OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジャズに帰る

2006-09-30 18:16:06 | Weblog

実家で本やCDの整理をしていたら、アッ、こんなん買っていたという遭遇の繰り返しで、なかなか作業が進みませんでした。

つい、読んだり聴いたりしてしまうんですねっ。

そして久々に聴いた1枚が――

Gift / Stephen Keogh, Bill Charlap, Louis Stewart, Mark Hodgson (Ashbrown)

ヒネクレテ屈折している私ですが、王道とか正統派というノリは、やっぱり好きです。

最近のジャズピアニストではビル・チャーラップという白人の若手がピカイチ♪ 全くの正統派で一寸聴くと没個性派のようでいて、素直なメロディ感覚とノリがジワジワと効いてくるタイプです。

つまり誰の真似でも無いんですねぇ~♪ していあげればハンク・ジョーンズ派でしょうか。

で、このCDは多分ブレイクする以前の録音でしょう。入手したのも4年ほど前で、どうやら2000年に製作されていたようで、私は店頭で鳴っていたのを気に入って買ったんです。

メンバーはビル・チャーラップ(p)、ルイス・スチュアート(g)、Mark Hodgson(b)、Stephen Keogh(ds) です。そして発売レーベルは Ashbrown Productions となっており、しかも仕事のブッキングの連絡電話番号やメールアドレスも入っているところから、どうも所属エージェントのプロモーション色が強いアルバムです。

しかし内容は素晴らしいです♪ 演目も最高――

01 Line For Lyons
 ジェリー・マリンガン(bs) が書いた穏やかな名曲を、まずルイス・スチュアートがリードしてテーマメロディの素晴らしさを提示した後、Mark Hodgson の地味なペースソロがペースを設定、そしてビル・チャーラップが何の衒いも無いアドリブを聴かせてくれますから、ここで気分は完全にジャズモードにどっぷりです。
 Stephen Keogh のブラシも最高の上手さですし、ルイス・スチュアートはジム・ホールとジミー・レイニーの中間を行く、本当に好ましいスタイルです。
 あぁ、この1曲を聴いて何も感じなかったら、その人はジャズを聴くフィーリングに欠けていると、私は断じます。しかし、そんな偏見に満ちた心を和ませてくれるのが、この演奏です。
 終盤は4人の絡みとドラムスのやりとりがありますが、気負っていないところが凄いし、5分26秒目でグワァ~ンとくるビル・チャーラップのピアノは最高♪ そして Stephen Keogh のドラムスは上手過ぎます!

02 Stairway To The Stars
 お馴染みのスタンダードが王道のスローテンポで、じっくりと演奏されますが、全くダレ無い素晴らしさです。
 全体がピアノとギターに限り無く近いデュオで、こういう趣向では主役2人のメロディ美学が全開ですねぇ~♪ 無駄なフレーズ、音使いがひとつも無いんですよ。当に至福の時が流れます。

03 Curtains
 これもジェリー・マリガンが書いたモード系の名曲で、ビル・チャーラップは当時、この人のバンドで働いていたと言われています。
 ここでの演奏はピル・チャーラップのピアノをメインにしたトリオ編成なので、ややビル・エバンスに成りかかっていますが、ハッと気づいてハービー・ハンコックになるあたりが、憎めません。
 う~ん、それにしても Stephen Keogh のドラムスは本当に良いですねっ! 決して派手じゃないんですが、要所でスタタタッと決めるブラシの鮮やかさ! 写真を見ると中堅という雰囲気ですが、こういう隠れ名手が聴けたのも望外の幸せです。
 お目当てのビル・チャーラップは、ディープなコード使いが、ちっとも難しく聞こえないという美メロの洪水です。リズムに対するノリも抜群♪

04 Yardbird Suite
 これもピアノトリオの演奏でビバップの名曲に果敢に挑戦したというよりも、余裕たっぷりの快演です。
 ビル・チャーラップはハキハキしたタッチで王道のノリながら、甘さに流れませんし、Mark Hodgson のベースもズバリと核心を突いています。
 そしてここでも Stephen Keogh のドラムスが素晴らしさの極致で、そのブラシで生み出されるグルーヴだけ聴いていても大満足です。
 本当に気持ち良いんですよっ♪

05 Blue Lights
 力強い Mark Hodgson のベースがリードするハードバップで、ここでの主役はルイス・スチュアートのギターです。
 曲はジジ・グライスが書いた哀愁の変則ブルースですが、ルイス・スチュアートは殊更にそれを意識せず、自分に素直というか、白でも黒でも無い、流石はベテランの味を聴かせてくれます。
 また軋みを聞かせる Mark Hodgson のベースソロもソツが無く、さらにステックで重いビートを叩き出す Stephen Keogh のドラムスが強力です。
 ちなみにビル・チャーラップはお休みなのが残念……。

06 What's New
 これもお馴染みのスタンダード曲ですが、ビル・チャーラップはサラリとテーマを提示し、ルイス・スチュアートも同様のノリを聞かせるので、何気無い演奏と言えばそれまでなんですが、Mark Hodgson のヘヴィなベースがミソです。
 それは自然体で王道ジャズに取り組むバンドの基本がしっかりしていて、決してレストランとかホテルのラウンジで営業をやっている雰囲気ではありません。
 しかし同時に和み感覚も存分にあるという、真の実力者達の集りが証明された演奏だと思います。

