OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ビーチボーイズはエレキバンドだっ!?

2023-05-28 19:57:25 | Beach Boys

The Beach Boys' Instrumental Hits (Capitol / 東芝)

昭和40年、つまり1965年の日本で一番人気が高かったロックバンドはベンチャーズだったので、必然的に国内外のミュージシャンによるエレキインストのレコードが次々に発売されていたのは歴史的事実であり、人気と実績の面においても、ビートルズやストーズ、あるいはビーチボーイズといった殿堂入り(?)のグループよりも、とにかくエレキインストがウケていたのですから、それを果たして、今のお若い皆様には、ご理解いただけるものだろうか……?

―― なぁ~んていう、年寄りの余計なお世話をサポートしてくれるのが、本日掲載したビーチボーイズのアルバムでして、発売されたのは昭和40(1965)年でしたから、正に日本はエレキブームが大爆発の社会現象真っ只中!

ですから、「ビーチボーイズのインストゥルメンタル・ヒッツ」というアルバムタイトルに偽り無しの収録全編がエレキギターをメインに演奏されたインスト曲で構成されているんですねぇ~♪

   A-1 Surf Jam ※
   A-2 Let's Go Trippin' '65 ●
   A-3 The Rocking Surfer ◎
   A-4 Misirlou ※
   A-5 Carl's Big Chance ▲
   A-6 シャット・ダウン Vol.2 / Shut Down Part Ⅱ ▼
   B-1 Moon Dawg ★
   B-2 Let's Go Trippin' ※
   B-3 Boogie Woodie ◎
   B-4 Stoked ※
   B-5Honky Tonk ※
   B-6 Denny's Drums ▼

          ★サーフィン・サファリ (1962)
          ※サーフィンUSA (1963)
          ◎サーファー・ガール (1963)
          ▲オール・サマー・ロング (1964)
          ▼シャット・ダウン Vol.2 (1964)
          ●コンサート (1964)


あらためて述べるまでもないとは思いますが、ビーチボーイズのスタジオレコーディングの現場にはハリウッドで活躍していた凄腕のセッションプレイヤーが助っ人参加していた事実は揺るがせには出来ないものの、しかし、それでもビーチボーイズは公式レコードデビュー以前からのステージライブやブレイクして以降の巡業においては、自前の演奏で所謂「たたき上げ」のバンドスタイルを確立しており、そりゃ~、決して上手いとは言い難いところはあるにせよ、それなりに本物のロック魂を発揮していたと思うサイケおやじにすれば、このアルバムで聴ける「程好い下手さ加減」には好感が持てるんですよ (^^)

もちろん、このアルバムそのものが既に述べたとおり、エレキブームに当て込んだ我が国独自の編集盤という狙いから、既に発売済みだったビーチボーイズの音源から、それに相応しいトラックを選び抜いたという企画の妙もありましょう。

一応、ネタ元収録のLPを注釈させていただきましたが、全トラックがバンドとしてのビーチボーイズの自前感(?)を強く滲ませた演奏に仕上がっているところは、粗削りなスタイルが逆にロック本来の粗野なフィーリングを発散させるカール・ウィルソンのリードギター、シンプルな音しか出せていないマイク・ラブのテナーサックス、ちょっぴりサンディ・ネルソンを意識したかの様なデニス・ウィルソンのドラムス等々に顕著ではありますが、既に述べたとおり、もしも、ここに収録の楽曲をセッションプレイヤーが演奏していたら、それほど面白い仕上がりになっていないというか…… (^^;

そこで簡単ではありますが、収録トラックについて述べさせていただければ、まずはA面ド頭の「Surf Jam」はタイトルどおり、アップテンポでロケンロールなサーフインストであり、マイク・ラブの控えめ(?)なテナーサックスも憎めませんが、それにしてもカール・ウィルソンのリードギターがカッコイイ~ですねぇ~~♪

ちなみに、このアルバムには補足の邦題というか、別名「サーフジャム」というアルバムタイトルが付けられておりますが、それも納得の好トラックだと思います (^^)

ですから、サーフインストの本家本元のギタリストとして有名なディック・ディルの代表曲「Misirlou」の必死感が伝わって来る熱演にはコピーしている意地と負けん気があり、同じくディック・ディルの「Let's Go Trippin'」も、また然り!

ここではイントロ前の掛け声は面映ゆい感じではありますが、前述したディック・ディルのバージョンでは大きく前に出ていたテナーサックスによるソロ&リフのパートを全てエレキギターで演じてしまったビーチボーイズの狙いは的確だったと思えば、わざわざ「'65」と後付けした同曲のライブバージョンでの痛快な熱気は羨ましくなるほどですよ (^^)

実は告白すれば、サイケおやじが、このLPを入手したのは昭和46(1971)年、中古でのゲットだったというのも、当時は初めて憧れのエレキギターを入手し、エレキのバカ大将を目指していた頃だったという事情がありましたからねぇ~~、ここでのビーチボーイズの演奏にも、強く思い入れてしまっていたんですよ (^^;

そこで拙い理論性もテクニック無いままに、コピーしてしまったのがベンチャーズでもお馴染みの「Honky Tonk」ゃ「Moon Dawg」だったんですが、なかなか軽快なフィーリングの前者、ビーチボーイズならではのコーラス入れた後者のスマートな雰囲気が全く出来ず、つまりはモタモタしたギターワークに己の限界を…… (>_<)

そんなわけですから、必然として鑑賞を第一義としてスピーカーの前に端座すれば、おそらくはブライアン・ウィルソンが弾いているであろうオルガン主体の和みのインスト「The Rocking Surfer」、同様にアップテンポのブギウギピアノにシンプルなオルガンのリフを重ねた「Boogie Woodie」、ミディアムテンポで珍しく(?)黒っぽいブルースロックなギターインスト「Stoked」や初期ストーンズっぽい「Carl's Big Chance」も実にイイ感じ♪♪~♪

しかし、一方……、如何にも埋め草の「Denny's Drums」は、ど~なんでしょうかねぇ…… (^^;

これを選曲するぐらいだったら、サイケおやじも大好きな「恋の夏 / Summer Means New Love」を入れて欲しかったと思うわけですが、現実的は件の名曲名演はオンタイムでは日本未発売だったと思われる傑作アルバム「サマー・ディズ」収録トラックでしたからねぇ……、致し方かないわけで…… (^^;

その意味でも様々に凝ったレコーディングで仕上げられた「シャット・ダウン Vol.2 / Shut Down Part Ⅱ」の面白さは、ビーチボーイズの面目躍如でありましょうか、ちょいと助っ人ミュージシャンの存在も気になるところではありますが、後年の先進性を想わずにはいられませんよ (^^)

ということで、本日は入れてもらっている高齢者バンドの練習に久々に参加出来まして、思いっきりエレキインストをやれたのは嬉しかったです。まあ……、それもボーカルメンバーの2人にキーボード氏の参加が無理だったという経緯もあったんですが、それはそれとして、個人的には憂さも吹き飛んだというわけです (^^)

まあ……、自分だけ楽しんでしまって申し訳ないという気分もあったりして、そこで本日は、このアルバムのご紹介でございます <(_ _)>

確か現在では同タイトルながら、山下達郎が追加選曲したという触れ込みの補増版CDが出ていますので、気になる皆様は、ぜひともお楽しみくださいませ。

あぁ~~、夏は、これからっ!

