OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

罪作りでも美女は・・♪

2007-12-31 15:45:54 | Weblog

今日は実家へ戻ろうと思ったのですが、どうせ家族は旅行へ行って留守だし、単身赴任でロンリーなお正月も、本当は楽しいというのが本音です。いや、負け惜しみではなくて♪

そして結局、仕事のあれこれに手を染めてしまった1日でした。まあ、神棚の掃除ぐらいはやりましたが。

ということで、本年の最後は美女ジャケで♪ 実は本年1月2日にもアップしたのですが、先日オークションで落札出来たアナログのブツが到着しましたので――

Easy To Love / Roland Hanna (Atco)

美女ジャケットとして、大変に有名な1枚♪ もちろん彼女は、中身の演奏とは一切、関係がありません。

主役のローランド・ハナは黒人ながら、クラシック系のテクニックにも秀でたピアニストとして柔らかな歌心、ほどよい黒っぽさ、そして華麗なフレーズ展開が魅力の名手です。

しかもこのアルバムは、有名スタンダードを主体とした快演ばっかりですから、ジャケットに使われた美人モデルさんも本望でしょう♪

録音は1959年9月25日、メンバーはローランド・ハナ(p)、ベン・タッカー(b)、ロイ・バーンズ(ds) という正統派のビアノトリオです――

A-1 The Best Things In Life Are Free
A-2 Next Time You See Me
A-3 From This Day On
A-4 Like Someone In Love
B-1 Yesterdays
B-2 Farouk Thelonious
B-3 It Never Entered My Mind
B-4 Easy To Love
B-5 Night In Tunisia

まず、ド頭の「The Best Things In Life Are Free」が、いきなり美味しいメインです。歯切れの良いピアノタッチと明快な歌心、スイングしまくるアドリブ展開が実に爽快なんですねぇ~♪ またタイトル曲の「Easy To Love」も同系の素敵な演奏で、和みます。

サポートに撤するベースとドラムスも、なかなか手堅い好演で、ベン・タッカーは「Next Time You See Me」、そして「Farouk Thelonious」と2曲もオリジナルを提供し、存在感をアピールしています。もちろんロイ・バーンズのドラミングも素晴らしく、特にブラシでは良い味出しまくり♪ ブルースの「Next Time You See Me」ではトリオが一体となったグルーヴィな雰囲気を演出し、ちょいと硬派な「Farouk Thelonious」で軽妙なノリを生み出しているのです。

そして個人的に最も好きなのが「It Never Entered My Mind」のスローな味わいです。ローランド・ハナの綺麗なピアノタッチと素直なメロディ解釈が絶品! 完全なソロピアノからベースとドラムがスゥッと入ってくるところも、たまりません。こういう、きらびやかでありながら質素なところが、ローランド・ハナの魅力かもしれません。

ちなみにローランド・ハナはクラシックやジャズばかりでなく、非常に幅広い音楽性に裏打ちされた活動が基本姿勢らしく、スイング系ビックバンドから前衛派のセッションまで、分け隔てなく参加した録音が多数残っています。

そこで注目しておきたいのが、我国初の本格的ミュージカル映画「アスファルト・ガール」の音楽監督を務めたことです。この作品は1964年に大映で作られたのですが、主演女優の中田康子は大映の社長・永田雅一の愛人で、しかも東宝専属だったセクシーな美女♪ つまり彼女のゴキゲンをとるためにワガママを聞き入れて実現させた経緯があるのです。

残念ながら出来はイマイチなんですが、ローランド・ハナはサド・ジョーンズ(tp) やアルバート・ヒース(ds) と共に演奏部分には深く関わっていますので、DVD化を熱望しています。

ちなみに大映は、永田雅一のワンマン体制がこの頃から加速し、愛人・中田康子のワガママも影響したのか、時代の流れもあって経営が悪化して行ったのは歴史になっています。

まあ、これはローランド・ハナの責任ではありませんが、美女はやっぱり罪作りだなぁ……。と、このアルバムジャケットを見ると、何時も私は思ってしまいます。

ということで、本年もお世話になりました。毎日、独り善がりの戯言ばかりでしたが、皆様の暖かいコメントがあって、どうにか書き通せた感じです。

感謝しつつ、来年も頑張る所存です。

皆様には、素晴らしい新年を迎えられますよう、祈念しております。

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ド真ん中のハードバップ

2007-12-30 16:29:38 | Weblog

今日は大荒れの天候です。風も強くて風雪模様!

巷ではお正月の準備であれこれ賑やかとはいえ、私は仕事のあれこれに追われています。

そして朝一番に聴いたのが――

High Pressure / Red Garland (Prestige)

ブレスティッジが十八番とする一気録音、所謂マラソンセッションから作り出されたアルバムで、リアルタイムでのハードバップの熱気が存分に楽しめる1枚です。

録音は1957年11月15日、メンバーはドナルド・バード(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ジョージ・ジョイナー=現ジャミール・ナッサー(b)、アート・テイラー(ds) という文句無しの顔ぶれです――

