OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

春はいずこに……

2006-03-31 17:15:18 | Weblog

明日から4月だというのに、ブルブルに寒くて吹雪です。いくら雪国といっても、これは異常でしょう。せっかく融けた雪がまた積もっていくのですよ……。

やれやれ、今年は当分、スタットレスタイヤを外せないなぁ……。とにくか寒いので、昼飯は鍋焼きうどん、音楽はこれにしました――

Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band / The Beatles (EMI)

何度読んでも分からない小説があるように、何度観ても好きになれない名作映画あるように、このアルバムは私にとっては何度聴いても深みに落とされる作品です。

というか、最初聴いた時には何が良いのか理解出来なくて、つまり全く楽しい部分が少なくて、にもかかわらず、これがビートルズの最高傑作だと言われることに、理解出来ない自分は疎外感を強めていました。

それはこの前に出たシングル盤の「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の時にも感じたことで、ただしそれはB面の「ペニー・レイン」に救われていたのですが……。

それにしてもこのアルバムは、現在でも音楽界に聳え立つ偉大な壁という存在で、ジミヘンの「レディランド」も、クラプトンの「レイラ」も、T.レックスの「電気の武者」も、マイルスの「ビッチズ・ブリュー」も、ピンクフロイドの「狂気」も、クリムゾンの「宮殿」も、けっしてこれを乗り越えていない事実は認めざるをえません。

果たして今後、これ以上のアルバムが出るのか、実は毎年それを楽しみに新年度を迎える私です。そこで本日もこれを謹聴した次第です。

しかし正直言うと、「ラバーソウル」の方が好きだなぁ……。

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ニューロック系ピアノトリオ盤

2006-03-30 18:37:24 | Weblog

この季節、去る人、来る人でちょっした宴会があり、気持ちも疲れています。そんな時には過激で耽美なこの1枚を――

Three Waves / Steve Kuhn Trio (Contact)

エバンス派、つまりビル・エバンス(p) の影響力の下にその才能を開花させたピアニストの中で、逸早く自己を確立したのがスティーヴ・キューンだと思います。

このアルバムはそれを立証した1966年録音の名作で、メンバーはスティーヴ・キューン(p)、スティーヴ・スワロー(b)、ピート・ラロッカ(ds) というトリオ編成です。

さてエバンス派のピアノトリオの持ち味といえば、やはりピアノ、ベース、ドラムスの3者による暗黙の了解的な絡みにあるわけですが、それが上手くいくか否かは、演奏途中で誰がその場を仕切るかが大きな要素になっています。つまりその場の空気を読めるかがポイントですから、そういう事は誰かの伴奏をやっていながら掴んでいくのが一番なのでしょう。この3人は当時、アート・ファーマー(tp) のバンドのリズム隊でしたので、息もピッタリ♪ 当にそういう修練を積んだツワモノというわけです。その内容は――

A-1 Ida Lupino
 不気味なベースの響きに導かれ、スティーヴ・キューンが妙な詩を口ずさみ、演奏がスタートします。このあたりはニューロックの影響でしょうか? そして曲調はちょっとキース・ジャレット風ですが、もちろんこちらがオリジナルというか、早いのです。ピート・ラロッカの擬似ロックビートが心地良い限り♪ ちなみに作曲は才女のカーラ・ブレイです。

A-2 Ah Moore
 これはモロにビル・エバンスしていますね♪ このあたりはジャズ者を妙に安心させる展開で、スティーヴ・キューンも素敵なアドリブ・メロディを随所に織込みながら、耽美派の真骨頂を聞かせてくれます。ベースとドラムスのビート感覚も最高です。

A-3 Today I Am A Man
 スティーヴ・キューンのオリジナル曲で、冒頭からアップテンポでガンガン行くドラムスとビンビン唸るベースの煽りにノセられ、作者本人のピアノが疾走します。ただしそれは隙間だらけで、そこに他に2人が入り込む余地を微妙に残していく展開が、トリオの一体感を高めているようです。あぁ、これがエバンス派ジャズピアノの奥義! 快感です。

A-4 Memory
 これもスティーヴ・キューンのオリジナル曲ですが、ジャズでもロックでも無い不思議な曲想がフリーな感覚に直結しているという、つまりジャズ者が一番好きな耽美な名演です。3分に満たない短い演奏ですが、奈落の底に引き込まれるような凄みがあります。

