■ドキュメント / 麻生祐未 (FOR LIFE)
今では、すっかり嫋やかな女優というイメージの麻生祐未ではありますが、最初にブレイクしたのは昭和59(1984)年10月から務めた「オールナイト・フジ(フジテレビ)」の司会者としてのキレの良さだった様に思います。
なにしろ皆様ご存じのとおり、件の深夜番組は現役女子大生がグラビアアイドルやAV女優と同等に出演し、あれやこれやの悪ふざけをやらかすところに人気の要因がありましたからねぇ~~、そこで仕切役を演じるってことは、それなりの知性と機転が求められていた中で、一緒に出演していた松本伊代あたりとは資質が別物という印象が強かったんですが、いかがなものでしょう。
ですから、忽ち人気は沸騰し、グラビアアイドルとしての仕事から翌年にはカネボウのキャンペーンガールに抜擢され、魅惑の水着姿を大々的に披露するまでに至り、同時に普通の時間帯に放送されているバラエティやドラマ出演も増えていく中で、これまた当然ながら、歌手としての公式レコードデビューはお約束ですから、その最初のシングル盤が昭和59(1984)年11月に発売された本日掲載のシングル盤でした。
しかし、結論から述べさせていただければ、彼女の歌唱力は決して素晴らしいとは言い難く、それなのに作詞:峰岸未来&作曲:井上大輔から与えられたA面曲「ドキュメント」はミディアムスローのニューミュージック歌謡と申しましょうか、歌詞の世界には、遊ばれて捨てられた女の悔しさ、せつなさが描かれているもんですから、ちょいと凝ったメロディラインを扱った瀬尾一三のアレンジも窮屈な感じで、あまり親しみが……。
ところが、レコードで聴くよりは、テレビ出演で彼女が歌う「ドキュメント」は、なかなかにクールでイイ雰囲気だったんですよねぇ~~ (^^♪
ですから、既に述べたとおり、人気急上昇中の彼女であれば、それなりのヒットを記録してしまったのも、納得するばかりの演技力は見事でありました。
そんなわけ(?)ですから、麻生祐未がキュートなアイドルタレントから本格的な女優の道へ進み、しっかりと今日まで足跡を残しているのも、堂々の資質の証明と思うばかりです。
ちなみに、翌年春に発売された彼女の 2nd シングル「噂のNEWフェイス」は松田聖子っぽいアイドル歌謡ポップスの王道路線をやってしまったというか……、思惑どおりにヒットせず、だからでしょうか、おそらくは彼女のラストシングルになっていると推定しております。
ということで、女優=演技者であればこそ、様々なシチュエーションに合った雰囲気を醸し出す事が求められるのは当然でありましょう。
麻生祐未には、そ~ゆ~才能と知性が確かに備わっているとサイケおやじは思いますし、シリアスからオトボケまで幅広く演じられる技量は、彼女の佇まいや面立ちにジャストミートの存在感!?
それが既にしてデビュー期から表出されていたという証拠物件のひとつが、このデビュー曲「ドキュメント」なのかもしれません。
うむ、「女優の歌」は奥底が知れませんです、はい (^^;