A-1 Soft Winds
 ベニー・グッドマン作曲のブルースというよりも、ハードバップのファンにとってはジャズメッセンジャーズの「カフェ・ボエミア(Blue Note)」でのグルーヴィな熱演が印象深いところでしょう。もちろんここでも、その再現を期待してしまうのですが、愕いたことに、バンドは最初っから猛烈な勢いでブッ飛ばします。
 レッド・ガーランドの止まらないアドリブは、やがて「お約束」のブロックコード弾きで山場を作るのですが、何時も以上に華麗なフレーズ、手数の多いところが新機軸でしょう。
 そしてこのテンポならば、俺に任せろのジョン・コルトレーンが、完成間近のシーツ・オブ・サウンドで大奮闘! ウネウネクネクネとスケール練習みたいなフレーズばっかりですが、やっぱり快感なんですねぇ~~♪ レッド・ガーランドも途中で伴奏を止め、次の瞬間に烈しく煽っていくところはスリル満点です。
 またドナルド・バードが些か手癖っぽいフレーズとはいえ、流麗なスタイルを聞かせてくれますし、リズム隊の息の合ったリフ攻撃とか、あるいは唯我独尊のジョージ・ジョイナーも、これがハードバップという安心印の快演なのでした。
 爽快っ!!!
 
A-2 Solitude
 続いてはデューク・エリントンが書いた有名曲が和みの快演ですから、このプログラムは良く出来ています。もちろんペースを作るのはレッド・ガーランドの甘さを含んだブロックコード弾きによるジンワリとしたテーマメロディですからねぇ~~♪
 そしてアドリブパートに入って輝くのが、ドナルド・バードの素直なトランペットです。とても分かり易くテーマを変奏しつつ、流麗なフレーズ展開はこの人の持ち味全開でしょう。
 しかしジョン・コルトレーンは厳しいですねぇ。こういう歌物になると発揮するハードボイルドな魅力が、ここでは少しばかり空回りとはいえ、それだからこそ演奏全体に緊張感が付加されたと思います。
 またジョージ・ジョイナーの無骨なベースソロも良いアクセントになっていますから、レッド・ガーランドの甘さが嫌味になっていないのでした。
 
B-1 Undecided
 これもベニー・グッドマン楽団やスイング時代のバンドでは定番演目になっていた調子の良い曲なんですが、ハードバップ時代にも、このバージョンやジャズテットの演奏が人気を集めています。
 特にここではアップテンポで疾走するバンドの勢いが素晴らしく、ジョン・コルトレーンは本領発揮! さらにドナルド・バードが絶好調の全力疾走ですから、たまりません。リズム隊を置き去りするような感じさえあるのでした。

B-2 What Is There To Say ?
 個人的にはビル・エバンスの演奏で好きになったスタンダード曲ですから、レッド・ガーランドがどのように料理しているか、このアルバムの中では聴く前から、一番興味のあったトラックでした。
 まずレッド・ガーランドが十八番のブロックコードで和みのテーマメロディを弾いてくれますが、ややテンポが速いかなぁ……。本当はビル・エバンスのようにスローで演じて欲しかったのですが、そう思っていると、絶妙の雰囲気で入ってくるジョン・コルトレーンが素晴らしい! テーマメロディをとても上手く変奏し、さらにドナルド・バードが、これまた最高に輝かしい吹奏です。
 短めの演奏なんですが、魅惑の原曲を活かしきった名演だと思います。しかし聞き終わった時には、ビル・エバンスの演奏が聴きたくなるのも、また本音なのでした。

B-3 Two Bass Hit
 これはレッド・ガーランドやジョン・コルトレーン、あるいはアート・テイラーまでもが在籍していたマイルス・デイビスのバンドではライブの定番演目でしたから、ここでの手慣れて熱い演奏は素晴らしい限り!
 まずリズム隊のテンションの高さは特筆物ですし、熱血のドナルド・バードに突進するジョン・コルトレーン! このあたりは天国と地獄のゴッタ煮状態です。

ということで、豪華なメンバーで良く知られた演目という安心感がありますから、この程度の出来栄えは当たり前のアルバムかもしれません。

しかし、こういう安定感とか当たり前の凄さみたいなものは、いろいろな条件が揃って初めて可能なものだと思います。それは時代にリアルタイムな勢いとか、メンバーのヤル気とか、プロデュースの匙加減とか!

当たり前過ぎて名盤になれない作品の最右翼かもしれませんね。このタバコのジャケットも好きです。

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心の安らぎジョン・ルイス

2007-12-29 14:28:23 | Weblog

今年も帰省ラッシュが始りましたけれど、それをワザワザ、テレビなんかのニュースにする必要があるんでしょうか?

混雑する駅とか空港で、その場の人達にインタビューしたって、当たり前の事しか答えられないでしょう。そんなことは、百も承知なのに、何が悲しくて、そんなニュースを作るのでしょう?

と、本日も天邪鬼な私は、これを聴いて心の安寧を求めるのでした――

The John Lewis Piano (Atlantic)

ジョン・ルイスといえば、モダンジャズカルテット=MJQのピアニストながら、しかしピアニストとしての評価よりは、作編曲家としての名声が高いと思われます。

極言すれば、MJQではミルト・ジャクソンの伴奏者という位置付けさえ感じられるのです。もちろん手綱はしっかりと握っているのですが……。

そんなジョン・ルイスがタイトルどおり、堂々と自らのピアノを主題としたアルバムが、本日の1枚です。

とは言っても、決してソロピアノ演奏では無く、慎重に選びぬかれた共演者と丁寧に作り上げたアルバムで、しかもMJQとしての活動の合間を縫ったのでしょうか、製作期間が1年というのも、ジャズの世界では異例だと思います――

