OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

大晦日に大コケ

2006-12-31 18:11:27 | Weblog

大掃除!

オーディ周辺も何年かぶりに大掃除していたら、スピーカーから音が出なくなりました。

何故だっ!? 別に変なことはしていないはずですが……。

テスター出してケーブルやアンプを点検したり、CDプレイヤーのピックアップを清掃したり、手を尽くしても鳴らないのは、これ如何に!?

どうやらアンプがイカレたような……。

一応、赴任地にレギュラーのオーディオを移転させたんで、実家では古いやつを使っていましたが、年の瀬のドタンバで、こういうアクシデントは気分がよろしくないですねぇ。

ということで、本日の1枚はお休みしますが、思えば今年も良い復刻が沢山ありました。

ボストンの紙ジャケット復刻はリマスターが驚異的に良かったですし、紙ジャケットといえば、サンタナの「ロータスの伝説」完全復刻とか♪

DVDでは「野良猫ロック」や「ロマンポルノ」等、日活系が良い仕事でした。

その他にも取上げたいブツが、いっぱいあるんですが、実は買ってから封を切っていないものが多いという、散財モードの罪悪感に苛まれているのが実状です。楽しむ時間が無いのと、入手しただけで安心してしまうという、申し訳なさでいっぱいなのです……。

来年こそは、それらを楽しむ事優先で、ゲットしていきたいです。

ということで、本年も戯言と言い訳、独り善がり、独断と偏見のプログでしたが、皆様には、あらためて感謝申し上げます。

来る年も、よろしくお願い致します。

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カッコイイ、モーガン♪

2006-12-30 18:55:50 | Weblog

さてさて、年末は何かと特別な忙しさに追いまくられて、落ち着きません。

各方面への挨拶回りとか買物、人ごみが鬱陶しいのは何時ものことですが、それでもちょっとは、自分のブツの整理とかも出来ました。

そこで、ながら聴きしていたのが――

Here's Lee Morgan (Vee Jay)

ジャズメンはカッコイイ!

特に黒人は、何時の時代もカッコイイ!

音楽センスもそうですが、ファッションセンスも最高です。

そしてこのアルバムは、その両方が存分に楽しめる名盤です!

まずジャケットは、スーツでビシッとキメたリー・モーガンが素晴らしくカッコイイです。

もちろん演奏内容も最高で、録音は1960年2月8日、メンバーはリー・モーガン(tp)、クリフ・ジョーダン(ts)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ブレイキー(ds) という、震えが来るほどの売れっ子ばかりです――

A-1 Terrible“T”
 リズム隊3人が各々別のリズムパターンを出すイントロから、エキゾチックなテーマメロディの合奏! ここがまず魅力的です。
 そして初っ端から鋭いフレーズとノリでアドリブパートに突入していくリー・モーガンの痛快なトランペット! 背後で煽るアート・ブレイキーの呆れ顔が目に浮かびますねぇ~♪
 続くクリフ・ジョーダンも硬質なアプローチで容赦無い雰囲気ですし、なによりもリズム隊が素晴らしすぎます! 粘りに粘った挙句に飛び跳ねるウイントン・ケリーは言うにおよばす、どっしり構えてグルーヴィなポール・チェンバース、大技・小技を織り交ぜて、実はシブイというアート・ブレイキーは、当に名人芸です。

A-2 Mogie
 1曲目に続いて、これもリー・モーガンのオリジナルというファンキー節が楽しいテーマメロディは、単なるアドリブの素材を超えた存在感があります。
 もちろん即興演奏の醍醐味も満点で、烈しいビートに煽られて燃え上がるリー・モーガンが、やはり最高! クリフ・ジョーダンも烈しく突っ込んで、行く先はもちろんアドリブ地獄という覚悟が見事だと思います。
 ウイントン・ケリーも十八番のフレーズと躍動感を披露していますが、実は背後でグルーヴするポール・チェンバースの凄さに、耳を奪われてしまうのでした。もちろんピチカートのソロも強烈です。
 演奏はこの後、リー・モーガンとアート・ブレイキーが炎のソロ交換! 熱くなります。

A-3 I'm A Fool To Want You
 泣きがたっぷりの人気スタンダード曲を、リー・モーガンはミュートトランペットで期待どおりに吹いてくれますから、もう、たまりません。
 またテーマ部分のサビでは、クリフ・ジョーダンも良い味出しまくりですし、上手く絡んでくるリー・モーガンとウイントン・ケリーも流石♪
 ちなみにリー・モーガンのミュートは、マイルス・デイビスとは完全に違う世界を構築しているのも凄いところで、しかも負けず劣らずに泣いているんですから、大したもんだと思います。
 そしてスローな展開をダレさせないアート・ブレイキーのブラシとポール・チェンバースの絶妙なバッキングも、地味ながら凄みが感じられるのでした。

B-1 Running Brook
 盟友ウェイン・ショーター(ts) が書いたモード系の曲を、リー・モーガンは最上級のハードパップに変換させていきます♪ それはもちろんメンバー全員の力量がそうさせているわけで、まずはクリフ・ジョーダンが、かなりツッコミの烈しいアドリブを聴かせてくれます。
 そしてリー・モーガンは言わずもがなのファンキー節に加えて、スタッカート多用のリズミックなノリ、あるいは新しめのミステリアスなフレーズまでも混ぜながら、激烈な吹奏です。
 さらにウイントン・ケリー以下のリズム隊も強烈な存在感! リラックスしていながら緊張感も満点という、凄い演奏です。

