OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

日本相撲協会は恥を知れ!

2007-08-31 15:23:50 | Weblog

混迷するバカ横綱・朝青龍の問題!

なんでこんなに大騒ぎになり、怒りとも呆れともつかない気分になるのか!?

それは相撲が「国技」であり、その頂点の人物が問題を起こし、さらにそれを管理する日本相撲協会が優柔不断! おまけに、そんなバカをトップに認定した横綱審議委員会が責任逃れをしているからでしょう。

私は今の日本相撲協会は「国技」を管理標榜する資格は無いと断じます!

これだけ日本国、日本国民がバカにされた事件はないでしょう。

もし相撲が「国技」じゃなく、日本相撲協会が単なるプロ格闘技興行会社だったら、国民はこんな嫌な気分にはならんでしょう。

それじゃ大相撲の伝統はどうなるのか?

これはもう、新日本相撲協会でも作って出直すのが、ひとつの方法です。

かつて日本プロレスが全盛を極めていた時、会社幹部のバカな行動に怒ったアントニオ猪木が所謂クーデターを画策して追い出され、ついでジャイアント馬場が、そうしたゴタゴタに嫌気がさして独立した事件がありました。

哀れ、日本プロレスは、その直後から下降線をたどり崩壊しています。そして猪木と馬場がプロレスをブームにしていったのは、ご存知のとおりですね。

もし今後、朝青龍が再び土俵に上がるのであれば、けっしてタダでは済まない雰囲気になっていますし、なにより日本相撲協会に対して不信感が残るでしょう。

しかし単なる興行会社になれば、八百長だろうが巡業拒否だろうが、それは会社とファンの間の問題で済みますからねぇ……。

豊真将、琴欧州、豊ノ島、栃皇山、高見盛、北桜、露鳳、安美錦、豊響……、あたりをメインで引き抜いて別会社を作っても、充分に上手くいくような気がしています。

で、残りの下種なモンゴル力士を中心に、日蒙相撲協会として活動したほうが、今の北の湖理事長には似合っているのかもしれませんね。

なんだか今日は、高砂親方の脱力記者会見を見て、こんなクダラナイ事しか書けません。

失礼致しました。

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3枚目の快演

2007-08-30 15:22:26 | Weblog

仕事場のファックスに、所謂「怪文書」ってやつが入ってきました。

しかし全く心当たりが無いので、いろいろと調べたら、送信ミスらしいです。

妙なスキャンダルめいた文章が、世の中では飛び交っているんですねぇ。あらためて人生ドロドロを痛感!

ということで、本日は――

Curtis Fuller Volume 3 (Blue Note)

どこの世界にも憎めない人は居るもんですが、カーティス・フラーもそんなひとりじゃないでしょうか。

ハスキーな音色を活かしたファンキーなフィーリングは、ハードバップのトロンボーン奏者としては超一流で、ジャズは決してテクニック偏重の音楽ではない事実を痛感させてくれます。

これはもちろん、カーティス・フラーがヘタウマという意味ではなく、メカニカルなフレーズよりはヒューマンなフィーリングを全面に出した、所謂ソウルトロンボーンの第一人者だと、私は思っています。

その実力は大変なもので、なにしろ1957年春頃にニューヨークへ出て来た直後から、ブレスティッジ、サボイ、そしてブルーノートという名門レーベルからお呼びがかかり、この年だけで7枚のリーダー盤を作っています。この時、カーティス・フラーは若干23歳!

さて、このアルバムはタイトルどおり、ブルーノートでは3枚目のリーダー盤です。

録音は1957年12月1日、メンバーはカーティス・フラー(tb)、アート・ファーマー(tp)、ソニー・クラーク(p)、ジョージ・タッカー(b)、ルイス・ヘイズ(ds) という今では夢のオールスタアズ! 特にリズム隊が魅力的ですねぇ――

A-1 Little Messenger
 ラテンリズムと4ビートが烈しく交錯するテーマからして魅力的なハードバップの快演です。初っ端から鋭くアドリプに突入していくソニー・クラークもファンキーにスイングしまくって、これがゴキゲン♪
 続くアート・ファーマーは何時もの安定感が崩れそうになるほどに熱が入っているところも珍しく、カーティス・フラーはアドリブの中に「ジェリコの戦い」のメロディを完全引用するという、憎めない十八番を披露しています。
 また重量感満点のベースで煽るジョージ・タッカーや歯切れの良いルイス・ヘイズの存在感も強く、些か荒っぽい演奏をガッチリ引き締めています。
 ちなみにこの曲はカーティス・フラーのオリジナルですが、タイトルからしてジャズメッセンジャーズへの憧れを表現しているのでしょうか? だとすれば大成功の名演だと思います。

A-2 Quantrale
 これもラテンリズムを上手く使ったカーティス・フラーのオリジナルで、哀愁と楽しさが両立したテーマメロディが、なんとも素敵です♪
 このあたりはホレス・シルバーの作風にも通じたフィーリングですから、当時、そのバンドに在籍していたアート・ファーマーがツボを押えた好演を聞かせてくれます。
 また、こういう曲調なら、俺に任せろ! というソニー・クラークが哀愁の「ソニクラ節」です♪
 そしてカーティス・フラーがハスキーな音色の魅力で迫ってきますからねぇ~♪ 全体にレイドバックな雰囲気が横溢していますが、こういうのもハードバップの魅力かと思います。
 後半で再度登場するアート・ファーマーは気合の名演!

A-3 Jeanie
 これまたカーティス・フラーのオリジナルですが、おぉ、これは明らかに有名スタンダード曲「But Not For Me」の改作じゃ~ぁ♪ こういう事を堂々とやってしまうところが憎めないんですよ。実際、大らかなテーマ吹奏だけで最高ですが、アドリブも実に朗々とした歌心の「フラー節」が全開しています。和みますねぇ~♪
 またアート・ファーマーも穏やかなジャズ魂を発揮した名演で、全てが「歌」のアドリブは見事! 何度聞いてもグッときます。
 そしてリズム隊の伴奏も素晴らしく、淡々した中にも強烈なグルーヴが感じられますし、ソニー・クラークは粘りのビアノタッチでファンキーな気分と歌心を両立させています。続くジョージ・タッカーの強靭なベースソロも良いですねぇ~~♪ これぞモダンジャズだと思います。

