OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

春ボサpart-3

2007-02-28 17:00:00 | Weblog

雪国なのに大した雪も降らずに冬も終り、明日から3月♪

こういう時期に私はボサノバを聴いてしまう、天邪鬼なんです。

そういえば「雪」なんてボサノバ歌謡曲を、吉田拓郎が歌っていましたですね。

ということで、本日は――

Samba Blim / Tamba 4 (CTI)

先日の「」に続き、これもアメリカ制作によるポビュラーボサノバの傑作です。

タンバ4というバンドは、本場ブラジルから来た正統派ジャズも余裕でこなせる実力派ですが、ここではCTIというレーベルカラーに従って、多重録音にストリングスの共演という作り物! しかし、これが素晴らしいです♪

録音は1968年8月、メンバーはルイス・エサ(p,key,arr)、ドリオ(b,g,per)、オアーナ(ds,per)、ベベート(fl,per,b,vo) に加えて、一流セッションミュージシャンのストリングスがついています。そして演目は以下のとおり――

A-1 Samba Blim (1968年8月8日)
A-2 Watch What Happens (1968年8月13日)
A-3 Weekend (1968年8月13日)
A-4 Palladium (1968年8月13日)
A-5 Quietly (1968年8月13日)
A-6 Know It All / 消えた噂 (1968年8月8日)
B-1 Reza (1968年8月8日)
B-2 Tristeza de Nos Dois / ふたりの悲しみ (1968年8月13日)
B-3 San Salvador (1968年8月7日)
B-4 Slick (1968年8月7日)
B-5 Baiano (1968年8月13日)
B-6 Pregao (1968年8月7日)

――ですが、だいたいどれも、胸キュンメロディにシャープなボサのリズム♪ そしてボサロックもあれば、ジャズ色が強い演奏までも入っています。

まず、ミッシェル・ルグラン作曲の有名な「Watch What Happens」が正統派ラウンジミュージックの極みつき♪ ルイス・エサのストリングアレンジも爽やかですし、ベベートのフルートにはシンプルな良さがあって、いつまでも聴いていたい仕上がりです。控えめなボサノバのリズムが、これまた素敵、素敵♪

強靭なリズムギターとフルートの鬩ぎ合いに、お洒落なコーラスが入る「Weekend」では、正統派ジャズピアノの真髄に迫るルイス・エサが流石!

「Reza」は必ずや聞いたことのある名曲・名演だと思います。

またジャズ色が濃い「ふたりの悲しみ」や「San Salvador」「Slick」ではベベートのフルートが冴え、リズム隊も新主流派の雰囲気を滲ませたりして、硬派な一面を聞かせてくれます。

さらに同時代の日活や東宝アクション映画のサントラのような「Palladium」「Quietly」も、夜のドライブでは成りきりモードに突入してしまいます。

もちろんタイトル曲「Samba Blim」は楽しくてジャジーな名演ですが、こういうボーカル入りの演奏は、ソフトロックと紙一重な楽しみがありますねぇ~♪ 「Baiano」なんか、実に良い雰囲気ですよ♪

そして「消えた噂」と「Pregao」は、それぞれがアナログ盤の片面を締め括る意味合いがある曲で、悲しい別れは全ての始まりのような余韻が最高です。

ということで、これはアナログ盤時代から聴きまくった1枚です。数年前にはCDも入手して、車や仕事場の常備品になっていますが、またまた秀逸なジャケットは、このレーベル御用達のピート・ターナー撮影による風景写真♪

全部シビレて、ゴキゲンなアルバムなのでした。

ちなみに昭和50年代までは、ホテルのラウンジとかナイトクラブに、このタンバ4をお手本にしたハコバンが多数出ていましたですね。それが今では絶滅の危機みたいなのが、ちょっと悲しいところです。

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サタニック記念日♪

2007-02-27 17:31:10 | Weblog

Their Satanic Majesties Request / The Rolling Stones (Decca)

昭和43(1968)年の今日、私は初めて、このアルバムを聴きました。

従兄のお姉さんから聞かせてもらったんですが、中身は完全に???

しかし三次元写真とサイケどっぷりのジャケットには、陶然とさせられましたですねぇ~。

時が流れ、昭和50(1975)年の今日、私はオリジナル英国盤を手に入れています。

こんな因縁、古い日記を見返していて、今日初めて気がつきました。

故に本日は「サタニック記念日」というわけです♪

内容については、近々、メインサイトの「サイケおやじ館」に自己満足掲載中の「転石音盤史」で取上げますが、やっぱりスゲェ~、アルバムだと思います!

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ソフトなモーガン

2007-02-26 16:55:14 | Weblog

最近、1日置きに体調の良し悪しが変わります。

と言っても、特に苦しいとか、疲れるというわけでは無く、調子が出ないとか、そんな感じです。まあ、私も「人生僅か五十年」を過ぎているわけですから、それなりかもしれませんが……。

ということで、本日は――

City Lights / Lee Morgan (Blue Note)

天才トランペッターとして十代からスタアになったリー・モーガンですから、人気盤・名盤が多すぎて、逆に目立たなくなった秀作盤も多いと感じています。

本日の1枚も、あまりジャズ喫茶では鳴っていた記憶が薄い作品なんですが、中身はもちろんモダンジャズ全盛期の良さがびっしりと詰まっています。

録音は1957年8月25日、メンバーはリー・モーガン(tp)、カーティス・フラー(tb)、ジョージ・コールマン(ts,as)、レイ・ブライアント(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という物凄さですが、ちなみに、この日はホーン陣がそのまんま、ジミー・スミスのリーダーセッションに参加して録音を残しているほど、時代の流れがハードバップになっていたのです。