B-2 Off Spring
 これがまた、楽しくもリズミックなテーマから、グイノリのハードバップになるという、まさにモダンジャズ全盛期の輝きに満ちた名演です。
 特にウイントン・ケリーはイントロから伴奏、自分のソロパートまで素晴らしい出来なんですが、思えば当時は、こんな演奏なんて日常茶飯事という充実期だったわけですから、怖ろしい限りでもあります。
 肝心のリー・モーガン、そしてクリフ・ジョーダンも、それぞれに大ハッスルのアドリブを披露していますが、絶妙の軽さもあったりして、和みます♪

B-3 Bess
 オーラスは、これも軽妙なノリが魅力というリー・モーガンのオリジナル曲で、ハードバップというよりも楽しいモダンジャズですねっ♪
 まずリー・モーガンがミュートで十八番のフレーズを積み重ねてアドリブしていくところが、お約束と言えばミもフタもありませんが、こんなに軽々と即興演奏が出来るなんて、やっぱり天才だと思います。
 またクリフ・ジョーダンもライト感覚というか、肩の力が抜けた雰囲気で吹いてくれるサブトーンも素敵です。
 それと全篇でアート・ブレイキーのブラシが、もう最高にシブイです♪ もちろんウイントン・ケリーも強烈なスイング感で迫っています。

ということで、これは軽さも魅力という秀作です。

そのポイントはリズム隊の名人芸なんですが、実はこのセッションの前日には、ハンク・モブレーの大名盤「ソウル・ステーション(Blue Note)」でバックを務めているんですねぇ~! 良い時代でした♪

最初に書いたように、本日はBGMっぽく聞きましたが、ジャズ喫茶で聴くと、また別の感動と楽しさに包まれるのは、言わずもがなです。

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そっと歌われたブル~ス

2006-12-29 18:10:56 | Weblog

久々に実家に戻りました。

うむ、やっぱり新車のドライブは楽しいなっ♪

途中、雪がだいぶあったところもありましたが、全体的に昨年よりも暖冬ですね。まあ、今日はかなりの荒れ模様でしたが、冬らしくないと、正月気分もありません。

ということで、本日の1枚は――

Sing Me Softly Of The Blues / Art Farmer (Atlantic)

アート・ファーマーは詩情溢れる演奏が十八番なので、穏健派と思われがちですが、実は第一線に登場して以来、ハードバップ~ファンキー~3管編成モード~ジャズロック~ボサノバ~擬似フリー、そしてフュージョン~ハードバップリバイバルまで、常に時代の先端で活動して、バリバリのトップでした。

このアルバムは、そんなアート・ファーマーが有能な若手リズム隊を得て、過激に、そして優雅に己のジャズ魂を吐露した名作だと思います。

録音は1965年3月という、ジャズが最も過激に燃え上がっていた時期のニューヨークで、メンバーはアート・ファーマー(flh)、ステイーブ・キューン(p)、スティーブ・スワロー(b)、ピート・ラロッカ(ds) という、今もって超えられない最高のワンホーン・セッションです――

A-1 Sing Me Softly Of The Blues / ブルースをそっと歌って (1965年3月16日録音)
 ジャズ界の過激な美女=カーラ・ブレイが書いた名曲の中の大名曲で、タイトルどおり、不思議なブルース・フィーリングがたまりません。そして何よりも、誰がつけたか、そのものスバリの邦題が素敵ですねっ♪
 肝心の演奏はスローで重たいビートの中を、アート・ファーマーがフリューゲルホーンで丁寧にテーマを提示し、新感覚のブルースを追求していきます。
 バックのリズム隊も3者が各々、隙間を埋めていくような絡みが新鮮で緊張感に溢れ、徐々にビートを確立させていきつつ、アート・ファーマーのアドリブをリードしていくかのような素晴らしさです。
 それはリズム隊だけのパートになって、一層鮮やかとなり、静謐な空間の中で展開されるインタープレイは、ビル・エバンス・トリオも顔色無しの緻密さで起承転結を作り出すという、当に新時代のジャズを聴かせてくれるのでした。

A-2 Ad Infinitum (1965年3月16日録音)
 これもカーラ・ブレイが書いた激情の名曲ですから、ここでの演奏も過激なベクトルを持って、無手勝流に盛り上がっていきます。
 その原動力は、ここでも凄いリズム隊の暴れで、もちろんアート・ファーマーも力演ですが、まずはブッ飛びのフリーなソロを展開するスティーブ・キューンのピアノが、物凄い炸裂ぶりです。
 また背後ではピート・ラロッカがヤケクソ気味のブッ敲きで痛快ですし、スティーブ・スワローの達観した蠢きも迫力があります。
 そしてアート・ファーマーの思慮深い吹奏が、これまた絶妙なコントラストで、流石だと思います。

A-3 Petite Belle (1965年3月30日録音)
 一転して和みのボサノバで、アート・ファーマーの優しい泣きが、もう最高です♪
 あぁ、この愁いに満ちたアドリブ・フレーズは、とても即興とは思えません♪ フリューゲルホーンのソフトな音色を活かしきった吹奏は名人芸です。
 さらにスティーブ・キューンも、ここでは過激な姿勢を押さえて歌心優先の実力を存分に聴かせています。