A-1 Harlequin (1957年8月24日録音)
A-2 Little Girl Blue (1957年2月21日録音)
A-3 The Bad And The Beautiful (1956年7月30日録音)
A-4 D & E (1957年2月21日録音)
B-1 It Never Entered My Mind (1956年7月30日録音)
B-2 Warmeland (1956年7月30日録音)
B-3 Two Lyric Pieces (1957年8月24日録音)
    a) Pierrot
    b) Colombine

1956年7月30日録音
 A-3 The Bad And The Beautiful
 B-1 It Never Entered My Mind
 B-2 Warmeland
 メンバーはジョン・ルイス(p) とバリー・ガルブレイス(g) によるデュオ! 結論から言うと、ジャズの世界では決定的な名盤になっているビル・エバンス(p) &ジム・ホール(g) の「アンダーカレント(United Artists)」に優るとも劣らない出来栄えです♪ しかもそれは、1962年の吹き込みですから、ここでのセッションから影響を受けていると勘ぐれないこともないのです。
 実際、何時も地味な存在の2人が作り出していく濃密な世界は圧巻で、「The Bad And The Beautiful」での静謐な絡み合いは和みと緊張感がいっぱい♪
 マイルス・デイビスで有名になったスタンダードの「It Never Entered My Mind」も自然体でありながら、緻密なアレンジとかリハーサルの果てに完成されたものかもしれず、出来すぎの歌心や絶妙のハーモニーに酔わされます。
 さらに「Deat Old Stockholm」として知られている「Warmeland」は、気持ちの良いバリー・ガルブレイスの4ビートリズムギターと隙間だらけのフレーズ展開が流石のジョン・ルイスが最高のコンビネーションで、ジンワリと楽しさが滲み込んでまいります。仄かに漂うバロック調の味わいも、たまりませんねぇ~♪

1957年2月21日録音
 A-2 Little Girl Blue
 A-4 D & E
 メンバーはジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds) というミルト・ジャクソン抜きのMJQ版ピアノトリオですから、気心の知れた快演が聞かれます。
 有名スタンダードの「Little Girl Blue」は原曲のイメージを必要以上に強調せず、むしろ淡々とした中にせつない情感が滲み出た名演だと思います。緩やかなビートでも決してダレないパーシー・ヒースとコニー・ケイ♪ 後半、一時的に力強い表現に変化するジョン・ルイスを見事にサポートしています。
 また「D & E」はMJQでも十八番になっているブルースで、普段はあまり評価されていないジョン・ルイスのブルースフィーリングが、実は凄いと痛感させられます。難しいフレーズなんかひとつも無いのに、フゥ~っとノセられてしまうんですねぇ♪ 押えた感情表現が完全にツボという、これも名演! ちなみにミルト・ジャクソンが居たら、こうは出来なかったと思われますよ。

1957年8月24日録音:part-1
 A-1 Harlequin

 ジョン・ルイス(p) とコニー・ケイ(ds) のデュオセッションで、曲はMJQが後に発表する名盤「コメディ(Atlantic)」で名演となったものですから、なんとなくデモバージョンと聞こえないこともありません。
 ただしアルバムのド頭に収められた事からして、ジョン・ルイスには充分な自信と思惑があったのでしょう。というよりも、実はこのアルバムは収録プログラムの流れが絶妙に完成度が高く、もう開始の1曲目は、この演奏しか無いと納得させられるのです。
 それは隙間だらけのフレーズ展開、時に暴力的なピアノタッチまで披露するジョン・ルイスの頭脳プレイというか、不思議な「わからなさ」が、続くプログラムに安心感を与え、全てを円滑に進めていくスパイスになっていると感じます。

1957年8月24日録音:part-2
 B-3 Two Lyric Pieces    a) Pierrot
    b) Colombine

 このパートは、なんとジム・ホール(g) とジョン・ルイス(p) のデュオ♪ しかも演目が、これまた「コメディ(Atlantic)」で完成する傑作組曲ですから、たまりません。
 まず最初のパートは気分はロンリーなメロディが素晴らしく、しかも淡々として静謐、せつなくて涙が滲む演奏として絶品です! もう、何時、如何なる時に聴いてもジ~ンとしてきますねぇ……。自分の葬式に流して欲しい名曲・名演になっています。
 また後半は、やや抽象的なイメージをジム・ホールとの協調関係で膨らませていく緻密な展開が素晴らしく、もちろん基本のメロディが琴線に触れまくり♪ ジム・ホールのコードワークやオカズも最高です。
 あぁ、これは完全に出来すぎでしょう! こんなゆったりしたテンポの中で醸成される濃密な空間! これもジャズの真髄かと思うのでした。

ということで、非常に地味なアルバムですから、ジャズ喫茶よりも自宅で鑑賞し、ジンワリと心が温まる作品だと思います。もちろん、ひとりでイジケていたい時にも最適ですし、高級BGMのようでもあり、言い難いお洒落な感覚もあるのです。

繰り返しますが、曲の流れも最高♪

ただしオリジナルのアメリカ盤は、アトランティック特有の盤質の悪さがタマにキズでしょうか。日本盤かCD鑑賞をオススメ致します。

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ジャケットの稚気と中身の名演

2007-12-28 16:36:38 | Weblog

本日で何とか業務は終了出来たものの、今夜は忘年会とか宴会に顔も出さねばならないし、年末いっぱいは、仕事の延長と決まりました……。

あぁ、ゆっくり休みたいですねぇ。

ということで、本日は――

Hank Mobley Quintet featuring Sonny Clark (Blue Note / 東芝)
  