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ブライアンからの癒しのプレゼント

2021-06-11 16:34:12 | Beach Boys

In My Room ~ Brian Wilson Sings / The Beach Boys (東芝 / Capitol = CD)

   01 Please Let Me Woner
   02 I'm So Young
   03 Kiss Me Baby
   04 She Knows Me Too Well / 知ってるあの娘
   05 Don't Worry Baby
   06 The Warmth Of The Sun / 太陽浴びて
   07 Why Do Fools Fall In Love / 恋はくせもの (album version)
   08 Keep An Eye On You
   09 We'll Run Away
   10 Wendy
   11 Hushbye
   12 The Surfer Moon
   13 In My Room
   14 Farmer's Daughter
   15 Let Him Run Wild
   16 Good Vibrations (early take)
   17 In My Car
   18 You Still Believe In Me / 僕を信じて
   19 I'm Waiting For The Day / 待ったこの日
   20 Wouldn't It Be Nice / 素敵じゃないか

鬱陶しく、暑苦しい夏なればこそ、ビーチボーイズが提供してくれる歌や演奏は心地好く、それは不肖サイケおやじにしても、昔っからの自己レスキューとしてオフィシャル仕様のアルバムに加えて、お好みでチョイスしたトラックを集めたカセットテープなんかを作っては鳴らし、独り悦に入っていた過去の積み重ねがあるわけですが、しかし良くしたもので、ちゃ~んとレコード会社だって同じ気持ちで様々な編集アルバムを幾種類も発売してきた実績は、それゆえに嬉しくもあり、せつなくもありました。

本日ご紹介するのは、1993年に我が国独自で発売された、正にそんな編集盤CDでして、その意図はサブタイトルにあるとおり、ブライアン・ウィルソンがメインボーカルを務めた楽曲ばかりをコンパイルした、在りそうで無かった企画盤 (^^♪

その収録楽曲は上記のとおり、ファンにはお馴染み、また普通一般のリスナーにしても、必ずや何処かで聞いた事があるはずの歌が流れてくるはずです。

しかも、これは不思議な現象と言っていいんでしょうか、ブライアン・ウィルソンのハイトーンボイスって、美しくも素敵なメロディを歌っている真実以上に心が安らぐんですよ、聴けば聴くほどに (^^♪

ちなみに収録トラックはモノラルとステレオの両バージョンが混在していますし、おそらくはマスターも日本に以前からあったものを使用したのかもしれませんが、それなりにリマスターも施されているのでしょう、通して聴いても音質のバラつきによる違和感の様なものは無いと思いますが、これはあくまでもサイケおやじの個人的な感想ということで、ど~しても触れておきたいのが「Good Vibrations」のアーリーバージョンです。

これは以前、1967年の問題作(?)アルバム「スマイリー・スマイル」が、1990年に「ワイルド・ハニー」と抱き合わせでCD化された時にボーナストラックとして発表されたのが公式初出と思われますが、そのオリジナルの「Good Vibrations」ではカール・ウィルソンによって歌われていたリードのパートが、ここではブライアン・ウィルソン! それゆえに、この編集盤に入れられたのでしょうが、ラフでソウルフルな仕上がりは賛否両論ではありましょうが、サイケおやじは好きです ♪

それと収録楽曲は、1960年代のトラックを基本的に集めていますが、「In My Car」だけは、1989年のヒットアルバム「スティル・クルージング」からのカットでありながら、実は同時期に本格的なソロ活動に入ったブライアン・ウィルソンのリーダーセッションという趣が強い、これがなかなかのパワーポップ!?

正直、ここで違和感を覚えるのも当然が必然ではありますが、前トラックとして置かれた「Good Vibrations (Early take)」が絶妙のクッションになっている気もしますので、ここは十人十色の好き嫌いかもしれません。

サイケおやじとしては、次に大好きな「You Still Believe In Me / 僕を信じて」が流れてくるという、その落差(?)みたいなものに不思議な快感を覚えてしまうんですが、いかがなものでしょう (^^;

ということで、今ではブライアン・ウィルソンと云えば曲作りの天才性ばかりが語られる事が多く、それは決して間違いではありませんが、しかしファルセットを恣意的に用いたボーカリストとしての魅力だって、再認識されるべきかと思います。

もちろん、それは既に先人諸氏が唱え続けている真実であり、こ~して編集された公式CDが発売されている以上、今更サイケおやじの様な者が言い募る必要も無いんですが、昨今の鬱陶しい世の中に清涼剤としての働きをしてくれるんじゃ~なかろうか?

なぁ~んて、本日も独断と偏見による戯言、失礼は重々承知しているつもりですが、このCDに免じて、よろしくお願い申し上げます <(_ _)>

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ビーチボーイズはアメリカ産

2020-08-15 17:02:02 | Beach Boys

Made In U.S.A / The Beach Boys (Capitol)

  A-1 Surfin' Safari 
  A-2 409 
  A-3 Surfin' U.S.A. 
  A-4 Be True To Your School (single version) 
  A-5 Surfer Girl 
  A-6 Dance, Dance, Dance 
  B-1 Fun, Fun, Fun (single version) 
  B-2 I Get Around 
  B-3 Help Me, Rhonda (single version) 
  B-4 Don't Worry Baby 
  B-5 California Girls 
  B-6 When I Grow Up 
  B-7 Barbara Ann (single version) 
  C-1 Good Vibrations 
  C-2 英雄と悪漢 / Heroes And Villains 
  C-3 素敵じゃないか / Wouldn't It Be Nice (remix version)
  C-4 Sloop John B. 
  C-5 神のみぞ知る / God Only Knows 
  C-6 Caroline, No 
  D-1 恋のリバイバル / Do It Again (single version) 
  D-2 Rock And Roll Music (album version)
  D-3 Come Go With Me 
  D-4 Getcha Back 
  D-5 Rock 'N' Roll To The Rescue
  D-6 夢のカリフォルニア / California Dreamin'

    ※新曲扱い

今日まで、何かとベスト盤やコンピレーション盤を数多出しているビーチボーイズではありますが、掲載したのは、1986年に発売された、これが当時としては、なかなかに有用で、嬉しい2枚組LPでありました。

なにしろ最後の2曲、「Rock 'N' Roll To The Rescue」と「California Dreamin'」が堂々の新曲扱いでありましたし、その頃に我が国では容易に聴くことが叶わなかったモノラルミックスのシングルバージョンまでもが、しっかりと入っていたんですねぇ~~♪

ご存知のとおり、ビーチボーイズ全盛期の諸作、つまりは1960年代中頃までに発売されたレコードはリーダーのブライアン・ウィルソンの意向が強く反映されたと云われていますが、とにかくモノラルミックスを最初っから想定しての制作だったそうで、このあたりはビーチボーイズだけではなく、例えばビートルズも同様の姿勢ではありましたが、それでも時代の要求からアルバムはステレオミックスを望んでいたキャピトルレコードとしては、モノラルミックスのマスターテープから勝手に独自のステレオミックスによるLPを発売し、それは左右に音の位相を少し変えただけの所謂「疑似ステレオ」盤でありながら、主力商品として流通させていたのですから、始末が悪く……。

例えば、そんな「疑似ステレオ」によるアルバムとしてはキャピトルレコードにおける1962年の1st「サーフィン・サァフリ」、1965年の「トゥディ」「サマーディズ」「パーティ!」、1966年の「ペット・サウンズ」、1967年の「スマイリー・スマイル」と「ワイルド・ハニー」という、今となっては歴史的黄金期の諸作がモノラルミックス優先で制作されていたという現実には驚いてしまう皆様も必ずやいらっしゃると思いますが、一応はリアルタイムで出回っていた日本盤にしても、モノラルと疑似ステレオのトラックが混在したLPがありまして、それでも当時は、そんな真相(?)に気づかなかったのがサイケおやじの本性でした。