B-1 Why Did I Choose You ?
 ミッシェル・ルグランの名曲をボサ・ビートで優しく演じると見せかけて、実はその裏で元メロディを極美的に深化させていくトリオの凄さが堪能出来ます。これも短い演奏ですが、充分に納得させられるのでした。

B-2 Three Waves
 アルバム・タイトル曲は威勢の良いモードで処理されおり、これぞ1960年代後半というカッコ良さに溢れた演奏です。スティーヴ・キューンのピアノ・スタイルはかなり打楽器的な要素がいっぱいで、これはエバンス派とは言えませんが、そのハーモニー感覚は間違いなくビル・エバンス直系というあたりが、新感覚です♪ あぁ、何度聴いても興奮させられます。クライマックスのグワ~ンという盛り上がりが最高!

B-3 Never Let Me Go
 今やエバンス派ピアニストならば誰もが取上げる耽美な名曲ですが、その存在を世に知らしめたのが、この素晴らしいバージョンです。徹底してビートとメロディの絡みを追及した最後の最後で、テーマの美メロを一瞬だけ漂わせて締め括るという、ピアノトリオの極北の演奏が、これです。

B-4 Bits And Pieces
 いよいよクライマックスは、ガンガン、ビシビシぶっ飛ばす強烈な演奏です。それはピアノだけでなく、ドラムスの弾けっぷり、ベースのウネリ、トリオ3人の絡み全てにおいて本当にエキサイティングです! これがジャズの醍醐味♪ 黙って聴いて茫然自失! 演奏はいつしかフリーな展開に突入していきますが、けっしてデタラメで呆れるということはありません。必然の破壊というか、この突進力は若気の至りでは片付けられない恐ろしさに満ちています。

B-5 Kodpiece
 これも前曲の一部のような演奏の断片でしょうか、非常に短い音の炸裂があって、このアルバムの〆にしたという、ビートルズの名作アルバム「サージェント~」のラスト・インナー・グルーヴのような趣です。つまりこれも1960年代後半のノリというわけでした。

ということで、これはジャズ者ならずとも、ロックファンにも一度は聴いていただきたい名盤です。冒頭の思わせぶりな詩の朗読、ラストの音の断片というトータル性を持ったアルバム製作の方針は、当時のジャズでは珍しいほどロック寄りになっていると思います。

ちなにみこのアルバムは一般的には大ヒットしたというわけではありませんでしたが、ジャズ喫茶では特にB面がよく鳴っていました。

そしてCD時代になって好きな曲順で聴けるようになると、私は「A-2」を最初にセレクトし、B面4曲目まで聴いて「A-4」に戻すというワザを使って愛聴しています。つまり「2→5→6→7→8→4」というセレクトですね♪ CDを入手されている皆様は、一度お試し下さいませ。
  

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魂の歌!

2006-03-29 17:53:51 | Weblog

高校野球、白熱していますね。本日はスリリングな勝負の連続です。魂が高揚してきますね。そんな時には、これをっ!

What's Going On / Marvin Gay (Tamla)

1970年代ソウルの在り方を決定づけた名盤と言われていますが、私はただ、タイトル曲が好きでたまらないというだけの話です。

メロディの展開とか、ジャズっぽい演奏が何とも魅力です♪

ですから、私はこの曲が入っているアルバムは、ほとんど発作的にゲットしておりますが、何を隠そう、実は最初にこの曲に魅せられたのはダニー・ハイザウェイのライブ盤によってでした。

そしてたまらず、オリジナルが入っているこのアルバムを入手したわけですが、その統一感、何処を切っても「What's Going On」という金太郎飴的な作りには完全降伏でした。

歌詞の内容も英語がある程度理解出来るようになると、その意味深な言葉の選び方から、ただ闇雲に戦争や人種差別、環境破壊等々を嘆いているだけでは無いことが浮かびあがってきました。

ですから、英語圏、特にアメリカの人達は、恐らくこのアルバムを聞き流すということは出来ないのではなかろうか? と思っています。

そのあたりは日本人で良かったというところでしょうが、素直にこの作品を楽しめる幸せでもあります。

う~ん、それにしてもマービン・ゲイのボーカルは凄い表現力です! その人生は浮き沈みの連続で、早世してしまったわけですが、生きていたら今頃、どんな音楽をやっていたか、個人的にはそれが一番気になるミュージシャンでもあります。