B-1 Tears (1965年3月16日録音)
 B面に入っては、またまた過激な姿勢で突進するバンドの勢いが、たっぷりと楽しめます。
 曲はピート・ラロッカのオリジナルですが、アート・ファーマーはそのキモをしっかり掴んで猛進し、若手リズム隊の過激な煽りに負けていません。
 するとスティーブ・キューンは、これならどうだっ! と大暴れし、特に3分目あたりからの暴発、続くピート・ラロッカの自爆的ドラムソロが強烈です。
 ただし最後には、冷静にテーマメロディを吹奏するアート・ファーマーの貫禄に負けてしまうんですけど、そこがまた、憎めないところです♪

B-2 I Waited For You (1965年3月16日録音)
 このアルバムでは唯一のスタンダード曲で、穏やかなテンポで始まりますが、徐々にビートを強めていくリズム隊の緻密な絡みと煽りには、完全降伏です。
 実はこの3人は、翌年にスティーヴ・キューンをリーダーとして「スリー・ウェイブス(Contact)」という傑作アルバムを吹き込んでいますが、既にここでは、ビル・エバンス・トリオとは似て非なる、完成された新しいスタイルを聴かせています。
 そしてアート・ファーマー♪ やっぱり凄いですねぇ~♪
 過激なリズム隊を存分に遊ばせておいて後、完璧な歌心でアドリブを紡ぎだしています。

B-3 One For Majid (1965年3月30日録音)
 オーラスはちょっと変則的なブルースで、クールな情感に溢れたハードバップになっています。そして初っ端から背後で正統派ウォーキングベースに専念するスティーヴ・スワローが、なかなか良いですねぇ♪ もちろんアドリブソロも流石です。
 肝心のアート・ファーマーは手馴れたフレーズから新しい感覚まで、満遍なく吹きまくりながらも、ツボを外していませんから、和みます。

ということで、アナログ盤AB面の構成、曲の流れも素晴らしい名盤だと思います。雰囲気のあるジャケットデザインも、良いですねぇ~♪

しかもこれが、現在、我国だけの紙ジャケット仕様でCD復刻されており、リマスターも、かなり良好です。

思えばこれも、ジャズ喫茶の名盤です。なにせ内容が過激で、しかも和みもあるという充実度ですから♪ 文句無しにアート・ファーマーの代表作ですが、実は何よりもリズム隊を聴いているだけで満足というのが、私の本音です。しかしこの蜜月セッションは、これだけしかありません。それ故に、なおさら愛着の1枚なのでした。

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地獄で仏のマイルス・デイビス

2006-12-28 18:13:55 | Weblog

さて、本当に今年も終りに近づきましたが、雪国で生活していながら、今年は雪が無いので、年末という雰囲気がありません。

昨年の今頃は、家の2階まで雪に埋もれていましたからねぇ……。

ということで、今日も宴会がありますが、私のノリはイマイチです。そこで、これを聴いて馬力をつけましょう――

Dark Magus / Miles Davis (Sony)

マイルス・デイビスが最も過激に突進していた時代のライブ盤です。

確か最初は日本だけで1977年頃に発売されていたブツでした。そしてブッ通しのライブ音源を2枚のアナログ盤LPに収めるために4パートに分断し、それぞれに勝手なタイトルが付けられていますが、CD時代になると、さらに細かく編集が入っているようです。

録音は1974年5月30日、カーネギーホールでの実況録音で、メンバーはマイルス・デイビス(tp,key)、デイブ・リープマン(ss,ts,fl)、レジー・ルーカス(g)、ピート・コージ(g)、マイケル・ヘンダーソン(el-b)、アル・フォスター(ds)、ムトゥーメ(per) という当時のレギュラーに加えて、この日はエイゾー・ローレンス(ts) とドミニク・ガーモント(g) がゲスト参加というのが、ウリになっています――

A-1 Dark Magus - MOJA
 当時のマイルス・バンドではお約束の、ドカドカうるさいビートがたっぷり! いきなりビシバシと始まる爆裂演奏は、前年の日本公演から、さらにスピード感がアップしたノリが強烈です。
 もちろんマイルス・デイビスのトランペットには電気のエフェクトがついていて、ワウワウとかリミッターの裏ワザが使われていますし、おそらく右チャンネルがレジー・ルーカス、左チャンネルがピート・コージという2本のギター、隙間を埋め尽くすムトゥーメのパーカッションが、混濁のジャズファンクを生み出していて、もう最高です♪
 またマイルス・デイビスの背後で執拗に絡んでくるデイブ・リーブマンとエイゾー・ローレンスのサックス2人組も侮れません。
 そして続くパートではピート・コージの宇宙空間を切り裂くようなサイケでファンクなギターソロが怖ろしい限りです。
 リズムパターンが少し変化した後半では、マイルス・デイビスが保守的な一面を聴かせてくれますが、リズム隊の恐さに変わり無し! 車の中で流していると、異次元へ飛ばされそうになります。

B-1 Dark Magus - WILI
 これも暗闇地獄というか、ヘヴィファンクの嵐に包まれるスタートから、マイルス・デイビスの過激なオルガンが印象的! 対峙するパーカッションも三途の川の響きです。
 そして思わせぶりなラップ風のトランペットが鳴り出せば、あたりは刹那のファンクロックに満たされていくのですが、右チャンネルから聞こえるレジー・ルーカスのワウワウで蠢くリフがプログレしています。
 さらに中盤からはピート・コージの激ヤバのギターが炸裂し、アル・フォスターも大暴れ! マイルス・デイビスのオルガンは宇宙からメッセージという、ほとんど有り得ない熾烈な演奏になっています。
 またデイブ・リーブマンのモード全開サックスが、妙に安心感を引き立たせるあたりも、計算づくなんでしょうねぇ♪ 最高です!
 で、後半は一転してムード歌謡の世界が出たり、ハードボイルドなファンクになったり、静寂と混濁が下世話な宇宙で煮詰められていく展開で、非常に疲れてしまうのですが、主役のテナーサックスは、おそらくエイゾー・ローレンスでしょう。
 なんか松田優作の映画サントラみたいな雰囲気もありますねぇ~♪ 終盤で聴かれる2本のギターの絡みが、強烈至極ですよ♪ マイルス・デイビスも泣いています。