B-1 Carvon
 B面もカーティス・フラーのオリジナル曲でスタートしますが、アルコ弾きのベースとハスキーなトロンボーンだけで演奏される、些か陰鬱なテーマメロディは、ちょっと場の雰囲気にそぐわない感じです。う~ん、重し苦しいぞ……。
 しかしそれが終わると、ジョージ・タッカーのグイノリ4ビートウォーキングからリズム隊が入って、後はもう、カーティス・フラーが堂々のアドリブを披露していきます。
 このあたりの厳しい雰囲気は、ハードバップの新しい展開を予感させるものですし、続くアート・ファーマーがクールで熱い十八番の展開で、たまりません。
 リズム隊ではルイス・ヘイズのシンバルに緊張感が強く、ソニー・クラークはちょっと迷ったかもしれませんが、すぐにファンキーな己の道を切り開いていきます。

B-2 Two Quarters Of A Mile
 前曲とは一転して、軽やかで粋なモダンジャズの楽しさが提供されています。ミディアムテンポでスイングするリズム隊がグルーヴィ♪
 アドリブパートではカーティス・フラーが手馴れた雰囲気ですし、アート・ファーマーはミュートの妙技で和みます。
 そしてソニー・クラークが持ち前のマイナー調に粋なフィーリングを交えた快演で、最後にはちゃ~んとファンキーフレーズを聞かせてくれるあたりが、ニクイですねぇ~♪

B-3 It's Too Late Now
 オーラスはあまり有名でないスタンダード曲ですが、カーティス・フラーがリードするテーマメロディには「泣き」がたっぷり含まれ、グッと惹きつけられます。スロー&メローな雰囲気がたまりません♪
 続くソニー・クラークも情感たっぷりですし、最後を締めるアート・ファーマーは、もう薬籠中の名演でしょう♪
 メンバー全員が、しっとりとした中にも丁寧なプレイを心がけているのが伝わってくるのでした。素敵です♪

ということで、それほどの人気盤ではないかもしれませんが、聴けば納得の1枚かと思います。

メンバーの中では特にソニー・クラークが好調で、なにしろ、このセッションの1週間後には、あの超人気名盤「クール・ストラッティン(Blue Note)」を吹き込むのですから! その黒くて粋なフィーリングが存分に楽しめるのです。また同時に、そこに参加するアート・ファーマーも高得点!

ただし個人的には、このセッションにアルトかテナーのサックス奏者が加わっていたらなぁ……、なんて夢を見てしまうのも事実です。それはカーティス・フラーが後年、ベニー・ゴルソンと組んだ所謂「ゴルソンハーモニー」サウンドを知っているからでしょうか。その時、一緒にジャズテットを組んだアート・ファーマーが、ここに参加しているだけに、一層、夢の見心地が良いのでした。

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地味に輝く初リーダー盤

2007-08-29 18:06:07 | Weblog

ついにバカ横綱が故国に帰ってしまいましたね。

まあ、厄介払いでしょう。

格闘家としての価値もガタ落ち! 心技体がひとつになっていないことを自らが証明してしまったのですから! あぁ、情けなぁ~い。これでは復帰して勝ったとしても、説得力がありません。八百長の証明でもありました。

年末には、どっかのテレビ局主催の格闘技イベントに出るのかなぁ? もう芸能プロレスぐらいしか、出番は無いような……。

ここからは個人的な妄想ですが、バカ横綱にしても月末にはビジネス面で手形の決済とかあるんでしょうし、どうしても「顔」を見せなければカタがつかない部分もあるんでしょう。

協会もそのあたりの事情を理解しての処分でしょうね。

記者会見に出てきた伊勢の海親方の表情の暗さ、せつなさが印象的でした。人間、切羽詰ると、あんな悪い表情になるんですねぇ……。理事長が出ないのも???

ということで、本日は――

Breakin' It Up / Barry Harris (Argo)

バリー・ハリスはビバップの伝統を継承する優れたピアニストですが、その印象派は地味でしょう。自身のスタイルの根本となっているバド・パウエルのようなエキセントリックなところが、まず、ありません。

しかしバリー・ハリスの演奏には、なんとも言えない芳醇な香りがあります。

それは歌心の妙であり、ジェントルな雰囲気でもあり、しかし実際は頑固な意気地のような、決して忽せに出来ない芯の強さが、私にはとても魅力的です。

さて、このアルバムはバリー・ハリスが28歳の時に作った初リーダー盤♪ 録音は1958年7月31日にシカゴで行われています。それと言うのも、この名手が長らくデトロイト中心に活動していたからで、その実力は巡業してくるミュージシャンの口コミで広がってはいたのですが……。

メンバーはバリー・ハリス(p)、ウィリアム・オースチン(b)、フランク・ガント(ds) とされています――

A-1 All The Things You Are
A-2 Ornithology
A-3 Bluesy
A-4 Passport
B-1 Allen's Alley
B-2 Embraceable You
B-3 SRO
B-4 Stranger In Paradise

――1曲毎の演奏については、特に書く必要が無いほど、全篇がバリー・ハリス色に染上げられています。

それはビバップの真髄であり、またそれ以前のピアニスト、例えばアート・テイタムとかハンク・ジョーンズの影響も含んだ幅広い実力が堪能出来るわけですが、ちゃ~んとバリー・ハリスだけの歌心に満ちた演奏ばかり♪

このあたりは実際に聴いていただく他は無いのですが、特にA面ド頭の「All The Things You Are」は優しさと優雅さ、そして一抹の哀愁が漂う、このスタンダード曲の決定的な名バージョンだと思います。ミディアムスローでシミジミとした情感の表現は、しかし決してダレることのないビートの強さがあって、何度聴いても飽きません。もちろん歌心は満点♪

また早いテンポで解釈される「Ornithology」や「Allen's Alley」というビバップ代表曲では、バド・パウエルのスタイルがモロ出しになっていますが、ハンク・ジョーンズからの影響も大きいと感じます。バックでサクサクと刻まれるフランク・ガントのブラシも実に気持ち良いですねぇ~♪

それと「Bluesy」における卓越したブルース感覚も最高です。単なるドロ臭い雰囲気だけではなく、粋なフィーリングがたまりません。このあたりが後にキャノンボール・アダレイ(as) に勧誘された要因かと思われます。

ちなみにそれでニューヨークに出るのが1960年頃の話で、もちろんキャノンボールのバンドに加わるのですが、時はハードバップの爛熟時代! 当然、新展開としてジャズロックやモード手法も必要とされた演奏の現場では、見事にそれさえも消化していたバリー・ハリス! その進取の意欲は凄いものでしたが、結局はビバップ本流の演奏に戻っていきました。

そうした基本姿勢は、このアルバムでも存分に堪能出来ますが、特にオリジナル曲の「SRO」ではデューク・ジョーダン風のアプローチが聞けますし、「Embraceable You」ではモロにそれですからねぇ~♪ 全く憎めません。

つまり保守的な良いとこ取り……。

オーラスの「Stranger In Paradise」では、このスタンダード曲の持っている魅力を見事に引き出した名演を聞かせてくれるのでした。

ということで、地味ながら何時までも愛着の持てる傑作ピアノトリオ盤だと思います。特に冒頭の「All The Things You Are」は聞かずに死ねるか!