07 Yesterdays
 これも有名スタンダードながら、まずルイス・スチュアートが無伴奏ギターソロでテーマを変奏してくれますから、緊張があります。しかもそこに、ビル・チャーラップが本当に上手く滑り込んできます♪
 そしてバンド全員の演奏になると、これも前曲「What's New」同様の力強く和むという、出来そうで出来ない匠の技を堪能させてくれるのです。
 溢れる美メロのアドリブを一層輝かしいものにするペースとドラムスのコンビネーションも非の打ち所が無く、あぁ、こんなに素直にジャズの虜になっていいのかしら……、という素晴らしさです。

08 The Song Is You
 オーラスはモダンジャズで必須のスタンダード曲を、こちらの望むようにアップテンポで料理してくれるのですから、たまりません。
 例によって Stephen Keogh のドラムスは快適そのもの♪ Mark Hodgson のベースもウネリまくりです。
 もちろん先発でアドリブソロに突入するルイス・スチュアートの早弾きも強烈ですし、ビル・チャーラップの伴奏コードは、かなり烈しいものを含んでいます。当然、アドリブソロではハードな一面を披露し、やや自分を見失う瞬間も散見されますが、そこは若気の至りで、憎めません。つまり、最高!

ということで、現在では入手が難しいブツかもしれませんが、ビル・チャーラップのファンはもとより、全てのジャズファンは、これを見つけたら即ゲットして間違いありません!

そして実は最近、ジャズモードから離れつつあった私は、今日これを聴いて、再びジャズの素晴らしさに覚醒したというわけです。

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演歌ソウルだぜっ!

2006-09-29 18:12:51 | Weblog

完全に開き直って、好きなの聴きの私です。

そして昨日のソウル路線を継承して、本日は――

Haaah ! / 和田アキ子 1968 - 2003 (テイチク)

我国歌謡曲界のレディソウルといえば、和田アキ子ですね♪

デビュー当時は全くの異端だった彼女も、今や芸能界の大御所ですが、それは彼女の喋りの上手さとかキャラが立っていたからでしょう。

本業の歌の実力は、決定的な名曲「あの鐘をならすのはあなた」で賞を総なめにした時点で決まってしまったのが、逆に災いしていると感じます。

何故ならば、彼女が出すシングル曲のほとんどが、何の脈絡も無く、ただ場当たり的に製作されていたからです。それは本日ご紹介のCDボックスを聴けば、悲しいほどに実感出来てしまいます。

これはCD10枚組で、彼女が発売したシングル盤AB面曲が年代順に入っていて、さらに今では廃盤になっているライブ盤からの音源やカラオケまでもが収められていますが、私はどちらかというと、初期から中期が好きなので、偏った聴き方になっています。

例えばデビュー曲「星空の孤独」はモロにライチャイス・ブラザースをひとりでやった感じですし、そのB面だった「バイバイアダム」は完全に「マーシー・マーシー・マーシー」のパクリですが、その黒い雰囲気は、当時の歌謡界ではウルトラ級の本格派でした。

そして2作目で大ヒットの「どしゃぶりの雨の中で」は、私が大好きなR&B演歌の傑作ですし、続く「その時わたしに何が起ったの?」はブラス&ストリングが豪華に鳴り響く、当時の王道歌謡ポップの名曲です。もちろん黒~いですよっ♪

こういうヒット曲が出た後の彼女は、「笑って許して」とか「さすらいのブルース」さらに「あの鐘~」で女性シンガーのトップに君臨するわけですが、ご存知のとおり、当時の歌謡界はアイドル全盛期でしたから、あくまでも「歌」だけで勝負出来るほど甘い世界ではなく、和田アキ子はバラエティの世界で大輪の花を咲かせてしまうのでした。

それが良かったのか、悪かったのか、結果論に過ぎませんが、少なくとも「歌」の世界では名曲・名唱を今日まで沢山残しています。

その中で特に私が好きなのが激烈R&Bの「古い日記」やフィリーソウル歌謡の「見えない世界」、そして泣きの歌謡ソウル「もっと自由に」です♪ いずれも黒いコブシと力み、鉄壁のアレンジが完全に融合した傑作で、今聞いても、全然古くありませんねぇ~。

尤もこんなに歌いこなせる人がいるか、という問題がありますが♪

他にも隠れ名曲がどっさりあるんですが、悲しいかな、どうしようもない惰性の演歌曲があるのも、事実です。なんでかなぁ~、と今更ながらに???の気分です。

まあ、製作側とすれば大人の味を狙ったんでしょうねぇ……。

しかしこのボックスの魅力はライブ音源にもあります。

まず1970年8月のライブでは、若さにまかせて歌いまくるイキの良さが魅力です。スタジオ録音では丁寧に歌っていた「その時わたしに~」の豪快なノリ、「どしゃぶりの雨の中で」のコブシ回しのイナセな雰囲気、低音で迫る「星空の孤独」の堂々たる歌いっぷりは最高です。バックバンドの演奏が、完全に彼女に引張られているのが分かるほどですから♪

またジェームス・ブラウンの「パパのニューバック」なんて、英語の発音が完全に耳で覚えたノリで、なかなか素晴らしいです。そしてここでもバンドが彼女に引張られた和製グルーヴの大嵐が、憎めないところです。

そして翌年7月のライブになると、彼女の歌はますます円熟していますが、惜しむらくは演目に演歌色が強くなっています。それでも「夏の夜のサンバ」のギンギンな演奏と歌は流石です! もちろん「あの鐘~」はフィナーレですが♪

ということで、近年の彼女は「歌」でも様々な試行錯誤があるようで、迷い道ですが、ここはひとつ、デビュー当時のR&B演歌に戻っていただきたいと、強く希望しています。

「古い日記」の「ハッ」という掛声は、永遠に不滅ですよ。こんなタテノリ歌謡曲、あるもんかっ!

