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民主主義度で、韓と米日が「逆転」?  文科系

2020年04月18日 08時55分01秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 これも20日ほど前の拙稿再掲ですが、激しく移り変わる、時々のネット時流・奔流に流されないようにという自戒を込めて、自分に反芻しているものです。今一度・・・。なにしろ、まともな識者らが皆、第二次世界大戦以来の世界史的危機という見立てをしている今ですから。また、太平洋戦争時にもあったように、事の真実に責任ある人々こそがニュース・ソースを握っていて、真実を見誤らせようとする論調こそが溢れかえっていますし・・・。

【 民主主義度で、韓と米日が「逆転」?  文科系
2020年03月26日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)

 この二日間のここで、日本の新聞の中国報道のいい加減さと、米英を持ち上げすぎる姿勢を批判することになる記事を書いてきた。米については特に、もう民主主義国とは言えぬという内容さえ書いてきたと言える。「民主主義とは国民を大事にすること。国民にとって最も大事なのは、まずその命」と言う観点からすれば、今やそうなるのだ。そして、韓国こそ日米を抜いた民主主義国だと言えるとも、この二日書いてきたことになる。かなりの間軍事独裁政権であった時期もある韓国が?と言う向きには、その新たな理由が付け加わったようだから示すけど、以下の通りである。
『新型コロナ対応でトランプ大統領が文大統領に「助けて」=韓国ネット「こんな日が来るとは!」 3月25日(水)13時0分 Record China』
  この記事内容を読むと、トランプが文大統領にコロナの検査・診断キットを欲しいと緊急電話をしたようだ。記事の一部を、抜粋してみよう。
 
『25日、韓国・ノーカットニュースは、新型コロナウイルス感染をめぐり、米国のトランプ大統領が韓国の文在寅大統領に「事実上のSOSを出した」と報じた。
(中略)
記事によると、トランプ大統領は24日に行われた文大統領との電話会談で「米国のために医療用品の支援が可能か」と尋ねた。これに対し文大統領は「余裕分があれば最大限支援する」と答えたという。トランプ大統領の要請について記事は「韓国の防疫体制や検診レベルが欧米で高く評価されていることを受けたものとみられる」と分析している。また「韓国大統領府は医療用品の具体的な内容を明らかにしていない」としつつも、「感染の有無を調べる診断キットとみられている」と伝えている。
(中略)
この記事に韓国のネットユーザーからは「世界が韓国の対応を認めている」「米国に助けを求められる日が来るとは!」「頼りになる文大統領。韓国国民であることが幸せ」「韓国は危機を脱して新型コロナの教科書になった。世界が韓国から学ぼうとしている」など喜ぶ声が上がっている。
(以下略)』
 
 それにしても、無症状者も含めてコロナ検査をしてオーバーシュートを抑えた韓国は、民主主義という名において立派だ。対するに、無症状者野放しの英米、クラスター関連以外の無症状者を検査からはじき出す方法を採った末に孤立発病者が増えてきた日本ははたして、どうなるのか。経済効率以外を犠牲にしてきたとその新自由主義経済が反省され始めた英米日は、結局国民の命までが、軽くなったということではなかったか? 念のために付け加えるが、上の韓国報道が万一ガセであったとしても、『民主主義度で、韓と米日が「逆転」』という真実は変わらない。韓国が、国民の命を世界各国において最も重視したという事実である。】

 

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随筆 「典型的な情報・人心の操作?」   文科系

2020年04月18日 07時26分28秒 | 文芸作品

 高齢者を肺炎で多く死なせるコロナウイルスで、世界が爆発しているようなこの三月二三日、新聞夕刊のとあるニュースには呆れ、驚いた。この記事の見出しは、こういうもの。
『無症状四三〇〇〇人、中国が計上せず』
  感染者を少なく見せて来たというこの見だしは、誰が読んでも「悪い国だ」という「感じ」にしかならない。だが、その記事の中にも書いてあった英米などよりは国民の立場から見たら遙かに上等な検査体制なのである。この記事の中に、こんな文言が入っていたので、むしろこちらの方に僕は驚いてしまった。
『韓国では無症状感染者もカウントしているが、米国や英国、イタリアは医療関係者を除き無症状者は検査もしていないという』
 さて、「無症状者は検査もしていない」英米、イタリアと、「無症状者も検査・隔離するけど、カウントには入れない」中国と、どちらが国民を救うことになるか。後者に決まっている。高齢者以外では症状が出ない感染者も多いこのウイルスに対しては、『検査で陽性になり隔離されていても症状のない人は確定患者に含めず、医療監視下に置かれたという』と同記事も述べている中国と比較して、『米国や英国、イタリア』は無症状感染者を野放しにしているからだ。
 この記事内容を見ると、イタリアに死者が多い理由が分かった気がするし、米英は今後大丈夫なのかなと心配になった。が、福祉対象以外は民間健康保険が中心で無保険者も多くて「医療は個人持ち」というアメリカなどは、無症状者の公的検査など元々するわけがないのだろう。こんなアメリカでは、ただでさえインフルエンザで死ぬ人が毎年一万~数万人いるのだから、このコロナで死ぬ人は一体どれほどになるのか。