C-1 Dark Magus - TATU
 ここからが、もうひとりのゲストであるドミニク・ガーモントが参加した演奏で、いきなり3人のギタリストが炎の共演です。
 まずレジー・ルーカスが右チャンネルで変態リズムギターのようなソロを聴かせれば、背後ではマイケル・ヘンダーソンのベースが暗く蠢きます。
 そして続くディストーションたっぷりのギターが、ドミニク・ガーモントでしょう。これがジミヘン敬愛丸出しで、憎めません。ちなみに、この人は黒人ですが、フランス在住の18歳! 当時のジャズ雑誌にもグラビアで紹介されていたんですが、すぐにフェードアウトしています。イジメでもあったんでしょうか……、非常に勿体無い人材だと思いますねぇ……。
 で、このドミニク・ガーモントに絡みつくピート・コージのギターが、左チャンネルから聞こえるという全く怖ろしい空間が、たまらなくファンキーです。もちろんブレイクでもロックギターのリックを全開させる若造に対し、おやじ系のサックス2人組、さらにマイルス・デイビスまでもがジャズ本来のスジの通し方を教えつつ、演奏は果てしなく盛り上がっていくのでした。
 車の中で流していると、事故りそうです……。危険ですよ。

D-1 Dark Magus - NNU
 最後のパートは、いきなりピート・コージの変態エフェクトギターから、フリーな空間が広がり、各々のメンツが好き勝手をやりつつ、ひとつのベクトルを求めてさすらう、つまりジャズの基本が追求されていますが、はっきり言って楽しくありません。
 それでもドミニク・ガーモントのロック丸出しのギターが出てくると、ウキウキしてくるんですから、どうしようもありませんねぇ、私は……♪ まあ、体調が良くないと聴けない演奏ではありますが……。

ということで、マイルス・デイビスが最後の絶頂期を究めていた時代の記録です。

これ以降の「アガルタ」とか「パンゲア」も、確かに素晴らしいですが、それは完成された様式美だと思います。逆に、ここで聴かれる混濁した爆発力、試行錯誤と迷走の入り混じったウルトラファンキーな演奏には、未完成ゆえのエネルギーの噴出が感じられ、凄いなぁ~! と天邪鬼な私も素直になってしまうのでした。

ちなみにこの音源には、もちろんプロデューサーのテオ・マセロが、いろいろとテープ編集やダビングを施しているはずなんですが、それが自然体に近いところも好感が持てます。

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ミルト&クインシー

2006-12-27 18:56:26 | Weblog

今年はある事情から、大好きな生牡蠣がイケナイとか、値段が安いとか、喜んでいいんだか、悪いんだか、分からない按配ですね。

しかし本日の宴会では、生牡蠣を食いまくりたい! と、密かに計画しています。

ということで、本日の1枚は――

Plenty, Plenty Soul / Milt Jackson (Atlantic)

ミトル・ジャクソンはアドリブの大名人!

これは誰しも認めるところでしょう。深みのあるヴァイブラフォンの音色も、また魅力です。

で、この人はモダンジャズ・カルテット=MJQの看板スタアでありながら、同時に自分のグループでも大活躍していたわけですが、個人的にはMJQでの演奏に愛着があります。

というのは、ご存知のように、このバンドはアレンジがガチガチに決まっているうえに、お約束は絶対に外さないという安心感がウリでしたが、その中から奔放に抜け出ようと暴れるところに、ミルト・ジャクソンの存在価値があったと思うからです。

実際、MJQの演奏が、綿密なリハーサルの結果として生み出された完成アドリブ=出来上がった存在のアドリブだとしても、瞬間芸というジャズの本質を何時も感じさせていたのは、ミルト・ジャクソンのおかげではないでしょうか?

ですから、ミルト・ジャクソンのリーダー盤では、よりアドリブの要素が濃いものもけっこうですが、個人的にはアレンジがびっしり決まったセッションが好みです。

その意味で、このアルバムはクインシー・ジョーンズが作編曲に関わった秀作で、録音は1957年1月、メンバーはAB面で異なっておりますが、ファンキー度が極めて高い演奏ばかりです。

まずA面は、ミルト・ジャクソン(vib)以下、ジョー・ニューマン(tp)、ジミー・クリーブランド(tb)、キャノンボール・アダレイ(as)、フランク・フォスター(ts)、サヒブ・シハブ(bs)、ホレス・シルバー(p)、パーシー・ヒース(b)、アート・ブレイキー(ds) という、今では夢のメンバーです♪ ちなみにキャノンボール・アダレイは契約の関係で、ロニー・ピーターズとクレジットされています――