今日は、各曲についてあれこれ書きません。ただ、聴くのみ! 素晴らしい音楽を文章にする虚しさを感じています。

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ファンキー '70s♪

2006-03-28 17:43:40 | Weblog

ここ何日かビートルズや1970年代ロマンポルノに浸りきっているので、車の中でもこんなのを聴いています――

Moonglow / 山下達郎 (air)

今や大御所の山下達郎も、そのデビュー当時は全く冴えが無いというか、極一部のファンしか持たないマイナーな存在でした。なにせ音楽評論家の先生方からして好意的では無かったと思います。それは山下達郎があまりにも過去の音楽、つまりオールディズに拘泥し、且つまた所謂ブラコン嗜好が強いという、1970年代邦楽界の処理能力を越えていたからでしょう。

もちろんデビュー当時の自分のバンドだったシュガーベイブは惨めに沈没し、ソロになってもすぐには芽が出ませんでした。実は私は、シュガーベイブのライブは2回見ていますが、はっきり言うと面白くありませんでしたね……。

ところがジワジワと人気が上昇したのが1979年頃で、それはライブが良い! という評判がきっかけでした。

ちなみにその頃の山下達郎の活動は学園祭とかライブハウスが中心でしたが、かなり腕利きのメンバー、例えば坂本龍一(key)、ポンタ村上(ds) 等々がバックに入っていて、実際、私も何度かライブに接していますが、それはシュガーベイブ時代とは一転、満足度の高いものでした。

で、このアルバムは、そんな時期に出されたものです。しかも収められた楽曲が、見事にライブで演奏されるようなものばかりということで、つまり実際のステージを想定して製作されたのでは無いか? と私は思っています。そして、もしそうだとすれば、実はそういう態度は現役のミュージシャンにとっては必要不可欠なもので、ライブが出来ない演奏家は、少なくとも音楽魂がどこか欠如している証だと、私は独断と偏見で決め付けます。

肝心の内容は、まず曲作りのパートナーとしてメインの作詞が吉田美奈子♪ さらに演奏メンバーが椎名和夫(g)、難波弘之(key)、田中章弘(b)、上原裕(ds)、斉藤ノブ(per) を中核に、コーラスはもちろん吉田美奈子♪ さらに曲によっては細野晴臣(b)、高橋幸宏(ds) 等々、書ききれないほどの豪華なメンツが参加しています。もちろんホーン&ストリング隊も充実しています。

A-1 夜の翼
 山下達郎が十八番の独りアカペラが見事です。本人がこのアルバムで唯一作詞した歌詞は、けっこう、せつないですよね♪

A-2 永遠のFull Moon
 前曲の流れを見事に受け継いで、すんなりと始まる大ポップ曲ですが、こんな曲想を歌いこなすセンスは、当時の日本では山下達郎しか存在しませんでした。その根底には当時ブームだったマイアミ・サウンドが流れています。それにしてもメインよりも目立つ吉田美奈子のコーラスが最高です♪

A-3 Rainy Walk
 おぉ、カーティス・メイフィールドっ! これが山下達郎流儀のリスペクトなんですねっ♪ ちなみにベースとドラムスは細野晴臣と高橋幸宏というYMO組! 素晴らしいですよ!

A-4 Storm
 これも完全にシカゴ・ソウルを意識したスロー曲ですが、憎めないですねぇ、山下達郎が歌うと♪ 個人的には黒人物ではシカゴ系が好きなんで、元ネタは簡単にバレバレになっているんですが、それにしてもこの演奏の上手さ、曲の錬度は極限までいっていると感じます。

A-5 Funky Flushin'
 今や山下達郎と言えば、この曲が出ないと暴動! という定番の和製ブラコンです。とにかくこのリズム・パターンは、この後の山下達郎の十八番になっているほどですし、ファルセットを上手く活かした歌い回しも最高です。
 また、ここでもメインより目立つ吉田美奈子のコーラスが最高にグルーヴしていますねっ♪ 椎名和夫のギターも完成度が高い泣きですし、中盤のラテン・パーカッションから吉田美奈子の黒いボーカルとビートの饗宴あたりは、山下達郎本人が完全に埋没していて、カウントを入れる掛声も虚しいという素晴らしいノリに、当時の私は完全に悶絶したものです♪ 歌詞も最高♪
 ちなみにこの出来に山下達郎本人は満足していなかったそうで、後に再録してベスト盤に収録しているのですが、このバージョンの素晴らしさだって不滅です。