 それにしても、韓国は立派である。だからこそなのだろう、コロナを抑えられそうな見通しも立ったようだ。その点日本は、ちょっと危うくなって来たのではないか。無症状者は同一集団発生に関わる範囲でだけ検査するという「クラスターの発見を中心にした検査方針」を採ってきたにもかかわらず、クラスターに無関係の症状者、つまり孤立発病者がここに来て増えてきたからだ。
  などなどと思い巡らせつつ翌二四日朝刊を見ると、この同じ記事内容がまた載っている。『無症状四三〇〇〇人 統計に含めず』、『武漢「感染ゼロ」に疑念』。そして、前日よりももっと悪いことには、英米伊の「無症状者野放し」記述がこの日は皆無、全く省かれていた。つまり、「中国は悪い奴だ」と誰が読んでも受け取れる記事に変わっている。僕は、公憤に駆られてつぶやいた。
〈見ているが良い。こんな意味の「少なく見せる」国よりも、「無症状者を野放しにしてきた国」の方が死者などの被害ははるかに大きくなるはずだ〉。
 するとどうだ、直後に読んだネット記事によると、アメリカではもうこんな事態になっていた。『米ジョンズ・ホプキンス大学の二三日夜の集計によると、前の日から一日で米感染者は八〇〇〇人増えた』。
 アメリカのコロナ感染者が中国を追い越していくのは確実だろう。無保険者も多いアメリカでは、死者はいったどれだけになるのやら。こんなアメリカで公表されているコロナ死者が、発病者の多さの割にとても少ないのだが、この国に毎年膨大にでているインフルエンザ死者にコロナ死者を含めているに違いないと、僕は推理している。そういう「アメリカ・インフルエンザ死者」が、今年度インフルエンザ季節分だけでそろそろ二万人を超えているはずだ。 

 

(2020年3月25日の当ブログに初出。つまり、約1ヶ月前の物ですが、今重要になっているので再掲しました。ネットなどが流してしまう惨禍重要部分をば、けっして忘れないように)

 

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「今世界の明日を診た」インタビュー記事  文科系

2020年04月17日 02時43分44秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 16日朝日新聞に世界的ベストセラー「サピエンス全史」を物にしたイスラエルの俊秀歴史学者ユバル・ノア・ハラリのインタビューが載っている。それもほぼ1面を使った力作だ。その大見出し、題名もまさに「新型コロナ ここが政治の分かれ道」というもの。この「政治」とは時代柄及び語り手を考えてみて当然、世界政治(と、それへの各国の責任)のことである。

 日本の政治論は、どんなマスコミも国際面が圧倒的に弱い。ずっと島国だったせいというのではなく、今のグローバリゼーションと日本政治との不可分に結びついた関係が見えにく過ぎるからだろうと考えて来た。冷戦時代が終わって、新自由主義経済が世界を席巻したグローバリゼーションの下では、どんな国民困難の問題を取ってみても世界的かつ自然成長的な原因から起こっていると言えるのであって、極端に言えば、日本庶民の諸困難は第一に自民党政治のせいとも言えないと、僕は考えてきた。世界の失業や格差の問題、この新自由主義経済の被害をできるだけ少なくする。その為に不可欠な金融規制一つとってみてももう、第一に国連レベルの問題なのではないか。そのことがまさに、このハラリ・インタビュー内容からも明らかにされていると考える。「明日の世界」目指した「分岐点」第一の観点を、ハラリはこんなふうに説得しようとしている。

『米国の自国第一主義やブレグジットに象徴されるように、協調路線には反対論も根強い。この流れが変わるでしょうか。
「分かりません。ただ前向きな兆しはあります。欧州連合(EU)では人工呼吸器やマスクの製造、配分へ向けた協力の試みがみられます。ドイツが周辺国の患者を受け入れた例もあります。専門家が行き来し、治療薬を開発しようとしています」
「今回はEUにとって大きな試練です。連帯を実現できればEUを強くすることができるでしょう。英国がブレグジットから戻ってくることだってあるかもしれない。危機の中でこそ、EUは価値を証明できる可能性があるのです。米国がリーダーシップをとらないなら、EUや日本、中国、ブラジルや他の国々が一緒になって立ち上がることを望みます」(中略)
「危機の中で,社会は非常に速いスピードで変わる可能性があります。良い兆候は、世界の人々が専門家の声に耳を傾け始めていることです。科学者たちをエリートだと非難してきたポピュリスト政治家たちも科学的な指導に従いつつあります。危機が去っても,その重要性を記憶することが大切です。気候変動問題でも、専門家の声を聞くようになって欲しいと思います。』

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安倍の「クラスター発見特化検査政策」   文科系

2020年04月16日 17時06分05秒 | 国内政治・経済・社会問題

 本日、こういうコメントやり取りがありましたので、エントリーとして報告しておきます。

【目はどこを (らくせき) 2020-04-16 10:14:19
日本とアメリカばかりを伝えるニュースが
公共メデ「イアを名乗っているけど・・・
笑ってしまいます。
なぜ韓国にできてアメリカにできるコロナ検査が
あんなに日本では非効率なのか?

