三つの約束 K・Kさんの作品です
小二の孫娘は学校の身体測定で、クラスで一番大きかったらしい。「おまえ、何キロあるんだ」何人にも訊かれ、傷付いた。悔しそうに「絶対教えないもん」涙をこらえてつぶやく。一三五センチ三八キロはやや太り気味。三か月で五キロ増えたのも気になる。服の上からでも分かるほどお腹はぽっこり。二重あごにもなっている。とはいえ、まだお姫様やドレス姿に憧れる乙女心にむごい言葉である。
とにかく食欲がある。朝からカレー、チャーハンなど、パンなどでは昼までもたないとか。給食はおかわりが楽しみ。ピザ、スパゲティ、ハンバーグが大好き。満腹中枢が壊れているかと思うほど口の中に押し込む。まだ成長期だからと見過ごしてきたのだった。
「わたし、やせる」孫娘は奮起した。家族も協力して、三つの約束を机の前に貼った。まず、野菜から食べる。二つ目は、三十回噛む。三つ目は、ご飯類はおかわりしないで、ピザ、スパゲティはどれか一つだけ。よほど痩せたかったのだろう。きっちり守った。二週間後、カエルのようなお腹が少し小さくなった。一か月後一キロ減った。若いだけにすぐ反応する。体重計にも毎日乗るようになった。夫は孫娘の変化に気付いた。「いいなぁ、教えてくれよ」、自分のぷっくりお腹を撫でながら訊く。「あのね」、三つの約束を得意そうに孫娘は話す。「よーしっ、頑張るぞ」、夫も宣言した。二人はライバルになった。