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日米政経は破綻、さてどうする? 2 金融暴力経済   文科系

2020年05月22日 12時03分41秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 日米政経は破綻、さてどうする? 2   
グローバリゼーションは金融暴力に過ぎなかった 

 さて、この40年ほどの世界に現れたグローバリゼーション政経は暴力に過ぎなかったということを展開してみたい。それも、1世紀近く続いた冷戦の一方「社会主義」世界体制が破綻した歴史のすき間に現れた、単なる古典経済学式なだけの自由競争金融暴力であったと。

 この流れへの発端は周知のように、1970年代世界史に現れたスタグフレーションである。当時まで各国経済を運営していたケインズ経済学では説明不可能と言われた「不況なのに物価だけは上がるという『奇妙な』、不況の中のインフレ現象」。ここから、これを抑えるためと称して、(ケインズ流需要サイド経済学から)供給サイド経済学へと、まず英米が入っていった。いわゆるサッチャリズム、レーガノミクスの登場であった。「世界経済をば、自由競争に任せよ」。「国家による規制はなくして、小さな政府が良い(ちなみに古典派経済学ではこれを「夜警国家」と呼んだと記憶する。国家は、犯罪だけに備えれば良いと言うのだ)」。「政府部門をば可能な限り民間部門に明け渡すべきだ」。こういうやり方が、折しも資本主義国に生まれたIT産業の発達と相まって「社会主義」世界体制を淘汰したことによって、我が世の春を迎えていく。ここに起こった現象こそが、世界各国政経に対する先進国金融による暴力の横行であった。
 
 今はアメリカでも猛反省が始まっている「株主利益の最大化政策こそ、経済発展の要諦」という言われない命題によって、世界が席巻されていったのである。曰く、敵対的株買い付け、会社乗っ取り、社外取締役会、世界各国にも通貨危機が続発され、ギリシャ・タイ、南米諸国などなどのようにIMFの「国家財政再建策」を通じて未来の国家予算強奪までが起こったのである。
 こういう資本暴力の典型として日本人の記憶に鮮やかなのが20世紀末のカルロス・ゴーンの例だろう。ルノーが日産の筆頭株主になるとゴーンが社長に就任して、猛烈なリストラを始めた。日本式終身雇用や企業地域貢献やなどステークホルダーも何もあったものではなかった。外国国家財政収奪の例では、ギリシャ財政危機の発端と「指南役」とに、米金融ゴールドマン・サックスが関わっていたことは、知る人ぞ知る有名な話だ。

 なお、これだけ金融暴力が野放しにされて、労働者や将来性ある企業などなどが踏みつけにされたのでは、世界の膨大な資本つまり供給力に対する有効需要などはさらに大々的に消えていくだけであった。特に英米日など先進国においては、失業者と不安定労働者の膨大な群れである。そこで先進国金融が起こしたのが唯一世界の金を集めることができるバブル形成で、これが繰り返されることになっていく。日本の住宅バブル、サブプライムバブル、GAFAバブル、日本政府官製バブル・・・。ちなみに、日本政府官製バブルに現れているように、日銀に通貨をどんどん増刷させて株価だけをつり上げるという禁じ手財政ファイナンスにまで踏み込んでも、物価目標2%がどうしても達成出来ぬという事態も起こったのである。さらに因みに、この官製バブルによって日本政府GPIFの損はどんどん増えている。4半期の損失で、初め10兆円、18年秋には15兆円、そしてこの3月までの4半期の17兆円によってとうとう年度でも7兆円だかの欠損になった。それを取り返すべく日本が他国に対して同じ事をすれば、世界的金融が各国から金を奪ってくるばかり? こんな世界のどこに未来が見えるというのか。というわけで「株主利益最大化経済」が悪いものだったと、前回述べたようにアメリカの学者も経営者団体も反省を始めたわけだが、本気の反省なのかどうか。特に、日本のような先進国におけるこの需要と供給の悪循環を働く者のまともな職場を増やすという意味において正す方向は、どういうものであるのか。例えば、サブプライム・バブルの破裂、リーマンショックを反省した、国連総会議長委託による専門家委員会報告書、いわゆるスティグリッツ報告は、この点についての一つの歴史的文書になりうるだろう。このノーベル経済学賞学者スティグリッツはクリントン米政権の経済政策顧問も務めたお人だが、初め「自然に起こった」と観ていたアジア通貨危機を後になって「人為的に起こされたもの」と自ら反省している誠実な学者と思えるお方だ。

コメント (3)
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