【らくせきさんにお応え (文科系) 2020-04-16 17:03:56
 日本は「非能率」なのではありません。安倍政府が、こういう少ない調査しかしない仕組にしたのです。その仕組とは、僕がここに書いてきた「クラスター発見に特化した検査、調査だけ。個人希望者は厳選する仕組にされていたから自主的に病院たらい回しになっていた」ということです。現地報告など詳しい調査報道がやっと新聞にも出てきました。本日16日、朝日が、24面ほぼ全面を使ってやっています。

 なぜこんな事になったかについて、僕はこんな推察もしているほど。厳密なクラスター発見は、日本人の勤勉な健康志向と相まって、一挙の大量爆発を止めることには成る。それで患者数を少なくしておいて、オリンピックに漕ぎ着けたかった! 安倍首相は最初、「オリンピックをどうするかは、3週間後に決定!」などと発表していたでしょ。事実はずっと早く、「延期」になりましたが、僕はこれを「抜き打ちの、日本売り対策」もあったのではないかと考えたほどです。

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米の医療保険未加入者数  文科系

2020年04月16日 16時36分04秒 | 国内政治・経済・社会問題

 ネット検索をしていて、アメリカで有名なこの問題で、こんな情報を見つけました。米の無保険者が18年度はリーマンショック以来10年ぶりに増えて、「2750万人、比率は8.5%」だったとのこと。もう一説に、こんな情報もありました。「2016年の保険未加入者は全米で約2,810万人(国民の約8.8%)」と。この二つの情報は矛盾している点がありますが、健康保険加入対象者の総数をどう取るかという問題がありそうです。 

【 ワールド2019年9月11日 / 13:34 / 7ヶ月前
米国で健康保険未加入者の比率が10年ぶりに上昇=国勢調査局

[ワシントン 10日 ロイター] - 米国はトランプ大統領の就任2年目に当たる2018年に健康保険の未加入者の比率が10年ぶりに上昇する一方、家計所得はほとんど前年と変わらなかったことが、米国勢調査局が10日公表した年次調査で分かった。2020年米大統領選の争点になりそうだ。 
昨年の健康保険未加入者は約2750万人、比率は8.5%で、未加入者が前年から約200万人増加し、比率も7.9%から上昇した。未加入者の比率が上昇したのはリーマン・ショック後のグレートリセッション(大不況)以来。健康保険は14年の医療保険制度改革法(オバマケア)施行以来、加入者の増加が続いていた。】 

【 国勢調査局(US Census Bureau)の最新の統計結果によると、2016年の保険未加入者は全米で約2,810万人(国民の約8.8%)となっている。(ジョージア日本人商工会)】

 上記ニュース中、後者の基礎数で前者の18年度の悪化後の数字を推定すれば、約3,000万人で、10%近くの無保険者がいるようです。今回のコロナに限っては、やっと無保険者の検査も無料となったとのこと。このニュースには本当にほっとしました。医療費実費がバカ高いアメリカでは、無保険者はまず検査に行くことができず、発病してもただ死ぬ(かも知れない)のを待つだけということになったはずですから。「小さな政府」の「自己責任」って、大変なものですね。

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安易、悪辣な外信報道  文科系

2020年04月15日 07時10分48秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 本日の中日新聞のある外信報道には、呆れてしまった。4面国際面のトップ記事「コロナで米軍展開力に懸念」という記事だ。内容を読んでから、「どこがどう発信した記事か」と発信元を見たらワシントンと北京それぞれ常駐の二人の特派員が共同して書いた記事と分かった。
 何よりもまず、違和感を感じたのはこんな感じ。「米空母がコロナによって一艘ダメになったことは誰でも知っているはずで、そこにつけ込んで中国が何かしそうだ」という取材意図、問題意識を初めから感じたからである。まるで中国=火事場泥棒扱いの、アメリカ・ネオコン思想の宣伝文句のような・・・内容も案の定、そういうものになっている。記事中にも『「台湾を武力統一する好機」と、環球時報の電子版にある』とか、「3日に中国艦船がベトナム漁船に衝突、沈没させた」などというもの。これらの言葉、ニュースの前後関係はどうなっていたのかは全く書いてないのである。
「何を今時」とか、腹が立つことしきりであった。今、中国が台湾など近隣国を攻めるか? アメリカの自国第一主義、引きこもりにつけ込んで? これは完全に米ネオコン的発想であって、そんな誰かのリードで仕上げられた記事かも知れないとさえ、考え込んでいたものだ。

 この新聞は国際面が極めて貧弱で、当局の発表をそのまま伝えるようなアクセス記事ばかりだが、グローバル政治の模索時代に後れを取っているだけで無く、一応の「調査報道」体裁がこんなネオコン的視点丸出しではどうしようもない。これも、外信記者に日本外務省の指導がよく行き届いていると言うことか。いろんな記事を読んでいると、今の外務省は安倍以上にアメリカべったりであると見ざるをえなくなっているからである。

 

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コロナ死亡率が示す「米は非民主主義国」  文科系

2020年04月14日 13時04分50秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 米の標記の数字がどの新聞にも載っている。例えば、最もコロナ死亡数が多いニューヨーク市の6日までの発表数をあげてみよう。
 それぞれ各人種10万人当たりのコロナ死者数である。ヒスパニック22.8、黒人19.8、白人10.2、アジア系8.4人とあった。
 下手をすると3倍近いこの差なのだから、人種差別も絡んでいることは明らかだろう。つまり、民主主義の国とは言えないということだ。ことが人間にとって最も大切な命の格差なのだから、そうなるほかはない。健康保険がない人も多く、高額すぎる医療費を取られるからと病院にも行けない人が多い国である。ただ、このコロナ渦中の途中から「無料検査態勢」だけは取ったらしいが。そう言えば、有名男性俳優でも黒人は、これぐらいしか思い浮かばない。デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン、ヴァン・ディーゼル、ウイル・スミスに、あとサムエル・ジャクソンくらいかな?