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ゴルソンハーモニーの明日はどっちだ!?

2007-08-28 17:36:22 | Weblog

昨日、今日と、メチャ忙しいです。

というか仕事が集中しているんですねぇ……。

どうして上手く分散しないのか、これが世の常・人の常ってやつでしょうか!?

どうしようもないので、本日は居直って――

Groovin' Wiht Golson / Benny Golson (New Jazz)

ベニー・ゴルソンといえば、あの3度ハーモニーが心地良い、通称「ゴルソンハーモニー」がウリなので、個人的にはソフトバップの人だと思っているのですが、否、やっぱりその本質はハードバップに有り! それを証明したのが、このアルバムです。

しかも相方に盟友のカーティス・フラーを起用しているんですから、ますます味わい深いですねぇ。

録音は1959年8月28日、メンバーはベニー・ゴルソン(ts)、カーティス・フラー(tb) 以下、レイ・ブライアント(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ブレイキー(ds) という超強力なリズム隊! 特にアート・ブレイキーの参加は、どうしてもベニー・ゴルソンが在籍していた「モーニン」時代のジャズメッセンジャーズを期待してしまう企画でしょう――

A-1 My Blues House
 ベニー・ゴルソンが書いたファンキーなブルースで、粘っこい演奏が展開されますが、その要は恐いリズム隊! アート・ブレイキーの強烈なバックビートとポール・チェンバースのブンブンベースが実に気持ち良いです。
 そしてアドリブ先発のカーティス・フラーが悠々自適のソウルトロンボーン♪ 持ち前のハスキーな音色とシンプルなフレーズの積み重ねが、否が応でもファンキーなムードを現出させています。
 もちろんベニー・ゴルソンもサブトーン気味の音色でジンワリとアドリブを始めながら、少しずつヒステリックな高音フレーズを交えて盛り上げていくところは、アート・ブレイキーのドラミングもありますから、完全にジャズメッセンジャーズ時代のノリが復活したところ!
 しかし続くレイ・ブライアントがブルースの塊のような演奏ながら、絶妙にソフトなセンスを発揮して場を引き締めています。あぁ、これは素晴らしいですねぇ~~♪
 ですからポール・チェンバースのベースソロさえも、なかなかモダンな響きに聞こえてまいります。なんかマイルス・デイビスが出てきそうな……♪ いや、これは幻想ですがっ! 如何にもモダンジャズという、雰囲気満点の演奏だと思います。
 そしてラストテーマの最後の最後で、ようやく漂うゴルソンハーモニーの妙でニンマリしてしまいます。

A-2 Drumboogie
 スイング時代から活躍する名ドラマーのジーン・クルーパーが自作自演で十八番にしているエキサイティングな名曲! それをこのメンツで演じてくれるんですから、たまりません。
 強烈なブギウギピアノでイントロを作るレイ・ブライアントからして実に楽しく、全体がグイノリの演奏ではカーティス・フラーが短くも充実したアドリブを披露しています。
 またベニー・ゴルソンがブリブリに吹きまくれば、レイ・ブラインアントは意想外のクールで洒落たスタイルを聞かせます。う~ん、もっとブギウギ系かと思ったのですが……。
 そして意外と言えば、アート・ブレイキーのドラムソロが極端な短さ! 完全に肩透かしの演奏になってしまいましたです……。否、これで正解なんでしょうねぇ……。

A-3 I Don't Know What Time It Was
 有名スタンダードを軽いタッチで演奏するところが、ゴルソン&フラーの持ち味かもしれません。ここでもリズム隊がライト感覚になっているのは、意図的なんでしょうねぇ……。
 しかしベニー・ゴルソンがアドリブに入ると状況が一変! ブリブリ&ブヒブヒに吹きまくってしまいますから、リズム隊も目が覚めたかのように重量級のグルーヴを出していきます。
 特にレイ・ブライアントのアドリブは力強さと歌心の両立が見事です。またアート・ブレイキーの大技・小技のコンビネーションも素晴らしいと思います。
 ただしテーマ吹奏がぬるま湯気味で勿体無く、カーティス・フラーも健闘していますが、ややマンネリかもしれません……。

B-1 The Stroller
 ベニー・ゴルソンが書いた激烈なアップテンポのハードバップです。もちろんアドリブ先発も作者が務め、グリグリとヒステリックに吹きまくり! 背後から襲い掛かってくるリズム隊との対決も強烈です。あぁ、このあたりはジョン・コルトレーンとは似て非なる音符過多症候群ですねぇ~。ついつい熱くなってしまいます。
 またカーティス・フラーが必死の追走! 細かいフレーズと単音の連発は、決して流麗とは言えませんが、ちょっと痙攣しそうな興奮度が高いと思います。
 そしてレイ・ブライアントが強烈な素晴らしさ! アタックが強いピアノタッチでガンガン攻め込んでいきます。
 さらに一瞬の静寂を突き破って始るポール・チェンバースのアルコ弾きは、悪趣味を逆手にとったアグレッシブなハードバップスタイルですから、これにも熱くさせられます。
 背後で煽るアート・ブレイキーはドラムソロに入ると、一層テンションが高くなります。もちろんクライマックスのソロチェンジも恐さがいっぱい!

B-2 Yesterdays
 1930年代に流行ったスタンダード曲ですから、ゴルソンハーモニーの哀愁モードは「お約束」ですが、まずレイ・ブライアントが弾くイントロが秀逸ですねぇ~♪
 そしてテーマメロディから存分に楽しめるゴルソンハーモニーの妙♪ 特にサブトーンを駆使するベニー・ゴルソンのテナーサックスは、この曲にはジャストミートでしょう。本当に和みます。
 そしてアドリブパートに入ると、あれっ、これはどっかで……? そうです、なんかベニー・ゴルソンのオリジナルに、こんな曲があったような……。ちょっと思い出せなくてイライラしていますが、実に良いですねぇ~♪
 もちろんカーティス・フラーもソフト&ブルージーな快演ですし、レイ・ブライアントが驚異的に素晴らしいですねぇ♪ 美メロのアドリブには哀愁がたっぷりです。しかも歯切れの良いピアノタッチが快感♪

