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シドニー滞在記(5) ある「日本通」のこと  文科系

2008年02月29日 14時11分54秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 シドニー滞在旅行が一か月を過ぎたが、若者たちを主人公とした「国際化の波」を至る所に感じる。「日本人か?」と自ら尋ねてきて、日本旅行体験談を三回も持ちかけられたことがある。テイクアウト食品店のアラブ系の若者、立ち寄った書店のお嬢さん、バス停で声をかけてきたイタリア系の老人だった。また、こちらは日本語をほぼどこでも選択できるほど中等学校で外国語教育が盛んで、僕の連れ合いもそのボランティア教師をしに来たのであるが、他校の日本人ボランティアはほとんど大卒直後の若者である。さて、こういったことに加えて究極の「国際化」体験に出くわすこととなった。

 シドニー西方の観光地、ブルーマウンテンズの一日ツアーに参加した。朝の待ち合わせ場所にやってきたのは二十人乗りほどの大型四輪駆動車だが、本日の客は我々夫婦だけと言う。それでも運転手兼ガイドが一人ついて、わたしたちはもうVIPだ。イギリス出身で二年前にこの国に帰化したという二十代のこの若者が、異常に日本語が上手い。特に敬語や助詞の使い方の自然さに、驚かされた。当然経歴を尋ねた。客は我々二人だけで対話は自由自在、すぐにこんなことが分かった。
 イギリスの大学の日本語学科を卒業して、現在はシドニー大学の大学院言語学科に在籍している。卒業した大学が日本の帝京大学と姉妹校であり、そこからの留学生六名と在英中ずっと付き合ってきた。彼らが日本の家族と電話するのを聞いた驚きが動機となって、自分の卒業論文も日本語方言の研究となったという。
 「小さい国なのに、なんて方言が多いんだろう。山形と沖縄の人では違う国みたいだ」
 こう感じたのだそうだ。さてここで、国語教師四十年の連れ合いとの話ががぜん熱を帯びてきた。そこから彼は、沖縄語の特殊性についてこんな学問的説明を続けてくれるのだ。日本語は世界の言語体系のなかでも極めて複雑多様な構造を有し、その起源は解明できていない。琉球方言は、その日本語の中で標準語の対極にあって、大陸系要素が多い新しい標準語に対して、古い日本語が持っていた太平洋系(東南アジアなど)の特徴が多い。こんなふうにこの国の人から話されようとは、思ってもみなかった「講義」であった。

 さて、こんな会話の末に取り交わされた約束がある。一週間後の土曜日夜、彼が演奏ボランティアをしているアイルランド系パブに飲みに行くことになったのだ。古いイギリスのケルト音楽のリズム、楽器のセッションだと聞いたが、我々も国際友好の流れに乗ろうというわけだ。なおちなみに、この日のブルーマウンテンズ一日ツアーが極上のものになったというのは言うまでもない。埋め尽くされたユーカリによって大気に放たれる成分が演出する「青い山」(この地名の由来である)! これが、僕の一番好きな色、青緑の美しい思い出となったし、バーベキューランチを繰り広げた牧場は小盆地の全てを占めるように広大で、それが我々二人だけの舞台になったというわけだった。そして、これら全てのガイド兼サービス係に、この若者が専属でついていたのである。

 さて、アイルランドパブへ行った。土曜日の七時なのに客がいない。八時になっても同じことだ。我々と我々に同行したホームステー家主、そして、ケルト音楽の同好会員みたいな感じのセッションを脇の部屋でやっている七、八名がいるだけの状態が続く。もっとも彼らも客ではあるらしい。テーブルにはギネスや普通のビールグラスが置いてあったから。もちろん我々も彼が一番好きだというスコッチ、グレンフェデックを飲んでいたが、注文一巡目の支払いは彼がもってくれた(注文ごとに支払うのが決まりだ)。「本当に来てくれるとは思わなかった。うれしいです。」と言って、わざわざお金を下ろしに行ってくれた後のことだ。もっともこの時僕は、彼が何のためにお金を下ろしに行くのかわからなかったのだったが。そして僕の方は、ケルト音楽同好会員みんなにグレンフェデックのシングルを振る舞った。別れ際に家主が言う。一ヶ月あとに予定されていた持ち寄りバーベキュー・ホームパーティーに彼も呼ぼうと。「タイ・チキン持参で参加します」、彼はそう即答した。この待ち遠しいパーティーのことはまた、次のお話ということになるだろう。
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二月尽から春一番へ  落石

2008年02月29日 09時12分03秒 | その他
俳句の世界で、二月の尽きることを、二月尽と言います。
寒い季節が終って、新しい春が・・・

今年の二月も今日29日まで。
次は春一番。
3月は政治の世界に春一番は吹くのか?
東京では、先日、もう吹いたそうですが。





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