またリー・モーガンの盟友であるベニー・ゴルソン(ts) とジジ・グライス(as) という、後ろ盾がここでも暗躍(?)して、作編曲を提供しています――

A-1 City Lights
 ポール・チェンバースの不気味なアルコ弾きがイントロなので、嫌な予感がするんですが、直ぐに親しみ易いテーマメロディが景気良く演奏され、ホッとします。もちろん作編曲はベニー・ゴルソンとあって、心地良い柔らかさが魅力です。
 しかしアドリブ先発のジョージ・コールマンは、かなりハードに飛ばしていますし、カーティス・フラーも手抜き無しの全力投球です。刺激的なアート・テイラーのドラムスも良いですねぇ~♪
 そしてリー・モーガン! 先の事を考えていないような炸裂ぶりには、何時もながら溜飲が下がります。またレイ・ブライアントの小気味良いピアノタッチにも、グッときます。
 演奏はこの後、ポール・チェンバースのアルコ弾きを経て、リー・モーガン対アート・テイラーの対決がクライマックス! ここはハードバップのお手本として永久不滅でしょうねぇ♪ ラストテーマのカッコ良さも忘れられません。

A-2 Tempo De Waltz
 これもベニー・ゴルソンのオリジナルというワルツ曲♪ 穏やかな曲調ですが、結果はバリバリのハードバップという恐ろしさです。
 それはアドリブパートでワルツテンポが強靭な4ビートに変化するからなんですが、要所でキメのように混濁のビートが出たりする仕掛けが、また恐いところです。
 しかしアドリブを演じる各々のプレイヤーは百も承知の名演続きで、特にリー・モーガンは、十八番のタメとツッコミで素晴らしいかぎりです! ミステリアスなムードを醸し出すジョージ・コールマンも、良いなぁ~♪ 歌心の塊にようなレイ・ブライアントも存在感抜群です。
 そしてポール・チェンバースのベースソロは、もう天才の証明です!

A-3 You'er Mine you
 あまり有名でないスタンダード曲なんですが、ベニー・ゴルソンのアレンジがあるので、ちょうど5ヵ月前に吹き込んで人気名演となった「I Remeber Clifford」の続篇のような雰囲気です。
 もちろん柔らかなハーモニーにバックアップされたリー・モーガンが、天才的な歌心とジャズ魂を聞かせてくれますので完全降伏♪ この演奏こそ、あまり取上げられることの無い隠れ名演を楽しむ贅沢だと思います。
 レイ・ブライアントが、また感傷的で素晴らしいぃぃぃぃ~です。

B-1 Just By Myself
 後にはジャズ・メッセンジャーズの演目ともなるベニー・ゴルソンのオリジナル曲ですが、それよりはソフトムードのアレンジと演奏が、ここでの魅力です。
 とはいえ、リー・モーガンは鋭いツッコミと音選び、緩急自在のノリを駆使して間然することのない名演を聞かせてくれます。バックを彩る柔らかなハーモニーとのコントラストが本当に絶妙なんですねぇ♪
 ジョージ・コールマンのテナーサックスも灰色の響きて心地良く、カーティス・フラーは春風の吹流しというウルトラ級の超名演♪ けっして派手ではありませんが、これもハードバップならではの風情だと思います。
 そしてレイ・ブライアントが哀愁の歌心♪ ポール・チェンバースは力感満点ですよ!

B-2 Kin Folks
 アルバムの締め括りは、ジジ・グライスが提供した正統派のジャズブルースで、仄かなファンキームードが実に良いです。凝ったアレンジも嫌味ではなく、リズム隊も分かっているという感じ♪
 ですからリー・モーガンも、じっくりと構えて余裕の節回しというか、良い意味で押えたアドリフに終始していますが、逆にジョージ・コールマンはアルトサックスでブルースどっぷりの心情吐露です。
 そしてカーティス・フラーがハスキーな音色で迫ってきます! あぁ、これがハードバップです! リズム隊も真っ黒に粘っこく、ポール・チェンバースは終始、絡んでいきますし、レイ・ブライアントは芳醇なブルースの香りを撒き散らしています!

ということで、全体に派手さよりはシブさの仕上がりかもしれませんが、聞くほどに味が滲みてくる名盤だと思います。実際、最初聴いた時はピンっ来なかったのが本音です。しかし、せっかく買ったんだから聴かないと勿体無いという若い頃の意地があってこそ、愛聴盤になりました。

あと、昔から気になっていたジャケットの絵柄は、こんな場面をジーン・ケリーのミュージカル映画で観たような気がするのですが、はて?

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春ボサpart-2

2007-02-25 17:50:03 | Weblog

昨日のバンド練習は、ちょっと浮かれ過ぎたか、本日は疲れが出ています。

こうなるとストーンズは現役で一晩に2時間近い演奏をやっているんですから、凄いなぁと思いますね。体力作りをしなければと、痛感しています。

ということで、本日は怠惰な春のボサノバを――

Wave / Antonio Carlos Jobim (CTI)

1950年代のブラジルで生まれた新しくて、お洒落な音楽のボサノバは、1960年代初めにはアメリカで大流行♪ そして世界で人気のジャンルになりましたが、これには本場ブラジル純産のものと、特にアメリカでイージーリスニング性を強めたポピュラー系のふたつがあると思います。

もちろん、ブラジル産の素晴らしさは不滅であり、虜になれば抜け出せないイノセントな世界に耽溺してマニア道を極めんと志すわけですが、一方、私のような雑食性の者にとっては、後者にたまらない魅力を覚えてしまうのではないでしょうか。

このアルバムはボサノバのブームが一段落した後の1967年に作られた美しき1枚です。

リーダーのアントニオ・カルロス・ジョビンは、ボサノバを創成者したひとりで、元々は場末のピアノ弾きからレコード会社のプロデューサーにまで出世した偉人です。もちろん天才作曲家&アレンジャーでもありますから、ボサノバが世界に伝播していく上では重要な働きをしており、このアルバムも、その仕事のひとつです。

しかも、ここで手を組んだのが、常に良質な大衆音楽を作るクリード・テイラーという敏腕プロデューサー! 決して本質を見失うことなく、絢爛で親しみやすい音楽を作る2人の天才が邂逅してこその傑作盤になっています。