ということで、何時ものゴルソン&フラーとは、ちょっと一味違った演奏が楽しめる名(迷)盤です。グッとハードバップ寄りになっているというか、アドリブ中心主義とでも申しましょうか、とにかく強靭なリズム隊の存在ゆえの成果かもしれません。

このあたりは狙ったものなんでしょうねぇ。ここにドナルド・バード(tp) でも入っていたら……、なんていう妄想もあながち不思議とは言えないでしょう。

ただし、あくまでもテナー&トロンボーンという編成に拘ったあたりにベニー・ゴルソンの意気地が感じられます。

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今日は

2007-08-27 17:58:05 | Weblog

関係者の訃報が連続して、これから通夜と弔問の掛け持ち三軒、行ってきます。

故人は皆、高齢でしたが、やはり知らせを受けると悲しいものがありますね……。

よって、本日は歌舞音曲の自粛です。

ご理解願います。

そうだ、作家の西村寿行も亡くなったそうですね……。合掌。

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ブルー・ミッチェルの擬似ジャズテット

2007-08-26 16:55:23 | Weblog

なんだか、だる~い、1日でした。

休むでもなく、中途半端に仕事の連絡とかして……。

ケイタイは罪作りだなぁ~、昔は留守電だけでOKだったのに……。

ということで、本日は――

Blue Soul / Blue Mitchell (Riverside)

決してジャズの歴史には残らないかもしれませんが、ブルー・ミッチェルが人気トランペッターだったのは、紛れも無い事実です。その楽暦ではホレス・シルバーのバンド時代が一番の輝きかもしれませんが、日常的な愛聴作品がリーダー盤に多いのも、また事実でしょう。

さて、このアルバムは名門リバーサイドでの2作目ということで、豪華メンバーによる2種類のセッションが収録されており、ひとつはブルー・ミッチェルのワンホーンカルテット、そしてもうひとつが3管編成のセクステットなのですが、これがけっこう意味深な仕上がりになった好盤♪

録音は1959年9月28日、メンバーはブルー・ミッチェル(tp)、カーティス・フラー(tb)、ジミー・ヒース(ts,arr)、ウイントン・ケリー(p)、サム・ジョーンズ(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という強力な面々に加えて、ベニー・ゴルソンがアレンジャーとして参画しています――

A-1 Minor Vamp / Sextet (Arr:Benny Golson)
 カーティス・フラーのウルトラ人気盤「ブルースエット(Savoy)」でも演じられていた、所謂ゴルソンハーモニーの名曲ですが、それをここではベニー・ゴルソンのアレンジによる3管編成に拡大しているのですから、いきなり興味津々の演奏になっています。
 つまりそれは、翌年に正式発足するゴルソン、フラー&アート・ファーマーをフロントに据えたジャズテットの予行演習!
 ここではサム・ジョーンズのウォーキングベースをイントロに、メリハリの効いたホーンアンサンブルからお馴染みのテーマメロディが流れてくるあたりは、非常にスマートでハードボイルな雰囲気がいっぱいです。
 そしてアドリブパートでは先発のブルー・ミッチェルがミュートで好演! その背後には、もちろん例のゴルソンハーモニーが付いていますし、ジミー・ヒースはプレスティッジ期のジョン・コルトレーンみたいな感じですねぇ~。さらにカーティス・フラーが素晴らしすぎる名演アドリブ♪ 擬似ジャズテットの目論見を見事に表現しています。

A-2 The Head / Sextet
 ブルー・ミッチェルが書いたゴスペル調のオリジナル曲ですから、もちろん本人のアドリブは冴え渡りです。分かり易くてノリが良いという長所がモロに楽しいですねぇ♪
 また実直に吹くまくるジミー・ヒース、弾みまくりのウイントン・ケリーも素晴らしく、3管編成といってもアドリブ中心という真正ハードバップの魅力が満喫出来ます。
 フィリー・ジョーのドラムスも実に爽快!

A-3 The Way You Look Tonight / Qrartet
 お馴染みのスタンダードをブルー・ミッチェルがアップテンポで吹きまくったカルテット演奏ですが、本当の主役はフィリー・ジョーの痛快なドラミングでしょう! あぁ、このクッションの効いたグルーヴは最高です。シンバルやハイハットとスネアのコンビーションを堪能出来る録音も素晴らしいですねぇ~♪
 またウイントン・ケリーとサム・ジョーンズの伴奏も魅力がいっぱいですから、ブルー・ミッチェルも快演を聞かせてくれるのですが、ここは完全にリズム隊の勝利だと思います。、

A-4 Park Avenue Petite / Qrartet
 これもカルテットの演奏ですが、結論から言うと、翌年に吹き込まれたジャズテットのデビュー盤で再演された哀愁の大名曲♪ それをブルー・ミッチェルが持ち前の歌心で既に演奏していたという事実だけで感動的です。
 実際、ここでの演奏は心に染み入る大名演で、このあたりの事情は、後のブルーノート盤「Down With It」で演じた日野晧正の「Alone, Alone And Alone」にも通じる、奥深いものがあります。
 いゃ~あ、それにしても、こういう曲を吹くブルー・ミッチェルは天下一品ですねぇ~~~♪

A-5 Top Shelf / Sextet (Arr:Jimmy Heath)
 これもアレンジが効いた3管編成による演奏で、その作編曲はジミー・ヒースというのがミソでしょうか? この人も作曲家として、またアレンジャーとしての評価が演奏家としてのそれよりも高いみたいですが、しかし生硬に吹きまくるテナーサックスも初期のジョン・コルトレーン風で、私は好きです。
 肝心のブルー・ミッチェルは、これも手堅い快演♪ もちろんリズム隊も素晴らしいと思います。

B-1 Waverley Street / Sextet (Arr:Jimmy Heath)
 これがまたまた素晴らしい作編曲による3管編成の演奏です。そして魅惑のテーマメロディだけ聞いているとベニー・ゴルソン!? と思いきや、ジミー・ヒースのオリジナルでした!
 あぁ、この哀愁のハードボイルドな雰囲気は、もう最高です♪ このメンバーにして、この名演奏! ジミー・ヒース、あんたは最高だ!
 もちろんアドリブパートでは粘っこいウイントン・ケリーが強烈に素晴らしく、ダークなジミー・ヒースにホノボノとしたカーティス・フラー、さらにアレンジを上手く使ったブルー・ミッチェルの各人が上手さを発揮しています。
 ただしラストテーマ部分ではテープ編集疑惑があるので、やや残念……。