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気合の1枚

2006-09-28 17:03:10 | Weblog

全然ジャズモードに入れないんで、開き直って好きなの、聴いてます。

で、本日はこれ――

Aretha Franklin & King Curtis Live At Fillmore West (Rhino)

ソウルの女王様と言えば、アレサ・フランクリン!

その彼女がアメリカの白人客を相手に堂々と歌いまくったライブ盤です。

それは1971年3月、しかもバックバンドがキング・カーチス&キングピンズ、ゲストがレイ・チャールズとビリー・ブレストンという、超豪華絢爛なショウです。

これは当時所属していたレコード会社の方針として、白人層に黒人ミュージシャンのレコードを売りたいという思惑から、アレサ・フランクリンをロックの殿堂「フィルモア」に出演させて作られたものです。

こういう戦略は他に、CBSがマイルス・デイビスを同じ小屋に出演させた前例があり、苛烈な人種差別が混濁していた1970年代前半のブラックパワーを商売に結びつけた感があります。

しかし「フィルモア」のギャラだけでは、アレサ・フランクリンは出演できないため、そのステージからライブ盤を製作して破格の印税を渡す契約だったそうです。

したがってバックバンドもゲストも普段よりも豪華というわけです。

本日取上げたCDは4枚組で、3月5~7日の音源をコンプリートに収めていますが、リアルタイムでは「アレサ・ライブ・アット・フィルモアウエスト(Atlantic)」と「キング・カーチス・ライブ・アット・フィルモアウエスト(Atlantic)」の2枚が発売されました。

いずれも大名盤ですが、このコンプリート盤を聴くと、流石にベストテイクだけを選んで作り上げていることが分かります。

肝心の中身は、まずキング・カーチス(ts) 一党の演奏が強烈で、コーネル・ドュプリー(g)、ジェリー・ジェモット(b)、バーナード・パーディ(ds) を核とするリズム隊が最高級のグルーヴを生み出しています。しかもビリー・プレストンのオルガンまでもが入っているのですからっ♪

まずこのメンツを含むキングピンズのライブでは、今や歴史的名演とされている「Memphis Soul Stew」でのバンドメンバー紹介が最高のカッコ良さで、当に聴かずに死ねるか! です。

そしてアレサ・フランクリンの熱唱とバックコーラスの黒いうねりが強烈な本篇では、白人ロック曲をソウル色に染上げた演目が、もう、たまりません♪

例えばスティーヴン・スティルスの「Love The One You're With」やブレッドの「Make It With You」は、今日で言うところのフリーソウルの先駆けですし、ビートルズの「Eleanor Rigby」やサイモン&ガーファンクルの「明日にかける橋」は本家ゴスペルのグルーヴが全開です♪

このあたりは、白人の客層を殊更に意識したものでしょうが、その真っ黒なフィーリングは唯一無二の強烈さ!

さらにアレサ・フランクリンの十八番のヒット曲やレイ・チャールズを迎えてのクライマックスは、言う事無しの物凄さです。

残念ながらコンプリート盤は限定プレスのために入手が困難になっているようですが、通常流通のアレサ・フランクリンのライブ盤は、ぜひとも聴いていたたきとうございます。

       

一応画像からリンク入れてあります。

気合、入りますよ!

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永遠の愛聴盤

2006-09-27 17:51:59 | Weblog

モノ集めは周囲の理解が無いと、気持ち良く出来ません。

浪費とか場所を取るとか、そんな重圧に悩まされて今日まで来ている私ですが、一番参ったのは、バイクで事故って入院中に、妹とガールフレンドにエロ本やSM誌の山を発見されたことです。

妹にはオナニーを見つかったこともあるし、感づかれていましたけど、それでも完全に気まずい世界でした……。

まあ、若き日の笑い話でもありますが、笑って許してもらえないですね……。

ということで本日の1枚は、その頃に私が愛聴していたこれです――

オーロラの救世主 / Electric Light Orchestra (Jet)

ジェフ・リンが主導していた時期のELOが1976年秋に発表した大傑作盤です。

前述の事件はそれから2年後の事ですが、その頃でも全く飽きないで聴き続けていたという極私的名盤です。

内容は言わずもがなのビートルズ大会♪

「マジカルミステリー」前後が好きならば、一発です♪

冒頭から劇的な「タイトロープ」、泣きの「テレホンライン」、哀愁ロックの「哀愁のロッカリア」と続くA面3連発が、まず止められません♪

あっ、ここはジョンだっ! ここはポール、そしてここはジョージだぁ~♪ だと独りニコニコして至福の時間が過ぎていくのです。

このバンドは、ご存知のとおり、ムーヴというマイナーなグループが先祖でしたが、そのエッセンスをパクッたのがクイーンでした。

つまりムーヴ→クイーン→ELOという構図があるんですよ、誰も言わないけど……。

それをカミングアウトしたのが4曲目の「ミッション」です。あぁ、ビートルズ♪

B面に入ると、いきなりドゥービー・ブラザースみたいな「ソーファイン」が心地良く、しかし途中はトッド・ラングレンになるという凝り様ですから、憎めません。

そしてタイトル曲「オーロラの救世主」は、完全に我国の杉真理の世界♪ というより逆なんでしょうが、ポール・マッカトニーがアース・ウィンド&ファイヤーしたような、たまらん仕上がりです。