1980年代からの新伝承派プーム、4ビートリバイバルによる新人類ジャズメンの活躍は、必ずしも好きな事ばかりではありませんでしたが、それをきっかけに過去の遺産が発掘されたのは、嬉しい出来事でした。

特に名門ブルーノートの本格的な復活に伴い、それまでジワジワと進められていた未発表曲集の発売が、ディープに加速したのは最高で、本日のアルバムもそのひとつです。

ところが、まず日本優先で発売された時のジャケットが、なんとハンク・モブレーが1957年4月に吹き込んだ傑作盤「Hank(画像右)」のパロディになっていたのは、憎めない誤算というか、私なんか店頭で現物を見た瞬間、前述したアルバムの再発かと思い込んでしまったほどです。

ところが、しばらくしてジャズ喫茶でこれを聴かされた瞬間、思わず絶句! あまりの素晴らしさに完全KOされ、慌ててレコード屋へ走ったというわけです。

ちなみに発売されたのは1984年でしたが、録音は1957年8月18日、メンバーはケニー・ドーハム(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ソニー・クラーク(p)、ジミー・ロウサー(b)、アート・テイラー(ds) というハードバップのお手本のようなバンドです――

A-1 Don't Get Too Hip
 ミディアムテンポでグルーヴィなブルースなんですが、まずイントロから雰囲気満点というソニー・クラークのピアノが最高! テンションの高いテーマ合奏の背後から執拗に絡みついてくるソニー・クラーク! もうこの瞬間だけで、このアルバムは間違い無いと確信してしまいます。
 もちろんアドリブパートでのソニー・クラークもファンキー&グルーヴィンで筆舌に尽くし難く、粘っこくて琴線に触れまくるフレーズの連発が、当にハードバップの魅力全開♪
 またケニー・ドーハムが落ち着いた出だしから、例のイブシ銀の音色とフレーズを出し惜しみせず、アート・テイラーのビシッとキメるシブイ煽りと共犯関係の好演を聞かせてくれます。
 そしてハンク・モブレーが唯一無二のタメとモタレの芸術で、じっくりとアドリブを醸成させていく名人芸です。決して派手さは無いのですが、一度、この魅力にとりつかれると、たまらない瞬間の連続となるのでした。
 あぁ、こんな凄い演奏がオクラ入りしていたリアルタイムの充実度には、感銘するしかありませんねっ!

A-2 Curtain Call
 如何にもハンク・モブレーというアップテンポのオリジナル曲で、テーマメロディもアドリブも、些か手癖と言われればそれまでなんですが、モブレーマニアにとっては至福の連続です♪ ソフトな音色でパワフルに歌いまくるハンク・モブレーは最高!
 またケニー・ドーハムも大ハッスルで、止まらないフレーズの連続技を聞かせてくれますし、アート・テイラーのドラミングも豪快ですねぇ~~♪
 そしてお目当てのソニー・クラークが小気味良い快演、と書きたいところなんですが、実は正直、ちょいと物足りない雰囲気もあります。しかし、これで良しと思わせられるのは、ブルーノートの魔法でしょうか。 

A-3 Deep In A Dream
 ケニー・ドーハムが抜け、ハンク・モブレーが中心となった歌物バラードの演奏で、ソフトな情感が素晴らしいと思います。ただし、やや緊張感が足りない雰囲気も……。
 まあ、このあたりがハンク・モブレーの持ち味かもしれませんが、バックのリズム隊もソツが無く、ソニー・クラークも地味な歌心に撤しているようです。

B-1 The Mobe
 ちょっと軽めの演奏ですが、ハンク・モブレーが書いたテーマは凝ったアレンジもあって、なかなかの佳曲だと思います。
 なによりもアドリブに入って十八番のフレーズを吹きまくるハンク・モブレーが最高で、このあたりは自作の強みを完全に活かしている感じです。バックで煽るリズム隊も好調ですねぇ♪
 もちろんケニー・ドーハムも素晴らしく、かすれ気味の音色が大いに魅力ですし、ピタッとキマるフレーズの妙とか独自の安定感が楽しめます。
 そしてソニー・クラークが随所にファンキーなキメを入れまくった名演で、快適なテンポの中でも決して流されない個性が見事だと思います。
 クライマックスで繰り広げられるモブレー&ドーハムの掛け合いも、本当に息が合ったところ♪ スルリとラストテーマに入っていくのですから、流石です。

B-2 My Reverie
 ドビッシーの名曲をジャズに焼き直したハードバップの快作になっていますが、ここでの主役は完全にケニー・ドーハムでしょう。温か味のあるテーマの吹奏から和みのアドリブ、ほどよい黒っぽさと緊張感、さらにモダンジャズのスリルを徹頭徹尾、演じているのです。
 ケニー・クラークとハンク・モブレーも自己を見失わない好演ですが、ここはケニー・ドーパムの一人舞台♪ ラストテーマの吹奏も素直で素晴らしいと思います。
 
B-3 On The Bright Side
 オーラスは溌剌として哀愁も漂うバードバップで、作曲はもちろんハンク・モブレーですから、お約束の名演が続出します。
 まずケニー・ドーハムのイブシ銀が、これでもかと楽しめますし、流麗なフレーズ展開に酔わされた後に登場するソニー・クラークのテンションの高さも特筆物でしょう。小粋なピアノタッチと黒いスイング感、仄かにマイナーなフレーズの妙は、全くソニー・クラークだけの魅力として、いつまでも輝くのです。
 そしてハンク・モブレーの歌心の素晴らしさ♪ マイルドなノリを刺激しまくるアート・テイラーのドラミングも強烈で、本当にハードバップ最良の瞬間が楽しめるのでした。

