■花・太陽・雨 / PYG (ポリドール)
世の中には、どんなに素晴らしくとも、素直に受け入れらず、認められないものが少なからずある事は、皆様もご存じのとおりです。
例えば本日掲載のシングル盤で堂々のデビューを飾った日本のロックバンドである PYG も、全くそのひとつでしょう。
その要因は、PYG がGSの人気グループから選抜されたとしか思えないスタア集団であり、それが如何にも商業主義っぽくて、つまりは純粋なロック魂とは異なる主義主張が感じられ、もちろんそこには世間の所謂「やっかみ」が無かったとは言えません。
また、当然ながら、それを主導していたのは沢田研二を手中に留めておきたい渡辺プロ?
という構図が透けて見えていた事もマイナスのベクトルであったと言われています。
しかし、それでも昭和46(1971)年に出された作詞:岸部修三&作曲:井上堯之によるデビュー曲「花・太陽・雨」の仕上がりは、少なくともサイケおやじをリアルタイムでグッとシビレさせた、これがニッポンのニューロック!
かもしれないなぁ~~~♪
と、なかなか感銘を受けたのですが、既に述べたとおり、世間の目は厳しく、PYGを真剣に聴くなんてのはロックファンでは無く、むしろミーハーを告白しているようなもんだぜっ!
てなことが、常識的に思われていたのですから、ますます素直になれないわけで……。
そんなこんなを思いつめていた(?)同年秋、本格的特撮ヒーローの回帰を企図したであろうテレビ番組「帰って来たウルトラマン(TBS)」の第34話「許されざるいのち」が放送され、そのクライマックスでなんとっ!
PYG が演じたこの「花・太陽・雨」が劇伴として流れされ、その物語展開を異様とも思えるほどの高揚感に導いたのですから、たまりません。
ここからはちょっとネタバレもありますが、このエピソードは天才的な科学者でありながら、世間から疎外され、また自意識過剰なコンプレックスに苛まれていたとしか思えない行動から新種の怪獣を作り出してしまい、結局はウルトラマンに退治される流れはお約束かもしれませんが、そこに関わる登場人物の心情描写が絶妙のカットバック等々を駆使して繋ぎ合わされる時、既に述べたとおり、素晴らしい仕上がりながら、ほとんどストレートに受け入れられなかった PYG が演じるところの「花・太陽・雨」がジャストミートしてしまうのも、ムベなるかなっ!?
この強烈な相乗効果が、どのように企画されたかは知る由もありませんが、件の第34話「許されざるいのち」の脚本が石堂淑朗&小林晋一郎、そして監督が山際永三という制作スタッフの総意だとすれば、PYG サイドがどのような許諾姿勢だったは大いに興味を惹かれるところです。
閑話休題。
さて、そこでいよいよ本日のお題「花・太陽・雨」は、いきなりゴ~ン~ゴ~ン~と鳴り響く鐘の音に導かれ、力強いミディアムテンポで歌われるメロディアスな曲調は、その仕掛けからしてジョン・レノンのあの名曲「Mother」を強烈に想起させるという、そんな「あざとさ」があるもんですから、ますます PYG は疎まれるという事が否定出来ないんですが、さりとて沢田研二と萩原健一のツインボーカル、ハイセンスな大野克夫エレピ、そして井上堯之の味なギター、さらに言うまでもなくリズム隊のヘヴィなビートを素直に楽しめないというのじゃ~、勿体ないですよっ!
ちなみにこの「花・太陽・雨」はシングルバージョンとアルバムバージョンが公式音源としてスタジオレコーディングで残されており、まずシングルバージョンは沢田研二と萩原健一によるツインのリードボーカルが「6:4」であるのに対し、アルバムバージョンでは、ほとんど沢田研二がリード、萩原健一はバックコーラスみたいなミックスになっており、また井上堯之のギターにも、シングルバージョンでは強いディストーションが効果満点!
演奏のテンポも幾分早く、つまりシングルバージョンの方がロック性感度が高いんですよねぇ~~~♪
ところが、いよいよ使われた問題の第34話「許されざるいのち」での「花・太陽・雨」は、まずは演奏のテンポがシングル&アルバムの両バージョンとも異なる印象ですし、ボーカル&コーラスの雰囲気も微妙に違っているように感じますので、もしかしたら、ここだけの別ミックスが作られたんじゃ~なかろうか?
と推察する次第です。
ということで、自分の好きなものを素直に認めなきゃ~、生きている意味も薄れてしまんじゃ~ないかなぁ~~~。
独断と偏見に満ちた拙ブログではありますが、これからもそ~した心情吐露は継続させていただきたく、よろしくお願い致します。
あぁ……、いよいよ新年度がスタートかぁ~。