B-2 Blue Soul / Qrartet
 ブルー・ミッチェルが書いたアルバムタイトル曲は、ワンホーンによるシンプルなファンキーブルースなので、フィリー・ジョー以下のリズム隊も十八番のリックを多用して演奏を盛り上げていくあたりが、良い感じです。
 もちろんブルー・ミッチェルは分かり易くて黒~いフレーズを連発していますし、ミディアムテンポでグルーヴするウイントン・ケリーの背後ではサム・ジョーンズが強烈なウォーキング♪ そのまま入るアドリブも短いながら、モダンジャズの雰囲気が横溢しています。

B-3 Polka Dots And Moonbeams / Sextet (Arr:Benny Golson)
 個人的に大好きなスタンダード曲をベニー・ゴルソンの3管アレンジで聞けるという贅沢な演奏です。カーティス・フラーの暖かい音色が実に効果的ですねぇ~♪
 ブルー・ミッチェルはテーマメロディのリードから、その変奏に近いアドリブまで安らぎモードの名演ですが、やはり背後を彩るゴルソンハーモニーのアレンジが聞きどころでしょうか。
 そして、こういうシミジミとした中にも情感たっぷりの演奏が得意なウイントン・ケリーが実力を発揮しています。

B-4 Nica's Dream / Sextet (Arr:Benny Golson)
 オーラスはブルー・ミッチェルの当時のボスだったホレス・シルバー(p) の名曲をベニー・ゴルソンがアレンジして聞かせてくれるのですから、たまりません♪
 あぁ、なんて素敵なんでしょう♪ 哀愁のテーマメロディにラテンのリズム、暖かいハーモニーと泣きのトランペット! まさにモダンジャズの魅力がいっぱいです。これはもう、ハードバップじゃなくてソフトバップですねっ!
 しかしアドリブパートではオトボケ抜きのカーティス・フラー、ミュートで迫るブルー・ミッチェルが、やや生真面目過ぎる感があります。凝ったアレンジも、やや鬱陶しいかもしれません。

ということで、なかなかの名演集だと思います。しかし1曲あたりの演奏時間が短くて物足りない雰囲気も……。これは恐らくジュークボックス用のシングル盤を作る目論見があったのかもしれません。それは翌年発足するジャズテットになって、ますます顕著になる傾向でもありますから、一概には否定出来ません。

つまり全盛期を迎えていたハードバップ~ファンキージャズを一層、大衆化しようとする企画であり、これは当時の流れでした。実際、この当時はモダンジャズのシングル盤がどっさり出回っていたのです。

しかしジャズ喫茶文化がある我国の特殊事情では、長いアドリブが至上の愛という感じですからねぇ……。このアルバムが評論家の先生方にそれほど評価されていないのも頷けますが、それはまあ、自宅で鑑賞して結果オーライの名盤という証かもしれません。

個人的には大いに気に入っています♪

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和んで楽しいエロル・ガーナー

2007-08-25 18:07:13 | Weblog

やれやれ、昨夜から仕事でバタついて、ようやく一息出来ました。こんな時は何も考えずに楽しいアルバムでも聞きませう。

ということで――

Concert By The Sea / Erroll Garner (Columbia / Jazzbeat)

ジャズの世界では説明不要という、あまりにも有名なヒット盤! これはその再発CDなんですが、ボーナストラック目当てに買ってしまったのが、サイケおやじの本音です。

演じているエロル・ガーナーという黒人ピアニストは、左手で常に4ビートを刻むという、所謂「ビハインド・ザ・ビート」と呼ばれるスタイルと、右手からの出来すぎアドリブフレーズの対比が魅力の人気者ですが、モダンジャズ創成期のビバップ時代から活動している割には、コアなモダンジャズのファンからは軽視されているようです。

つまり非常にポビュラー色が強い存在なんですねぇ~。畢生の名曲スタンダード「Misty」を自作自演でヒットさせたのも、マイナス要因かもしれませんし、バリバリのビバップ演奏者からはコケにされていたという噂もあります。

そんなところから、我国では評論家の先生も積極的には褒めないみたいですし、ジャズ喫茶でも鳴っている盤は限られています。

で、その中の1枚がライブ盤の「Concert By The Sea」です。これは大手のコロムビアで製作された事情もありましょうが、演目・演奏ともに聴き易くて楽しいという決定的な要素が強く、1956年に発売されると忽ちバカ売れしたそうです。

尤も買っていたのは白人層なんでしょうが、それゆえの粋なフィーリングとか和み感覚が、本当に秀逸な仕上がり――

☆Concert By The Sea:1955年9月19日録音

01 I'll Remember April / 四月の思い出 
02 Teach Me Tonight 
03 Mambo Carmel 
04 Autumn Leaves 
05 It's All Right With Me 
06 Red Top 
07 April In Paris 
08 They Can't Take That Away From Me 
09 How Could You Do A Thing Like That To Me? 
10 Where Or When 
11 Errol's Theme

 既に述べたようにアメリカは西海岸の海辺の町、カーメルでのライブ音源で、メンバーはエロル・ガーナー(p)、エディ・カルホーン(b)、デンジル・ベスト(ds) の鉄壁トリオ♪
 軽快な「四月の思い出」や「It's All Right With Me」では、かなりトリッキーなリックや強烈な左手の動きも聞かれますし、歌心が素敵な「Teach Me Tonight」や思わせぶりな「Autumn Leaves」には、本当に和んでしまいます。ご当地ソング的な「Mambo Carmel」もサービス満点です。
 オリジナルアナログ盤では、これらがA面に入っていて完璧な曲の流れを構成していましたが、B面はやや散漫な印象だったと思います。
 ところが、こうしてCDで連続して聞いてみると、これが侮れません。拍手が途切れなく編集されているのも高得点なんですねぇ♪
 ブルース感覚を洒脱に演じた「Red Top」とか、またまた思わせぶりに撤した「April In Paris」や「They Can't Take That Away From Me」は、一流ホテルのカクテルラウンジさながらの雰囲気に浸れます。
 また矢鱈に楽しい「How Could You Do A Thing Like That To Me ?」や「Where Or When」も捨て難いですねぇ~♪
 ということで、実に楽しい、楽し過ぎる演奏が続きますが、このあたりの感覚やノリがレッド・ガーランドやアーマッド・ジャマルに確実に受け継がれているのは、言わずもがなです。もちろん我国の菅野邦彦もそのひとり♪

さて、ここからがお目当てのボーナストラックです。

☆1963年8月20~25日録音

12 The Way You Look Tonight 
13 Happiness Is A Thing Called Joe 
14 Sweet And Lovely 
15 Mack The Knife
16 Lover Come Back To Me
17 Misty 
18 Dancing Tambourine 
19 Thanks For The Memory 