ということで、とにかくド頭の「Don't Get Too Hip」が極みの名演! 特にソニー・クラークが素晴らしすぎます。アルバム裏ジャケットのタイトルに、わざわざ「featuring Sonny Clark」と特記したのも、ムベなるかな! もうこの曲だけで、このアルバムの価値があると断じてしまいます。後の「クール・ストラッティン」に確かに通じる味わいが深いんですねぇ~~♪

またケニー・ドーハムの溌剌としてシブイ雰囲気、十八番に撤するハンク・モブレーの潔さも最高で、これがハードバップの楽しさという魅力満点のアルバムです。

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楽しさならブルーベックのカルテット

2007-12-27 17:32:28 | Weblog

今年も押し詰まるだけ詰まったところで、仕事のトラブルがイマイチ、解消されません。自分でも煮詰まりを感じていますから、本日は、これを聴きました――

Dave Digs Disney / Dave Brubeck (Columbia)

楽しいアルバムが多いデイヴ・ブルーペックの諸作中、特に親しみやすい1枚で、タイトルどおりディズニー映画の名曲集♪

録音は1957年6&8月、メンバーはポール・デスモンド(as)、デイヴ・ブルーベック(p)、ノーマン・ベイツ(b)、ジョー・モレロ(ds) ですから安定感があって、なおかつ硬派なところも含んだ快演ばかりです――

A-1 Alice In Wonderland / 不思議の国のアリス (1957年6月29日録音)
 今日ではビル・エバンスの十八番だった事で名曲・名演になっておりますが、このバージョンも素晴らしく、個人的には大好きです。
 まずデイヴ・ブルーベックが穏やかにテーマメロディをひとりで弾いた後、グッとメリハリの効いたリズムアレンジが入って、そのまんまポール・デスモンドの甘いアルトサックスに引き継がれるところからして、最高です。
 シャープなビートを刻むジョー・モレロのブラシもゴキゲンですし、歌いまくるポール・デスモンド、さらに何時しかリズムを逸脱したようなスイング感を聞かせるデイヴ・ブルーベックのアドリブは、煮え切らないようでクセになる魅力があります。
 そしてクライマックスはアルトサックスとピアノの絡みによる、如何にも白人らしい知性的なアドリブ構成が、このバンドの特性を良く表しているのではないでしょうか。
 それでもなお、ジャズ本来の楽しさを蔑ろにしていないところが、素敵だと思います。

A-2 Give A Little Whistle / 口笛吹いて (1957年6月29日録音)
 これまたジョー・モレロのブラシが冴え渡った軽快な演奏ですから、楽しい限り♪ ポール・デスモンドの涼やかなアルトサックスの音色、そしてここでの流麗な歌心には、何時聴いても心がウキウキさせられます。
 ところがデイヴ・ブルーベックが一筋縄では収まらない妙なスイング感を披露! 楽しいフレーズやテキパキとしたノリは、確かに分かり易いのですが、ここでもリズムを無視したような、ミョウチキリンなアドリブを展開しているんですねぇ~。
 しかしジョー・モレロとノーマン・ベイツの4ビートが鉄壁ですから、決して本道から外れない見事な演奏が大変に魅力的です。
 そしてクライマックスは、もちろんポール・デスモンドとデイヴ・ブルーベックのクラシック調の絡み合いなのでした。うっ、MJQのような……♪

A-3 Heigh - Ho (1957年8月3日録音)
 早いテンポでジョー・モロレのドラミングが強烈な演奏です。叩きつけるようにテーマメロディを弾くデイヴ・ブルーベックのヤケクソな感性もジャズっぽく、ツッコミ気味にアルトサックスを鳴らすポール・デスモンドも、憎めません。
 しかしここは、やっぱりジョー・モレロ! 千変万化のテクニックと鉄壁のビート感で素晴らしいドラムソロを展開しています。もっと長くても、きっと飽きなかったでしょう。

B-1 When You Wish Upon A Star / 星に願いを (1957年8月3日録音)
 ディズニー作品では一番有名な曲でしょう。
 ところが誰もが知っているメロディを、デイヴ・ブルーベックは2ビートで意地悪く変奏するのですから、本当に一筋縄ではいきません。
 しかしポール・デスモンドはアドリブとは思えないほどに美メロばかりのフレーズを綴ります。けっこう鋭い硬派なところもあって、流石ですねぇ。
 全体としては緩やかなビートでの演奏が、一層、シブイ感じです。

B-2 Some Day My Price Will Come / いつか王子様が (1957年6月30日録音)
 これもマイルス・デイビスが有名にした感じのメロディ解釈になっています。もちろん、こちらの演奏が先なんですが、キモはワルツビートでのアドリブ展開でしょう。リズム隊の完璧なスイング感に煽られて穏やかにアドリブしていくポール・デスモンドは、確実に桃源郷を作り上げていきます♪
 う~ん、それにしても、この纏まりの素晴らしさはレギューバンドの良さなんでしょうねぇ。デイヴ・ブルーベックは例によって、リズム外しのようなアドリブに走りますが、絶対に迷い道にならないのですからっ!
 ジョー・モレロのブラシは気持ち良さの塊です。