ところが、ビーチボーイズを聴いていく過程おいて、どうやら前述したとおり、ビーチボーイズのモノラル偏向主義は、ブライアン・ウィルソンの強固な意志によるところが大きいという真実に触れ、しかもちょうどタイミングが良かったのは、1980年代も中頃になると、我が国でもアルバム「ペット・サウンズ」を高く評価する動きが殊更業界やポップスマニアの間で広がっていましたので、「あの曲のシングルバージョンは云々」等々という情報が耳に入って来ていたのですから、たまりません♪♪~♪

実はサイケおやじも、その頃に仕事でアメリカへ行けた時には積極的に中古レコード店に赴き、その猟盤活動ではアナログのシングル盤も獲物として狙っていましたので、それなりに存在を確認し、幾枚かは蒐集出来ていたのですが、ついにそれらが纏まってLP化されたのは朗報という他はありませんでした。

そこで掲載のベスト盤「メイド・イン・USA」の収録曲は上記したとおり、正にビーチボーイズの演目の中でもド有名な歌と演奏ばかりで、しかもA面初っ端の「Surfin' Safari」からD面1曲目の「Do It Again」までがモノラルミックスなんですねぇ~~♪

そして既に述べたとおり、そのほとんどが基本的にシングル盤で発売された、所謂シングルバージョンであり、具体的に注釈を入れたトラックについては、まず「Be True To Your School」がチアガールっぽいコーラスが入った勢いのある楽しいテイク♪♪~♪ これなどは、全くビーチボーイズ全盛期の証の様な仕上がりだと思いますので、これだけでも、このベスト盤の価値があると思ったほどでした♪♪~♪

同様に「Fun, Fun, Fun」は発売当時から立派なリアルステレオバージョンが作られていて、それはアルバム「シャット・ダウン Vol.2」のステレオ盤に収録されているんですが、ここに収録のモノラルミックスによるシングルバージョンは、それに比べるとフェードアウトが長くなっているのが特徴的です。

ただし、個人的な感想を述べさせていただければ、件のステレオバージョンのフェイドアウトは演奏パートが先に消え、ボーカル&コーラスがアカペラの如く残るので、サイケおやじは、これが実は大きなという事を告白させていただきます。

また、「Help Me, Rhonda」は、アルバム「サマーデイズ」所収のテイクですし、「Barbara Ann」はフェイドアウトで終わるので、シングルバージョンと知れました。

それと「恋のリバイバル / Do It Again」はエンディングの効果音が入らない事が有名なシングルバージョンですが、そのあたりの価値観は十人十色かもしれず、最初からコーラスが全開のアルバムバージョンが収録された「Rock And Roll Music」も、然りと思います。

さらに気になるのは、ここに収録された「素敵じゃないか / Wouldn't It Be Nice」が、今ではマニアの間で「バージョン 2」と呼ばれている別ミックスだという情報が入っていたので、大いに楽しみにしていたのですが、ちょっぴりボーカルが違う様な気がするだけというか……、あんまり個人的には???

さて、そこでいよいよ眼目と言えるのが、新曲扱いだった「Rock 'N' Roll To The Rescue」と「夢のカリフォルニア / California Dreamin'」で、前者はマイク・ラブとテリー・メルチャーが共作した、このアルバムのための新曲と言いたいところなんですが、実は結成25年記念アルバムの制作が企図された中にあって、それが頓挫した結果としてのベスト盤「メイド・イン・USA」という裏話(?)が囁かれているのですから、その「Rock 'N' Roll To The Rescue」にブライアン・ウィルソンのリードボーカルがあろうとも、なんとも「らしくない」アップテンポのハードロック調は、これまた個人的には???

なんか……、ドラムスの音からして、馴染めないんですよ、サイケおやじには……。

さらに「夢のカリフォルニア / California Dreamin'」は説明不要、誰もが知っているママス&パパスの大ヒット曲をカバーしたという、これに期待しないのはビーチボーイズのファンならずとも、アメリカンポップス&ロックの愛好者にはいないはずと思うばかりのトラックで、しかもバーズのロジャー・マッギンが象徴的とも言えるエレクトリックの12弦ギターで参加しているのですから、これが素敵じゃ~なかったら、ウエストコーストロックの神話が崩れるという恐れさえ……。

結論から申し述べれば、サイケおやじは……、何度、ど~聴いても、イマイチ好きになれません……。

実は……、直後に知った事なんですが、この「夢のカリフォルニア / California Dreamin'」のレコーディングは既に数年前に基本的なところは出来上がっていて、それが1983年にマイク・ラブとディーン・トーレスが組んで企画発売したカセット仕様のオムニバスアルバム「ロックンロール・シティ」の中にビーチボーイズ名義で収められていたトラックがオリジナルだとすれば、それをベスト盤「メイド・イン・USA」用に改編するにあたり、前述したロジャー・マッギンの12弦ギターをダビングするに関した作業は、バーズをメジャーデビューから売りまくったプロデューサーのテリー・メルチャーが、ここでも手腕を発揮したという事なのかもしれません。

ちなみに、テリー・メルチャーはドリス・デイの息子であり、幼少期から芸能界には馴染んでいたのでしょう、それなりに音楽的な才能もあった事から、1962年にコロムビアレコードと契約し、テリー・デイ名義のレコーディングも行いましたがヒットを出せず、裏方へ云々というストーリーは良く知られているところでしょう。

そして以降、ブルース・ジョンストンと組んだブルース&テリー名義でビーチボーイズのカバーを出したり、同系サーフィン&ホットロッドのグループをプロデュースした事から、ビーチボーイズとの繋がりも深まり、そんなこんなの関係は容易には書き尽くせませんので、本日はここまでとさせていただきますが、今となっては、ブライアン・ウィルソンに見捨てられたが如き1985年頃からのビーチボーイズに裏方スタッフとして参画し、前述「Rock 'N' Roll To The Rescue」と「夢のカリフォルニア / California Dreamin'」を具象化したばかりか、それに先立つ久々の大ヒットシングル曲「Getcha Back」を出せたのも、テリー・メルチャーの存在があれがこそっ!?

しかし……、それでも、ここでの音作りは妙に新しくて、ドカドカ煩いドラムスや品性が感じられないサックスの音色等々、これまた「らしくない」違和感が……。

ということで、最後の最後に肩すかしが待っていたとはいえ、サイケおやじとしては、このベスト盤には愛着がありますし、例え問題作(?)であろうとも、件の「Rock 'N' Roll To The Rescue」と「夢のカリフォルニア / California Dreamin'」が今でも容易に聴けるのは、このアルバムが最良かもしれません。

あっ! 書き遅れてしまいましたが、「Rock 'N' Roll To The Rescue」は当時流行のリミックスした「12インチバージョン」が2~3種類は制作流通していたはずなんですが、サイケおやじとしては既に述べたとおりの失望感がありましたので、入手しておらず、今となっては後悔モードにどっぷりであります (>_<)

うむ、ビーチボーイズの奥の細道も、険しい……。

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10年間! 此処に在り!