  以上から、こんなことが確実に言えるのではないか。
 世界最高水準の富も医療も持ちながら貧乏人がいっぱい亡くなる先進国は、民主主義の正反対国だろう。こうして、この11日にアメリカは、イタリアの死者数も超えていった!  既に感染者数は50万人を優に超えている。

 なお、以上の数字などは主として朝日新聞からのものだ。朝日は、アメリカのコロナ被害状況について単なるアクセス報道(ニュースソースの発表文言をそのまま流すだけの報道。アメリカでこれをやると、政府政策の宣伝だけに終わる事も多くなる)ではなく、丁寧な調査報道を展開している。特派員を多く抱えていなければできないことである。また、ただでさえグローバリゼーションの時代である上に、アメリカの真実は日本にとって生死を分けるほどに重要なものになっている時代だから、こういう報道姿勢は極めて貴重なものだと言いたい。 

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安倍政権に、前門のコロナ、後門の「日本売り」   文科系

2020年04月14日 12時54分04秒 | 国内政治・経済・社会問題

 安倍政府の無能、無策は、五輪未練に執着して、コロナ沈静を2重に遅らせ、心ならずも国民を恐怖に陥れてしまった。
 一つは、感染者数を世界に向けて少なく見せるべく、中韓がやった希望者全員検査をせずにクラスター発見に特化した対策を採ったこと。感染経路不明の孤立患者には病院たらい回しを強いる結果となって、国中の病院という病院に院内感染の恐怖をばらまいたのである。
 そして今ひとつは、3月最後の貴重な3連休にさらに深く「孤立感染者野放し」をやったのも、ぎりぎりまで五輪開催の道を探っていたからだ。

 安倍はなぜこれほどまでに五輪に拘ったのか。思い出すのは、ここでも再三書いてきたこのことだ。
 原理的に達成できるはずもなかったアベノミクスの焦点・2%目標に執着し続けて来た結末として官製バブルを作ってしまい、このバブルを弾けさせられる日本売りを引き延ばすべく五輪景気をそれほどに渇望していたからである。それも、「この日本売りは、むしろその五輪後が怖い」と語られてきたのだから、五輪が無ければ泣き面に蜂だったのであろう。

 ところでさて、この「日本官製バブル弾け、日本売り」は既にもう始まっている。この1~3月にGPIFが17兆円という四半期としては過去最大の赤字を出して、19年度全体でも遂に8兆円ほどの赤字という悲劇が起こった。これがまた、18年度秋の第3四半期に被った15兆円の赤字に続く大穴なのである。

 こういう事態を引き起こした歴史的事件として、ここで是非、以下にも言及しておく。この日本売り恐怖の原因を作ったのも、安倍自身である。その次第は以下の拙エントリーに詳しい。
『日本沈没開始事件「安倍が日銀を屈服」2020年01月31日』
 この「日銀・白川総裁を屈服させた」場面において、株価さえ上げれば好景気という「景気」目指して官製バブルを作る道を作ってしまったのが、他ならぬ安倍晋三首相ご自身。このことが必ず問題になるとは、最後まで安倍に抵抗した白川方明日銀総裁の予言であった。現世界のバブルとは、必ず弾けさせられて大損を被るのである。こうして再三述べてきた18年度の第3四半期にはGPIF15兆円の損失、そしてこの度2019年度の第4四半期には過去最高の17兆円の損失。この損失はまだまだ続いていく。これ全て、アメリカの口車に乗ってしまった「アベノミクス、2%インフレターゲット政策」の大変な付け、失政なのである。

 こうして、今の安倍は『前門のコロナ、後門の「日本売り」』と、出口がどこにも無い大きすぎる恐怖に駆られているはずだ。それは、コロナに必要な金さえも使えないというほどに。この両門いずれも、身から出た錆。トランプと同じで、器でもない者が幸運に恵まれて長く偉そうな顔だけを作ってきた、その厚化粧の結末というべきだろう。赤木さんご夫妻やコロナで死んでいった人々を筆頭に、我々国民が可哀想すぎる。

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コロナで、面白すぎる「米擁護」ぶり  文科系

2020年04月13日 11時18分30秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 以下は、エントリー『酷薄帝国アメリカ露呈② 2020年04月01日』を巡って、ここにずっと居着いている名無し君との間に繰り広げられたやりとり。コロナを巡る米中暗闘が極めて熾烈になっている中、米側の闘争論点が極めて原始的な形だがほぼ出されているところは、それなりに面白い。あまりにも原始的かつ稚拙な、子どもがやるような語り方ではあるのだが、笑いながら読み進んでいただきたい。応える僕の方は、ほぼ全ての論点についてそれなりのエビデンスを展開しているとは、自負しているところだ。

Unknown (Unknown) 2020-04-04 19:56:18
アメリカの「国防」とは、一体、「何を」何から守るのだろうか?・・
今で言うと、民主主義の範囲内で、中華ウィルスから、アメリカ国民を守ろうとしているんだよね。

Unknown (文科系) 2020-04-04 21:14:26
『民主主義の範囲内で、中華ウィルスから、アメリカ国民を守ろうとしているんだよね』
 守れてないじゃない。中国は4000人ほどの死者に対して、アメリカは、何十万単位で死ぬと言われている。
 エントリーにも書いたけど「最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ」と米経済学者らが認めている国だからこそ、上のように貧乏人が死ぬのね。コロナで死者が多い国は全部、格差の中の貧乏人不幸の先進国。イタリア、スペイン以上の貧民不幸の国なのだよ。
 これが民主主義国?
「民主主義の範囲内で」と名無し君が語ったのが笑える。世界最高水準の富も医療も持ちながら貧乏人がいっぱい亡くなる国は、民主主義の正反対国でしょ。