A-1 Plenty, Plenty Soul (1957年1月5日録音)
 ミディアムテンポでグルーヴィに演奏されるファンキー曲で、ちょっとカウント・ベイシー楽団のような雰囲気が漂うのは、ご愛嬌以上の楽しさです。なにしろホレス・シルバーが音符を切詰めたベイシー・スタイルで迫れば、続くフランク・フォスターはリアルタイムで同バンドのレギュラーだった貫禄を聴かせてくれます。
 またキャノンボール・アダレイは、十八番の黒~いフィーリング♪
 さらにアート・ブレイキーのゴスペル・ドラムスが最高ですねぇ~♪
 そして、満を持して登場するミルト・ジャクソンは倍テンポで暴れ、タメのブルース感覚を撒き散らしますから、もう、その場はファンキーどっぷりです!
 おまけに後を引き継ぐジョー・ニューマンが、たまらないフレーズの連発なんですから、あぁ、これはハードバップのルーツを感じさせてくれる名演だと思います。

A-2 Bogity Bogity (1957年1月5日録音)
 アップテンポでグイグイ迫るハードバップですが、全体のアレンジがカウント・ベイシー調なのがミソというのが、楽しい限りです。
 キャノンボール・アダレイも好調ですが、やはりホレス・シルバー&アート・ブレイキーというリズム隊は流石のグルーヴを生み出しています。ただし録音の按配からベースがほとんど聞こえないのが、残念な減点です……。
 それゆえにミルト・ジャクソンの大ハッスルが、逆に物足りません……。

A-3 Heartstrings (1957年1月5日録音)
 重厚なアレンジに彩られたミルト・ジャクソンのオリジナル曲で、スローでハードボイルドなテーマメロディとアドリブは、往年の日活アクションの劇伴のようで、グッときます。
 う~ん、それにしてもミルト・ジャクソンのアドリブは完成度が高く、しかもアレンジと対峙していこうとする気概に満ちていて、本当に素敵です♪

さてB面の録音は2日後に行われ、メンバーはミルト・ジャクソン(vib)、ジョー・ニューマン(tp)、ラッキー・トンプソン(ts)、ホレス・シルバー(p)、オスカー・ペティフォード(b)、コニー・ケイ(ds) という、こちらも豪華絢爛です――

B-1 Sermonette (1957年1月7日録音)
 キャノンボール・アダレイが書いたウルトラ級のゴスペルハードバップ曲です。
 残念ながら、ここには作者が加わっていませんが、指パッチンからエッジの鋭いベース、ザラザラのドラムスがミディアムのグルーヴを生み出し、ミルト・ジャクソンが初っ端から黒~いフレーズを撒き散らしていますから、いきなり感涙悶絶は必至という素晴らしさ♪
 クインシー・ジョーンズのアレンジも許容度が高い雰囲気ですから、全篇が、これファンキーの塊のような出来だと思います。
 コニー・ケイのドラムスのメリハリも最高ですねっ!
 そしてラッキー・トンプソンのテナーサックスが、これまた良いんですよ♪ ジョー・ニューマンの忍び泣きも、OKです。

B-2 The Spirit-feel (1957年1月7日録音)
 ミルト・ジャソンが書いた軽快な曲をクインシー・ジョーンズが上手くアレンジした快演です。
 まずジョー・ニューマンが温故知新で炸裂すれば、ホレス・シルバーは我が道を行くファンキーグルーヴ! コニー・ケイが、ここでも最高です。
 そして主役のミルト・ジャクソンは最初っから余裕を感じさせつつも、バックのリフに煽られて燃え上がっていくあたりが強烈! これがジャズですねぇ♪ コニー・ケイのゴスペルドラムスも捨てがたいです!

B-3 Ignunt Oil (1957年1月7日録音)
 これもミルト・ジャクソンのオリジナルという黒いハードバップです。
 もちろんアドリブパートもファンキーなフィーリングがテンコ盛り♪ この当たり前さ加減が、たまらんですねぇ~♪ ホレス・シルバーとの相性もバッチリです。
 そしてラッキー・トンプソン! この人は我国では過小評価気味ですが、私は大好き♪ 男気があって物分りが良く、スジを通す任侠テナーサックスだと思います。

B-4 Blues At Twilight (1957年1月7日録音)
 クインシー・ジョーンズが書いた哀愁のブルースで、ほとんど映画サントラみたいですが、ミルト・ジャクソンとホレス・シルバーには似合いの世界なんでしょう、スバリ、快演です。
 特にアドリブパートでのミルト・ジャクソンのイキイキした躍動感は、独特のタメとグルーヴィなノリがドバッと出ています。
 また中盤からビートを強めていくリズム隊とジョー・ニューマンの絡み、オスカー・ペティフォードの押さえた存在感、ラッキー・トンプソンのハードボイルドな風情も素敵です。

ということで、A面はカウント・ベイシーがファンキーしたような雰囲気、B面はゴスペル味が濃厚な演奏という、一粒で二度美味しい、グリコ盤♪ ちなみにミルト・ジャソンは、この味が忘れられなかったのか、後年、本当にカウント・ベイシーのオーケストラと共演盤を作っています。

ところで、アトランティックという会社は、何故か録音がイマイチ、チープなんで、ミトル・ジャクソン独特の緩い音色のヴァイブラフォンが、このセッションではクール度を増したという、結果オーライになっていると思います。

そして現在、紙ジャケット仕様で復刻されている日本盤CDは、マスタリングの良さから、そこにエグミが付加されて、一層魅力のある仕上がりになっていますので、激オススメです。

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ジェームス、お前は最低だぜ!

2006-12-26 17:44:39 | Weblog

あぁ、ジェームス・ブラウンが、突然、天国へ旅立ってしまったです……。

ライブはアメリカで2回見ましたけど、黒人客ばっかりでした。

例のマントショウで、プリ~ズ、プリ~ズ!