録音は1967年5月22~24日&6月15日、メンバーはアントニオ・カルロス・ジョビン(g,p,key)、ロン・カーター(b)、ドン・ウン・ロマン(ds,per) を中心に大勢のストリングスとブラスを導入し、そのアレンジは鬼才のクラウス・オガーマンですから、たまりません♪ そして演目は全て、この時点での新曲となっています――

A-1 Wave / 波
A-2 The Red Blouse / 赤いブラウス
A-3 Look To The Sky
A-4 Batidinha 
A-5 Triste 
B-1 Mojave 
B-2 Dailogo 
B-3 Lamento 
B-4 Antigua
B-5 Captain Bacardi

何と言っても、初っ端の「波」ですねっ♪ メロディも最高ならば、トロンボーン主体の膨らみのあるホーン・アレンジと涼やかなストリングに彩られ、アントニオ・カルロス・ジョビンのピアノとギターがシンプルに歌います。短い演奏ながら、すぐさま、辺りは天国に変わります。

また「赤いブラウス」も歯切れの良いギターと黒人ノリのベース、さらにシャープな打楽器が渾然一体になって、素敵なメロディをひき立てます。もちろんストリングスも最高の美しさ♪

他にも、聴いていて泣きそうになるほどの「Look To The Sky」や耽美な「Batidinha」、そして脱力系名曲の「Triste」が続くA面の流れは、何度は聴いても昇天です♪ もちろんアレンジと演奏は完璧な美しさです♪

そしてB面に入っては優雅に躍動的な「Mojave」が、ちょっとフランス映画の洒落たサントラの趣があって気に入っていますし、気だるい「Dailogo」は真昼間からのワインの時間♪ また有名曲「Lamento」ではボーカルや演奏にジャズ色が強い大人の楽しみがあります。そしてフワフワした「Antigua」から、強靭なリズムとビートが本性を現す「Captain Bacardi」の流れは、けっして侮れない本質を突いていると感じます。

ということで、CDではもちろん、この全曲を通して聴けますから、全篇で31分ほどの桃源郷が、リピート機能ならば半永久的に続くという秀逸な作品です。

それはアントニオ・カルロス・ジョビンの力量もさることながら、プロデュース全体の成功というか、リーダー本人の度量の大きさとスタッフの優れた手腕の幸福な同居というべきものでしょう。

ちなみにジャケットは風景写真の巨匠=ピート・ターナーの秀作ですが、最近のジャケットは色が緑色になっているようですね。おそらく赤色がオリジナルと思いますが、まあ、中身の素晴らしさ優先ということで、これは付けたしです。

ボサノバは一般に夏のイメージですが、天邪鬼な私は春か秋に聴くことが多いのでした。

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実況録音

2007-02-24 18:59:27 | Weblog

今日は、以前から誘われていた「おやじバンド」の練習に行ってきました。土蔵の中の臨時スタジオは、以外に音響が良くて、気持ち良かったですねぇ♪

ただしドラマーが一回り若いので、煽られて演奏が走り気味です。そしてボーカルが体力的に息切れして後ノリになるんで、録音した演奏を聴くと、メチャメチャです。まあ、それが実力というか、楽しければそれで良しというのが、基本でした。

ということで、本日の1枚は――

Birdland 1953 The Complete Trio Recodings / Bud Powell (Fresh Sound)

バド・パウエルはモダンジャズを創成した真の天才ピアニストですが、その真髄が記録された音源は極めて少なく、それゆえに他の演奏に過大な期待をされてしまうという、ある種の困った存在です。

ですからファンならずとも、全ての音源を聴きたいという欲求はジャズ者にとっては避けて通れないところ! 公式盤以外にも多くの非公式録音が表に出てくるあたりが天才の証という、本末転倒な言い訳をしつつ、コレクションが増えていく次第です。

さて、このCDは、1953年に長期契約を得て出演していたニューヨークの名店「バードランド」からの実況ラジオ放送をソースとして、その音源を集大成した2枚組です。まあ、これらの演奏は、アナログ盤時代から幾度か出ていましたので、特に珍しいブツではありませんし、音質も年代的な問題から決して良好とは言えませんが、今回の再発ではリマスターに統一感があって聴き易くなっています。

肝心の内容は、1953年2月から9月にかけて、11回のセッションを聴くことが出来ます――

CD-1
●1953年2月7日録音
 01 Tea For Two 
 02 It Could Happen To You 
 03 Lover Come Back To Me

 メンバーはバド・パウエル(p) 以下、オスカー・ペティフォード(b)、ロイ・ヘインズ(ds) となっています。
 最初の2曲は、ビバップ特有のエキセントリックなところよりも、エレガントな味が強い演奏で、如何にもクラブ出演している感じです。と言うもの、「バードランド」という店はジャズを出し物にしていながら、実態は普通のクラブと同様、ブロードウェイに芝居や映画見物に出かける白人金持ち客の溜まり場ですから、ハードな演奏ばかりは出来ないというのが実状だったと思われます。
 しかし「Lover  Come BackTo Me」では、もう、いいでしょう、とばかりに猛烈なモダンジャズが展開されていて、溜飲が下がります。ベースとピアノの鬩ぎ合いも見事で、う~ん、素晴らしい♪ ただし、お客さんはワイワイガヤガヤです。

●1953年2月14日録音
 04 Lullaby Of Birdland 
 05 I Want To Be Happy 
 06 Embraceable You 
 07 I've Got You Under My Skin 
 08 Ornithology 
 09 Lullaby Of Birdland

 同じメンバーよる、1週間後の演奏です。2回現れる「Lullaby Of Birdland」はもちろんテーマ曲として軽めの展開ですが、バド・パウエルは真剣勝負というか、とても好調です♪ また異様に荒っぽい「I Want To Be Happy」はメチャメチャなツッコミやストライドピアノ風のスタイルが出たりして、全く怖ろしいノリ!
 しかし「Embraceable You」や「I've Got You Under My Skin」では、一転して和みが強く、また「Ornithology」は迷い道になったして……。