2020-07-25 20:04:53 | Beach Boys

Ten Years Of Harmony / The Beach Boys (Caribou / CBS)

  A-1 Add Some Music To Your Day:a
  A-2 Roller Skating Child:g
  A-3 Disney Girls:b
  A-4 It´s A Beautiful Day (single edit version):▲
  A-5 California Saga / California (single version):d
  A-6 Wontcha Come Out Tonight ?:h
  A-7 Marcella:c
  B-1 Rock And Roll Music (single version):f
  B-2 Goin' On:j
  B-3 It's OK (single version):f
  B-4 Cool, Cool Water (single edit version):a
  B-5 San Miguel
  B-6 School Day (single version):j
  B-7 Good Timin':i
  B-8 Sail On Sailor:c
  C-1 Darlin':e
  C-2 Lady Lynda:i
  C-3 Sea Cruise
  C-4 The Trader:d
  C-5 This Whole World:a
  C-6 Don't Go Near The Water:b
  C-7 Surf's Up:b
  D-1 Come Go WIth Me:h
  D-2 Deirdre:a
  D-3 She's Got Rhythm:h
  D-4 River Song:k
  D-5 Long Promised Road:b
  D-6 Feel Flows:b
  D-7 'Til I Die:b

      a:サンフラワー (1970年)
      b:サーフズ・アップ (1971年)
      c:カール&ザ・パッションズ (1972年)
      d:オランダ (1973年)
      e:イン・コンサート (1973年)
      f:偉大なる15年 (1976年)
      g:ラヴ・ユー (1977年)
      h:M.I.U.アルバム (1978年)
      i:L.A. / ライト・アルバム (1979年)
      j:キーピン・ザ・サマー (1980年)
      k:パシフィック・オーシャン・ブルー / デニス・ウィルソン (1977年)
      ▲:映画「Americathon」サントラ音源 (1979年)
      ※:未発表アウトテイク

長いキャリアを積み重ねたミュージシャンの場合、それに比例して残された音源の多さ、またヒット曲の有無によって、活動期間毎にベスト盤が編まれるのは必然ではあっても、だからこその面白さや評価の分かれ道が後々に様々なマニア的な視点を生み出してしまう事は避けられないのかもしれません。

例えば本日ご紹介するビーチボーイズの2枚組ベスト盤LPは、1981年晩秋に世に出たところから、つまりはアルバムタイトル「Ten Years Of」が意味するところがキャピトルからワーナー、そしてCBSへと移籍して以降の音源から編まれたという、極言すれば聊か一般的な人気に陰りが滲んでいた頃の傑作集(?)ですから、セールス的には伸び悩んだ時期に製作発売されたオリジナルアルバムや単発的に参加したオムニバス盤に肩透かしを覚えたり、とにかく分かっている楽しみではありますが、素敵な楽曲だけを聴いてみたい新旧のファンにとっては悲喜交々……。

ですから、サイケおやじにしても、所謂「イイ曲」ばっかり入っているなぁ~~♪

と分かってはいても、新譜としては、とても発売時期には手を出せず、どうにか翌年春になって、バーゲンセールの輸入盤をゲットしたんですが、これがある程度は推察してはいたものの、なかなか貴重な編集バージョンや未発表曲等々が入っていたもんですから、嬉しくなった記憶が今も強く残っています。

というか、実はこの頃のビーチボーイズの我が国における人気や評価は全く低くなっており、そんなこんなのレアトラックが入っているベスト盤が出たところで、それほどの大騒ぎにもならなかった現実は、逆に熱心なファンを増やしただけだったんじゃ~ないでしょうか?

で、肝心の収録曲は既に述べたとおり、1970年からの10年間に制作発売した音源ばかりで、オリジナル収録アルバムについては上記で分類しておきましたし、貴重&珍しいトラックについては簡単に注釈してあるんですが、もう少し詳しく記しておけば、まずはここで初出となった「San Miguel」と「Sea Cruise」について、前者は1970年に発売された傑作アルバム「サンフラワー」制作時のオリジナル未発表曲ながら、件のLPに収録されていたとしても、なんらの違和感もありえないほどにナチュラルなビーチボーイズの「節」が出まくった楽しいさが素晴らしく、一方後者は1976年に発売のLP「偉大なる15年」からのアウトテイクで、フランキー・フォードが1959年に放ったヒット曲のカバーバージョンなんですが、如何にも勿体無いっ! それはオリジナルのニューオリンズ系R&Rの味わいを西海岸に移したフィーリングと申しましょうか、ここでの邂逅は幸せの一番星ってところでしょうか♪♪~♪

また映画のサントラ用に提供された「It´s A Beautiful Day」は、如何にもビーチボーイズが丸出しなアップテンポのイカシたウエストコーストロックで、これにはファンならずとも夢中になるんじゃ~ないでしょうか♪♪~♪ しかもご丁寧にシングルカットされていたという所謂シングル編集バージョンなんですねぇ~♪

さらに、こ~ゆ~ベスト盤にはお約束になっているシングルバージョンの収録については「California Saga / California」「Rock And Roll Music」「School Day」がアルバムバージョンとはミックス違い、「It's OK」はアルバムバージョンよりも幾分再生スピードが速い感じですから、あくまでもマニアックな楽しみの範疇と思いますが、「Cool, Cool Water」はアルバムバージョンからコーラスパートを再編集し、はっきりとミックスも変えられているので要注意でしょう。

それと、あえて選曲収録されたと推測出来るのが、1977年に発売されたデニス・ウィルソンのソロアルバム「パシフィック・オーシャン・ブルー 」からの「River Song」で、これはカール・ウィルソンとの共作ではありますが、荘厳なコーラスパートを従えた仕上がりは、一般的なビーチボーイズのイメージとは異なるムードながら、このLPの曲の流れの構成においては、なかなかのジャストミート感が個人的には大好きです。

そのあたりは全篇をとおして、ベスト盤とはいえ、決して場当たり的に作ったアルバムではないと思いたいところです。

ところが、そ~であるからか、それとも気紛れなのか、驚いた事には、なんとっ!

1991年にCD化されてみれば、せっかくシングルバージョンで入れられていた「California Saga / California」「Rock And Roll Music」「It's OK」「School Day」が普通のアルバムバージョンに差し替えられ、「Come Go WIth Me」はイントロにピアノが入った初登場の完全別バージョン!?

いゃ~~、こ~ゆ~事がありますから、やはりベスト盤や再発盤、殊更CD化されてのリマスター盤は罪作りな奥の細道と思うばかりです。

しかし、告白すれば、サイケおやじにしても、問題の「1991年再発CD」をゲットしたのは発売から数年後、車の中でビーチボーイズが聴きたくてゲットしたのが真相ですから、ど~にもビーチボーイズのコアなマニアからは失笑の嵐と自覚する次第です……。

ということで、更なる言い訳になってしまいますが、このアルバムや収録音源各トラック毎の楽曲が現在、どのような形態・バージョンで市場に出回っているのかは、勉強不足で確認出来ておりません。

しかし、それでも、この2枚組アナログ盤LPは明らかに評価が低かった時期のビーチボーイズが、実はそれなりに個性的な存在で在り続けた、その証拠物件となりうる傑作!

虚心坦懐に鑑賞する度に、これはこれで立派な音楽世界を堪能させられると思うのは、決してサイケおやじだけではないと、強く信じているのでした。

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真夏直前にビーチボーイズの秋風が心地好い

2020-06-30 19:45:38 | Beach Boys

秋風のリンダ / The Beach Boys (Caribou / CBSソニー)

掲載したのは、1979年に発売されたビーチボーイズのアルバム「L.A.」から我が国独自でカットされた人気曲「秋風のリンダ / Lady Lynda」をA面に入れたシングル盤でして、まだまだ真夏も過ぎていないのに「秋風」という違和感もございましょうが、実は3日前あたりからサイケおやじの中で再燃しているビーチボーイズ熱に浮かされた所為とご理解願えれば、幸いでございます。

で、これは既に述べたとおり、件のアルバムバージョンを日本で独自に編集したシングルバージョンになっているのが珍しく、海外のコアなビーチボーイズ愛好者にとってはコレクターズアイテムだったわけですが、サイケおやじとしてはアルバムバージョンが好きなんですよ、実は。

というのも、楽曲そのものはアル・ジャーディンが書いた美メロのラブソングであり、既に1977年頃にはレコーディングも完了していたと云われているのですが、アルバム「L.A.」に収録のバージョンは前振りとしてヨハン・ゼバスティアン・バッハの「Jesus bleibet meine Freude / イエスは変わらざるわが喜び」、あるいは「Jesus, Joy of Man's Desiring / 主よ、人の望みの喜びよ」の題名でも知られる、音楽好きならば、自然と耳にしているにちがいない有名なメロディが置かれ、結局「秋風のリンダ / Lady Lynda」という楽曲そのものが、その古典をモチーフにしている事が浮かび上がって来る仕掛けが最高!?