Unknown (Unknown) 2020-04-05 17:52:47
凶悪な中華ウィルスから、守れていないかもしれないけど、守ろうとしているよ。中国の大本営発表を、真に受けている段階で・・
アメリカの「国防」とは、一体、「何を」何から守るのだろうか?・・
今で言うと、民主主義の範囲内で、中華ウィルスから、アメリカ国民を守ろうとしているんだよね。

(僕の1回分を省略。前の繰り返しのなるからだ。)

Unknown (Unknown) 2020-04-07 19:07:44
中華ウィルスから、自国を守ろうとしているけど、守れていないのは、世界の全ての国々。中国の大本営発表を信じるのは自由だし、「統制」が効く国で、押さえ込みやすいのは事実だけどね。
「民主主義の範囲内で」を、笑い飛ばせるのが文ちゃんなんだね。

的はこれだ。これに応えよ! (文科系) 2020-04-07 21:09:37
 的はこれだ。外れるなよ!
①「中華ウイルスから、守ろうとしている」と語っているのはアメリカだけだ。日本も参加した世界会議でこの言葉が認められなかった。
②『「民主主義の範囲内で、中華ウィルスから、アメリカ国民を守ろうとしているんだよね」
 守れてないじゃない。中国は4000人ほどの死者に対して、アメリカは、何十万単位で死ぬと言われている』
 国連が、(中国は)大本営発表などとは言っていないから、言い掛かりである。国も人と同じで、批判する時は「推定無罪、有罪と言う方が証明すべき」
③『世界最高水準の富も医療も持ちながら貧乏人がいっぱい亡くなる先進国は、民主主義の正反対国でしょ』

Unknown (Unknown) 2020-04-10 17:18:05
その、国連WHOが、キンペーのポチで、世界から叩かれ始めているんだが・・文ちゃん、勉強しろよ。

Unknown (Unknown) 2020-04-10 17:20:08
1〜3まで、全部嘘なのは、凄いな。

「嘘」と言うだけでは嘘にならない (文科系) 2020-04-10 20:26:23
1~3が、嘘と書くだけでは、反論になっていない。その嘘を、証明せよ。普通に新聞に出ている数字などだから、そのどこが嘘なのか。

Unknown (Unknown) 2020-04-11 18:46:31
逆に・・中国の大本営発表を信じる・・て、前提が無ければ、文ちゃんは、1〜3を証明できないよね?

君の「嘘」が嘘になるのかね?? (文科系) 2020-04-12 11:22:12
 またまた、何を馬鹿言ってるの!
「中国の大本営発表を信じる・・て、前提が無ければ、1〜3を証明できないよね?」 
①は中国とは無関係。国際会議の決定である。
②中国の死者などは、WHOや、この問題の世界的権威米ジョンズ・ホプキンス大学発表やによるもの。これが嘘とは、ただ嘘と言っただけだ。これは子どもがケンカでやる論法。
③『世界最高水準の富も医療も持ちながら貧乏人がいっぱい亡くなる先進国は、民主主義の正反対国でしょ』。これってアメリカのことを言ったのだが、否定するかね? 明日辺りそろそろ、イタリアの死者数もどんどん超えていくよ!

米の人種別コロナ死亡率 (文科系) 2020-04-12 12:04:03
 米の標記の数字がどの新聞にも載っている。例えば、最もコロナ死亡数が多いニューヨーク市の発表数をあげてみよう。上の、③に関わるエビデンスである。君が言う「嘘だ!」というだけの反論と違って、僕はいつも証拠を挙げるのね。
 それぞれ各人種10万人当たりのコロナ死者数である。ヒスパニック22.8、黒人19.8、白人10.2、アジア系8.4人とあった。
 下手をすると3倍近いこの差なのだから、人種差別も絡んでいることは確かだろう。つまり、民主主義の国とは言えないということだ。そう言えば、有名男性俳優でも黒人は、これぐらいしか思い浮かばない。デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン、ヴァン・ディーゼル、ウイル・スミスに、あとサムエル・ジャクソンくらいかな?

以下、よろしく (文科系) 2020-04-12 20:42:47
ただ、「君の言い分は、嘘」と、何の説明、証拠も挙げないで返事するのは止めましょう。また、「それは大本営発表だ」というのにも、それなりの証拠が必要です。これが無いのは「嘘」と言い返すのと同じね。「嘘」が「大本営発表」と言い換えられただけ。つまり子供のけんかのような「反論」なのです。こう言うのにはこれから返事をしませんから、よろしく。

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数学が、経済効果絶大なんだって! 文科系

2020年04月13日 00時41分12秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 10日の朝日新聞に、大変面白い記事があった。「新井紀子のメディア私評」というコラムに。
 その欄に『「ABC予想」機に』という囲み記事があって、ここにこんなことが書いてあったのだ。以下原文のままに転載すると、
『本紙記事(4月4日朝刊)には興味深いくだりがある。英国政府機関の調査では、イノベーションの経済効果を投資で割った「投資効果」は、物理は31倍、化学が246倍に対して、数学ははるかに高い588倍だそうだ。お金もなくなってきたことだし、日本はそろそろ真面目に数学に投資してみたらどうか。ただし数学者は、報告書を書いたり、大金を使ったりするのには向かないので、雇用して自由に数学に熱中させておくのが最適な投資だろう』

