天才漫画家として、殊更サイケおやじの世代にはトラウマ的存在だった梅図かずおの訃報に接しました。
ここ何年かは新作も発表されず、なにやら逼塞されていた感もありますが、故人が描いた夥しい傑作は例えば「紅グモ」「へび少女」「赤んぼ少女」「猫目小僧」等々、少女~少年雑誌で発表していた初期ホラー作品の怖さは過言ではなく、常軌を逸していた仕上がりで、もちろん、そこには細密にしてインパクトの強い画風と人間心理の奥底に誰しもが秘めている意地悪な感情や哀感が子供向けの漫画を超越したエグ味で描かれていましたから、いよいよ「漂流教室」「おろち」「洗礼」「わたしは慎吾」「神の左手悪魔の右手」等々、大人の読者すらも翻弄する聖典の数々は、永久に読み継がれていくにちがいありません。
また、言わずもがなの破天荒ギャグ漫画「まことちゃん」の破壊力(?)にしても、ある意味じゃ~、嫌悪感すら覚えさせられるほどのストレート勝負に徹した成果でありましょう。
何れにせよ、現代の「シバリ」の多い創作活動の世界では、表現そのものに躊躇せざるをえない諸々が、オンタイムでは……、すんなりと受けられられ、怖さと笑いを整理不能のままに我々へ提供してくれた故人の天才性には、あらためて感服させれるのみです。
さて、そんな作品群の中から、サイケおやじが少年時代に夢中にさせられたのが昭和42(1967)年に少年画報へ連載発表の「笑い仮面」でして、物語は太陽黒点の活発な活動によって奇形誕生が続発した「アリ人間」の研究を続ける式島博士が昭和15年、日本軍による弾圧から「笑い仮面」を頭部に溶接圧着された姿で戦後まで生き延び、昭和30年代中頃から一般社会に警鐘を鳴らすも、笑い仮面の容姿の所為で、様々な恐怖と怪奇な事件を……、という展開だったんですが、中でも式島博士が「笑い仮面」を強引に頭部に焼き付けられる場面の怖さは、完全にトラウマですよっ!
いゃ~~、梅図かずお作品の中では、それほどの評価もされていないとはいえ、これが忘れられないというサイケおやじと同世代の皆様だって、少なくないと思っております。
ということで、故人については、とてもとても……。
本日は唯……、一言……、梅図かずお、永遠なれ!
合掌。