これは、プロデュースもアル・ジャーディンがやっているのですから、素敵な確信犯(?)だとしたら、憎めませんねぇ~~♪

ただし、アルバム「L.A.」そのもののプロデュースはブルース・ジョンストンが主導したと云われ、その背景には、せっかく1975年頃から社会復帰を果たしていたブライアン・ウィルソンの精神状態が再び悪化しつつあった事に加え、心機一転(?)CBS傘下のカリブレコードに移籍した事情もあった様からでしょうか、結局のところ、アルバム収録の各トラックがメンバーの単独レコーディングに近い楽曲になっている印象で、つまりは寄せ集め的な仕上がりは当時、賛否両論だったと記憶しています。

しかし、サイケおやじは、これがなかなかに気に入っておりまして、特に素晴らしいコーラスワークとアレンジの妙が心地好い「秋風のリンダ / Lady Lynda」には酔い痴れていたんですよ♪♪~♪

そして同年、久々に来日した江の島でのライブギグでも、この「秋風のリンダ / Lady Lynda」が演じられていたのは嬉しかったんですが、アルバムバージョンとは似て非なるパフォーマンスだったのは、聊かの物足りなさが……。

さて、そこで、いよいよ掲載のシングル盤に収録された「秋風のリンダ / Lady Lynda」なんですが、これはジャケット裏のキャプションによれば、前述した来日の折、東京は信濃町のソニースタジオにおいて、アル・ジャーディンとブルース・ジョンストンによって編集とリミックスが行われたそうで、具体的にはイントロにあったバッハのメロディパートをカットし、幾分リズム隊を強調した様なミックスも感じられ短縮バージョンでして、既に述べたとおり、個人的にはアルバムバージョンの完成度が高かった所為もあり、完全に物足りないんですが、しかし、これはこれで、やっぱりビーチボーイズならではの魅力に溢れた名曲だと思います。

ちなみにCD化に関しては、やはり日本独自の箱物セットに入れられているはずで、確か「グッド・ヴァイブレーションズ・ボックス 」の日本盤にオマケとして付けられたボーナスCDに入っているはずなんですが、特段の必要性を感じないのであれば、掲載したアナログ盤を入手される事をオススメ致します。

ということで、ビーチボーイズの奥の細道にも果ては無し!

しかし、そんな事に拘る前に、何かしら素直に楽しめるのも、ビーチボーイズの魅力のひとつかもしれません。

幸いにも(?)ぶり返した中毒症状が続きそうなんで、ビーチボーイズの諸作について聴く機会が増えそうな今年の夏になりそうです。

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爽快なりっ!

2016-06-10 17:31:40 | Beach Boys
Mike Love, Bruce Johnston & David Marks Of The Beach Boys Salute Nascar (76 = CD)
 
昨日、つまり6月9日は「ロックの日」だったのに、あのバカヤローの所為で嘆き節を書いてしまったのは痛恨の極み!
 
そこで本日はスカッと晴れた初夏に相応しく、思いっきり爽快な夏向きCDを愛車の中で鳴らしまくって仕事場へ向かいました。
 
掲載したのは、その中のひとつで、これが1998年に出た疑似ビーチボーイズの快作なんですねぇ~~♪
 
 01 I Get Around
 02 Little Deuce Coupe
 03 Little Old Lady From Pasadena
 04 409
 05 Shut Down
 06 Little G.T.O.
 07 Ballad Of Ole' Betsy
 08 Little Honda
 09 Fun, Fun, Fun
 10 Don't Worry Baby
 
それは上記した演目でも一目瞭然でありましょうが、とにかくビーチボーイズ初期のヒット&人気曲ばかりですから、必然的に「らしさ」が求められるのは言わずもがな、あえて「疑似」と書いたビーチボーイズとはマイク・ラブ、ブルース・ジョンストン、そしてデヴィッド・マークス、さらにはジャン&ディーンのディーン・トーレンスと1980年代のビーチボーイズのライブを支えたギタリストのエイドリアン・ベイカーが参加しての布陣であれば、本家の信者ならずとも、素直にシビレる仕上がりは保証付♪♪~♪
 
もう少し書き加えさせていただければ、マイク・ラブはビーチボーイズの裏リーダーというか、今ではブライアン・ウィルソンがビーチボーイズの全てという観測が正論のようになっていますが、個人的には殊更初期においてはマイク・ラブの作詞がなければ、ビーチボーイズのヒット曲、そしてグループとしてのイメージも確立されなかった事は明白だと思うばかりですから、もっと素直に楽しむためにも、マイク・ラブを自然に認めて欲しいわけで、それこそがこのCDの颯爽とした仕上がりの秘密じゃ~ないでしょうか?
 
また、ブルース・ジョンストンも途中参加のメンバーですが、逼塞してしまったブライアン・ウィルソンの影武者というよりは、むしろ中期以降のビーチボーイズにおいては、そのポップスセンスこそがグループの人気継続に欠かせなかったというポイントにおいても、侮れない存在でしょう。
 
それとデヴィッド・マークスはオリジナルメンバーのアル・ジャーディンがキャピトルレコードと契約直前(?)にバンドを抜けたという事情から新規参加したものの、一説には素行不良でクビになり、幾つかのグループを組んだ後にギター教室の先生になっていたという履歴があるものの、実はそれ以降にアル・ジャーディンが復帰しても、折々でビーチボーイズのライブステージには出ていたようで、特にこのCDが作られた1998年頃にはマイク・ラブがビーチボーイズを存続させるために呼び戻した(?)準メンバーというのが真相のようです。
 
で、肝心の演目トラックは打ち込みサウンドが用いられてはいるものの、基本的にはオリジナルバージョンの味わいが極力大切にされ、ビーチボーイズを特徴づけるコーラスハーモニーは堂々と健在しておりますし、おそらくはエイドリアン・ベイカーであろうファルセットボーカルも良い感じ♪♪~♪
 
気になるディーン・トーレンスがきっちり「Little Old Lady From Pasadena」を歌っているのもニクイばかりですし、実はCDの最初のパートでは「Good Vibrations」のインストをバックにマイク・ラブとブルース・ジョンストンが軽く挨拶しているのも、なかなかの趣向ですよ♪♪~♪
 
ところが、このアルバムは決してブートではないんですが、やっぱりビーチボーイズの正規盤という扱いではなく、実はアメリカのガソリンスタンドチェーン「76」がキャンペーン用に作ったサービスノベルティというが、その正体でした。
 
しかしエイドリアン・ベイカーが担当したプロデュース&アレンジは的確だし、なによりも些か迷走していた頃のビーチボーイズよりも、ファンが望む「らしさ」が全開しているという嬉しさがあるのですから、楽しまなければ勿体ないし、そんなことを頭でっかちに考察する以前にワクワクさせられる魅力に満ちているんですねぇ~、このCDはっ!
 