●1953年3月7日録音
 10 How High The Moon 
 11 Budo 
 12 Hallelujah 
 13 I've Got You Under My Skin 
 14 Embraceable You

 このパートのメンバーは Franklin Skeets(b) とソニー・ペイン(ds) がサポートする、ちょっと珍しいトリオでの演奏です。
 その所為か、バド・パウエルには落ち着きが感じられ、当たり前の展開に終始しますが、それでも凡百のピアニストには無い過激なインスピレーションが滲み出す瞬間があります。また所謂「パウエル節」が安心して楽しめるというか、例えば「Hallelujah」のイントロは、パウエル以外の何者でもありませんし、アドリブパートもビバップのお手本にようなフレーズばかりが出ているのでした。

●1953年3月21日録音
 15 I Want To Be Happy 
 16 I've Got You Under My Skin 
 17 Sure Thing 
 18 Embraceable You 
 19 Woody'n You 
 20 Salt Peanuts 
 21 Lullaby Of Birdland
 ここはチャールス・ミンガス(b) にロイ・ヘインズ(ds) という硬派な2人がついていますので、ちょっと恐い部分に期待してしまいますが、演奏は案外纏まっています。
 「I Want To Be Happy」ではモダンジャズ正統派のノリが楽しく、クラシック風アレンジの「Sure Thing」と魅惑の「Embraceable You」も聞き逃せません。またロイ・ヘインズが頑張る「Woody'n You」と「Salt Peanuts」では、バド・パウエルも負けじと大ハッスル! お客さんを置き去りにしている感もありますが、やはり最高だと思います。こんな生ライブを聴いてみたいもんです。

CD-2
●1953年5月30日録音
 01 I've Got You Under My Skin 
 02 Autumn In New York 
 03 I Want To Be Happy

 この日のサポートは、チャールス・ミンガス(b) とアート・テイラー(ds) という、これも強力な顔ぶれです。
 例によってクラブ出演ということで、最初の2曲は穏やかに楽しい雰囲気ですが、「I Want To Be Happy」では、あの唸り声も交えて苦悶の激情が吐露されています。ちなみに、この演奏の2週間前にはカナダのトロントで歴史的な「マッセイホール」公演があったわけですから、パウエル自身の調子も悪い時期では無かったはずなんでしょうが、ここでは完全に共演者に押され気味……。まあ、これもジャズの面白さだと思います。

●1953年6月3日録音
 04 Budo 
 05 My Hear Stood Still 
 06 Dance Of the Infidels / 異教徒の踊り
 前回と同じメンツですが、この日のバド・パウエルは気合が入っています。
 まず「Budo」では厳しい音選びのフレーズが冴え、またビートに対するアプローチも緊張感があって、凄いです。もう完全にハードバップ化しているのは、アート・テイラーの強烈なドラムスの所為でしょうか、熱くなりますねぇ♪
 また「My Hear Stood Still」の投げやりな雰囲気にも、常軌を逸したものが感じられ、アート・テイラーの素晴らしいブラシに煽られて自然体でグルーヴする「Dance Of the Infidels」は、これしか無いと唸ってしまいます。

●1953年7月11日録音
 06 Dance Of the Infidels / 異教徒の踊り
 この日は1曲しか残されていないようですが、メンツは前回と同じですし、演目もダブっているので、聞き比べの楽しみがあります。
 で、アート・テイラーがステックで強烈なビートを敲き出せば、バド・パウエルは余裕の受け流しで、結果はこちらに軍配が上がります。2人のソロ交換もジャズの醍醐味ですねっ♪

●1953年9月5日録音
 08 My Heart Stood Still 
 09 Unpocoloco 
 10 Parisian Throughfare 
 11 Danceof The Infidels / 異教徒の踊り
 12 Glass Enclosure
 この日はジョージ・デュビビエ(b) とマックス・ローチ(ds) がサポートですから、非常に楽しみです。
 演目では、何と言っても「Unpocoloco」に興味深々でしょう。オリジナルではステックで過激に敲いてマックス・ローチですが、ここではブラシで、これも驚異の快演を聞かせてくれます!
 バド・パウエル本人も快調で、「Parisian Throughfare」や「Danceof The Infidels」での軽いスイング感は流石だと思いますし、「My Heart Stood Still」では独特の浮遊感が魅了になっています。

●1953年9月19日録音 part-1
 13 Parisian Throughfare 
 14 Dance Of The Infidels / 異教徒の踊り
 演目は前回とダブリますが、この日はドラマーがアート・テイラーに交代しているので、聞き比べの楽しみがあります。

●1953年9月19日録音 part-2
 15 Unpocoloco 
 16 Oblivion

 データでは同日録音になっていますが、何故かメンバーはカーリー・ラッセル(b) とアート・テイラー(ds) に変化しています。
 そしてここでは、アート・テイラーがマックス・ローチに負けじと「Unpocoloco」で熱演です。また「Oblivion」ではバド・パウエルが、なかなかの歌心を聞かせてくれるのでした。そしてカーリー・ラッセルのベースはハードバップしています。

●1953年9月26日録音
 17 Parisian Throughfare 
 18 Dance Of The Infidels
 19 Embraceable You 
 20 Unpocoloco 
 21 Oblivion

 最後のパートは、またまたカーリー・ラッセル(b) とアート・テイラー(ds) という黒っぽいハードバップ組が共演しています。そして耳が慣れたと言えばミもフタもありませんが、トリオ全体の纏まりも良い、素晴らしい演奏が堪能出来ます。
 まず強力なリズム感が心地良い「Parisian Throughfare」と「Dance Of The Infidels」では、自分だけの「節」を弾きまくるバド・パウエルが本当に素敵です。
「Embraceable You」の思わせぶりも良いですねぇ~♪
 そして気になる「Unpocoloco」では、アート・テイラーがブラシで大健闘ですので、ぜひともマックス・ローチが敲いているバージョン「09」と聞き比べてみて下さいませ。バド・パウエルも気合が入っていますねぇ~~~♪