としか歌わないクライマックスを20分近くやっていたのが、強烈でした。

ジェームス・ブラウン! お前は、最低だぜ!

と叫ぶ黒人客は、感涙でクシャクシャ!?

私もかなり感動してましたけど、黒人でなければ分からない部分があるんでしょう。

派手に暴れてストップタイムを連発する緊張感も凄かったです。

今頃は三途の川の人達を煽っているんでしょうか……。

謹んで、御冥福をお祈り致します。合掌。

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気抜けもジャズの内

2006-12-25 18:24:55 | Weblog

メリー・クリスマス♪

と今日は、言ってしまいます。

しかし12月が憂鬱になったのは、仕事も忙しいのですが、ジョン・レノンの殺害事件があってからですねぇ……。

ということで、本日は刹那の1枚です――

Stan Meets Chet / Stan Getz & Chet Baker (Verve)

所謂、夢の対決盤です。

スタン・ゲッツもチェット・ベイカーも歌心の天才であり、しかも白人でありながらグルーヴィなノリも得意ですから、ミーハーな私は、このアルバムの存在を知った瞬間から、聴きたくて仕方が無いブツでした。

録音は1958年2月16日のシカゴ、メンバーはチェット・ベイカー(tp)、スタン・ゲッツ(ts)、ジョディ・クリスチャン(p)、ビクター・スプロールズ(b)、マーシャル・トンプソン(ds) となっていますが、あまり馴染みの無いリズム隊は、おそらく当時のシカゴで活動していたメンツではないでしょうか? ちなみにベースのビクター・スプロールズは、後にニューヨークでも活動しています――

A-1 I'll Remember April
 モダンジャズでは定番スタンダード曲で、もちろん、ここでも最初はラテンビートで定石どおりのテーマ吹奏♪ もちろん4ビートも混在した楽しいノリです。
 ところが、そのテーマ部分からして、チェット・ベイカーが遠くで何となく吹いている感じで、スタン・ゲッツの一人舞台……。
 アドリブパートでも好調なのはスタン・ゲッツだけで、もうひとりの主役がパッとしませんから、聴いている私は完全に、なんじゃっ、これっ! という松田優作状態です。しかも途中で演奏メンバー全員が、明らかにチェット・ベイカーを気にかけている瞬間まで聞き取れます。
 で、どうにかアドリブを始めるチェット・ベイカーは、やっぱり……。
 う~ん、かなり良いメロディを吹いてくれるんですが、生気が無いというか、音色にハリが感じられません……。
 ただしスタン・ゲッツが背後から助け舟を出しまくり、リズム隊も懸命の煽りですから、ジャズ的な面白さは充分なんです! 特にピアノのジョディ・クリスチャンが時折、刺激的なオカズを入れています。
 そしてラストテーマへの最終章が、これまたダラダラと……。
 このスタン・ゲッツは完全にヤル気を失っていると思うのですが……。おそらく、もうワンテイク録るつもりとしか思えないダラケぶりなんですが、それなりに聴かせてしまうところは、やはり天才ですねぇ……。妙に感心♪

A-2 Medley
 さて、ヴァーヴ十八番のバーラドメドレーです。
 まず「Autumn In New York」を演じるのはチェット・ベイカーなんですが、初っ端からトホホ味が強すぎます……。しかし、それがシミジミした情景に繋がってしまうのは許していいんですかねぇ……。
 続く「Embarceable You」はジョディ・クリスチャンのピアノが、じっくりとテーマを膨らませていきます。この人は多分、女性でしょうか、如何にもの演奏がたまりません。本当に気分はロンリーですよ。
 そして最後の「What's New」で、スタン・ゲッツが繊細な歌心を存分に発揮♪ 名人芸の極みつきです。ちょっとウェイン・ショーターしている雰囲気もありますが、もちろんそれは、スタン・ゲッツが本家本元という、静謐な魅力なのでした。

B-1 Jor-du
 これが私的お目当ての曲で、もちろんデューク・ジョーダン(p) が書いたファンキー・ハードバッブの名曲なんですが……。
 結論から言うと、力強く洒落た2管吹奏を期待していたのに、なんとチェット・ベイカーが不参加という背信行為! う~ん、こんなん、ありかっ!?
 と初めて聴いた時の私は激怒したんですが、スタン・ゲッツの脱力した吹奏が、逆に妙な耽美的雰囲気を醸し出しています。それにしても、この気抜けした按配は……!
 リズム隊にもイキの良さが感じられず、完全に???の肩透かしです。

B-2 Half-Breed Apache
 そんなこんなのオーラスは、スタン・ゲッツのオリジナルワルツです。
 そして気抜けのようなチェット・ベイカーが結果オーライの安寧吹奏! 適度に緩いビートとフワフワとしたテンポで演じられるテーマが、妙に心地良いんですねぇ。
 しかしアドリブパートでは一転して激烈な4ビートになり、スタン・ゲッツが爆裂のアドリブ地獄を聴かせれば、リズム隊も必死の追走で、場を盛り上げていきます。
 もちろんチェット・ベイカーも負けじと大ハッスル! モード時代のマイルス・。デイビスのような、一本調子のマシンガンフレーズまで繰り出していますが、やや苦しそうです。しかも途中でネタ切れのような刹那的なところも……。
 またリズム隊が古臭いグルーヴに固執しているのも残念……。各々は過激なんですけどねぇ……。

ということで、けっして名盤ではありませんし、おそらくチェット・ベイカーが参加していなかったら、ほとんど価値が見出せないアルバムかもしれません。

そして、お目当てのトランペッターの不調は、おそらく悪いクスリの所為でしょう。決して絶好調とは言えないスタン・ゲッツも、同様です。なんでこんな時にレコーディングをやってしまったのか……? という疑問が消しきれませんが、そこがヴァーヴという、自然発生的グルーヴを大切にするレーベルの特性でしょうか? それもジャズの本質を突いているのかもしれません。

またリズム隊が無名に近いあたりが、マニア心を刺激してくれますし、実際、なかなかの奮闘ぶりには好感が持てるのでした。

如何にもローカルな録音も、逆に新鮮です♪

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ロンリー・クリスマスイヴ

2006-12-24 18:09:30 | Weblog

クリスマスイブって、楽しいのは、ある時期だけでしょうか?