B-1 Hot Shot
 限りなくアイズリー・ブラザースに近い和製ブラコンですが、これは山下達郎しか出来ないワザでしょうね♪ シンプルな編成のバック演奏がロックの真髄を表現していますし、リズム・バターンは後々まで多用される山下印の完全オリジナル! 椎名和夫のギターも秀逸です。

B-2 Touch Me Lighty
 一転してメローな雰囲気、歌詞は英語ですから、山下達郎はお得意のファルセットを存分に活かして、心の底から丁寧に歌っています。分厚い独りコーラスも素敵です。

B-3 Sunshine - 愛の金色-
 これも1970年代R&Bの味が強いですねぇ♪ アルバムの中では完成度がイマイチという雰囲気ですが、メロディが何となく歌謡フォークしていて憎めません。

B-4 Yellow Cab
 へヴィ・ファンクに挑戦したんでしょうか、当時のステージでは山下達郎がドラムスを担当、時には吉田美奈子をメインにして演じており、私は好きでしたねぇ♪ 全くコマーシャルではない、こういう曲を出してしまうあたりが山下達郎ならではです。

B-5 愛を描いて - Let's Kess The Sun -
 これも山下達郎スタンダーズのひとつで、聴くたびに妙な感動を覚える私は、青いです……。当時のステージでは後半にセットされていたので、山下達郎は声が苦しくなって、半ばヤケクソで歌っていることが度々でした♪ もちろんそこでは吉田美奈子以下の女性コーラス隊が大爆発していましたが、そのあたりはこのスタジオ・バージョンでも存分にっ♪

ということで、このアルバムは私にとっては遅すぎた青春の1枚です。そして今でも、それゆえに車の中で愛聴しては、若き日のホロ苦い思い出に浸っているという……。どうかお笑い下さいませ。

ちなみに、このアルバムの最新リマスターCDは、それなりミックスが変えられているような気がしています。一番変わったのは、吉田美奈子のコーラスが少~し引っ込められたところかと……。分かるような気がしますねぇ♪

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無駄使い的情熱

2006-03-27 17:41:27 | Weblog

またまた忙しくなって、時間が経つのが早いです。気持ちも高ぶっていますし、自分の体内からエネルギーが放出されているのが感じられるほどですね。これは危ない雰囲気の前触れでしょうか……。

そんな気分で本日の1枚は、アドレナリンが噴出したこれを――

Let Freedom Ring / Jackie McLean (Blue Note)

ジャズ喫茶の人気者といえば、今も昔もジャッキー・マクリーンである! とは私が勝ってに言っていることではありますが、マクリーンほどジャズ喫茶の空気が似合うジャズメンもいないと思います。

それは何と言っても、あのギスギスした激情の泣き節がミソで、常に小細工の無い無鉄砲なフレーズで勝負しているところに、私は共感を覚えます。実際、ジャズ喫茶で妙に迎合したような人気盤が続けて鳴った後に、マクリーンのリーダー盤がかかったりすると、その場の雰囲気がシャキッとディープにジャズ寄りになるという体験を、私は何度もしています。

またマクリーンの演奏からは、どういう理由か、常に「青春の情熱」みたいなものを感じてしまいます。

で、このアルバムはそんなマクリーンが自分の持ち味である「青春」をキーワードに、ハードバップを超越した新しいスタイルに挑戦した1枚ですが、にも拘らず、極北的なハードバップになってしまった作品です。

メンバーはジャッキー・マクリーン(as)、ウォルター・デイビス(p)、ハービー・ルイス(b)、ビリー・ヒギンズ(ds) というワンホーン編成で、録音は1962年3月19日とされています。その内容は――

A-1 Melody For Melonae
 まずピアノのオドロオドロしたイントロが、怪獣映画の音楽のような重い情念を漂わせており、まずここで惹き込まれます。そして今しも怪獣が現れそうな雰囲気から、せつなくも不気味なテーマが奏され、一転、アドリブパートではアップテンポで、これぞマクリーンという激情のアルトサックスが満喫出来ます。
 しかもその中にはキェーッというヒステリックな叫び、コマ切れなビートを増幅させたようなフレーズも飛び出して、このあたりは当時のアルトサックスでは最先端だったオーネット・コールマンに果敢に挑戦したところでしょう。
 ちなみにドラムスのビリー・ヒギンズはオーネットのバンド出身で、ここでも烈しく、細かく敲きまくりの得意技で押し通していますが、それもマクリーンの思惑どおりといったところでしょうか。とにかく快演です。
 その演奏志向は、正統派ビバップスタイルがウリだったウォルター・デイビスのピアノにも及び、ここではモードを取り入れたソロに終始しています。ただしそれが上手くいっているか、否かは聴き手の好みによるところです。