ということで、バド・パウエルが心底好きな私には、宝物のような演奏集なんですが、皆様はいかがでしょう。まあ、音はけっして良くないですし、出来、不出来の差が当然ありますから、あくまでも記録としての価値が高い事は否定致しませんが……。

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仕事地獄

2007-02-23 18:53:56 | Weblog
朝から仕事に責められて、苦しんでいます。

ダメだな……、今日は……。

休載させて下さい。明日はなんとか、復活したいです。
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春ボサ

2007-02-22 18:14:37 | Weblog

すっかり春という日本列島は、完全に異常気象だと思います。

こんな陽気にはボサノバを聴こうとして取り出したのが、これです――

Temas Brasilenos / Tete Montoliu (Ensayo)

最近の紙ジャケ仕様CD復刻ラッシュには、慣れっこになっていたつもりでしたが、これには驚愕! というかCD国内発売だけでも喜ばしいのです♪

内容は盲目の豪腕ピアニスト=テテ・モントリューがピアノトリオ+1で吹き込んだブラジル音楽集なので、当然、ボサノバがたっぷりなんですが、でも精力絶倫タイプのテテ・モントリューですからねぇ……。実はこのアルバムの存在を知った時には、すぐさま、そんなことが頭をよぎりました。

もちろんオリジナル盤は極めて希少! そしてバブル期の日本に入って来た時には、愕くべき値段で取引されていた高嶺の花でした。それがっ♪

録音は1973年、メンバーはテテ・モントリュー(p)、アルベルト・モラレダ(b)、ミケランジェロ・リザンドラ(ds)、ペドロ・ディアス(per) となっており、メドレー形式で名曲が演奏されていますが、ジャケットに記載されているよりも実際には多くの曲が演奏されていますので、ここに日本語で書いておきます。

A-1 フェリシダージ / 黒いオルフェ / オルフェのサンバ
 いきなり快適なビートでノセられてしまいます♪
 テテ・モントルーのピアノは素直にテーマを弾いてくれますから和みますが、アドリブパートでは熱気が……! と思った次の瞬間、自分ひとりでテンポを落とし、哀愁のテーマがせつない「黒いオルフェ」がゆったりと流れてくるんですから、たまりません♪ 重心が低いベースの響きも良い感じです。
 そして続く「オルフェのサンバ」は、再びスマートなリズム感でテーマを綴りつつ、アドリブパートでは本領発揮のモード節まで入れ込んでの熱血演奏へ! しかしテーマメロディを崩していませんから、やっぱり素敵です♪

A-2 イパネマの娘 / コルコヴァード / ワン・ノート・サンバ
 このパートでも、やっているパターンは前と同じです。
 軽く演奏される「イパネマの娘」は、オスカー・ピーターソンにクリソツで心地良く、テンポを落としての「コルコヴァード」はメロウな響きが魅力です。そして自由なソロピアノの展開から「ワン・ノート・サンバ」へと続くあたりは、いつしか4ビートになったりして、したたかなジャズ魂が楽しめるのでした♪

A-3 オ・カンガセイロ / バイーア / ブラジル
 いきなりフリージャズです! しかし次の瞬間、「オ・カンガセイロ」のメロディが涼しく流れてくるという快感が与えられます。ただし演奏そのものは硬派な仕掛けがあったりして???
 それは続く「バイーア」では、バンド全員が結託したミステリアスな解釈に発展しますが、シメの「ブラジル」で広がる悦楽のビートで開放されるという、全くニクイ展開です。やっばりテテ・モントリューは硬派だと思います。

B-1 オサーニャの歌 / ウェイヴ / ソー・ダンス・サンバ
 これがまた、硬派なスタートですから油断なりません。
 ただし「オサーニャの歌」では原曲が持っている哀愁を、それなりに大切にしていますから、アドリブパートで思いっきりハードなモード節を出すテテ・モントリューにも嫌な感じはありません。まあ、真夏に聴くと、汗ダラダラでしょうけど……。
 で、続く「ウェイヴ」は個人的にも大好きな曲なんで、和みたいなぁ、と切望していたら、如何にも正統派ジャズピアニストの佇まいで演奏してくれますから、唸るか泣くかは十人十色としか……。
 しかし無伴奏ソロから「ソー・ダンス・サンバ」へ突入していくあたりは、もう完全にジャズですから、何も言わずにノッて聴く他はありません。

B-2 デサフィナード / メディテイション / トリステーザ
 ジャズ・ピアニストとしての本音が出たメドレーになっています。
 なにしろスタート時点の無伴奏ピアノソロから「デサフィナード」のテーマに入るところ、またそのアドリブパートでは相当に高いテンションが張っていますから! ただし他のメンバーが、ややヌルイ雰囲気で???
 これには流石のテテ・モントリューも諦めの境地でしょうか、一転してスローな展開で迫る「メディテイション」が実に良いです。
 そしてベースのアルコ弾きに導かれ、歓喜の歌を爆発させる「トリステーザ」が最高です。あぁ、ピアノは打楽器でしたかっ!?

