に配布されたのは、1981年晩秋らしいんですが、サイケおやじが、これを入手したのは、時代も平成に入ってからの中古猟盤活動においての獲物でしたから、詳しい経緯は知る由もありませんし、音源としての個性(?)も、以前から接していたテイクと同じと思われます。

で、肝心の歌と演奏は、明らかにフィル・スペクターが1963年に制作したクリスタルズのバージョンを下敷きに、マイケル・ジャクソンが1970年頃に歌ったジャクソン5のスタジオテイクを塗した様な仕上がりで、これが実にロックの本質に根差した楽しさに満ちているあたりが、如何にも本場のクリスマス♪♪~♪

と書いてしまえば、如何にも没個性なカバー演奏?

かと思われてしまうかもしれませんが、個人的には僭越ながら、これほどブルース・スプリングスティーンの「らしさ」が全開したレコードは無いと感じるほどで、まさに上り調子だったバンドの勢い共々に、永遠のロックアンセムと認定したくなりますねぇ~~♪

ちなみに、このプロモ盤のB面には、バーブラ・ストライザンドが歌うクリスマスソングの定番「White Christmas」が収められているんですが、それは今回、そっとしておきたいとおもいます (^^;

ということで、しかし、今年も昨年同様、自粛モードの年末年始となりそうな気配、というよりも、それを当たり前とする風潮が自然になりつつある様に思いますが、皆様は如何でございましょう。

ど~せ、我々ほとんどの日本人にとってのクリスマスは、バカ騒ぎする口実であるとしたら、派手なレコードは必須の物件であり、それゆえにワンマンショウで楽しむもの、悪くはないと思っているのでした。

サンタクロォ~~スカミンインタァ~~ン♪♪~♪


冬の忘れ草

2021-12-23 19:36:57 | 歌謡曲

忘れ草 / 中条きよし (テイチク)

冬の歌の中では、中条きよしが昭和57(1982)年12月に出した本日掲載のシングル盤A面曲「忘れ草」も、なかなか好きです。

ご存じとおり、これは当時の中条きよしが三味線屋の勇二として出演していた
人気時代劇「必殺仕事人III(テレビ朝日)」の挿入歌でしたから、劇中でも印象的な場面に用いられ、当然ながら、中条きよしが持ち前のクールなムード歌謡唱法を全開させた節回しを披露し、その演技と佇まい同様に強い印象を残し、スマッシュヒットしています。

なにしろ、作詞:杉紀彦&作編曲:三木たかし!

という手練れのソングライター陣が企図したとおりの歌いっぷりだったんだと思えば、イントロからのヘヴィなリズムと泣きのギターは、ひとつの歌謡ロック仕様であり、冷えきった心象風景の中で燃え残っている情熱の如き楽曲のフィーリングは、これぞっ!

中条きよしの真骨頂でありましょう。

良く知られているとおり、この「必殺仕事人III」からは鮎川いずみが歌ったテーマ曲「冬の花」がメガヒットしているもんですから、今となっては、ちょいと中条きよしの「忘れ草」の印象が薄くなっている状況も確かにありますが、何かの機会に耳にすれば、その歌謡世界に忽ち取り込まれてしまうのは必定!

特に冬なればこそ、染入るのが「忘れ草」というわけです。


明るい表通りを歩けっ!

2021-12-22 16:53:03 | Movie

On The Sunny Side Of The Street 
                              / Louis Armstrong All Stars (Brunswick)

NHKの朝ドラ「カムカムエヴリバディ」が、サイケおやじ的には久々の高得点!

当然ながら、リアルタイムじゃ~鑑賞出来ませんので、録画しておいて、ひっそりと深夜に独りで (^^;

というわけなんですが、これが気になっていたのは、我が国のラジオ放送黎明期からスタートした「NHKラジオ英語講座」の諸々が描かれ、講師であった平川唯一が登場するらしいという、以前からサイケおやじが興味を抱いていた情報があったからでして、しかし、実際は朝ドラにありがちな激動の昭和期を舞台にしたホームドラマだったのは肩透かし……。

ところが、まずヒロインの安子を演じる上白石萌音の柔らかな佇まいと的確な芝居っ気が素晴らしいなぁ~~、と感じ入りましたですねぇ~~♪

劇中の彼女の実家は和菓子屋なんですが、そ~いうところからも、彼女は「和菓子顔」と申しましょうか、最近の日本女性に多くなっている、例えば綾瀬はるか系の顎が細くて、鼻の下が短いという特徴を温故知新に塗り替えた様な面立ちこそが、深みのある演技に繋がっていると思いましたですねぇ~~♪

しかも、それは少女期から母親なっても、基本的に変わらず、それでいて様々に劇的な演出に端正とも思える表現で、その時々の「安子」を見せてくれるのは、可愛さ余って憎さ百倍!?

みたいな魅力に溢れていると思うんですが、いかがなものでしょう (^^ゞ

演出そのものも、テレビドラマでは最近珍しいほどに「間のある芝居」が大切にされていますし、撮影映像には劇場用映画作品っぽいカメラワークがあったりして、好感が持てます。

ただし、欲を言わせていただければ、ライティングが明る過ぎると思いますし、例によって登場人物の衣装やヘアメイク等々に時代考証が甘く、どんな状況でも道路が常に真っ平!?