A-2 I'll Keep Loving You
 天才ピアニストのバド・パウエルが作曲した哀切のスロー・ナンバーですので、ここでも定石どおり、ウォルター・デイビスがテーマを変奏した無伴奏のイントロをつけています。もちろんマクリーンもせつなさ全開の音色と節回しでテーマを奏でてくれるので、ここでかなり満足してしまうのですが、アドリブパートではさらに泣きのフレーズの大盤振る舞い! クライマックスでのキェーッという叫びも嫌味になっていません。リズム隊の劇的なバックアップも素晴らしいかぎりです。

B-1 Rene
 マクリーンが息子のルネのために演奏したブルースです。思わせぶりな前奏から快適なテンポのテーマ、そしてアドリブパートでの自由奔放な展開が痛快です。ちなみに「A-1」は愛娘メロネーのための曲でした。
 で、ここでもビリー・ヒギンズが徹底して隙間を埋めようかという、それは怖ろしいほどに敲いています。またウォルター・デイビスの合の手も気持ち良く、マクリーンはますます快調に吹きまくるのです。
 ただし全体の纏まりは最悪に近いというか、聴いているうちに、何となく時間潰しのような雰囲気になるのが正直なところです。しかしこれもジャズの魅力で、タバコの煙と珈琲の香りで満たされた暗いジャズ喫茶の空間には、これが本当に合うのでした。

B-2 Omega
 イントロからハービー・ルイスのペースを中心したリズム隊の弾けっぷりが印象的なアップテンポのモード曲です。とにかくリズム隊のノリが強烈な凄みに満ちておりますから、マクリーンも思いっきり泣き叫ぶことが出来た演奏です。

ということで、これは所謂新主流派に属する演奏だと決め付けたいのですが、その底流には間違いなくハードバップの心意気が存在しています。それは奔放にフリーであろうとすればするほど、ビバップに捕らわれていくマクリーンの姿そのもので、烈しくアウトしたフレーズの後に出てくるマクリーン節に安心感の極みを見出してしまう聴き手の我侭がそうさせるのか、あるいはそれを無意識に演じてしまうマクリーンの無邪気さか、あるいは全ては算盤尽くだったのか……。

そのあたりを論ずる前に、とにかく聴くしかない気持ちにさせられるのが、このアルバムの存在意義かもしれません。とにかく心底、ジャズを聴いている気分にさせられる1枚です。

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深紫!

2006-03-26 18:27:32 | Weblog

大相撲、今場所は久々に面白かったです。かなり劇的な盛り上がりというか、モンゴル勢ばかりが目だった中で、大好きな北桜が健闘し、また日本人力士もそれなりに存在感を見せましたからね♪ なんとなく今年のスポーツは「劇的」がキーワードかもしれません。

ということで、本日の1枚は――

Burn / Deep Purple (Warner Bros.)

若い頃の私には、所謂ひとつの野望がありました。それは完璧な音響システムを誇るジャズ喫茶のオーディオで、ハードロックのアルバムを聴いてみたいということです。そしてそれならば、この作品などは、その最右翼の1枚です。

ディープパープルにとっては、通称第3期にあたる最初の作品で、メンバーはジョン・ロード(key)、リッチー・ブラックモア(g)、イアン・ペイス(ds) という不動の3人に加えて、ディビッド・カヴァデール(vo) とグレン・ヒューズ(b,vo) が新加入しています。そしてこの2人がバンドに持ち込んだ新しい血が、このアルバムを傑作にした大きな要因だと思います。

それは当時のハードロックでは珍しかったツイン・ボーカル体制によるハーモニーやファンキー志向の歌い方でした。

例えばこのアルバムでは「You Fool No One」におけるリッチー・ブラックモアのファンキーなギターワークとかイアン・ペイスのラテン・フュージョン風のビートの刻み方は、最高にカッコ良く、新鮮でした。もちろんボーカルの2人によるハーモニーも新鮮な感覚です。