B-3 One Song (1957年8月3日録音)
 あまり有名ではない曲ですが、スピード感満点の4ビートで正統派ジャズの模範演奏になっています。特にポール・デスモンドは好調で、柔らかな音色による豊かなアドリブフレーズの洪水は、見せ場のブレイクでも冴えまくり♪
 デイヴ・ブルーベックは些か生硬なノリで、グルーヴィとは正反対のビアノを聞かせてくれるのもご愛嬌というか、抜群のスイング感を作り出すジョー・モレロとの対比が、このバンドの魅力と実感させてくれるのでした。

ということで徹頭徹尾、楽しい作品ですから、私はジャズ喫茶では聴いた記憶がありません。名盤認定もされていないのでしょうか……。あまり評論家の先生方も推薦していないようです。

まあ、デイヴ・ブルーベックとポール・デスモンドのコンビによるアルバムは、素敵なブツが多いですから、さもありなんでしょうね。

私は煮詰まった時、こんなアルバムを聴いているということで……。

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ゲッツ最初の名演集

2007-12-26 16:35:44 | Weblog

やれやれ、年末で仕事も追い込みだというのに、もう来年のスケジュールがビシバシに入っているという情けなさ……。

正月も仕事あるしなぁ……。家族は旅行へ行くというし、もはや何のために働くのか、自問自答すると、やはり自分の物欲の為でしたとさ。

ということで、本日は――

Stan Getz Quartet (Prestige)

スタン・ゲッツは白人テナーサックス奏者の最高峰! こう、私は断言してしまいますねぇ。もちろん、お叱りは覚悟しておりますが。

その豊かな歌心、流麗なフレーズ展開、誰にも真似出来ない天才的なリズム感、そして甘美で涼しい音色の魅力♪ そこへ進取の気概もあるのですから、本当に凄い人でした。

しかし当然ながら、駆け出し時代はビバップに強い影響受けた、バリバリと生硬に吹きまくるスタイルで、それが決定的に変化したのが、1948年12月末に行われたウディ・ハーマン楽団での「Early Autumn」セッションというのは定説だと思います。

そこに聴かれるソフトでスマートな演奏で、スタン・ゲッツは人気を得たのですが、それをさらに推し進め、確固たるスタイルを極めた最初のピークが、翌年から残されるプレスティッジでのセッションでしょう。

そしてこのアルバムは、リアルタイムではSPフォームで作られた音源を集めた12吋LP盤で、収録曲順は必ずしも録音毎では無く、片面通して違和感の無いプログラムにされています――

A-1 There's A Small Hotel (1950年1月6日録音)
A-2 I've Got You Under My Skin (1950年1月6日録音)
A-3 What's New (1950年1月6日録音)
A-4 Too Marvelous For Words (1950年1月6日録音)
A-5 You Stepped Out Of A Dream (1950年4月14日録音)
A-6 My Old Flame (1950年4月14日録音)
B-1 Long Island Sound (1949年6月21日録音)
B-2 Indian Summer (1949年6月21日録音)
B-3 Mar-Cia (1949年6月21日録音)
B-4 Crazy Chords (1949年6月21日録音)
B-5 The Lady In Red (1950年4月14日録音)
B-6 Wrap Your Troubles In Dreams (1950年4月14日録音)

――という演目は、全てが最高♪ 何度聴いても、飽きることを知りません。

1949年6月21日録音
 B-1 Long Island Sound
 B-2 Indian Summer
 B-3 Mar-Cia
 B-4 Crazy Chords

 メンバーはスタン・ゲッツ(ts)、アル・ヘイグ(p)、ジーン・ラミー(b)、スタン・レヴィー(ds) という理想的なカルテット♪ もちろん全員がリーダーの意図するクールスタイルには精通していたのでしょう、とにかくスタン・ゲッツの柔らかな歌心を万全にサポートしています。
 特に独自のドライヴ感が全開した「Long Island Sound」は、明らかにビバップから抜け出した演奏で、スタン・ゲッツはもちろんのこと、アル・ヘイグの仄かにネクラなフレーズ展開、スティックとブラシをシャープに使い分けるスタン・レヴィーのドラミングの素晴らしさ♪
 ホノボノとした「Indian Summer」も最高ですし、アドリブ真っ向勝負の「Crazy Chords」やジンワリと心に染み入る「Mar-Cia」といったスタン・ゲッツのオリジナル曲も冴えています。

1950年1月6日録音
 A-1 There's A Small Hotel
 A-2 I've Got You Under My Skin
 A-3 What's New
 A-4 Too Marvelous For Words

 メンバーはスタン・ゲッツ(ts)、アル・ヘイグ(p)、トミー・ポッター(b)、ロイ・ヘインズ(ds) という白黒混成のバンドで、特にドラムスとベースが黒人らしいグルーヴを提供したことから、逆にスタン・ゲッツの個性が浮彫りになった名演ぞろいです。
 まず「There's A Small Hotel」は、まさにアルバム冒頭に置かれるに相応しい快演で、ミディアム・テンポの粘っこいビートの中で自在に浮遊するスタン・ゲッツの名人芸! スカスカの音色も好ましく、さらにアル・ヘイグも最高の歌心を聞かせてくれます。
 もちろん人気バラードの「What's New」はソツが無さ過ぎて面白くないほどの完成度ですし、意想外とも言えるグルーヴィな表現で熱くなる「Too Marvelous For Words」も深遠です。また、穏やかにスイングしまくる「I've Got You Under My Skin」は、テーマメロディの変奏が見事だと思います。