 この音源は、エロル・ガーナーの最高傑作とされる名盤「One World Concert(Reprise)」の復刻ですが、残念ながら今回も「Movin' Blues」と「Stride Out」の2曲が欠落しています。これは今までのCD復刻でも常に宿命でしたが、う~ん、マスターテープがダメになっているんでしょうか? それとも版権問題?
 しかしリマスターは過去最高で、前半の音源との違和感もありません♪
 肝心の演奏はシアトルでのライブ音源で、メンバーはエロル・ガーナー(p)、エディ・カルホーン(b)、ケリー・マーティン(ds) のレギュラートリオですから、息の合った快演!
 まず初っ端の「The Way You Look Tonight」から明るく楽しい「ガーナー節」が満喫出来ますし、カクテルムードの「Happiness Is A Thing Called Joe」や「Sweet And Lovely」でグッと盛り上がり、極めて楽しい「Mack The Knife」と「Lover Come Back」でジャズを聴く喜びは最高潮♪
 もちろんその直後に出る名曲「Misty」でスウゥ~っとエロル・ガーナーの術中に落ちて和んでしまうあたりは、全て分かっている楽しみに他なりません。もうここまでで完全降伏状態♪
 ですから、2曲の欠落も気にならないのでした。

☆オリジナル・ミスティ:1954年7月27日録音

20 Misty

 最後にこれを入れるところが、このCDのニクイところ♪ シカゴでのスタジオ録音でメンバーはエロル・ガーナー(p) 以下、Wyatt Ruther(b)、Eugene Heard(ds) とされています。
 曲については言わずもがなのムードジャズ決定版♪ ここに収録されたトラックは、もちろんモノラル仕様でリマスターも良好♪ 私には当時のオリジナルシングル盤の味わいも感じられますねぇ。何度聞いても和みます。

ということで、これは些か安直な再発盤ではありますが、リマスターも良く、デジパック仕様というのが、私には嬉しいところでした。

ちなみに現行CDのアメリカ盤はジャケットが似て非なるものですし、個人的に日本盤には、些かリマスターに納得がいかない点があります。

またオリジナルアナログ盤に関しては、まず「Concert By The Sea」はバカ売れ盤なだけに入手は比較的容易なんですが、一家に1枚的なアルバムですから、針圧の強いポータープルプレイヤーで回されまくったのでしょう、なかなか極上盤には巡り合えません。さらに「One World Concert」に至っては、完全に幻の名盤化しています。

完全に満足しているわけでは無いのですが、これはこれで嬉しい再発かと思います。

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ドアーズを憂う

2007-08-24 17:36:25 | Weblog

私の周囲には血糖値や血圧が高かったりして、一度に数種類のクスリを服用している人が大勢いますが、毎回間違えないのが不思議なほどです。

ほとんどパブロフの犬というか、彼等は医者と製薬会社のカモになっているような……。そんな疑問に捕らわれる私は、自分の健康に感謝しなければなりません。

ということで本日は――

ハートに火をつけて / ドアーズ (Elektra / 日本ビクター)

車の中で聴くために、なんて言い訳しながら、ドアーズの最新ベスト盤CDを買ったんですが、これが仰天!

「40周年記念リミックス」と命名された企画、そしてライブ映像のDVDがオマケに付いているという2枚組+1の形態は嬉しいんですが、問題は「リミックス」に有り!

かなりの曲でステレオの定位が変えられていたり、微妙な音の入れ替え、楽器やボーカルのダビングに近いようなミックスの変更までありました。

さらに愕いたのが、曲によってはピッチを上げてアップテンポの印象を強めた変更さえあります。

例えばドアーズの代表的ヒット曲「ハートに火をつけて:Light My Fire」なんか、特に顕著ですねぇ~。

ご存知のようにこの曲は、1967年に出た彼等の出世作で、日本では昭和42年の夏~秋にかけて大ヒットしていますから、誰でも一度は聞いたことがあろうかと思います。

ダンッと一撃で決まるドラムスと同時に始るバッハのようにオルガンのイントロ、ボサロック調のビートに深遠でクールなジム・モリソンのボーカルが冴えた名曲・名演です。

しかもシングル盤では間奏を大きくカットした編集バージョンでしたが、LPに入っているフルバージョンでは、オルガンとギター、そしてドラムスが渾然一体になった強烈なアドリブが陶酔感覚を刺激するという素晴らしさ♪

もちろんそれが入ったデビューアルバムも間然することの無い楽曲と演奏ばかりという、歴史的名盤です。

ただし前述したベスト盤からして、どうも今まで発売されていた彼等の諸作品が、CDでは新マスターに変えられてしまうのかも……。

う~ん、これで良いんでしょうか……? これからドアーズを聴く皆様にはOKでしょう。しかし今まで馴染んできた私のような者には、完全に???

しかもドアーズのシングル盤は、かなり編集バージョンが多いのに、それがほとんどCD化されていない現実を置き去りにしての暴挙じゃないか!?

正直、ちょっと怒りとも呆れともつかない心情になりました。

ちなみにドアーズはボーカリストで一座のスタアだったジム・モリソンが悪いクスリによって1971年7月に急逝した後、残った3人で活動を継続したのですが、結果は奮戦虚しく……。

そこで近年は過去の音源を蔵出ししたり、リミックスやリメイクに近い再発に没頭し、ファンを一喜一憂させています。

さて、本日の1枚で掲載したのは、その日本盤シングルですが、オリジナルか否かは不明です。なにしろ入手したのが昭和53(1978)年で、3枚五百円の中古セールに入っていたブツですから……。ジャケットの右下には何かのシールを剥がした痕跡も生々しい、愛着溢れる1枚です。

当然、モノラル仕様ですから、AMラジオ感覚で楽しめるのでした。

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フランス風ハードバップ

2007-08-23 15:00:41 | Weblog

やれやれ、今日からまた、家族や親戚がやってきて……。

それはそれで楽しいんですが、独り暮らしの我侭に馴れきった私としては、いや、多くは語りません。

まあ、今日は感謝知らずの私ということで、ご容赦下さい。そこで――

Modern Jazz au Club St.Germain / Bobby Jaspar (Barclay / Universal)
  

ボビー・ジャスパーはベルギー生まれの白人テナーサックス奏者で、フランスで活動した後に渡米、その直後から J.J.ジョンソン(tb) のバンドに雇われたほどの実力者です。

本場アメリカでのレコーディングでは、その J.J.ジョンソンのアルバムやウイントン・ケリー(p) の人気盤「ケリー・ブルー(Riverside)」があまりにも有名ですね。