続く「アバヴ・ザ・クラウズ」は、もう山下達郎ですねっ♪

また次の「ドゥ・ヤ」はムーヴ時代のリメイクですが、完全にクイーンにあてつけた演奏になっています!

さらにオーラスの「シャングリ・ラ」は甘くせつないメロディとストリングスで、もう涙が止まらない世界です。

という事で、捨て曲無しのウルトラ名盤とは、この事です。

実は最近、紙ジャケ仕様でCD復刻され、ELOのCDは初めて買ったんですが、ジェフ・リン公認のマスターなんで、シビレきっています。ボーナストラックも充実していますし、なによりも紙ジャケットの作りで押し型までも復刻してあるのが、またまた涙物♪

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本日もソロピアノ

2006-09-26 17:40:31 | Weblog

今日もまた、ジャズモードに入れません。

なんとか、しなけりゃなぁ……。

でも、そんなにしてまでジャズを聴く必要が、サイケおやじにはあるのか?

と自問自答しつつ、聴いたのがこれです――

Piano Solo / Thelonious Monk (Swing / Vogue)

孤高のピアニストという呼び名が本当に相応しいのが、セロニアス・モンクでしょう。

いまでこそ、その音楽性は違和感が薄れていますが、リアルタイムの1950年代ではバリバリの前衛で、同業者ですら、その真相を理解しかねていたようです。

もちろん一般的な人気とは無縁で、吹き込んだレコードは原盤制作費すら回収出来ないほど、売れていませんでした。

しかも自分に全く関係の無いトラブルから、ニューヨークでの生演奏が出来なくなり、極貧の生活に甘んじていたそうです。

そんな中で幸運だったのは、フランス人ピアニストのアルリ・ルノーとの出会いで、この人の口利きでフランスのジャズ祭に出演できたことでしょう。ただし、ベースとドラムスが現地のミュージシャンだったこともあって、全くウケなかったそうです。

しかし、その繋がりで、このアルバムの録音が残せたのは、僥倖としか言えません。

録音は1954年6月7日のニューヨークで、パリから帰国して直ぐのことですが、当時のセロニアス・モンクはプレスティッジと契約していたのですから、そのあたりの違反行為はどうやってクリアしたのでしょう?

それはさておき、内容はソロピアノで演奏された代表作とスタンダードの計8曲入った、オリジナルは10インチ盤です――

A-1 Round About Midnight
A-2 Reflections → Evidece
A-3 Smoke Gets In Your Eyes
A-4 Well You Needn't
B-1
Porirait Of An Ermite → Reflections
B-2
Manganese → We See
B-3 Eronel
B-4 Off Minor

それが上記の演目ですが、原盤ジャケットには曲名が誤記されていますので、ここで訂正しておきます。

で、その内容は、まずド頭の「Round About Midnight」があまりにも有名なセロニアス・モンクのオリジナルながら、初めて聴くと、その拙いピアノ演奏に仰天するでしょう。もちろん意図的にやっている、と思いたいのですが、それにしても……。

実は個人的に、このアルバムはセロニアス・モンクの諸作中では後で聴いた1枚なので、特有の不協和音とかリズム外しという世界観には馴染んでいたはずなんですが……。

それは2曲目の「Evidece」でも同様で、何もここまで、しなくても??? これじゃ、ウケ無いわけだぁ、と独り納得の演奏です。

しかし3曲目の「Smoke Gets In Your Eyes / 煙が目にしみる」で、ジワジワッと心が和みます。一般にはプラターズのコーラスで有名なスタンダード曲なので、オリジナルのメロディを知っていることもありましょうが、この無限大に広がる哀愁とせつなさには、心底、良いなぁ~♪ と感涙してしまいます。

そして、これあればこそ、このアルバムが愛しいという中毒盤になるのでした。

つまり後は一気呵成というか、セロニアス・モンクの術中にはまって呻く他は無し!

B面では最初の「Reflections」が素晴らしく泣けてきますし、「Eronel」はオリジナルながら、あまり再演が無いので貴重です。もちろん不協和音の大嵐ですが♪

ということで、あまり素直に聴いたアルバムではありませんが、自身をジャズモードに持っていくためには必須という、いやはや、素直で無い自分に呆れています。

さあ、これからELOを聴こう!