今となっては新品の入手は困難かもしれませんが、ビーチボーイズが好きな洋楽ファンであれば、中古でも出会ったら即ゲットをオススメの好盤です。
 
ということで、書き遅れてしまいましたが、本日はひし美ゆり子様のお誕生日でもあり、なんとっ「ロック=69」になられたのは偶然ではありますまい!
 
おめでとうございまぁ~~す♪
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リトル・ガールは孤高の名曲

2012-09-20 15:06:43 | Beach Boys

リトル・ガール / The Beach Boys (Capitol / 東芝)

ビートルズと同じく、ビーチボーイズにしても、残されたレコーディング曲から「ベスト10」を選ぶ事は困難を極めますが、例えば「ベスト30」であれば、本日ご紹介のシングル曲を選ぶ事に、サイケおやじは躊躇しません。

しかし不覚にも、サイケおやじが「リトル・ガール / The Little Girl I Once Knew」を知ったのは、なんとっ!? 昭和50(1975)年の事で、それは同年初夏に発売された編集アルバム「スピリット・オブ・アメリカ」を聴いた時なんですから、いやはやなんとも……。

と言うのも、実は皆様もご存じのとおり、この「リトル・ガール / The Little Girl I Once Knew」が世に出たのは1965年11月であり、歴史的には「California Girls」に続く新曲でありましたが、同時期には、あの和みのスタジオライヴLP「ビーチボーイズ・パーティ」が出たこともあり、結果的に長い間、アルバム未収録であったという言い訳も、まあ、出来ない事はないでしょう。

そして正直に言えば、ビーチボーイズは当時のサイケおやじの洋楽趣味から些か外れた存在であり、結果的に現在では超名盤アルバムと認定の「ペット・サウンズ」にしても、リアルタイムでは聴いていなかったわけですから、さもありなん……、とご理解願いたいところです。

また、冷静に思い返しても、「リトル・ガール / The Little Girl I Once Knew」が我国で流行っていたという記憶も無いんですが……。

そういうわけですから、実質的にサイケおやじがリアルタイムでビーチボーイズにシビれたのは以前にも書いたとおり、「サンフラワー」以降であり、そこから後追いで聴いていく歌や演奏にしても、とりあえずはアルバム中心であれば、全体の流れは大まかに掴めても、こういう逼塞させられたシングル曲への邂逅は、眩いほどでしたねぇ~~♪

まず、なによりも凄いと思ったのは、1975年になっても全く斬新としか思えないメロディラインと複雑なコーラスワーク!

しかも基本的には4ビートであろう曲展開には、12弦(?)ギターや各種キーボードによる巧みなリフが作り込まれ、しぶとい裏メロ(?)を弾くベースや結果的にオーケストラっぽい響きを持つ演奏パートは、これが1965年のサウンドなんですから、まさにブライアン・ウィルソンという天才の仕業は恐るべき高みに達していたんですねぇ~♪

う~ん、前述「ペット・サウンズ」以前に、これほど激ヤバのレコードが作られていたという、その事実!?!

もちろん、決して難解ではない全体の印象は、マイク・ラブ十八番の低音ボーカルが使われている事によるんでしょうが、それでもリアルタイムのリスナーは、完全に別次元へ転移したかの如く変わってしまったビーチボーイズに得体のしれないものさえ感じたんじゃ~ないでしょうか?

まあ、このあたりはサイケデリックロックへの入り口という位置付けも可能ではありますが、確かにこれは、ビーチボーイズのオリジナルアルバムの何処にも入る事の出来ない、まさに孤高の名曲名唱だと思います。

ちなみにオリジナルのシングルバージョンは、例によってモノラルミックスなんですが、サイケおやじが最初に聴いた「スピリット・オブ・アメリカ」所収の同曲には妙なエコー感があり、それが気になってしまった結果として、掲載された日本盤シングルを中古でゲットしたという経緯を付記致します。

そして聴き比べて驚いた事のひとつとして、前述した演奏パートのエレキベースには、しっかりエコーが効かされているという、思わず唸るサウンドプロダクト!

いゃ~~、流石にビーチボーイズは、深~いですねぇ~♪

ということで、最後になりましたが、ジャケットに写るメンバーの衣装は秋の装いでしょうか、実はこのグループショットに限りなく近いカットが、後に「Sloop John B.」の日本盤シングルのピクチャースリーヴにも使い回しされるのですから、ますます「リトル・ガール / The Little Girl I Once Knew」が日陰の身のような気がするほどです。

ということは、少なくとも当時の我国の発売元だった東芝レコードは、やっぱり「リトル・ガール / The Little Girl I Once Knew」を粗略に扱っていた? という見方も成り立つんでしょうか???

しかし、例え何であろうとも、この「リトル・ガール / The Little Girl I Once Knew」の進歩性と普遍性は圧巻ですよっ!

この時期なればこそ、是非に、お楽しみ下さいませ。

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やっぱり、こっちのビーチボーイズ

2012-03-14 15:05:29 | Beach Boys

Dance, Dance, Dance c/w 太陽あびて / The Beach Boys (Capitol / 東芝)

本当は待望久しいと言うべきなんでしょうが、個人的にはイマイチ期待していないのがビーチボーイズの再集結と新作発表、そして予定されているらしい来日公演の諸々です。

なにしろバンド結成50周年ですからねぇ~、そりゃ~、正直、分かりますけど、サイケおやじが懸念しているのはブライアン・ウィルソンばかりか、最近は他のメンバーでさえ固執(?)している「ペットサウンズ」や「スマイル」への姿勢で、もしもそれがライプで再現されるとしたら、なんだかなぁ……。

だって、率直に言って、ビーチボーイズが一番輝いていたのは、それ以前の時期でしょう。

もちろんサイケおやじだって、「ペットサウンズ」は最高に素敵なアルバムだと思いますし、「スマイル」だって未だ難解だと自覚しつつも、先日ようやく公表された集大成ボックスはゲットしたほど、これはなかなか無視出来ない領域だと認めているところです。

しかし、それは本当に近年の世評による後押しがあっての事で、現実的にはリアルタイムでのヒット盤では無く、ビーチボーイズ本隊とブライアン・ウィルソンが決定的に対立する火種だった事実は一概に過言ではありません。

そこで思い出されるのが、サイケおやじも出かけて行った昭和54(1979)年8月の二度目の来日公演で、それは「Japan Jam」と銘打たれた江の島での野外ライブだったんですが、他にもファイアー・ホール、ハート、そして日本のバンドとしてサザン・オール・スタアズ等々が登場の大イベントでした。

で、この時の一番の注目点は「ブライアン・ウィルソンが入ったビーチボーイズ」という、日本のファンにとっては非常な関心事で、なにしろ前回の初来日では、ブライアン・ウィルソンが巡業には不参加という既定路線に入っていましたからねぇ~~。

残念ながらデニス・ウィルソンは怪我を理由に休んではいたものの、マイク・ラブ、カール・ウィルソン、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストンに数名のサポートメンバーを入れた陣容は、まさに夢の出来事だと、サイケおやじは舞い上がっていましたですねぇ、実際にライプがスタートするまでは。

ところが肝心のブライアン・ウィルソンはキーボードの前に板付状態……。

時にはベースも担当していたような記憶もあるんですが、おそらくは楽器も、ボーカルマイクもオフ設定だったと思うほどの飾り物だったんですよ。

しかも演じられた代表曲の数々の中でウケていたのは、往年のサーフィン&ホットロッドのヒット曲だけで、1960年代半ば以降の例えば「Darlin'」や「Do It Again」等々になると観客のノリが急激に低下し、さらに1970年代のリアルタイムの演目なんて、もう悲惨なほどに……。