ということでボサノバアルバムにしては、けっこう疲れる演奏集だと思いますが、今時期に聴くにはちょうど良い熱さがあって好ましいです。真夏になったらアブナイですが……。

そして現在、CD復刻中ですが、こういうブツは一端逃すと後々が苦しくなりますので、気になる皆様は速攻でのゲットをオススメ致します。

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アイドル歌謡元ネタ盤

2007-02-21 17:02:32 | Rock

暖かいですねぇ~♪

車を運転していて、居眠りが出そうですよ。

それじゃ危険なんで、車の中では、これを聴いています――

Discovery / Electric Light Orchestra (Jet)

またまたELOの紙ジャケット復刻CDが出ましたですね♪

特にウルトラ代表作の「アウト・オブ・ブルー」には、アナログオリジナル盤についていた「宇宙船のペーパークラフト組立キット」までが再現されている凝りようなんで、涙ウルウル状態なんですが、内容的には、こっちの方が好みです。

もちろん2枚組で間然することの無い出来だった1977年作「アウト・オブ・ブルー」の凄さは認めますが、続いて出た、1979年作「ディスカバリー」には、もう少し通俗的な味があって私の好みに合っているのです。

そしてそのミソは、タイトルどおりにディスコ♪ 「Disco」+「very」というわけです。さらにデビュー以来のウリだったストリングスセクションと別れ、その部分をシンセとセッションミュージシャンで補ったことから、より一層、纏まったポップ感覚が表出していると感じます。もちろん演目は全てがシングル曲の候補になったという粒揃いです――

A-1 Shine A Little Love / シャイン・ラブ
A-2 Confusion 
A-3 Need Her Love 
A-4 The Diary Of Horace Wimp / ホレスの日記
B-1 Last Train To London / ロンドン行き最終列車
B-2 Midnight Blue 
B-3 On The Run  
B-4 Wishing 
B-5 Don’t Bring Me Down

まず当時、ブッたまげたのが「シャイン・ラブ」と「ロンドン行き最終列車」で、ともにアナログ盤AB面のトップを飾っていたわけですが、最初聴いた時はディスコ期のビージーズかと思ったほど、見事に通俗的なディスコポップスになっています♪ そう、あのファルセット使いまくりのコーラスとか素直に楽しい華麗なストリングス、覚え易いリフレインに胸キュン系のメロディが、最高にツボを刺激してくれます。

もちろんジェフ・リンが隠しても隠しきれないビートルズ味もたっぷりですが、今回はさらにアメリカンポップの影響も上手く盛り込んでいるあたりが、ますます通俗的なんですねぇ~♪

例えば「コンフュージョン」から「ニード・ハー・ラブ」と続く夢見心地の流れにトドメが「ホレスの日記」というところは、当時低迷しつつあったポール・マッカートニーも真っ青でしょう。

またB面に入っては、甘くせつない正統派ジェフ・リン節の「ミッドナイト・ブルー」が素敵ですし、ほとんど我国のアイドル歌謡みたいな「オン・ザ・ラン」と胸キュン100%の「ウイッシング」も最高です♪

そして大団円の「ドント・ブリング・ミー・ダウン」が超問題というか、ほとんどシンセだけ作ったカラオケに、ハードロックなビートが炸裂する大ヒット曲なんですが、当時流行していたテクノポップへの見事な回答になっています。というか、最初聴いた時はポール・マッカトニーかと思ったほどです♪

そして忘れてならないのが、我国の1980年代アイドル歌謡への決定的な影響でしょう! 完全にこのアルバムからパクッたキモが多くのアイドル達によって歌われていたのが、当時の日本です。それはこのアルバムを初めて聴く皆様には、目からウロコだと思います。

こういう確信犯は憎めませんねぇ~♪

さらに今回の復刻では3曲のボーナストラックがあり、これが素晴らしすぎて涙がボロボロこぼれます。

まず「On The Run」は短いホームデモながら、松田聖子に似た曲があったような素晴らしさ! また「Second Time Around」は、ほとんど曲の断片ながら、まるっきりポール・マッカトニーしています♪

そして目玉が「Little Town Flirt」で、これはジェフ・リンが敬愛するデル・シャノンのカバーという胸キュンの名曲♪ 個人的にも大好きな曲ですが、このバージョンはELO的な解釈も冴えた出色の完成度だと思います。ちなみにこの曲は、吉田拓郎やモップスでヒットした「たどりついたらいつも雨降り」の元ネタだと思うのは私だけ?

そういえば、参加したおやじバンドでやるとか言っていたなぁ……。

ということで、今となってはそれほど騒がれないアルバムかもしれませんが、小粒なヒット盤ということで、気軽に楽しめると思います。

ELO、あるいはジェフ・リンは、このアルバムの成功を土台として、いよいよ爆発的なヒットを記録したハリウッド的な名作「ザナドゥ」のサントラ盤を作っていくのでした。

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寸止めチャーリー

2007-02-20 19:22:34 | Weblog

あんたらに、誠意は通用しないのかっ!

思わず言いたくなった1日でした。

あんまりドタマに来たんで、メシ食いながら、今日はこれを楽しみました――

Happy Birthday Keith / The Rolling Stones (SODD)

すみません、どうしても止められないのがストーンズのブートです。

本日のブツは1981年の北米ツアーから、キース・リチャーズの誕生日にあたる12月18日のライブ音源、その最新リマスター盤です。

ご存知のように、この夜のライブはFMとケーブルTVで放送されたので、音源&映像はこれまでにも夥しいブートとして広く流布しておりますが、いずれもチャンネルが左右逆だったり、音質が耳に刺すような雰囲気だったりと、一長一短ありました。

しかし公式ライブ盤のレコーディング、テレビ放送、さらに巡業最終日ということもあってストーンズの面々は気合充実の演奏を聞かせていますから、わかっちゃいるけど手が出てしまう結果は、上々です♪

一応演目は以下のとおり――

※Live At Hampton Coliseun, Hampton, VA, December 18, 1981

DISC 1
01 intro:Take The“A”Train
02 Under My Thumb
03 When The Whip Comes Down
04 Let's Spend The Night Together
05 Shattered
06 Neighbours
07 Black Limousine
08 Just My Imagination
09 Twenty Flight Rock
10 Going To A Go-Go
11 Let Me Go
12 Time Is On My Side
13 Beast Of Burden
14 Waitting On A Friend
DISC 2
01 Let It Bleed
02 You Can't Always Get What You Want
03 Band Introduction / Happy Birthday Keith
04 Little T & A
05 Tumbling Dice
06 She's So Cold
07 Hang Fire
08 Miss You
09 Honky Tonk Woman
10 Brown Sugar
11 Start Me Up
12 Jumping Jack Flash
13 Satisfaction
14 Outro: Star - Spangled Banner