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気負い無し♪

2006-09-25 17:40:08 | Weblog

本日も、なかなかジャズモードに入れません。

こういう時は、シンプルなものを聴きましょう。

ということで、これを――

Alone At Montreux / Ray Bryant (Atlantic)

A-1 Gotta Travel On 
A-2 Blues #3 / Willow Weep For Me
A-3 Cubano Chant
A-4 Rockin' Chair
A-5 After Hours
B-1 Slow Freight
B-2 Greensleeves
B-3 Little Suzie
B-4 Until It's Time For You To Go
B-5 Blues #2
B-6 Liebestraum Boogie

ハードバップの名ピアニストのひとり、レイ・ブライアントが1972年のモントルージャズ祭で演じたソロピアノのライブ盤です。

良く知られているように、この時は当初、オスカー・ピーターソン(p) の出演が予定されていたのですが、ドタキャンで急遽、レイ・ブライアントの登場になったそうです。

もちろんオスカー・ピーターソンは歴史に残る超絶技巧の持ち主ですし、その想像力=アドリブ能力も天下一品ですから、レイ・ブライアントも気合が入っていると思いきや、全く気負いが感じられない、自然体のグルーヴが心地良いかぎりです。

ここでの演奏スタイルは、演目からもご推察のとおり、ブルースやブギ、ゴスペルを主体に、ほんのちょっぴりのビバップ味を付けただけのものですが、これが、素晴らしい♪

どの曲がどうのこうの、と言う前に聴いて納得の演奏集です。

実際、やっている事はほとんど同じ手ばかりなんですが、不思議と吸いつけられてしまうのです♪ そして聴いている内に、見事にジャズモードに取り込まれていくという魔法のようなアルバムです。

ちなみにジャズ喫茶では1970年代前半の人気盤で、メチャフリーとかコルトレーンもどき、あるいは電化されすぎ演奏の次に鳴り出すと、ホッと場が和む空気に満たされたものでした。

ズバリ、シンプルで良いです♪

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復刻熱望盤

2006-09-24 18:18:57 | Weblog

秋晴れの休日なのに家に引篭もり、ロマンポルノの復刻DVDを鑑賞して過ごしてしまいました。しかし後悔していません。

ジャズも久々に落ち着いて聴きました。それが――

Ritual / The Jazz Messengers featuring Art Blakey (Pacific)

1957年に製作されたハードバップの隠れ名盤です。

わざわざ「隠れ」と書いたのは、この時期のジャズ・メッセンジャーズは誰が決めたか所謂「暗黒期」として、聴かず嫌いというか再発だって遅れ気味ですから、このアルバムを初めて聴いた時の感動と興奮は忘れられません。

録音は1957年1月14日&2月11日、メンバーはビル・ハードマン(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、サム・ドッケリー(p)、スパンキー・デブレスト(b)、そしてアート・ブレイキー(ds) という、確かにハンク・モブレー(ts) やホレス・シルバー(p) がいた時期よりも、格下のメンツになっているわけですが――

A-1 Sam's Tune (1957年1月14日録音)
 タイトルどおり、ピアニストのサム・ドッケリーが書いた躍動的なハードバップで、テーマではアート・ブレイキーのアフロなドラムスが冴えわたります。
 そしてアドリブパートでは先発のジャッキー・マクリーンが、思いっきり泣きじゃくる大名演! もうここだけで、どうしてこれが「暗黒期」なのか、完全に???です。
 さらにビル・ハードマンもスピード感に満ちた快演!
 ただしサム・ドッケリーのビアノが小粒というか、センが細い雰囲気で、リズム隊だけだとグルーヴがイマイチ足りません。
 しかし、それゆえにアート・ブレイキーが素晴らしいオカズとビートを叩きだす熱演で、孤軍奮闘するのでした。

A-2 Scotch Blues (1957年2月11日録音)
 デューク・ジョーダンが書いた哀愁の名曲の決定的な演奏です。
 幾分、心もとない音色でテーマをリードするビル・ハードマンのトランペットが、意外にも曲想に合っており、ジャッキー・マクリーンはギスギスしたブルース・フィーリングを撒き散らします。
 サム・ドッケリーもここでは健闘していますし、マーチ調のアート・ブレイキーも楽しい出来です。

A-3 Once Upon A Groove
 これもタイトルどおりにグルーヴィなハードバップになっています。
 ビル・ハードマンとジャッキー・マクリーンは盟友関係というか、息もぴったりですね♪ アドリブパートでも、それぞれがベストを尽くそうという気概が感じられます。
 親分のアート・ブレイキーも、そのあたりは心得たもので、流石のオカズと力強いビートで全面バックアップ! もちろんクライマックスは爆発的なドラムソロです。

B-1 Ritual
 アート・ブレイキーのドラムソロがたっぶりと!
 一応、ホーンのリフがちょっぴり入りますが、どうやら全員が打楽器を持たされて演奏に参加しているようです。
 つまり後年、このバンドのウリになる「A Night In Tunisia / チュニジアの夜」の演奏で延々と聴かれる打楽器アンサンブルの前例のひとつです。10分近い演奏ですが、けっこう飽きないで聴けるのが不思議というか、流石です。

B-2 Touche
 マル・ウォルドロン(p) が書いた、これも哀愁のハードバップです。テーマの途中でワルツテンポになるのがミソでしょうか、ここではタッチの弱いサム・ドッケリーのピアノも気になりません。
 またジャッキー・マクリーンが、ここでも絶好調♪

B-3 Wake Up
 オーラスは叩きつけるような烈しいハードバップで、初っ端からアート・ブレイキーが熱く燃え、ジャッキー・マクリーンは激情を爆発させています。
 またビル・ハードマンも負けじと奮闘し、ケニー・ドーハムを想起させるような快演を披露すれば、サム・ドッケリーはホレス・シルバーもどきのグルーヴを発散させる大健闘です。
 そしてもちろん、クライマックスは親分のドラムソロですが、これがホーン隊が上手く呼応してラストテーマに入るという、非常にバランスの良い演奏になっているのでした。

ということで、ジャズメッセンジャーズとしても快演盤のひとつ♪ として良いと思うのですが……。

ちなみに発売元が珍しくもパシフィックになっているのは、当時契約していたコロムビアがチェット・ベイカー(tp) のマスターと交換したからだと、言われています。
 
それゆえに権利関係が複雑なんでしょうか? 一時、CD化されていたような記憶もあるのですが、現在は聴くことが叶わないようです。復刻熱望!