ちなみに、この時のビーチボーイズは決して手抜きでは無かったと思いますし、サポートメンバーを入れたライプステージは既に当時の定番構成でしたから、個人的には違和感を覚えるほどではありませんでした。

むしろマイク・ラヴを先頭にしたグループとしての旺盛なサービス精神は感度良好♪♪~♪ 歌もコーラスワークも演奏も、なかなか纏まりがあった印象です。

そしてビーチボーイズは、やっぱり「ペットサウンズ」以前だよなぁ~~♪

絶対の確信を得ましたですねぇ~♪

さて、そこで本日ご紹介のシングル盤はアメリカでは1964年晩秋、我国では翌年早々に出た、まさに急所を突かれたような素敵なカップリング♪♪~♪

なにしろA面の「Dance, Dance, Dance」からして、実にノリが最高というビーチボーイズ流儀のR&Rであり、痛快なギターリフと複雑なベースラインの混在は明らかに狙ったものでしょうが、これは見事な大正解だと思います。

しかも様々な打楽器を使用した厚みのあるサウンド作りも侮れません。つまり各方面で言われている、フィル・スペクターに対する挑戦的恩返しという証明なのでしょうか? 翌年春に出される名作アルバム「トゥデイ!」の見事な予告編となって、サイケおやじは大好きです。

一方、B面の「太陽あびて / The Warmth Of The Sun」は同年春先に出していたアルバム「シャットダウン Vol.2」からカットされた、素晴らしすぎるスローバラードの決定版で、美しくも儚い心象風景がジンワリと焼きつけられる感動の名曲ですよ。

あぁ、最初っから最後までファルセットで歌うブライアン・ウィルソンを他のメンバーが綺麗なコーラスワークで彩る構成こそ、ビーチボーイズの真骨頂じゃないでしょうか!

本当に何度聴いても、泣けてきます。

ということで、このあたりの刹那の快楽性こそが、サイケおやじにとってはビーチボーイズの最高点でありますから、すっかり濁り声になってしまったブライアン・ウィルソンやノリが衰えたマイク・ラブ、また失礼ながら結果的に形骸化しつつあるビーチボーイズに過大な期待は禁物と思うわけです。

しかし同時に、もしかしたら……!?

そう思いたい気持も確かに有るんですから、予定されている今年の来日公演が夏頃という噂には、ちょいとばかりのウキウキ感が、う~ん、この自己矛盾!?

それを解消するためには当分の間、初期ビーチボーイズを聴きまくる他は無いと思うのでした。

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これは、笑っちゃうほどの暴挙!?

2011-09-05 15:21:55 | Beach Boys

Smile / The Beach Boys (Capitol)

夢と現実のギャップは常に人生の裏表であり、悲喜こもごも……。

例えばビーチボーイズが1960年代半ばに制作しながら、結局は完成出来なかった「スマイル」というアルバムも、大衆芸能史を飛び越えた様々な「お騒がせ」の象徴として、決して忘れられることはないでしょう。

なにしろ「スマイル」専門の研究家は世界中に数多存在していますし、ビーチボーイズ本人達にしても、未完成のマテリアルを困った時の「打出の小槌」の如く使い回し、しかも黙っていられずに内幕や秘密をリークする関係者、あるいは強欲なブート業者の跳梁跋扈もありましたから、マニアばかりか、一般的なファンまでもが、これまで散々「スマイル」には幻惑されて来ましたが……。

なんとっ! その渦中のど真ん中で騒動の張本人とも言うべきブライアン・ウィルソンが、2004年にソロアルハムではありますが、完成させてしまったのですから、穏やかではありません。

それはサイケおやじにしても大きな衝撃で、問題の「スマイル」が世に出る事になった時には拙サイト「サイケおやじ館」で経緯特集までも進行させたのですが、正直なところ、ブライアン・ウィルソンのバージョンには納得出来ず、それゆえに拙稿も中断せざるをえませんでした。

その一番の問題点は、なによりもビーチボーイズで作られてないことに尽き、それを補う様に同時期のブート業界が決定的なブツを何種類も出したのですから、たまりません。

例えば2008年に出た「Smile Deluxe Edition (DTCD2680)」というCD2枚組は、前述したブライアン・ウィルソンのバージョンを参考に、これまでにビーチホーイズが残した公式&ブート音源を駆使して纏め上げた「DISC-1 / SMILE purple chick version」、そしてスマイル研究家集団が長年調査して纏めたという「DISC-2 / SMILE millennium edition」のカップリングセットとして音質も最高に良かったことから、局地的にバカ売れの隠れベストセラー!?!

既に述べたように、ブライアン・ウィルソンのバージョンには不条理を感じていたサイケおやじも、これには満足させられましたですねぇ~♪

DISC-1:SMILE purple chick version
 01 Our Prayer / Gee
 02 Heroes And Villains
 03 Roll Plymouth Rock
 04 Barnyard
 05 Old Master Painter / You Are My Sunshine
 06 Cabin Essence
 07 Wonderful
 08 Song For Children
 09 Child Is Father Of The Man
 10 Surf's Up
 11 I'm In Great Shape / I Wanna Be Around / Workshop
 12 Vega-Tables
 13 On A Holiday
 14 Wind Chimes
 15 Mrs. O'Leary's Cow
 16 In Blue Hawaii
 17 Good Vibrations
※BONUS TRACKS
 18 Vega-Tables
(vocals only)
 19 Our Prayer / Gee (mono)
 20 Heroes And Villains (mono)
 21 Roll Plymouth Rock (mono)
 22 Child Is Father Of The Man (mono)
 23 Surf's Up (alternate)

DISC-2:SMILE millennium edition
 01 Our Prayer
 02 Heroes And Villains
 03 Child Is Father Of The Man
 04 Wonderful
 05 With Me Tonight
 06 Do You Like Worms ?
 07 Old Master Painter
 08 Cabin Essence
 09 Good Vibrations
 10 Vega-Tables
 11 Wind Chimes
 12 THE ELEMENTS: Look / Holidays / Mrs. O'Leary's Cow /
         / Cool Cool Water / riday Night / Good Vibrations
(Reprise)
 13 Vega-Tables (Reprise)
 14 Surf's Up
※BONUS TRACKS
 15 I'm In Great Shape / I Wanna Be Around / Workshop
(mono)
 16 Vega-Tables (mono)
 17 In Blue Hawaii (with mono sections)
 18 Good Vibrations (original lyrics)

ただし、正直に言えば、そうやって姿を現した「スマイル」は、なぁ~んてつまらないアルバムだろう……??? そう思う他は無いほど、音楽を聴くという基本的な快楽がサイケおやじには感じられませんでした。

つまり「満足」と思ったのは、あくまでも演じているのがビーチボーイズという部分に負っているのです。

こうして月日が流れました。

そして驚くべきは近々、ついにビーチボーイズ自らが監修したという「スマイルの音源集」が登場!!

つまりは1966夏~1967年初頭に行われたとする「スマイル」のセッションから、可能な限りのオリジナル企画を再現し、併せて没テイクや未完成デモ等々を編集構成した内容なのでしょうか?

しかも、これには通常の1枚物CD、所謂デラックスエディションの2枚組CD、さらにはアナログ盤2LP&7吋シングル2枚が付属した5枚組CDボックスという、それぞれにマニア泣かせの仕様が出されるというのですから、いやはやなんとも!?!

これは、暴挙じゃ~ねぇ~のかぁぁぁぁぁぁ~!♪!?