と、まあ、黄金のヒットパレードですね♪

共演は準メンバーのイアン・スチュアート(p)、旧知のイアン・マクレガン(key)、そして売れっ子スタジオミュージシャンのアーニー・ワッツ(sax) ですが、演奏そのもののテンションはミック・テイラー期、あるいはビリー・プレストンが客演していた時代と比べて、明らかに落ちています。

しかし円熟して、尚且つ若々しい当時のストーンズは、マンネリさえもエネルギッシュに演じていたという、ある種の全盛期でした。そのあたりをパンク小僧に揶揄されたりもしていましたが、そんな若造とは踏んでいる場数が違うという貫禄が充分! この日はステージに乱入してきたファンを、キース・リチャーズがギターで殴るという名場面もありますが、そこはあえて書きません。

演目では、イナタイ「Let It Bleed」が最高です♪ また「When The Whip Comes Down」はストーンズならではの痛快なR&R♪

気になる音質は、柔らかくて芯のある好ましい音にリマスターされていますし、ギターも左右に分離してキース・リチャーズが右、ロン・ウッドが左と、チャンネルもあっています。

さて、実は今回のブツの目玉が、初回盤のオマケとなったDVD-Rです。

これは同じ巡業から、10月15日のシアトル公演のスクリーン映像からの流出で、もちろんプロショット♪

そしてこの映像も、これまで様々なブツで流布していましたが、いろいろな問題点が多く、ひとつとして満足なものがありませんでしたから、これは嬉しいところです。

しかも今回は合格点! 途中2ヶ所ほど画像が乱れますし、モノラル音声ですが、低音は締まっていますし、映像も滲みはあるものの、観ていても疲れません。

何よりも演奏そのものが充実しています♪ それは以下のとおりです――
 
※STILL LIFE IN SEATTLE 1981

01 Under My Thumb
02 When The Whip Comes Down
03 Let's Spend The Night Together
04 Shattered
05 Neighbors
06 Black Limousine
07 Just My Imagination
08 Twenty Flight Rock
09 Let Me Go
10 Time Is On My Side
11 Beast Of Burden
12 Waiting On A Friend
13 Let It Bleed
14 You Can't Always Get What You Want
15 Little T & A
16 Tumbling Dice
17 She's So Cold
18 All Down The Line
19 Hang Fire
20 Star Star
21 Miss You
22 Start Me Up
23 Honky Tonk Women
24 Brown Sugar
25 Jumpin' Jack Flash
26 Satisfaction

と、大サービスの大盤振る舞いです。ここでも「Let It Bleed」が最高に良い雰囲気で、スライドギターを弾きまくるロン・ウッドの咥えタバコが憎めません。ミック・ジャガーがエレキギターで参入する「When The Whip Comes Down」も良いなぁ~♪

あと全体に真剣寸止めのドラムスでクールにキメるチャーリー・ワッツ、まったりしたベースラインでグルーヴするビル・ワイマンが居てこそ、キース・リチャーズがカッコばっかりのヘタウマギターに撤するという、秘密が堪能出来ますねっ♪ ダミ声コーラスのロン・ウッドも良い感じ♪

大団円の「Jumpin' Jack Flash」と「Satisfaction」2連発は、本当に白熱の大名演で、ロン・ウッドは弾くフレーズが無くなっているほどですので、存分にお楽しみ下さいませ。

告白すると、私はこっちのDVDばっかり楽しんでいるのでした。繰り返しますが初回盤オンリーのオマケですから、早めのゲットをオススメ致しますが、どうせすぐに再発でしょう。それがブートの世界ですから♪

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50年代コニッツの輝き

2007-02-19 17:21:37 | Weblog

リアルタイムでは見られなかった東京大マラソンの映像をニュースで見ると、走っているランナーが、怪獣特撮で避難する群衆に見えてきました。

実際、都心のビル街に溢れて走る人の群れは、ド迫力!

どうせなら映画用に撮影しておけば!?

と思っていたら、本家の東宝はゴジラを封印していたのですねぇ……。

ということで、本日はお宝音源の発掘盤です――

Jazz From The Nineteen Fifties / Lee Konitz (Wave)

ジャケ写は近影を使っていますが、中身はタイトルどおり、リー・コニッツが全盛期の1957年に録音されたライブ音源ですから、たまりません♪

これはリー・コニッツの盟友、ピーター・インドが所有していたものらしく、今回の発売に合わせて自身がリマスターしたものですから、なかなか良好な音質になっています。

さて、リー・コニッツと言えば、ビバップ期に孤高のクールジャズを確立したレニー・トリスターノ(p) の高弟として、その鋭い感性を見事にモダンジャズとして表現した天才アルトサックス奏者ですが、もちろん基本はモダンジャズでは誰も乗り越えられない天才のチャーリー・パーカー(as) です。

しかし師匠のレニー・トリスターノはチャーリー・パーカーを認めつつも、その呪縛から逃れんとするタイプの演奏を編み出していましたから、リー・コニッツに対しても、チャーリー・パーカー禁止令を出していたそうですが……。

まあ、リー・コニッツにしてみれば大きなお世話だったと思います。実際、両者はそのあたりの確執から、1950年代中頃には袂を分かったような状況だったそうです。そしてこの音源が、ちょうどその頃の記録とあれば、一層、興味深いものがあります。

録音は1957年2月、ペンシルヴァニアの「ミッドウェイ・ラウンジ」におけるライブ演奏で、メンバーはリー・コニッツ(as)、ドン・フェララ(tp)、ビリー・バウアー(g)、ピーター・インド(b)、ディック・スコット(ds) という、クール派の俊英が揃っています――