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素敵な和物サントラ

2006-09-23 19:36:26 | Weblog

またまた年末に向けて強烈な復刻物の大嵐です。

その中でザ・フーのボックスが発売中止になったのには、正直、ホッとしています。なにせ5万円以上するブツでしたから……。

ということで、本日は復刻の和物を――

やさぐれ姐御伝 / 総括リンチ (ウルトラ・ヴァイヴ)

今や私の心の支えとまでなっている、ホットワックス編集による邦画サントラ復刻CDの最新盤です。

今回は池玲子、杉本美樹、サンドラ・ジュリアン、片山由美子という、1970年代前半の東映を彩った女優さん達が主演した作品の中から、グッと感動のトラックを集めてくれました。

もちろん全てフィルム音源を使用していますので、モノラル仕様ですが、それがまた、たまりませんねぇ~♪ ジャケットは傑作「前科おんな・殺し節」のスチールを加工しています――

01 ふうてんぐらし / 唄:池玲子 
02 やさぐれ姐御伝 総括リンチ M-6B / 音楽:鏑木創 
03 不良姐御伝 猪の鹿お蝶 M-4 / 音楽:荒木一郎
04 ふうてんぐらしpart.2 / 唄:池玲子 
05 前科おんな 殺し節 M-12 / 音楽:八木正生 
06 徳川セックス禁止令 色情大名 C-2 / 音楽:荒木一郎 
07 ジュテームはさよならの始まり / 唄:サンドラ・ジュリアン 
08 女番長 タイマン勝負 M-6 / 音楽:広瀬健次郎 
09 温泉みみず芸者テーマ / 音楽:鏑木創 
10 やさぐれ姐御伝 総括リンチ M-34B / 音楽:鏑木創
11 お蝶のブルース / 唄:池玲子 
12 現代ポルノ伝 先天性淫婦 M-9 / 音楽:鏑木創
13 やさぐれ姐御伝 総括リンチ M-6C / 音楽:鏑木創
14 女番長ブルース主題歌 唄:八田富子 
15 不良姐御伝 猪の鹿お蝶 M-21 / 音楽:荒木一郎 
16 エロ将軍と二十一人の愛妾 M-19 / 音楽:伊部晴美 
17 女番長ブルース主題歌(カラオケ) 
18 お蝶のブルース(カラオケ)
 

まず「01」「04」で2バージョン入っている「ふうてんぐらし」は、池玲子の湿っぽい雰囲気が存分に発揮された不貞腐れの演歌節です。前述した「前科おんな・殺し節」に使用されたもので、もちろん今回が初パッケージ化という幻の名曲でした。

一転して「02」は蠢くベースにワウワウのエレキギター、ハイハットが激烈なドラムスが炸裂する大ファンクロック! ミュートトランペットも鋭く、フルートは神秘的で、こんな変幻自在のスコアを書いた鏑木創は、本当に偉い人だと思います。

そして「03」の荒木一郎も負けじと凄く、完全に和のテイストからラテンフュージョンに持っていく荒業が強烈です。曲は「Fly Me To The Moon」を歌謡曲で煮〆したような琴線にふれるものですし、ガットギターのアドリブソロが最高ですね。ブラスとパーカッションのスパイスも効いていますし、ストリングスのアレンジも流石です。「15」の別バージョンも素敵♪

さらに「05」もジャズテイストが強い快適なインストで、生ピアノがセルジオ・メンデス風なのが泣かせます。

「06」は荒木一郎が十八番のボサノバ歌謡♪ ストリングスのアレンジも最高に昭和40年代していて、私なぞは落涙です。これが時代劇ポルノのサントラとは思えないでしょう♪ その作品の主役として欧州から呼ばれた女優のサンドラ・ジュリアンが歌った「07」も素晴らしくローファイなボサノバ歌謡曲で、彼女の日本語が魅力的です。ちなみに、デジパック仕様のCDの中ジャケでは彼女の美しいヌードが拝めます♪

ところがそんな甘いムードをブッ飛ばすのが「08」のニューロック大会です。ジミヘン風のギターにチープなサックス、ドカドカ煩いドラムスが憎めません。

そして、またまた雰囲気がガラッと変わるのが「09」の、パヤパヤコーラス♪ 8ビートのイナタイ部分が♪

さらにそのノリを受け継いだのが「10」の擬似フュージョンで、全体に失速しそうになったり、ふらついたりという演奏は笑えますが、実は計算づくじゃないでしょうか? 鏑木創ですからねぇ♪