さて、このアルバムはフランス時代のリーダー盤で、オリジナルは見たこともありませんが、同じ内容のアルバムがアメリカでも「Bobby Jasper And His Allstars (EmArcy)」として発売されているほど、素晴らしい演奏が聞かれます。

私もそれを持っているんですが、実は盤質が悪くて……。

と嘆いていたところ、数年前にユニバーサルがスタートさせた「Jazz in Paris」という再発シリーズでCD化されるという嬉しい出来事がありました。もちろん即ゲットして聴いてみると、これがリマスターも素晴らしい♪

録音は1955年12月27&29日、メンバーはボビー・ジャスパー(ts,fl) 以下、Rene Urtreger(p)、Sacha Destel(g)、Benoit Quersin(b)、jean-Louis Viale(ds) という実力派が揃っています――

01 Bag's Groove
 ミトル・ジャクソンが書いた、今やモダンジャズの定番演目になっているブルースで、ここでは、リズム隊が阿吽の呼吸で作りだしたイントロから素晴らしい演奏が楽しめます。
 テーマ部分のアンニュイな雰囲気は、如何にもパリという感じ♪ そしてアドリブ先発の Sacha Destel が、なかなか粋なギターを披露すれば、ボビー・ジャスパーはスタン・ゲッツ~ズート・シムズ系のスカスカな音色と流麗なフレーズで、思わせぶりなアドリブを演じます。
 また Rene Urtreger を中心としたリズム隊が、かなり黒っぽい雰囲気も醸し出しているのが要注意でしょうか。ミディアムテンポながら、けっしてダレないグルーヴが凄いと思います。

02 Memory Of Dick
 アメリカから巡業中にパリで客死したピアニストのディック・ツワーディックに捧げられたボビー・ジャスパーのオリジナル曲ということで、快適なテンポの演奏ながら、どこか胸が締めつけられるような哀しみがこめられた名曲・名演になっています。
 もちろんアドリブパートも秀逸で、「泣き」のフレーズばっかり弾く Rene Urtreger、せつないフレーズとブルーな音色のボビー・ジャスパーは、もう最高です!
 このアルバムの中でも、特に優れた演奏でしょう。必聴!

03 Milestones
 マイルス・デイビスが書いたビバップ曲で、もちろんモードの代表曲「Milestones」とは違います。
 とは言え、ここでの演奏はビバップのエキセントリックなところは無く、むしろソフトでスマートな印象に撤しています。なにしろボビー・ジャスパーのテナーサックスは、モロにスタン・ゲッツになっていますからねぇ~♪ こういうの、私は好きです♪
 しかし Rene Urtreger のビアノは厳しいですねぇ。ですから Sacha Destel も気が抜けない雰囲気で、結果オーライだと思います。

04 Minor Drops
 アップテンポのハードバップ曲で、初っ端から快調なアドリブを披露するボビー・ジャスパーが、たまりません♪ Sacha Destel のギターもエッジ鋭くドライブしていますし、リズム隊も当時の欧州勢にしては相等に派手だと思います。
 これがルディ・ヴァン・ゲルダーあたりの録音だと、もっと強烈な印象になったかもしれません。

05 I'll Remember April / 四月の思い出
 お待ちかね、ボビー・ジャスパーのフルートが楽しめる演奏です。粋なアレンジが効いたジェントルな雰囲気は、全くフランスのバンドらしいなぁ~♪ と独り納得しています。
 Sacha Destel の「らしい」伴奏もたまりませんし、アドリブソロも決して雄弁ではありませんが、惹きつけられるものが確かにあります。

06 You Steppde Out Of A Dream
 アップテンポの演奏ですが、抑制の効いたボビー・ジャスパーに対して、やっぱり熱くなってしまった Sacha Destel が憎めない存在感♪ もちろんボビー・ジャスパーはスタン・ゲッツ直系のスタイルで歌心を追求していますが、リズム隊との相性もイマイチで残念……。 

07 I Can't Get Started
 前曲での汚名挽回か!? と思わざるをえないボビー・ジャスパーの快演が楽しめます。それはソフトな音色と歌心に満ちたスローな演奏で、お馴染みのテーマメロディが柔らかに変奏されるという匠の技♪
 控えめな助演に撤する Rene Urtreger のビアノも「味」の世界で、ちょっとジョン・ルイスしているあたりに好感が持てます。
 それと Sacha Destel が歌心たっぷりのアドリブで最高♪
 先日ご紹介した「Grand Encounter」との聞き比べも、一興だと思います。

08 A Night In Tunisia
 オーラスはエキサイティングなハードバップ大会! ラテンリズムを駆使したテーマ演奏からスリル満点のブレイクと続くあたりは、本場アメリカの演奏に追いつけ・追い越せという雰囲気があって、非常に良い感じです。
 ボビー・ジャスパーは独自の個性を滲ませていますし、Sacha Destel が、これまた熱い! 正直、スタン・ゲッツ&ジミー・レイニーのスタイルを模倣しているんでしょうが、かなりハードバップ寄りの演奏に聞こえるのが時代を象徴しているようです。

ということで、黒人ジャズがお好みの皆様には明らかに薄味でしょうし、米国西海岸派マニアにはスマートさが足りない仕上がりかもしれません。しかし異国のハードバップというか、私にはフランス独特の味わいが感じられて気に入った演奏です。

このあたりは録音の按配にも要因があるんじゃないでしょうか? 既に述べたようにルディ・ヴァン・ゲルダーが録っていたら、別の印象になったのは明らかだと思います。

全体的にはカッコイイという意味でのクール♪

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クールの和みと厳しさ

2007-08-22 16:05:10 | Weblog

また最近、物欲に苦しめられています。

まあ、私の場合、それがレコードやCD、DVDあたりなんで可愛いもんなのでしょうが……。それでもねぇ~。

そして一番いけないのは、買ってしまうと安心して、それらを楽しもうとしない性癖です。シールドを破るのが恐いというか、抵抗があるというか、決してオークションに出して儲けようなんて魂胆はないのになぁ……。

ならば保存用と鑑賞用の2セット買えばいいだろう!