昔っから、懐疑的でした。

だって、キリスト教でもないのに、クリスマスに意味があるのか!?

まあ、そういう天邪鬼なことを言っているから、女の子にもソッポを向かれていましたし、今では若い者にも呆れられ……。

ということで、ロンリーなクリスマスイブには、これを――

Bud Powell At The Golden Circle Vol.5 (Steeplechase)

1970年代末に突如発売され、ジャズ者を驚愕させたのが、ストックホルムの「ゴールデンサークル」という店で残されていたバド・パウエルのライブ音源でした。

それは当時、LP5枚に分散収録されていましたが、CD時代になって、また新たに未発表音源が追加収録され、編集しなおされて発売されるなど、何時までも興味深々の作品になっています。

本日の1枚は、もちろんその中のひとつですが、これがマニアックに侮れません。録音は1962年4月23日、メンバーはバド・パウエル(p) 以下、地元の俊英であるトルビョン・フルトクランツ(b) とスーネ・スポングベリィ(ds) のトリオ編成です。

01 Hot House
 ビバップ時代にデューク・エリントンの影響をモロ出しにして活躍した作編曲家のタッド・ダメロンの代表曲です。
 個人的には、どういう訳か、アドリブしやすいの? と思うほど、誰が演じても、この人が書いた曲は良い演奏ばかりになる気がしています。
 でも、ほとんどが、スタンダード曲のコード進行を使った、替え歌メロディなんですよねぇ……。この曲だって、多分、元ネタは「What Is Thing Called Love」だと思われますが!
 で、ここでのバド・パウエル・トリオはミディアムテンポで快調に飛ばしています。ドラムスとベースは、必ずしも一流ではありませんが、バド・パウエルにとっては、そんな事はお構いなしに自己のペースで弾きまくり♪ 例の唸り声も、芸の内にしている凄みがあります。

02 This Is No Laughin' Matter
 このアルバムの目玉演奏が、これです。
 それはバド・パウエルのボーカルが聴けますから!
 曲はあまり有名でないスタンダード曲で、スローな展開から哀愁が滲み出る演奏になっており、お目当てのバド・パウエルの歌唱は、ほとんど鼻歌ではありますが、なんとも味があります。聴いていて、シミジミと人生を感じると言っては大袈裟かもしれませんが、最近の私には心に染み入るの一言です……。
 またピアノ演奏の部分が、テーマを変奏しているだけにもかかわらず、その間合いの取り方やビートに対するディープなノリが、余人の真似出来る境地では無いと思います。
 尤も、告白すれば、若い頃聴いた時には、トホホの演奏としか思えなかったのですから、時の流れは怖ろしくもあり、偉大でもあります。

03 52nd Street Theme
 セロニアス・モンクが書いたビバップ曲の極みつきで、曲名の「52番街」とは当時、様々なクラブが密集していたニューヨークの歓楽街を指しているようです。
 で、今日の歴史では、ビバップ=モダンジャズは、その一角から生まれたとされていますから、この曲のエキセントリックなメロディラインが、リアルタイムではアングラ音楽の真髄を表現していたのでしょう。現在でも過激だと思います。
 バド・パウエルは、もちろん、その創成者のひとりとして、ここでの演奏でも貫禄を示しています。

04 Straight No Chaser
 これもセロニアス・モンクが書いた、エキセントリックなブルースで、ヤクザな風情がモダンジャズそのものの魅力を体現している所為でしょうか、多くのジャズメンの名演が残されている定番曲です。
 ここでのバド・パウエルは、何と20分に渡って自己のブルース魂を吐露! それはけっして黒人そのものの泥臭いものでは無く、完全に「パウエル節」になっているところが、凄いです! もちろん全盛期に比べれば指はもつれ、呻き声が大きくて、同じ様なフレーズが頻発されていますが、あぁ、この泣きと哀愁! これもまたブル~スですねぇ♪
 終始、快適なビートを送り出しているドラムスとベースも、単調なところが逆に効果的です。

05 Thanks By Bud Powell
 これは演奏ではなく、バド・パウエル自身により、短い最後の挨拶です。

ということで、決して名盤ではありません。珍しいバド・パウエルのボーカルが聴かれるところに価値があるのが、本当の所です。

しかし、全体に漂う諦観と安逸の空気が、妙に心地良い♪

今の私にとっては、それが何よりも貴重なのでした。

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責め地獄

2006-12-23 20:34:08 | Weblog

仕事に責められて、何も出来ません。

家族も来ています。

何も出来ません……。

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つい、買ってしまうねっ♪

2006-12-22 19:29:57 | Weblog

これらか宴会に出席だっていうのに、体調・気力ともにイマイチです。

なんか疲れが抜けていない毎日ですからねぇ……。ちょっと自分の老化現象を感じています。

で、こういう時には、新録のCDでも聴いてみようと――

On Fire / Mike LeDonne (Savant)