「12」と「13」も強烈なファンクフュージョンで、間違えて歌謡曲をやってしまった雰囲気が最高です。特に後者は烈しい4ビートとフリーが交錯して、一瞬、キング・クリムゾンになりかかっています。

さて「11」は再び、池玲子の歌ですが、湿っぽさが出過ぎたようで??? それよりも「14」がレコードと歌詞もアレンジも違う別バージョンなのが嬉しいところでした♪ この2曲のカラオケが入っているのにもニヤリとさせられます。

そして「16」のシンミリモードで、余韻を残すという上手い編集が良いですねぇ♪

ということで、私のような者には車の中で必須のアイテムです。願わくば映画本編の国内DVD復刻を願っています。

と、まあ、完全に散財モードに入っている私ではありますが……。

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本場の恐さ

2006-09-22 17:47:25 | Weblog

爽やかな日本晴れというしかない、1日でした。

頼んでいたDVDやCDもドカッと届き、ふっふっふ、楽しい週末になりそうです。なにより出張が延期になったのが嬉しい♪

ということで、本日の1枚は――

Mainstream 1958 (Savoy)

ジャズは狭い世界です。

楽器が上手くて、しかもアドリブという創造性を要求され、さらにそこに個性が必要とされますから、本場ニューヨークで活躍し、録音を残せる者は、ほんの一握りというわけです。

だから何時も似たようなメンツで仕事をすることになるので、そこに新参者が入ってくると、否が応でも目だってしまいます。もちろんそれは生ライブでもレコーディング・セッションでも同じです。

本日の主役、ウィルバー・ハーディンというトランペッターはデトロイト周辺で活動していたらしいのですが、フルューゲルホーンの名手としては定評があり、トミー・フラナガンやジョン・コルトレーンの勧めでニューヨークに出てきたのが、1958年3月頃だとされています。

そして忽ちレコーディングのチャンスに恵まれるのですが、やや精神的に問題があった人らしく、9月頃にはニューヨークを去り、療養生活の後に消息不明になっています。

しかし残された録音や発売されたアルバムには、上昇期のジョン・コルトレーン、あるいは名盤請負人として活躍していたトミー・フラナガンが参加しているものばかり♪ 実はそういうジャズの偉人達の隠れ名演として、ウィルバー・ハーディンの諸作が知られている側面も無視出来ません。

このアルバムは、そうした中の最初の1枚で、録音は1958年3月13日、メンバーはウィルバー・ハーディン(flh)、ジョン・コルトレーン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ダク・ワトキンス(b)、ルイス・ヘイズ(ds) という強力クインテット♪ 演目は全てウィルバー・ハーディンのオリジナルです――

A-1 Wells Fargo
 ルイス・ヘイズのタイトなドラムスに導かれて始まるミディアムテンポのハードバップです。
 テーマのサビではハスキーで柔らかなウィルバー・ハーディンのフルューゲルホーンとハードなジョン・コルトレーンのテナーサックスが好対照で、抜群のアクセントになっており、アドリブパートでもそれが持続するという、上手い仕掛けになっています。
 で、ウィルバー・ハーディンは歌心とファンキーを兼ね備えたフレーズを丁寧に積み重ね、ジョン・コルトレーンは完成間近というシーツ・オブ・サウンドを駆使して自己流の熱血を貫き通す潔さです。
 しかしトミー・フラナガンは、どちらかというとウィルバー・ハーディン寄りの落ち着きがあり、どっしり構えたダグ・ワトキンス、躍動的なルイス・ヘイズで構成されたリズム隊の素晴らしさは、聴いて納得の名人芸! まさにモダンジャズ爛熟期の典型で、ブツ切れ気味に終わるラストテーマも魅力があります。

A-2 West 42nd Stree
 ちょっとベニー・ゴルソン風のテーマを持つ柔らかい曲ですが、リズム隊がハードなビートを送り出していますので、軟弱ではありません。
 ただしウィルバー・ハーディンにとっては、そこが計算違いだったか、少しばかり迷い道……。このあたりが本場ニューヨークの恐さという事なのかもしれません。
 その点、ジョン・コルトレーンは絶好調で、ハードでスピード感満点のソロを展開し、圧倒的な力強さを聴かせていますし、リズム隊もグリグリに攻め込んで来て、当にハードバップの魅力が全開しています。
 もちろんトミー・フラナガンに目立たない上手さあるので、ウィルバー・ハーディンに恥をかかせていないのは、流石です。

A-3 E.F.F.P.H.
 意味不明のタイトルですが、中近東+アフリカというモードにラテンのリズムが心地良い不思議な演奏です。
 そしてそのビートを活かしきったウィルバー・ハーディンのアドリブソロが秀逸♪ シンプルかつ柔軟な展開には新しさが感じられるのです。
 続くトミー・フラナガンは言わずもがなの上手さでツボを押さえた名演ですし、この部分のピアノトリオ演奏は、バド・パウエルの「Un Poco Loco」みたいで、なかなか素敵だと思います。
 ところがジョン・コルトレーンは、そんな和みも上手さも関係なく、ひたすらにハードな極北を目指している恐ろしさが! ですから一瞬の間で現れるラストテーマが心地良いのでした。