なんていう悪魔の囁きが、また恐いのでした……。

ということで――

Intuition / Lennie Tristano & Warne Marsh (Capitol)
 

ジャズは楽しいもんですが、中には楽しくないのに「感じる」演奏というのが、確かにあります。

例えばレニー・トリスターノ派の連中が演じるジャズは、その代表かもしれません。所謂「クール」と呼ばれ、ビバップを白人的に解釈して云々と言われているものですが、その実態は4ビートでありながら、ジャズ独特のウネリやネバリが無く、つまり黒人っぽさを排除しつつも、非常にテンションが高い緊張感のある演奏です。

そして起伏の少ないメロディラインはテーマとアドリブに共通しており、しかし自分達だけのルールでシンコペイトしまくるノリは、中毒症状さえ招く強烈なアクが魅力です。

さて、本日の1枚は、レニー・トリスターノが中心となったキャピトル録音と弟子のウォーン・マーシュが盟友達と新たな展開を聞かせたインペリアル録音を纏めたCDですが、特筆すべきは後者の音源からステレオ&モノラル仕様で異なる音源を収めていることです――

☆1956年10月3&11日録音

01 Smog Eyes (1956年10月3日録音)
02 Ear Conditioning (1956年10月3日録音)
03 Lover Man (1956年10月3日録音)
04 Quintessence (1956年10月3日録音)
05 Jazz Of Two Cities (1956年10月11日録音)
06 Dixie's Dilemma (1956年10月11日録音)
07 Tschaikovsky's Opus #42 Third Movement (1956年10月11日録音)
08 I Never Knew (1956年10月11日録音)

 以上の8曲はステレオバージョンで、本来は「Winds Of Marsh / Warne Marsh (Imperial 12013)」として発売されていたものですが、元々はモノラル仕様のLP「Jazz Of Two Cities (Imperial 9027)」として出ていたもので、そのうち数曲がバージョンあるいはテイク違いになっています。
 メンバーはウォーン・マーシュ(ts)、テッド・ブラウン(ts)、ロニー・ボール(p)、ジョージ・タッカー(b)、ジェフ・モートン(ds) ですが、ひとりだけ畑違いというジョージ・タッカーの強靭なベースが、このセッションを成功に導いているのかもしれません。
 演奏はほとんどリズムマシーン的なドラムスとベースの4ビートが基礎となり、刺激的な伴奏をつけるロニー・ボール、極めて似たスタイルのウォーン・マーシュとテッド・ブラウンのテナーサックスが、アドリブソロはもちろんのこと、テーマの吹奏やキメのリフに独自の流麗なフレーズと緩急自在のノリを披露するという展開です。
 この2人のテナーサックスの絡みと対比が、まず一番の魅力かもしれません。その似て非なる個性は、ウォーン・マーシュが神経質に細い音色と跳躍の烈しいフニャフニャフレーズなのに対し、テッド・ブラウンはレスター・ヤング直系のノリと和み系のフレーズで、トリスターノ派独特のスタイルを追求しています。音色も暖かいですねぇ。
 ちなみにここでウォーン・マーシュがアドリブの先発をとっているのが「Smog Eyes」「Jazz Of Two Cities」「I Never Knew」の3曲だと、私は思い込んでいますが、これは皆様が実際に聴いて判断されるのが一番でしょう。
 肝心の演目では、早いテンポで鋭いテンションのぶつかり合いが快感という「Smog Eyes」「Ear Conditioning」「Jazz Of Two Cities」、和みのスイングが楽しい「Quintessence」と烈しい「I Never Knew」、変態テーマメロディの「Dixie's Dilemma」、さらにスローな歌物で摩訶不思議な歌心を堪能させる「Lover Man」と駄演は全くありません。
 気になる「Tschaikovsky's Opus #42 Third Movement」はアンニュイな雰囲気に満ちた、これまたクセになる名演ですから、たまりませんねぇ♪
 そしてロニー・ボールのピアノが、なかなか味な存在で、鋭いツッコミの伴奏に歯切れの良いアドリブソロ! 非常に素晴らしいスパイスの役割を果たしています。

09 Ear Conditioning / mono (1956年10月3日録音)
10 Lover Man / mono (1956年10月3日録音)
11 Jazz Of Two Cities / mono (1956年10月11日録音)
12 I Never Knew / mono (1956年10月11日録音)

 さて、前述したモノラル仕様での違いは、「Jazz Of Two Cities」と「I Never Knew」が完全な別テイク! 出来は甲乙つけがたいので、これは十人十色の好みになるでしょうが、私的にはステレオバージョンが気に入っています。
 また「Ear Conditioning」は二番手で登場するウォーン・マーシュのアドリブソロが異なり、ステレオバージョンでは出だしがヘタレ気味でしたが、ここだけ差し替えられたモノラルバージョンではグッとテンションの高い展開を聞かせてくれます。ただし編集の継ぎ目がわかっちゃいますが……。
 それと「Lover Man」もピアノソロが入れ替えられています。

☆1949年3&5月録音

13 Wow (1949年3月4日録音)
14 Crosscurrent (1949年3月4日録音)
15 Yesterdays (1949年3月14日録音)
16 Marionette (1949年5月16日録音)
17 Sax Of A Kind (1949年5月16日録音)
18 Intuition (1949年5月16日録音)
19 Digression (1949年5月16日録音)

 以上はレニー・トリスターノをリーダーとしたセッションで、黒人が編み出したビバップに白人的な想像力を加味した演奏になっています。
 メンバーはリー・コニッツ(as)、ウォーン・マーシュ(ts)、レニー・トリスターノ(p)、ビリー・バウアー(g)、Arnold Fishkin(b)、デンジル・ベスト(ds)、Harold Granowsky(ds) とされています。
 その演奏は、もちろん時代的にSPフォームなので3分前後の短いものですが、内容は現在でも過激と言って良いでしょう。特に「Intuition」と「Digression」は一種のフリージャズですから、後者はリアルタイムでは発売されず、この一連の演奏がLPに纏められた時に初出となったほどです!
 また「Wow」と「Crosscurrent」はテンションが高すぎて聴けばグッタリと疲れる演奏ですが、そのスリルと快感は強烈です。突き詰めたクールスタイルの完成形とも言える「Sax Of A Kind」も、言葉を失うほどに厳しい展開が聞かれます。
 ですから、アルバム前半のウォーン・マーシュ&テッド・ブラウンのセッションが、どれほど和んでいたか痛感させられるのです。まあ、こんなレニー・トリスターノのガチンコスタイルは、長続きしないのが納得出来ますねぇ。それゆえに輝きが、一層、眩しいのですが……。

ということで、これはひとりで聞いて密かに悦に入るというアルバムかもしれません。後半のレニー・トリスターノのセッション音源なんか、ちょっと日常的には聴くのがシンドイところ……。暗いジャズ喫茶で瞑目し、大音量でその厳しさを浴びてこそ、快感に繋がる演奏かもしれません。

しかし前半は、名盤と認定されている「Jazz Of Two Cities」の全てを楽しむことが出来ますから、オススメです。クールだとかトリスターノ派だとかの括りを別にして素直に楽しめる演奏ですし、その独特のスタイルは、一端虜になると抜け出せない魅力があるのでした。

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