というのは何時もながらの減点ではありますが、脚本~演出構成に「ご都合主義」はあるものの、それなりの拘りが強く滲み出ており、個人的には安子=上白石萌音が覚えたばかりの自転車で必死になって好きな男=松村北斗の見送りに駅へ向かうシーン、そして見合いを強要され、列車の中で泣いているところで現れる松村北斗!

等々の場面では、不覚にもウルっときてしまいましたですよ (^^ゞ

また、これまでの劇中でキーポイントになっているのが、ジャズの偉人たるルイ・アームストロング(tp,vo) が歌ったアメリカのスタンダード曲「On The Sunny Side Of The Street / 明るい表通り」で、ネタバレがありますので、劇中での詳らかな諸々は省略させていただきますが、とにかく松村北斗と上白石萌音が最初に入った喫茶店で流れていたのが、この曲でして、その時が戦前でしたから、鳴らされていたのは、ルイ・アームストロングが自己名義のオーケストラと共に、1934年にパリでレコーディングされたバージョンというのが、正しい認識になりましょうか?

ちなみに、その頃は 78 回転のSPがレコードの主流でしたから、件の「On The Sunny Side Of The Street / 明るい表通り」にしても、2部構成、つまりルイ・アームストロングは「パート1」で歌唱テイク、「パート2」でトランペット演奏をレコード盤片面ずつで聴かせるという仕掛けになっておりまして、アメリカでは、1937年頃にSPシングルとして、とりあえず「パート1」が出たらしいんですが、フランスやドイツ等々では、そのSP両面に「パート1&2」を入れて発売していたと云われています。

で、本日掲載したのは、その「1934年バージョン」のSPを持っていないので、とりあえず以前に入手していた、1947年11月のライブバージョンを収めたドイツプレスとされる、45回転のシングル盤であります。

メンバーはルイ・アームストロング(tp,vo) 以下、ジャック・ティーガーデン(tb)、バーニー・ビガード(cl)、ディック・キャリー(p)、アーヴェル・ショウ(b)、シドニー・カトレット(ds) 等々という、所謂オールスタアズですから、仕上がりは流石の一言 (^^♪

基本的には所謂ニューオリンズスタイルという、原初的なジャズサウンドではありますが、滲み出る哀愁と前向きなスイング感が絶妙にブレンドされた、これは極上のエンタメ演奏と思うばかりで、それこそがルイ・アームストロングという天才ジャズプレイヤーが大衆人気を得ていた秘訣かもしれず、喜びも悲しみも幾年月の好例が、ここにあるってもんでしょうか (^^ゞ

ですから、劇中では前述した喫茶店のマスター=世良公則が戦後はバンドマン集めの口入屋として進駐軍の将校クラブに出入りしており、そこに米軍将校に連れられて来た安子=上白石萌音の姿を見つけた時、すっかり酔いどれて、ついつい「On The Sunny Side Of The Street / 明るい表通り」を歌ってしまうという演出は、そんな見え透いた「あざとさ」云々よりも、素直に嬉しくなっても許される気がしたほどです (^^;

しかし、安子=上白石萌音にとっての物語は全くの非情な展開で、夫=松村北斗の戦死、そして義母から疎まれ、娘と二人で家を出たものの、ある事故から再び嫁ぎ先に戻ったところから、義弟との再婚話の縺れ、米軍将校との交際、おまけに実兄が和菓子屋再建の資金を持ち逃げする等々の不幸の連鎖があり……。

つまりは決して、これまでの朝ドラ定番であった、健気な女性の明るいサクセスストーリーでは無いという展開が、サイケおやじには納得の演出に繋がっているわけで、ついに本日は運良く、お昼時にオンタイムの放送に接して絶句!

懸命に生きて来たはずの安子=上白石萌音が、とうとう愛娘にも嫌われ、「アイ・ヘイト・ユー」とまで言い放たれてしまったのですから、救いがありません……。

未見の皆様には、このシーンだけというよりも、これまでのドラマ展開があってこその衝撃ですから、その事だけは書かせていただきとうございます。

ということで、実は本題にすべきであった「NHKラジオ英語講座」は、戦後期の放送のテーマ曲が、日本人ならば誰もが知っていた「証城寺の狸囃子」を替歌にしての「カムカムエヴリバディ」と歌ったものでしたので、今回のドラマの題名も、それに因んだものでしょう。

そして戦後に活躍した日本のジャズプレイヤーが、アドリブフレーズの中に「証城寺の狸囃子」のメロディをアダプトしていたのは、そんな影響からなんでしょうか?

それも以前からのサイケおやじの疑問のひとつだったんですが、なんとなく解決の糸口が見つかった様な気がしております。

う~ん、それにしても安子=上白石萌音が今後、明るい表通りを歩ける日が来るのか、不憫な愛娘・るいに幸せが訪れるのか……?

大いに気になってしまうのでした (^^;