 このコラムは、日本政府の今の実用主義的、あるいは論文本数的に過ぎる大学(管理)方針をあざ笑い、皮肉っていること明らかで、面白かった。それで早速、上記引用文中の4月4日記事そのものにも当たってみたが、該当するその文章はこうなっていた。
『英国の政府機関による2018年のリポート「数学の時代」によると、数学が生み出すイノベーションの英国経済への貢献は年間26兆円以上。経済効果を数学研究への投資で割った「投資効果」は588倍で、物理31倍、化学246倍よりはるかに高いとしている。
 数学には、応用をめざす「応用数学」と、応用を意識せず、厳密性や抽象性、さらには美しさをも追求する「純粋数学」があり、ABC予想は後者だ。だが近年は、純粋数学でも先端技術や産業に応用される例が増え、両者の垣根は下がっている

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コロナ、今の悲しい数字   文科系

2020年04月12日 02時59分12秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 標記のことで、まず世界を見てみよう。世界の先進国でさらに、死者の割合が多くなってきた。西欧先進国で、ドイツを除いて軒並み、感染者に対する死者の割合が1割を超え始めた。11日の新聞に載っている10日の資料などでこの割合を多い順に見ると・・・。
 ベルギーが16%で最も多く、フランスが14%、イタリアが13%、イギリスが12%で、スペイン10%だ。ただ、この数字が悪いと対策が悪いと言うことにはならないだろう。日本のように無差別検査が少なければ感染者総数が少なくなるから、死者の割合が多くなる理屈だからだし、国民の数を加味した比較でも無いのだから。

 さて次は国内に目を向けて東京における現在最も要注意の「経路不明感染者」の率である。11日にはついに7割を超えて、77%になった。197人の感染者の内、152人が経路不明であったと言う。感染者数も日々、過去最高を更新しているが、経路不明率も過去最多はこの4日の70%であるから、11日は突出している。

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経路不明患者増が怖い 文科系

2020年04月10日 14時51分47秒 | 国内政治・経済・社会問題

 日本政府のコロナ対策は、集団発生発見・対策だけであった。これに関係ない、「経路不明」の「孤立した患者」は放置していたに等しい。よって、これが増えてくることが、対策の任に当たった人々最大の恐怖だった。それで、ここに来ての東京の「経路不明率」は・・・?
 
 3日62%、5日64%、8日66%、9日67%(181分の122)である。ただし、4日が突出していて、これが118分の81で、70%。この急増ぶりの第一原因は、孤立患者発見つまり無差別検査をほとんど閉め出してきたことの他に、もう一つあると言われてきた。三月下旬3連休の市民生活を「野放し」にしたのが、オリンピックへの未練からだと。今は、その結果の大悲劇が起こらねばよいと願うだけだ。

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コロナが示した、世界史的病弊  文科系

2020年04月09日 15時38分07秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 日本とドイツを除いては、先進国のコロナ死者が異常に多い。感染者の1割以上が亡くなったイタリア、イギリスのほか、スペインもこれに次ぎ、無保険者も多いアメリカがまた大変なことになりそうだ。米コロナ死者が、イタリアをも優に超えていく勢いを示し始めている。何が、民主主義国かという話だろう、これは。

 これらの国は、イタリア、英米を典型として、株主利益の最大化、規制緩和による「小さな政府」を実現してきた国である。いずれも、リーマンショック以降は特に慢性化した失業と、不安定労働者が多く、内需が乏しく、国民の自立力も大変弱い超格差社会。これに対して、医療など政府機能はどんどん縮小してきたということなのだ。イタリアなどは、そういう改悪の典型国である。以下のように。2000年ほどまでのイタリア医療は世界でも2番目ほどの高水準のものであった。それが国際金融によって食い物にされた末に、「身の丈に合った小さな政府」を押しつけられた末に、この貧困化、体たらくということだ。以上からの教訓を一言で言えば、国民にとって最も大切な命が軽くなっているという意味で、民主主義が特に先進国世界中で建前だけになって来たと示されたのである。世界中で慢性化した失業者を放置した「民主主義国」「好景気」などはあり得ないし、小さな国家もほどほどにできる経済体制をという、そんな教訓ができたということではないか。

 時あたかもアメリカ経営者団体や経済学者らが去年から「株主利益最大化方針は誤りであった」と一斉に唱え始め、「では、どうするか?」という模索が始まった時でもある。
 この模索は、国連中心でやっていくという多国間主義・国際民主主義の道しか無いはずだが、その国連に対してこれを無視するような行動をアメリカがとり続けてきたことこそ、今世界の最大問題になっている。つまり、「国連中心の世界改革」をアメリカ単独主義が妨害して来たということだ。それどころか、湾岸戦争、イラク戦争以降のアメリカは国連を無力にすることに励んできたし、リーマンショックが示した金融規制改革も終始妨害してきたものだ。これに対してドイツのメルケルがこんなことを強調している。
「他国に頼る時代は終わった。欧州独自の戦略を構築したい」

 このような世界史の中で日本を見ると、何よりもまずこう言いたい。「国際的金融活動で対外収支をかろうじて黒字にする時代は、結局世界的に有効需要を失していく道であって、何の将来的展望も無い真っ暗闇への突入である」と。また、「この道ゆえにアメリカに従ってきた世界経済体制では、『2%目標』さえ幻想と帰し、どんな『改革』も絵に描いた餅にしかならない」と。

