■Live Show / sadistics (Invitation / ビクター)
A-1 Type 1
A-2 We Are Just Taking Off
A-3 Hard Score
B-1 あこがれのセイシェル
B-2 Blue Curacao
B-3 Ready To Fly
掲載したのはサディスティックスの実質的解散コンサートとなった昭和53(1978)年8月29日の「サマーリサイタル」から作られたライブ盤で、発売されたのは翌年1月、通算3作目のLPです。
皆様ご存じのとおり、高中正義(g)、今井裕(key)、後藤次利(b)、高橋ユキヒロ(ds) という顔ぶれで活動していたサディスティックスは、加藤和彦とミカの夫婦が率いていたサディスティック・ミカ・バンドがリーダー夫妻の家庭の事情(?)で解散した後、同バンドから分離独立したグループで、一応の結成は昭和51(1976)年春というのが定説ではありますが、その卓越した演奏&アレンジ能力を各方面から評価されていたメンバー各々は主に歌謡曲やニューミュージック等々、我が国芸能界におけるレコード製作の現場や歌謡スタアのバックバンドとして、時にはユニット全体で起用される事も度々だった歴史は、今日までに様々なレコードやCDで確認されるところです。
また、あらためて言うまでもありませんが、メンバー各々が自らのリーダー盤を製作したり、歴史的な偉業を残したバンドに参加していたという実績は、今も畏敬されるべきものでしょう。
しかし、リアルタイムでのサディスティックスには、そ~した歴史的な考察等々はもちろん存在するはずもなく、殊更バンド活動をやっていたり、そ~でなくとも、ちょっとでも楽器をいじるような音楽好きにとっては、折しも盛り上がっていたクロスオーバー&フュージョンの大ブームの中での凄腕プレイヤー集団という印象が強く、サイケおやじの周辺でも傾倒している仲間が相当数!?
ただし、サイケおやじは例によって、とでも申しましょうか、件のミカ・バンドが必ずしも自分の感性に合っていたとは言い難く、またサディスティックス本隊が昭和52(1977)年に出したグループ名義としては最初のアルバム「sadistics」が、これまた同じく???ってな感じでしたからねぇ……。
むしろレコード化された演奏については、浅野ゆう子の「
ムーライト・タクシー」、そして矢沢栄吉が昭和51(1976)年末に出した、日比谷の野音で録られたとされるライブ盤あたりが、彼等の本領発揮を堪能出来るものと思っていたほどでしたので、サディスティックスのライブは数次接しており、やっぱりスゲェ~~~!
そして案の定(?)、サディスティックス名義の2ndアルバム「We Are Just Taking Off」が世の出た昭和53(1978)年8月のライブが、どうやら解散の云々という噂が広まったのですから、サイケおやじは周辺の仲間共々、チケットを入手して参集したのが、掲載したライブ盤が録られたとされる九段会館でありました。
ところが、サイケおやじが期待し過ぎた所為でしょうか、まず件の会場における音が決して良いとは言えず、場合によっては誰が何の音を出しているのか判別し難いという状況も、実はその時のステージにはサディスティックスのメンバー4人に加え、斉藤ノブ(per)、ペッカー(per)、そして村上秀一(ds) がサポートに入っていたという、つまりはボーカリストやサックスプレイヤー等々のメロディ担当者を欠いていたガチガチのセメント!?
結果的に怒涛のリズム&ビートに圧倒された印象だけが残ったんですが、それが一挙に覆されたのが既に述べたとおり、翌年1月に発売された掲載のライブ盤「Live Show」でありました。
とにかく最初に聴かせてもらった瞬間、スッキリと整理されサウンド構成、それゆえに再確認出来る演奏の物凄さは圧巻の一言!
当然ながら収録された6曲は録音された中から選び抜いたベストな演奏という事でしょうし、おそらくは手直しのダビングも行われていたと推察する次第ですが、それにしても聴く度に震えが止まりませんでしたねぇ~~~♪
それはまずファンキー&ロッキンなギターのカッティングからスタートするA面ド頭「Type 1」から全開で、炸裂するエレキベースのチョッパー、ビシバシにキメまくりのドラムスとパーカッション、そして爽快にして和みが滲み出るキーボードの彩の間隙から飛び出す高中正義が十八番のフレーズ!
ジャジーなアドリブを展開する今井裕のエレピも流石だと思いますが、後藤次利の蠢いては弾けるエレキベースには急所をグッと握られた感じで、悶絶する他はありませんよっ!