B-1 Snuffy
 軽快なトミー・フランガンのピアノがイントロからテーマ全体をリードする、楽しいハードパップです。
 ウィルバー・ハーディンも安心感満点の王道に撤し、ジョン・コルトレーンも何時ものハードバップ路線を突き進みますから、聴いていて快適な瞬間が何度も訪れます♪
 もちろんリズム隊も絶好調で、望みうるならば、このトリオでアルバム1枚くらいは残して欲しかったと痛切な思いにかられます。特にダグ・ワトキンスの強靭なベースと張り切ったルイス・ヘイズのドラムスはベストマッチ! トミー・フラナガンもノッています♪

B-2 Rhodamagnetics
 これもまず、トミー・フランガンのイントロから惹き込まれるハードバップです。この快適なグルーヴこそ、モダンジャズ黄金期の魅力でしょう。
 アドリブ先発は珍しくもトミー・フラナガンですが、このあたりは同時期、頻繁に行われていたレッド・ガーランド・トリオ&ジョン・コルトレーンのプレスティッジ・セッション風で和みます。
 あぁ、それにしても、このリズム隊は最高です。
 流石のジョン・コルトレーンも煽られ、シーツ・オブ・サウンドで暴走するのですが、トミー・フラナガンがしっかりと手綱を取っていますから、ルイス・ヘイズがギンギンのオカズを入れても、場が乱れないのです。
 肝心のウィルパー・ハーディンは、ハスキーな音色でグルーヴィな雰囲気を狙いますが、やはりリズム隊との息がイマイチで、バランスを失いそうなところをトミー・フラナガンに助けられています。う~ん、良い時代でした。

ということで、場慣れしていないウィルバー・ハーディンが浮いていますが、それでもなお、魅力的なハードバッブ盤です。ジョン・コルトレーンは言わずもがな、ルイス・ヘイズが、失礼ながら小型フィリー・ジョーという雰囲気で、クッションの効いたドラムスを聴かせてくれるのも魅力です。

ちなみにこのアルバムには特定のリーダーが記載されていませんが、全ての曲をウィルバー・ハーディンが書いていることから、一応、この人のリーダー・セッションだったようです。

しかし特に日本では、ジョン・コルトレーンのアルバムという受け取り方が、一般的のようですね。実際、ここでの演奏は、他のメンバーから突出したものがあります。そのあたりを楽しむのも、また王道の聴き方でしょう。

個人的にはルイス・ヘイズのドラムスに心躍ります。

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パクリ、パクられ

2006-09-21 19:42:11 | Weblog

平岡正明がSJ誌で言いたい放題だっ!

と友人からメールを貰い、本屋へ行ってみました。

尤も件の雑誌はジャズ喫茶で読めるので30年近く買っていませんので、今回も立ち読みでしたが、なるほど、言いたい放題でした。

内容は吉祥寺でジャズ喫茶を営んでいる寺島某という人を、メチャメチャに貶しているのですが、ちょっとネットで検索してみたら、この寺島氏はジャズ関連本を何冊も出していて、その独断と偏見は賛否両論、ついに各方面で吊し上げをくらっているらしいのですが、私は残念ながら問題の著作を読んだことが無いので、何が問題なのか分かりません。

しかし平岡正明の文章というか、言い回しは痛快そのもので、ズバリと本質を突いている部分が多々有りましたですね。

ただし、商業誌掲載ですから、お互いに百も承知のことなんでしょう。それでジャズが活性化すれば良いという、大人の事情も見え隠れしています。

そのあたりの判断は、皆様でよろしくお願い致します。

ということで、本日はジャズモードに入れなくなり、本屋に隣接したCD屋でエレクトリック・ライト・オーケストラ、通称ELOの紙ジャケット仕様リマスター盤を買いました――

On The Third Day / Electric Light Orchestra (Epic)

ズバリ、ビートルズかぶれのバンドです。

最初はロイ・ウッドという、イギリスの大滝詠一みたいな人が主導権を握っていたのですが、なんか飽きたみたいでバンドを投げだし、残されたメンバーはジェフ・リンというビートルズマニアを中心にして、この作品を作り、1973年に発売しました。

ですから、内容は言わずもながのビートルズ大会ですが、もちろん完全コピーでは無く、エッセンスの抽出には愛情が溢れています。

もちろん大きなヒットにはなりませんでしたが、地元から遠く離れた日本では、これが一部の業界人に大ウケとなり、パクられまくりました。もちろんそれは、当時のアイドルポップスとかニューミュージックと称される分野に多数、残されています。

それをやってしまう立場にすれば、一般には広く知られていないからという確信犯なんでしょうが、後年、ELOが本当に日本でブレイクする下地が、作られていたとう恩返しもあったわけです。

もちろんELO本隊だって、パクリで成り立っているのですから、文句は言えないのかもしれませんが……。

さて今回の再発は、まず紙ジャケットの作りが秀逸で、出来うる限りオリジナルのアナログ盤を縮小していますし、中身のレコード袋とか穴あきジャケットの再現、はたまた日本盤だけの「帯」の復刻にまで拘っています。もちろんボーナストラックも満載です。

機会があれば、店頭で手に取ってみて下さいませ。欲しくなりますよ♪ もちろん内容は、ビートルズが好きならば、ニヤリとする連続技が楽しめます。そして続く4作目の「エルドラド」では、なお一層のビートルズ大会です♪

一応、今回は4作品が発売されていますが、まだまだ続くようです。もちろん私は全買いしてしまいましたが……。

コメント (2)
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