 ちなみに、オリンピック開催にぎりぎりまで執着したのは、従来流の「経済」重視策から。それで3月最後の3連休に「コロナ対策」をおろそかにしたその付けがどれだけ大きいことになったか、その結果が間もなく示されるはずだ。吉と出ることをただ祈るのみである。何しろ国民は、世界一の公序良俗あふれた「公民」と誇れる人々なのだから。

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日本に近づく米自殺率  文科系

2020年04月07日 07時50分21秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 2月9日のここに拙稿『米国で増える「絶望死」』をエントリーしたが、本日の朝日新聞にもまた、『自殺急増 米国の苦悩、年間4万8千人 戦後最悪水準』という記事が載っている。ちなみに、2月の拙稿は、ニューヨークタイムズ1月18日電子版のコラムニスト記事を2月7日の朝日新聞が転載したものの要約である。これに、本日の記事要約を加えて、以下アメリカのこの問題現状を我が国にとっての他山の石としてみようという主旨だ。

 まず、本日の記事は、外信記事に多い安易なアクセス報道では無く、特派員による調査報道といえる力作だが、三つある中見だしも順に上げておく。『「僕は無価値」書き残した長男』、『白人男性が突出 経済に閉塞感』、『政府 防止へ異例の専用番号』。

 『僕は無価値・・・』 イリノイ州の19歳長男を2014年に失った母親への取材記事であって、『高校で引きこもり、ドラッグに手を出し』『うつ病』とあった。母親のこんな反省、言葉が印象に残るが、15歳~34歳に限ると、全死亡者の内の自殺の順位は2番目とあった。
『息子が自ら命を絶つなんて想像もしなかった。自殺する可能性を疑っていれば命は救えた』

『白人男性が突出 経済に閉塞感』 まず、18年度自殺の8割が男性とある。それも、ブルーカラーの白人男性が増えていて、ドラッグ・アルコールが絡んでいるというのも、2月9日紹介記事と同じ内容だ。特にこの20年は、こういう「絶望死」が急増しているとあり、次の数字には驚かされたものだ。『米国で自殺全体の50・5%は銃による。銃規制の緩い州では70~80%にものぼる』

 さて、こうしてアメリカの自殺率が、歴史的に見れば『1940年代初めと同水準だ』ということなのだが、この歴史的推移からは、ニューヨークタイムズ・コラムのこんな悲しい数字を思い出していた。
『薬物やアルコール、自殺といった「絶望死」で死ぬ人が増えている。国の平均寿命がこの100年で初めて3年連続で短縮したのはそのためだ』

 ちなみに、1940年代初めとは、1929年の世界大恐慌から、1937年の南京占領、1939年ドイツのポーランド侵入、そして1941年の太平洋戦争へという時代だった。


 さて、最後である。この記事には、人口10万人当たり自殺者数国比較があった。ドイツ10・2人(16年)、フランス13・1人(15年)に対して、00年には10・4人であったアメリカが18年には14・8人になっていると言う。ちなみに、18年度日本のこの数字は、16・5人とあった。

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南京虐殺の経過と史実  文科系

2020年04月05日 19時18分14秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 右の方々の訪問が増えている折、2015年に所属同人誌に載せた旧稿をいつものようにまた載せます。大事なものなので何度でも、定期的なように。

 

 南京虐殺の経過と史実  文科系 

 「あんたも無知丸出しかい? 南京市民より死者が多い三十万人などというヨタ話を、ほんとに信じるの?」
 今度の相手も上から目線でこちらを頭から押さえ込んで来た。いつも同様、僕のブログの過去文章を読んでいないことも丸分かり。丁寧に反論する。
 ①虐殺直前に、日本軍がしかけた上海上陸攻防の大激戦が三か月続いた。そこの中国軍三〇万が揚子江すぐ上流の首都・南京城めがけて潰走し、日本軍がこれを我先にと追撃して出来上がったのが南京城包囲である。城の外、付近の住民も首都軍の庇護を求めて逃げ込んだし、膨大な人数に増えていて当たり前なのである。

 ②次いで、「あんな短期間にそんなにたくさん殺せる訳がない。日本軍はスーパー・サイヤ人か?」とのご批判。これには、こうお応えする。南京城壁は高さ一八メートルで分厚く、一方は揚子江。この城の限られた城門から全軍脱出が敢行されたのが一九三七年一二月一二日の夜から一三日朝にかけて。作戦は完全な失敗。揚子江を渡れた兵はごく少なく、膨大な数の捕虜はその後どうなったか。以降の日本軍中国南下作戦を考えれば、生かして放つはずがない。以降七年半の占領下早い内に、収容施設へ連れて行くように見せかけて秘密裏に殺したと考えるの普通だろう。三一年の満州事変の無法行為で国連を脱退したことを巡る国際的批判と、国内の戦意高揚とのためにも、秘密裏にということが大事だった。