と思いつつも、既に予約は輸入盤&日本盤でスタートしていて、日本盤が2万円ほどですから、輸入盤はもっと安くゲット出来るのですが、実は詳細なプックレットや諸々のオマケの事を思えば、サイケおやじは勢いで日本盤を予約してしまいました。

ただし、恥ずかしながら、これが到着しても、きっと自分は開封することが出来ないバチアタリを、今から分かっているんですねぇ……。

でも、持っていないと不安なんですよ、これがっ!

そんな邪道な蒐集魂は最悪だと、本音で自己嫌悪するほどです。

しかし、どうにも出来ない自分が情けない……。

ちなみに意地悪な5枚組のCDには、最初期のデモ音源、別テイク、カラオケのインスト、ヴォーカルオンリーの新ミックストラック、さらにはスタジオでの談笑までもが纏められているという情報が入っていますから、目眩がしてきます。

とすれば、1CDの通常盤こそが、ようやく完成された「ビーチボーイズのスマイル」ということになるのでしょうか???

いずれにせよ、もうゲットする事に決めてしまったサイケおやじは心静かに、その日を待ちたいと願うだけなのでした。

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ビーチボーイズの異色

2011-06-10 16:43:37 | Beach Boys

Wild Honey / The Beach Boys (Capitol)

既に何度も書いていますが、サイケおやじが本格的にビーチボーイズに目覚めたのは、リアルタイムの「サンフラワー」以降でしたから、往年のヒットシングル曲はともかくも、特に遡って聴くアルバムの幾つかには新鮮な衝撃があって、本日ご紹介の1枚は、その最右翼でした。

 A-1 Wild Honey
 A-2 Aren't You Glad
 A-3 I Was Made To Love Her
 A-4 Country Air
 A-5 A Thing Or Two
 B-1 Darlin'
 B-2 I'd Love Just Once To See You
 B-3 Here Comes The Night
 B-4 Let The Wind Blow
 B-5 How She Boogalooed It
 B-6 Mama Says

結論から言うと、ビーチボーイズを特徴づけていた爽快なハーモニー&コーラスがほとんど聞かれず、逆にシンプルな力強さを狙ったかのような、如何にもロック的な音作りや黒人R&Bのエッセンスをモロに取り入れた部分も感じられるという、ある意味では最も「らしくない」仕上がりになっています。

しかしサイケおやじが衝撃を受けたのは、全くそのところであって、歴史的にはサイケデリックポップスを極めたアルバム「スマイリー・スマイル」に続く1967年末に発売されたという事実を鑑みても、???の連続……。

本来であれば、さらに緻密な音作りが形成され、十八番のハーモニーワークと珠玉のメロディがあって然るべきはずが、極言すれば中途半端としか思えない曲があったり、あまり冴えない仕上がりのカパーが入っていたりでは、リアルタイムのファンがどのように納得していたのか、大きな疑問を抱くほどです。

ただし、それまでのイメージに拘らず、むしろ1970年代初期のビーチボーイズが好きなファンにとっては、これが妙に愛着が持てるアルバムじゃないかと思います。と同時に、ビーチボーイズが、これをやってしまったという現実があってこそ、好きになったら一生手放せないものになる可能性も秘めた作品かもしれません。

それはまず冒頭、アルバムタイトル曲の「Wild Honey」からして、イントロの疑似シンセが激しく上下する中でカール・ウィルソンが半ばヤケッパチに切迫して歌う展開と間奏のオルガンのしぶといカッコ良さ! これは明らかに新しいビーチボーイズを象徴してるんじゃないでしょうか。

またB面初っ端の「Darlin'」は今日、山下達郎のカパーで有名になっているので、皆様も一度は耳にしたことがあるはずの隠れ名曲♪♪~♪ とにかく弾みまくったロックビートの強さとブラスロックの先駆的な味わい、さらにビーチボーイズが十八番のコーラスワークを意図的にラフにやってしまったかの如きサウンド作りの妙♪♪~♪ そして何よりも素敵なのが、ブライアン・ウィルソン&マイク・ラブによる胸キュンの曲作りとカール・ウィルソンの若気の至りっぽいソウルフルな節回し!

全く、これが嫌いなポップスファンはいないと思われるほどですよっ!

そして同じくソウルフルな「Here Comes The Night」も絶妙に脱力したブライアン・ウィルソンのリードボーカルがこの時期のビーチボーイズならではというか、後年には何を考えていたのか、なんとディスコバージョンまで作られる愚挙まで引き起こしたのが不思議と理解出来てしまう名曲だと思います。

しかし、そうしたソウルフル路線が裏目に出たというか、「I Was Made To Love Her」はスティービー・ワンダーが同年にヒットさせた人気曲の煮え切らないカパーであり、また「How She Boogalooed It」はブライアン・ウィルソン抜きのビーチボーイズのメンバーが共作したモータウン系のロッキンソウルではありますが、これならスパイダースの「赤いドレスの女の子」の方が百倍カッコ良いと思うのはサイケおやじだけでしょうか……。

実は例によって後に知った事ではありますが、この時期のブライアン・ウィルソンは悪いクスリや精神的重圧から普通の生活さえ儘ならず、当然ながらグループの音楽的頭脳という曲作りやプロデュース活動も停滞していたところから、このアルバムを作るにあたっては、R&B趣味に走っていたと言われるカール・ウィルソンが中心となり、またブライアン・ウィルソンが自宅のスタジオで気が向いた時だけレコーディングしていたデモ素材を引っ張り出しての再加工という真相が!?

ですから愛らしいラブソングの「Aren't You Glad」やハミングのメロデイが心地良い「Country Air」、ハワイアンR&Bとでも言うべき「A Thing Or Two」、そしてこれぞっ、ビーチボーイズの真骨頂ともいうべきハーモニーの魔法が全開した「Mama Says」あたりは、何れもどこからしら中途半端ではありますが、やはり「ペットサウンズ」を頂点とした充実期の残滓が確かな魅力となって、聴く度にグッと惹きつけられます。

そしてアコースティックギターの使い方がニクイほどの「I'd Love Just Once To See You」やワルツタイムを上手く使った「Let The Wind Blow」には、1970年代にブームとなる所謂シンガーソングライター的な味わいが既に感じられるんですよねぇ。まあ、これは個人的な思い入れかもしれませんが、サイケおやじは、とても好きです。

つまり極言すれば、これはビーチボーイズの現在・過去・未来が交錯した奇蹟(?)の1枚であり、そう思えば同バンドが二度と同じ味わいのアルバムを出さなかったのも偶然ではないでしょう。

また、これまではスタジオミュージシャンの多用による演奏パートの実質的な部分が、このアルバムではレギュラーメンバーが自らやった形跡も、チープでラフなところがロック的な感性の表出へと繋がったのは結果オーライかもしれません。

特に「Darlin'」でのドラムスのカッコ良さは最高ですよねぇ~~♪

ちなみに「疑似シンセ」と書いた「Wild Honey」のイントロ部分の不思議な音作りは、テルミンという当時の最新(?)式電子楽器によるもの!? このあたりの先進性も、まだまだビーチボーイズの意欲が前を向いていた証でしょうか。

ちなみに掲載した私有LPは「STEREO」の表示があるものの、例によってモノラルミックスしか作らないブライアン・ウィルソンの意向に逆らう形でレコード会社が勝手に疑似ステレオ化したのが、その真相……。まあ、あまり極端なステレオ効果やエコーが付いた感じでもないので、拘る必要もないと思いますし、現行のCDはモノラルミックス優先ですから、いやはやなんともです。

ということで、繰り返しますが、全く「らしくない」仕上がり故に人気の無いアルバムではありますが、好きになったら一生涯付き合える裏名盤と、サイケおやじは確信しているのでした。

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