1950年4月14日録音
 A-5 You Stepped Out Of A Dream
 A-6 My Old Flame
 B-5 The Lady In Red
 B-6 Wrap Your Troubles In Dreams

 メンバーはスタン・ゲッツ(ts)、トニー・アレス(p)、パーシー・ヒース(b)、ドン・ラモンド(ds) という、一筋縄ではいかないカルテットで、多分、レコーディング用の臨時編成かと思われますが、これまた素晴らしい♪
 とにかく「You Stepped Out Of A Dream」はスタン・ゲッツ畢生の名演とされた決定的なバージョンです。ソフトにかすれる音色で深みのあるテーマメロディが変奏されていく、ただそれだけで完全KOされてしまいます。パーシー・ヒースのベースも強い印象を残しますが、続いてアドリブを無限大に飛翔させるスタン・ゲッツには、後光がさしている感じです。
 そして力強くて優しい「My Old Flame」での充実した表現も素晴らしく、ラテンのリズムで楽しくスイングする「The Lady In Red」では、後のボサノバに通じる雰囲気も楽しめます。
 しかし「Wrap Your Troubles In Dreams」では、やや煮え切らない感じがしてしまいます。妙に力んで新しい展開を模索しているのでしょうか……。後付ですが、続くルーストやヴァーヴ時代の萌芽と受け取れないこともありません。

ということで、スタン・ゲッツはもちろんのこと、共演者も素晴らしい出来栄えの演奏ばかりです。特にアル・ヘイグは最高ですねぇ~~~♪ 私はこのアルバムで、アル・ヘイグの虜になりましたです。

スタン・ゲッツは、速いテンポの演奏でも、ルーストやヴァーヴのセッションとは異なり、闇雲に疾走することをしていません。そのあたりが私には好ましく、このアルバムには何時までも愛着が持てるのでした。 

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永遠のオスカー・ピーターソン

2007-12-25 14:04:07 | Weblog

今日もノーテンキに昼飯を喰っていたら、オスカー・ピーターソンの訃報に接しました。

う~ん、一度、病に倒れた人ですし、高齢でもありましたから、天寿かなぁ……。とも思うのですが、やっぱり悲しい気持ちです。そして車の中では、これを聴いてしまいました――

My Favorite Instrument / Oscar Peterson (MPS)

オスカー・ピーターソンの逝去が、なんだか信じられない……。筆舌につくしがたい驚異的なテクニックと想像力を持った偉人だから、でしょうか……。というよりも、永遠不滅の演奏と業績を残して、生きながら神の領域に近づいていたピアニストでしたねぇ……。

世に出た演奏は全て最高でしたが、決して協調性を蔑ろにせず、一切の手抜きを否定していたプロとしての姿勢も、素晴らしかったと思います。

さて、このアルバムは全くのひとりきりで演奏したソロピアノ! 録音は1968年4月、忌憚の無いところを存分に披露しています――

A-1 Someone To Watch Over Me
A-2 Perdido
A-3 Body And Soul
A-4 Who Can I Turn To
B-1 Bye, Bye Blackbird
B-2 I Should Care
B-3 Lulu's Back In Town
B-4 Little Girl Blue
B-5 Take The ‘A’Train

――という演目は、良く知られた人気名曲ばかりですが、オスカー・ピーターソンがそれを自在に変奏し、極上のアドリブ天国へ招待してくれるのは、お約束♪ 絶対にハズしていません。

スローテンポながらも、めくるめくテクニックで膨大な量の音符を駆使し、圧倒的な歌心を追求していく「Someone To Watch Over Me」から、緊張と和みの両立というジャズの楽しみが現出しているのです。

またオスカー・ピーターソン独自のグルーヴが溢れ出る「Perdido」や「Take The ‘A’Train」の豪快さ! 甘さに流れずソフトに心情吐露していく「Body And Soul」と「Who Can I Turn To」の潔さ♪ ジンワリと染み入ってくる「Bye, Bye Blackbird」も良い感じです。

さらにビル・エバンスっぽい解釈に踏み込んだ「I Should Care」を、抜群のテクニックでオスカー・ピーターソンの世界に引き戻していく荒業が、嫌味になっていません。

楽しすぎる「Lulu's Back In Town」も、今となっては涙を誘う名演ですし、続く「Little Girl Blue」の静謐な感情表現には絶句してしまいますねぇ……。

こうして様々に理屈をつけて聴いてしまうのが、私の悪いところですが、今日は素直にシミジミと鑑賞し、故人の冥福を祈ります。

オスカー・ピーターソンよ、永遠なれ!

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自分に素直なクリスマス

2007-12-24 09:09:02 | Weblog

私は仏教徒ですが、やはりクリスマスは素直に楽しむべきでしょうね。

実は中学生の頃には、そうした矛盾を言いまくって顰蹙……。おかげで女の子が主催したクリスマスパーティからも声が掛からずに、ロンリークリスマスでした……。

まあ、いいか、アメリカだってユダヤ人がクリスマス休暇を取る時代ですからねぇ。

ということで、本日の1枚は――

Run Rudolph Run / Keith Richards (Rolling Stones Records)
  

今でこそ業界は、ロックもソウルも平気でクリスマスソングを出すのが当たり前になっていますが、1970年代までは、そうでもありませんでした。それだけロックは反社会的な活動だったのかもしれませんが、なんとストーズのメンバーでは一番硬派と思われていたキース・リチャーズが、1978年12月に突如出したのが、このロックンロール・クリスマス曲です。