 ③と、僕が返した反論には間髪を入れず、こんなご批判。「それだけ死んだら、死者名簿は? 慰霊祭は? なぜ家族の猛抗議はなかったのか? これらがいまだにないのは嘘である証拠! せいぜい二万人がイーところだな!」。まるで鬼の首でも取ったように勝ち誇って来る。これもネトウヨ本の鸚鵡返しであって、勝ち誇ったこの態度も「自信」の顕れなのである。ただし僕は、一一年ここで闘ってきた勤勉な古参兵。こんなひょろひょろ弾に倒れる訳がない。
 当時の中国政府は、戸籍がないに等しく、兵士は浮浪者が多かった。それも、あの広大な全土から集められた人々。浮浪者が多く、戸籍がないなら、どうやって名簿を創り、家族に知らせるのか。しかも、以降一二年の中国は戦乱と、さらには国共戦争と政権分裂。日本の習慣で思い付いた訳知り顔の屁理屈に過ぎない。現に、中支派遣軍事前教育教科書にこんな記述がある。
『三三年に陸軍歩兵学校が頒布した「対支那軍戦闘法の研究」中の「捕虜の取扱」の項には、(中略)「支那人は戸籍法完全ならざるのみならず、特に兵員は浮浪者」が多いので、「仮にこれを殺害又は他の地方に放つも世間的に問題となること無し」と書かれていた(藤原彰『戦死した英霊たち』)』
(岩波新書「シリーズ日本近現代史全10巻」の第5巻『満州事変から日中戦争へ』加藤陽子・東京大学大学院人文社会系研究科教授、220ページ)

 ④すると今度はまた、こう返ってきた。「どんな理屈を語ろうと、死者数二万という学者の有力説もある。三〇万ははっきり嘘として、数をはっきりさせろよな!」。古参兵はこの数字弾のひょろひょろぶりもよく知っているから、こう反論するだけだ。
 確か小泉内閣の時に日中の学者が集まって虐殺数を検討する会議を持った。日本からも一〇名ほどが出たが、北岡伸一など政府系の学者らが多い日本側の結論は、二~二〇万というもの。なぜこんなに開きが出るのか。「虐殺犠牲者」の定義とか虐殺期間・地域などで一致できなかったからだ。特に虐殺に兵士を含むか否か。兵士の戦死は当たり前、虐殺の数には入らないと。が、これにも反論は容易だ。日本は中国に最後まで宣戦を布告をせず、地中あちこちから折り重なって出てきた膨大な若者人骨は捕虜を虐殺した証拠にもなる。以上から、日本の(政府系)学者らさえ二〇万人の含みを否定できなかったのである。

 さて、以下の内容がまた、以上すべてを裏付けるものである。

【 南京大虐殺、一師団長の日記から  文科系 2017年03月09日 

「教育図書出版 第一学習社」発行の「詳録新日本史資料集成 1995年改訂第8版」という高校日本史学習資料集がある。これをぱらぱらと見ていて、南京大虐殺の資料を新たに一つ発見したので、ご紹介したい。408頁に南京攻略軍指揮官の中島今朝吾(けさご)第16師団長日記というのが載っていた。そこの全文を書いてみる。 
『大体捕虜ハセヌ方針ナレバ、片端ヨリ之ヲ片付クルコトトナシタレドモ、千、五千、一万ノ群集トナレバ之ガ武装ヲ解除スルコトスラ出来ズ、唯彼等ガゾロゾロツイテ来ルカラ安全ナルモノノ、之ガ一旦騒擾セバ始末ニ困ルノデ、部隊ヲトラックニテ増派シテ監視ト誘導ニ任ジ、十三日夕ハトラックノ大活動ヲ要シタリ。シカシナガラ戦勝直後ノコトナレバナカナカ実行ハ敏速ニハ出来ズ。カカル処置ハ当初ヨリ予想ダニセザリシ処ナレバ、参謀部ハ大多忙ヲ極メタリ。
一、後ニ至リテ知ル処ニ依リテ佐々木部隊ダケニテ処理セシモノ約一万五千、大平門ニ於ケル守備ノ一中隊長ガ処理セシモノ約一三〇〇、其仙鶴門付近ニ集結シタルモノ約七、八千人あり。ナオ続々投降シ来ル。
一、コノ七、八千人、之ヲ片付クルニハ相当大ナル壕ヲ要シ、中々見当ラズ。一案トシテ百、二百ニ分割シタル後、適当ノカ処ニ誘キテ処理スル予定ナリ。』

 高さ18メートルもある分厚い南京城壁の限られた門から一夜にして日本軍包囲網を脱出しようとした中国軍兵は、その多くが捕虜になった事が示されている。どうせ逃げられないから、捕虜になって助かろうという態度にさえ見えるのである。ところが、これを最初からの方針として、全部殺してしまった。あちこちに分けて連れて行って殺し、埋めたということなのである。そもそも冒頭のこの部分が僕がこのブログで強調してきた要注意か所と言える。
「大体捕虜ハセヌ方針ナレバ、片端ヨリ之ヲ片付クルコトトナシタレドモ」

 最初から捕虜は殺す方針であったことが明確に述べられている。酷いもんだ。こんな資料があるのに、ネトウヨ諸君の種本論客達は、兵士虐殺を否定してきたのである。一師団長が聞いただけで彼等がよく語る「せいぜい2万人」などは、優に超えている。すべて世界に向けては、いや南京攻略兵にすら秘密の仕業であった。なんせ、上の手記にあるように師団長すら虐殺の全貌は知らないのだから。少し前にあった満州事変に対する国連非難囂々に懲りていたのだろう。また、国民の戦意高揚のためにも、敵への残虐行為は極力秘密にするものだ。実に卑怯、姑息な日本軍である。もっとも命令を出した奴らが卑怯、非道なのであるが・・・。】

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