マイク・ルドンはウィントン・ケリー系のピアニストなんで、第一線に出で来た頃から聴いていますが、最近はオルガンに専念しているのが、ちょっと???です。

しかし新譜が出ると、やっぱりゲットしてしまうんですから、そこは……。

で、このアルバムは最近レギュラーバンド化しているオルガントリオ+1形態で、録音は2006年5月23&24日、ニューヨークのクラブ「Smoke」でのライブセッション♪ メンバーはエリック・アレクサンダー(ts)、マイク・ルドン(org)、ピーター・バーンスタイン(g)、ジョン・ファーンズワース(ds) という売れっ子ばかりです――

01 Could It Be I'm Falling In Love
 黒人ソウルコーラスのスピナーズが放った往年のヒット曲で、誰でも一度は聴いたことがあるメロディでしょう。それをこのバンドは4ビートでグルーヴィに演奏していますが、黒っぽさが稀薄なのが物足りません。尤もスピナーズのオリジナルバージョンが、洒落た感覚でしたからねぇ、これでいいんでしょう……。
 ビートがドドンパになりかかっているあたりが和み、と言えばミもフタもありませんし、歌心が欠如しているエリック・アレキサンダーに対し、ディープな味付けをしていくマイク・ルドンのオルガンがOKです。

02 Spinky
 一転して高速4ビートの快演です。
 オリジナルはメンバー全員の恩人という故チャールス・アーランド(org) ですから、自然と熱も入ろうというところでしょうか、まずエリック・アレキサンダーがモード系のフレーズを出し惜しみしない熱演です。
 またリズム隊の発散するビートも熱っぽく、このバンドの本領発揮は、こういう演奏でしょう。特にマイク・ルドンは伴奏&アドリブソロ共に素晴らしく、ジョン・ファーンズワースも終始、快適なシンバルワークを聴かせてくれます。
 そしてピーター・バーンスタインの単音弾き主体のギーターソロでは、なんか日活ニューアクション映画のサントラ音源のような雰囲気が♪♪~♪

03 Idle Moments
 さてさて、このアルバム中で一番気になるのが、この曲でしょう。
 ご存知、グラント・グリーン(g) 畢生の名曲・名演として、そのアナクロ歌謡曲風のテーマメロディとディープでスローな解釈が、ジャズ者の心を捕らえて離さないわけですから、このメンツでは、どうなることやら……、と興味深々、聴く前からのワクワク現象でした。
 で、まずマイク・ルドンのオルガンがペースを設定し、ピーター・バーンスタインのギターが真摯にテーマを弾いてくれるスローな展開♪ とは言え、やっぱり本家本元が素晴らし過ぎて、どうしてもイメージがB級に聞こえてしまいます。
 エリック・アレキサンダーもテーマ部分ではジョー・ヘンダーソンに似せたサブトーンを吹いているんですが、アドリブパートではグリグリ・バリバリに突っ込んでしまいますし、ピーター・バーンスタインのギターはセンの細さが気になります。
 なんか学生バンドみたいですねぇ。恐らく、直後にグラント・グリーンのバージョンが聴きたくなること、請け合いです。これがジャズの恐いところでしょう。

04 At Long Last Love
 コール・ポーターが書いた定番スタンダード曲ですから、メンバーも気楽にスイングさせて和みの時間を生み出しています。
 マイク・ルドンのオルガンは軽く、ピーター・バーンスタインのギターも白人的な洒落たフレーズばかりですから、お約束だとしても、この盛り上がりは、いいですねぇ~♪
 エリック・アレキサンダーが入っていないのが、吉と出た雰囲気です。

05 Prayer For Mary
 マイク・ルドンが書いたスピリッチャルなモード系の曲ですから、初っ端からエリック・アレキサンダーがジョン・コルトレーンの役を演じて、ハードな雰囲気を作り出しているあたりに、かなりグッときます。
 まあ、このあたりは往年のジャズ喫茶族には、たまらんでしょう。
 肝心のアドリブパートは、アフロ&4ビートの重さと快適なスピード感がありますが、何故かメンバーのソロパートが、またしても軽いというか、不完全燃焼気味……。これが現代のジャズだと言われれば、それまでですが……。勿体無いなぁ~。

06 Bones
 ピーター・バーンスタインが書いたダークなハードバップなんですが、ここでも演奏が軽くて、物足りません。
 それは多分、ジョン・ファーンズワースの敲き出すビートの軽さゆえのことかもしれませんが、メンバー全員が熱くなることを恥じているような雰囲気も……。

07 In The Bag
 オーラスはナット・アダレイが書いた隠れ名曲を8ビート主体に、ビシバシに演じてくれますから、中盤のダレ場も帳消しです。
 エリック・アレキサンダーは、甘っちょろいスタンダード吹奏よりも、けっこう、こういうのが合っているように思うんですがねぇ~。
 オルガンとドラムスのビートの出し方も素晴らしく、ピーター・バーンスタインのギターも、それなりに爆発的なフレーズを聴かせてくれます。ただし演奏時間が短くて、残念……。

ということで、たまに新しいブツを紹介すると、こんな嘆き節しか書けません。明らかに聴いていて欲求不満に陥る出来なんですが、まあ、次に熱いハードバップを聴くぞっ! とジャズモードが全開にさせられるという効果は満点♪

皮肉っぽくて、すみません。メンツと曲に幻惑されて、買ってしまうブツって、やっぱり有るんですよ。

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