一応、オリジナルはアメリカ盤の7インチなんですが、イギリスでは翌年2月頃に発売されましたから、あんまりクリスマスを意識しなかったんでしょうかねぇ……。

というのも、当時のキースとストーンズは麻薬関連の裁判でゴタゴタしており、それがようやくキース側に有利な判決が出た嬉しさから、このシングル盤を発売したという噂の真相もあるようです。

なにしろ録音は1976年12月10日、ロンドンでのスタジオセッションで、メンバーはキース・リチャーズ(g,b,vo)、イアン・スチュアート(p)、マイク・ドリスコール(ds) とされています。

曲はロックンロールの大御所でキース・リチャーズが永遠に憧れているチャック・ベリーのオリジナル♪ 1958年に発表された楽しいR&Rを、まるっきりストーンズのビートで焼き直した、ウキウキする名演です。

本日はクリスマスということで、ジャケットをクリックすると  You Tube からの音が流れますので、お楽しみ下さいませ。ちなみにチャック・ベリーのオリジナル演奏はこちらです。

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ストーンズの1972年物は最高!

2007-12-23 15:31:05 | Weblog

一昨日の夜、幸運に恵まれたおかげで、またまたストーンズ熱が再発し、今日はブート屋を急襲! 散財してしまいました……。

でも、いいじゃねぇ~かっ! 自分が稼いだ金なんだからっ!

と、居直らずにはいられないブツがゴッソリだったんですねぇ♪

その中から、本日の1枚を――

Going Back To 1972 / The Rolling Stones (SODD)

アナログ盤時代から高音質と定評のあった1972年7月6日のノースカロライナ州シャーロット公演からの隠密物です。ちょっとドラムスが引っ込み気味ながら、客席からのステレオ録音は左右の広がりよりも奥行きのある雰囲気で、なかなか臨場感があるんですねぇ♪

気になるリマスターは、これまでCD化された中では一番マイルドで聴き易くなっていました。

演目は以下のとおり――

01 Bitch (Cut In)
02 Rocks Off
03 Gimme Shelte
04 Happy
05 Tumbling Dice
06 Love In Vain
07 Sweet Virginia
08 You Can't Always Get What You Want
09 All Down The Line
10 Midnight Rambler (Cut In)
11 Band Introduction
12 Bye Bye Johnny
13 Rip This Joint
14 Jumping Jack Flash
15 Street Fighting Man

――ということで、当時のレパートリーでは最初に置かれていた「Brown Sugar」が入っておらず、続く「Bitch」も途中からの収録で、しかも時々マイクを隠すのでしょうか、音がオフ気味になったりしますが、その後からは演奏が大きく録れています。

また「Sweet Virginia」と「Bye Bye Johnny」は、途中で音の定位が片寄ります。

しかし全体にライブ最強時代の恐いもの知らずという勢いは、もう最高で、特にこの日は気合が入っていますねぇ~~♪

ミック・テイラーの激烈なギターワークが冴える「Gimme Shelte」や「Love In Vain」は、何度聴いてもゾクゾクしてきますし、「You Can't Always Get What You Want」では幻想的なプレイがファンキーに発展するという、バンド全体の意欲的なところも最高です♪

また「All Down The Line」の脂っこさも、実に素晴らしく、ミック・ジャガーのシャウトしまくれば、バックのホーンセクションがノリノリで咆哮! ニッキー・ホプキンスのピアノが弾けて、ミック・テイラーのスライドがネッチネチです!

あぁ、こんなん聴いていると、つくづくこの時期の公式ライブ盤が出なかったのが悔しいわけですが、もし実現していても、それにはオーバーダビングやスタジオの手直しが施されるのは確実ですし、するとこんなド迫力は再現されなかったと、シミジミ思っています。

クールなメンバー紹介から飛び込んでいく「Bye Bye Johnny」のカッコ良さは、永遠の憧れなのでした。

ラストの三連発には、歓喜悶絶! これがストーンズファンの冥利というもんでしょう。

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たまには良いこともある♪♪~♪

2007-12-22 17:02:23 | Weblog

昨夜は久々に銀座なんていう場所に行きましたが、相変わらず高いばかりで、面白くありませんね。

まあ、私が遊び方を知らないのかもしれませんが……。

ところが、そんな街でも素敵な出会いはあるものです――

Street Fighting Man / The Rolling Stones (Decca)

本当は別なブツを予定していたのですが、昨夜、路上で外人が売っていた、今日はこれをアップします。

ストーンズでは説明不要の大ヒット曲なんですが、このブツは33回転のEP盤! 1971年の6月末にイギリスで発売されたものです。

 A-1 Street Fighting Man
 A-2 Surprise, Surprise
 B-1 Everybody Needs Somebody To Love

この中のウリは、B面収録の「Everybody Needs Somebody To Love」で、当時のリアルタイムでは非常にレアだったロングバージョンのステレオミックス! これはちょっとした事件でした。

もちろん今ではCD化もされておりますが、ピクチャースリーヴという珍しさもあって、コレクタズアイテムになっていたのです。

それが昨夜、ひょんな事から、タダ同然の値段で私のところにやって来たのですから嬉しくて、本日の見せびらかしになりました。

盤質もジャケットも、まあ、それなりなんですが、こういうブツは飾り用としても重宝しますからねぇ♪

ということで、本日はご容赦願います。

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