01 Background Music
 盟友のウォーン・マーシュ(ts) が書いたクール派の聖典曲♪ いきなりアップテンポで抑揚の無いメロディラインが綴られていくのですが、妙なテンションが心地良い刺激的な演奏です。
 アドリブ先発はドン・フェララが古いんだか、新しいんだか意味不明のフレーズをミュートで綴り、続くリー・コニッツはスリル満点な「コニッツ節」に没頭しています。あぁ、このフニャフニャのフレーズの連続とグサリと突き刺さる音の跳躍、さらにビートに対する切れの良いノリは、唯一無二の素晴らしさです!
 気になる音質は、とてもプライベート録音とは思えないバランスの良さで、リマスターを手掛けたピーター・インドは、自分のベースを思いっきり目立たせている仕事をしていますが、憎めません♪

02 Scrapple From The Apple
 前述したような経緯から、この当時のリー・コニッツはチャーリー・パーカーの曲も積極的に演奏していたようですが、これはその証拠のひとつです。
 ここではもちろんチャーリー・パーカーのような、ブッ飛んだノリは出来ていませんが、些かホンワカした全体の流れが妙に和みます。特に中間派っぽいドン・フェララのトランペットからは不思議な歌心が♪ まあ、この曲の元ネタが1929年頃のヒット曲「Honeysuckle Rose」ですから、ムベなるかなではありますが♪
 またビリー・バウアーのギターが伴奏&アドリブソロで良い味ですし、ドラムスのディック・スコットもテンションが高く、ピーター・インドは我が道を行くスタイルに撤しています。

03 You Go To My Head
 リー・コニッツが十八番のスタンダード曲ですが、ここではドン・フェララがテーマメロディをリードするという展開が、いかにもナイトクラブの雰囲気になっています。酒瓶のガシャガシャいう雑音も良い感じ♪
 そしてリー・コニッツは、思いっきり泣いてくれます。バックのリズム隊が相当に強いビートを送り出している分、泣きも本気というか、せつないアドリブメロディの積み重ねには、グッときますねぇ~。
 もちろんビリー・バウアーの伴奏も、控えめながら流石だと思いますが、無遠慮に笑っている客にはねぇ……。その所為か、後半は客を置き去りにしたようなリー・コニッツのプレイが印象的です。

04 Groovin' High
 これもチャーりー・パーカーが十八番にしていたビバップの定番曲! そしてリー・コニッツが独自のドライブ感で熱いアドリブを聞かせてくれます。
 しかしバックのリズム隊がシラケ気味というか、ノリが悪くて残念……。
 ところがドン・フェララがアドリブに入ると目が覚めたというか、急にバンド全体のグルーヴが活発になるんですから、???です。ビリー・バウアーさえも、珍しく派手なフレーズを弾いているんですよっ!

05 Foolin' Myself
 これもリー・コニッツが十八番の歌物であり、私の大好きな演目ですから、聴く前からワクワクしていました。
 ところが、ここではピーター・インドのベースがリードして、いささか肩透かし気味の早いテンポで演奏され、アドリブもベースソロ中心なのが???です。まあ、それ自体は悪くないですが……。
 で、ようやく終盤になって登場するリー・コニッツは、それなりに吹いてくれますが、如何せんテンポが早すぎるというか、十八番の泣きが活かせていない雰囲気なのでした……。意図が良く、わからんです。

06 There'll Never Be Another You
 これは快適なテンポによる歌心優先のスタンダード解釈として、なかなか満足度が高い演奏になっています。とにかくリー・コニッツからは、あのスラスラとして突然泣き出すという、全くこの人だけの「芸」が連発されるのですから、たまりません。途中で少~し考えているような部分もありますが、それが逆に良いバランスというか、マンネリ寸前の心地良さに繋がっていると思います。
 またビリー・バウアーが素晴らしく好調で、アドリブソロは美メロの宝庫♪ かなりテンションの高い、黒っぽいフレーズも混ぜ込んでいるあたりも要注意です。

07 Stollin' On A Riff
 リー・コニッツのオリジナルとなっていますが、特にテーマらしいメロディは出ず、多分元ネタは「Cherokee」でしょうか? 全篇がアドリブだけという雰囲気ですが、厳しさがあって良いですねぇ~。通常の歌心は徹底的に排除され、クール派特有のノリとツッコミのフレーズだけで11分あまりを押し切っていく潔さが痛快です。
 う~ん、それにしてナイトクラブでこんな演奏をやられたら、和みなんか望むべくもないでしょう。真剣に彼等の演奏を聴きに来ているコアなファンは大満足でしょうが! 物分りが良いと思われるビリー・バウアーでさえも鋭いフレーズの連発ですし、ピーター・インドとディック・スコットはインタープレイの境地に入っているのでした。

08 Limehouse Blues
 何時もは楽しい演奏になるはずの曲なんですが、ここでも厳しさ優先の展開が凄いところです。ディック・スコットのブラシもシャープで素晴らしく、リー・コニッツも気持ち良さそうにアドリブしていますが、ライブ特有の荒っぽさとか段取の悪さもあったりして、意外に楽しめます。それがジャズなんですねぇ。
 中盤からはドラムスとベースの対決になるあたりが、如何にもという感じです♪

ということで、全体で1時間弱の音源ですが、音質は予想外に良く、普通に聴けます。またドン・フェララの参加は前半の4曲だけですが、この人とリー・コニッツのコンビは、この演奏から半年後に行われたセッションで「ベリー・クール(Verve)」という名盤を生み出していますから侮れず、残念です。

そして実は5年ほど前に入手したブツなんで、現在の発売状況が不明なんですが、聴かずに死ねるかというテンションの高い内容です。そしてこんな演奏が連日連夜、各所で行われていた1950年代は本当にジャズの全盛期だったと羨ましいかぎりですが、その一部でもこうして聴ける現在の幸せも、大切にしたいものです。

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