また冒頭の「Burn / 紫の炎」における2人のボーカリストの絶妙なバランスも興奮度が高いものです。しかもクラシックを取り入れた曲の展開、ギターやオルガンのお約束のフレーズとキメも、素晴らしい完成度があります。

そして、何より凄いのは、バンド全体の突進力と繊細な表現のバランスの良さです。それは当時、ハードロックの王者に君臨していたディープパープル全盛期の証明だと思います。

実際、このアルバムの影響力は強く、「BURN」というメタル系の雑誌まであったほどですし、私はタイトル曲をラジオで聴いて、すぐにこの作品を買ったほどです。

ということで、私がディープパープルを好きだと言うと、リアルタイムから今日まで、かなり顰蹙ですが、曲げるつもりはありません。そしてこのアルバムをジャズ喫茶のオーディオでという野望も、夢として持ち続けたいと思います。

ちなみに、何と紙ジャケット仕様で復刻中♪

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青春名画座

2006-03-25 18:55:56 | Weblog

ということで、復刻ロマンポルノDVDから「恋人たちは濡れた」と「濡れた荒野を走れ」を、本日は鑑賞しました。

う~ん、青春時代を思い出しましたねぇ。

前者の暗黙の了解的なエロスは、現代で通用するのでしょうか?

また後者は基本的にアクション物ですが、往年の日活系の色合が強くて楽しめます。

このあたりも、近々、「サイケおやじ館」で取上げたいと思いますが、そんな事情で本日は何一つ、CDを聴いていませんでした。しかもこれから、宴会に出るので、ここまででご容赦願います。

 

 

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何故だ?

2006-03-24 19:44:46 | Weblog
うむむっ、今日もアップできん……。

やはり容量の問題か? 少し様子を見るということで、本日の1枚をお休みです。

ところで、復刻ロマンポルノのリマスターが、なかなか良好です♪
明日の休みには集中鑑賞する予定です。
往年の名画座巡りを思い出しますねぇ♪
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嵐を呼ぶ男!

2006-03-23 18:23:05 | Weblog

日本が世界一という大団円の余韻が冷めらぬので、本日は対決物、嵐を呼ぶ男の1枚を――

Together ! / Philly Joe Jones & Elvin Jones (Atlantic)

久々にバトル物ということであれば、もちろんドラム合戦しかありません。しかもここで対決するのが、フィリー・ジョーとエルビンの両ジョーンズですから、ジャズ者にとっては、名前だけで辛抱たまらん状態です。

皆様、良くご存知のとおり、フィリー・ジョー・ジョーンズは1950年代半ばのマイルス・デイビスのバンドではリズムの要として大活躍♪ その快適なクッションは、グッドオールド・エモーションがたっぷりでした。

一方、エルビン・ジョーンズは、1960年代のジョン・コルトレーンのバンドで強烈なポリリズムを敲き出していた豪の者! 全身から発散される黒い呪術的なビートは、ジャズ・ドラムスでは唯一無二の完成形となっています。

ですからこの2人の対決にはある意味で新旧対決、またある意味ではジャズはリズムとビートの音楽だっ! という証明を確立する戦いであります。

といっても、ここでは単なるドラム合戦に終始するわけではなく、なかなか楽しいハードバップ作品でもあります。メンバーはブルー・ミッチェル(tp)、カーティス・フラー(tb)、ハンク・モブレー(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b) というオールスターズに、フィリー・ジョーとエルビンのドラムスがついている豪華版です。録音は1961年2月2日ですが、発売は1964年のことでした。その内容は――

A-1 Le Roi
 何となく東映か日活のアクション映画に使われそうなテーマが豪快に演奏される、その瞬間だけでワクワクしてきます。もちろんバックのリズムでは2人の大物ドラマーがそれぞれの4ビートを敲いていますし、サビでワルツ調が入るあたりもスリルがあります。
 アドリブパートはハンク・モブレー、カーティス・フラー、ウィントン・ケリーが快調に務め上げ、いよいよドラム合戦♪ 左チャンネルがエルビン、右チャンネルがフィリー・ジョーですが、短いのが良いのか悪いのか賛否両論でしょう。個人的にはその部分よりも、バックのリズムやビートの刻み方を聴いて楽しんでいます。