また気になるツインドラムスの存在については、正確無比なビートを叩いているのが高橋幸宏、幾分低重心のリズムを出しているのが村上秀一と推察する次第なんですが、実はこのアルバムのクレジットには村上秀一の名前が割愛され、それは例の事件の影響でありましたが、それはそれとして凄いのは間違いの無い事実!
そして続く「We Are Just Taking Off」はサディスティックスのイメージを決定的にするトロピカルなフュージョン曲ですから、グループの纏まりと余裕は言わずもがな、メンバー各々の腕の冴えも堪能出来る秀逸な演奏だと思います。
あぁ~~、この和みこそは昭和53(1978)年のトウキョーシティポップスだったんですよねぇ~~♪
しかし、その意味で逆の発想というか、続く「Hard Score」は曲タイトルどおり、妥協を許さぬストロングスタイルのフュージョンインストで、初っ端から重層的に連なっていくメンバーの個人技は世界でもトップクラスの領域でしょう。
なによりもサディスティックスがロック畑の出身という強みを活かしたタテノリのビート感でこれを、しかもアップテンポでやっている事が素晴らしいですよ。
もちろん当時はジャズプレイヤーも進んでフュージョンをやっていたんですが、ここまでのタテノリは体質的(?)に難しかったのでしょうか、そこにナチュラルなオフビート感が滲んでいる演奏が多かったとサイケおやじは感じていたので、後藤次利のチョッパー&スラッピーなベースプレイや激しく突っ込む高中正義のギターソロ、集団ポリリズム状態でもロックのグルーヴを失っていないドラムスとパーカッションの饗宴、さらにはファンキー&スマートな今井裕のピアノ&シンセ!!
もう、このトラックで熱くならなかったら、フュージョンやロックジャズを感じる感性が疑われるんじゃ~なかろうか!?
と、思わず不遜な事を思ってしまうサイケおやじですが、いかがなものでしょうかっ!?
こうしてレコードをひっくり返し、B面に針を落とせば、そこはハナからケツまで高中ワールドが満喫出来る桃源郷♪♪~♪
お馴染みの「あこがれのセイシェル」は昭和51(1976)年夏に発売された
本人の初リーダーアルバムからの代表曲であり、その気持ち良いほどの音作りとソフト&メローなトロピカルフュージョンの妙は、忽ち多くのファンを掴んだわけですが、実際に高中正義が大ブレイクしたのはサディスティックス解散後の事ですから、このライブバージョンは様々に味わい深い仕上がりかと思います。
う~ん、この歌心溢れるギター、同じくセンス満点のエレピ、シブくてタイトなリズム隊のノリは、一朝一夕で出来るものじゃ~ありませんよねぇ~~~♪
また、今や高中正義の十八番の中の人気曲「Blue Curacao」は当時のサディスティックスの新曲で、前述した2ndアルバムに収録されていたんですが、そのスタジオバージョンよりも自由奔放に展開されるここでのライブバージョンには血沸き肉躍るって言葉がジャストミート!
そしていよいよの大団円が、これまた高中正義の代名詞として説明不要の「Ready To Fly」なんですが、今日ではこのライブバージョンが極みつきの大名演とされる定説には反対は致しませんが、サイケおやじとしては、もっともっと凄い生ライブに接した記憶があるもんですから、ここは虚心坦懐に楽しむべきと自戒しつつ、やっぱり熱くさせられてしまいます。
ということで、書き遅れましたが、このアルバムはアナログ盤の特質を活かした構成という事なんでしょうか、A面が「今井裕サイド」、B面が「高中正義サイド」という感じで色分けされているのはニクイところでしょう。
それゆえに何度聴いても飽きないLPだと思うんですが、これが後年、CD化されてみると、ますます音作りがスッキリし過ぎて、個人的にはイマイチ違和感がありましたし、なんとなくオーバーダビングの手直し箇所が推察出来るようなリミックス&リマスターには???
ところが、ところがっ!
ちょい前に当時のバンド仲間から届いたメールによると、今年発売された最新リマスターによる復刻CDがまるっきり別物という、恐ろしいばかりの仕上がりになっているんで、絶対に聴いてみろっ!
こ~言われちゃ~~、サイケおやじとしても安穏とはしていられない気分ですよ。
そこで本日は、まず久々にオリジナルのLPを取り出して鑑賞し、これを書いているという次第です。
いゃ~~、やっぱり熱くさせられますねぇ~~~♪
よし、明日は最新リマスターのCDを買いに行こうっ!