駐米大使 中国に反論 首相靖国参拝で米紙に寄稿(14.1.18 毎日新聞)
[ワシントン西田進一郎]佐々江賢一郎駐米大使は16日、米紙ワシントン・ポスト(電子版)に寄稿し、中国の崔天凱駐米大使が10日付け同紙で安倍晋三首相の靖国神社参拝を批判したことに対し「(批判は)誤っており、中国の指導者は国際世論を明らかに読み間違えている」と反論した。そのうえで「アジアの大部分、国際社会が懸念しているのは、日本ではなく中国だ」と逆に中国を批判した。
佐々江氏は「参拝目的は過去への痛切な反省の上に立って恒久平和への誓いを行うこと」と説明し、アジア太平洋地域の平和と安全に対する深刻な共通の懸念は「靖国参拝ではなく、むしろ中国の他に例を見ない軍備増強であり、周辺国に対する軍事的、経済的な威圧だ」と反論した。
さらに「中国と異なり、日本は戦後、戦闘で一発も弾を撃っていない」と平和国家としての歩みを強調。中国に対し「教条的な半日プロパガンダをやめ、未来志向の関係を構築するため我々と共に努力することを強く期待する」と求めた。
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大使の反論は説得力に欠けていますね。
安倍首相の靖国参拝については、中国や韓国だけでなくアメリカやEU、インドなど世界中の多くの国から批判されています。それは、安倍首相が「参拝は過去への痛切な反省に立って恒久平和を誓うためだ」と言っても、「ならなぜA級戦犯を祀っている神社に参拝するのだ」「安倍首相は侵略の定義は国際的にも歴史的にも決まっていないと述べ、日本がアジアの国々を侵略したことを認めようとしていない」ということを批判されているのです。大使はA級戦犯のことは避けていますが、過去への痛切な反省、恒久平和を願ってという言葉が信用されていないのです。
第二次大戦後はナチス・ドイツ、イタリアのファシズム、日本の天皇制軍国主義を否定することとを戦勝国と敗戦国が確認することをルールとしてスタートしましたが、安倍首相の一連の言動が戦後のルールを否定していると各国から疑われているのです。
佐々江大使は「日本は戦後、戦闘で一発も弾を撃っていない」といいますが、それは憲法第九条があるからです。しかし安倍首相は憲法九条の改正を目指しています。日本国民の過半数が憲法九条の改正に反対していると見ると、これまでの憲法九条についての政府解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにすることに意を燃やしています。そうなれば、「戦闘で弾を撃つ」ことになり、日本の大使の言説は「虚言」になってしまいます。
駐米大使ばかりでなく中国と日本の駐英大使同士もマスコミを通じて非難しあったりしていますが、中国が領海や領空について強引と云える主張を繰り返し、日本や東南アジアの国々と摩擦を起こしていることについては、国際機構を通じて話し合いによる解決を目指すべきであり、
一方的な非難合戦は好ましくありません。
大西 五郎