A-2 Beau-Ty
 巧みなドラムスの導かれ、ラテン調から正統派4ビートまで入った魅惑のテーマが奏でなれ、アドリブパートの先発はカーティス・フラーが本領発揮、大らかに吹きまくります。続くブルー・ミッチェルも、やや線の細い音色にぴったりの歌心を聴かせ、お待ちかね、ハンク・モブレーが絶好調のバカノリ大会です♪
 そしていよいよドラム合戦に突入! 真ん中から右チャンネルがフィリー・ジョー、その逆に左チャンネルがエルビンです。もちろんここは「嵐を呼ぶ男」状態! これもジャズならではの楽しみになっています。

B-1 Brown Sugra
 重たいビートが魅力のゴスペル・ハードバップです。それを導くのはフィリー・ジョーですが、エルビンの控えめなサポートも好印象です。
 で、アドリブパートの先発はハンク・モブレーが絶好調に吹きまくりですから、私は、もうここで悶絶しています。さらにカーティス・フラーがお馴染みの、そよ風の中で吹いているようなフラー節を全開させていますし、ブルー・ミッチェルは十八番の分かりやすいフレーズの連発して和みを生み出しています。
 リズム隊のグルーヴも当然、最高で、ウィントン・ケリーの弾みまくりピアノ、ブリブリとスイングするポール・チェンバースはソロにバッキングに、間然することがありません。
 そしてここでのドラム合戦は、A面同様に右がフィリー・ジョー、左がエルビンという布陣ながら、ゴッタ煮のように入り乱れた白熱的なノリがあって、思わず息がつまり、手に汗握る瞬間が頻発します。う~ん、こんな演奏を生で体験出来たら、至福の極みでしょうねぇ♪

ということで、これはドラム・ソロが長くて退屈という御意見もございましょうが、やはりジャズの魅力のひとつをきちんと記録した名盤だと思います。個人的には大好きなハンク・モブレーが好調なので、もちろんモブレーの棚に入れていますが、それ故にハードバッブの魅力も存分に楽しめる作品だと思います。

ちなみにこのアルバムは現在廃盤らしいですが、実はフィリー・ジョー・ジョーンズの忘れられた名盤「Philly Joe's Beat」と 2in1 形式で復刻中ですので、ジャケ写からネタ元でご確認願います。

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大陰謀か!?

2006-03-22 18:51:16 | Weblog

昨日のWBCの熱気の余韻か、今日は大相撲で物凄い気迫の勝負を2つ、観ました。

まず魁皇vs栃東、ギリギリに追い込まれているベテランの気迫が、控えにいる時からブラウン管越しに伝わってきました。そして立合いから一気に自分の型に持っていった魁皇の寄り、こらえる栃東も必死でしたが、綺麗に相撲のお手本を見せてくれました。

そして結びの一番、朝青龍vs白鳳も、とても綺麗な立合いからジッと力の入った組合が、まず見事でしたね。その後の勝負も一瞬のパワーが集中されたような、良い決まりかただったと思います。

結局、スポーツって気合なのか? 勝負は気力なのか? そんなことを昨日、今日と考えています。

ということで、本日の1枚は――

The Rolling Stones Singles Collection (Abkco)

1枚と言うよりは、3枚組が正解のCDボックスで、ストーズのデビューから1971年頃までのシングル盤AB面を年代順に集めたものです。その最初の発売は1989年でしたが、内容が完全にシングル・バージョン・オンリーではなかったので、マニアの欲求は満たされませんでした。

それが今回の紙ジャケット復刻で、再登場したのだ、今度こそ♪ と聴いてみると、これがまたしても不思議な処理……。

まず「Tell Me」がシングル編集バージョンから、普通のフェイドアウト・バージョンに差し替えられていました。ギョエッとなって、今回の紙ジャケ復刻盤収録の同曲を聴き比べてみたら、オリジナル・シングル・バージョンが消失、どこにも入っていない!

ですから、1989年の旧盤CDを手放してはなりません!

ただし「Street Fightingman」はきちんとオリジナルどおりのシングル・バージョンになっていましたので、拍手、拍手♪

他にも旧盤との差し替え、ミックス違い等々が多々、散見されますので、繰り返しますが、1989年の旧盤CDを手放してはなりません! 結局、マニアは両方買わされてしまうという大陰謀なんでしょうか……。

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