アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

ピアノ教室に求められるもの、今昔

2015年05月22日 | ピアノ
私が「エリーゼのために」弾いたところでピアノやめちゃった、という話は何度か書いていますが。

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このとき小学三年生、バイエルとブルグミュラー25番が終わってちょうどこれからツェルニー30番デビューというところ。発表会のときには簡単なソナチネとか弾いてたかな。この進行は、母のピアノ教室的標準進行からいうと、ごく並かやや遅め。

三歳半からピアノを習い、環境的にはずいぶん恵まれているハズでこの進行(^^;;
(母に習っていたわけではない)

…というところは、母が私のピアノを「見切る」(本人がやめたいといっているものを引き留める価値がないと判断する)上でひとつの大きな材料になったものと思われます。

おおよそ、「一本のものさし」というか「ひとつのカリキュラム」に沿ってみんな習うわけで、進行の早い遅いというのは大変比較しやすい世界でありました。それで、母のピアノ教室においては、だいたいのところ、その進行の早さで素質を占う(もちろん早いほうがいいのだ)ということであまり間違いや例外はなかったんですよ。

高校生になってツェルニー50番やバッハ平均律やショパンのエチュードなんか弾いてた子はわりと音大行ったりして、
それより進行遅い子はだいたいその手前でやめちゃうんだけどね。中学生くらいとか。同じ年齢の子より明らかに遅れが大きくなるとやめちゃうことが多かったと思う。
(小学三年生はちと諦め早すぎ)

ところで、昨日リンクを貼った「ピアノ曲の進度と実力は本当に比例する?」でいう「ゆっくり進行」はどのくらいかというと、

ピアノを年少から始めて四年間。まだバイエルが終わりません

というので、確かにまぁ前述の昭和時代某ピアノ教室的基準からいってもかなりゆっくり。

でもこの「Aちゃん」をコンクールに出したら全国大会に進んだ。そして
> このAちゃんよりもっと進度の早い生徒たちもいますが、コンクールを受けさせるところまでは、残念ながらいきません・・・
といっています。

進行ゆっくりの子は「片手の練習を必ずする。同じ曲を長く弾いていますから、内容も深く、また音の質についても細かく指導することができました。」「30分で1曲ですから、ゆっくりとこのような音質とフレーズなどについての勉強ができるわけです。」

一方、進行が早い子は「それに比べ、譜読みの早い子はたくさんの曲を持ってきます。レッスン時間は同じ30分ですから、細かく指導する時間がありません。スラスラ弾ければ終わりという形をとらざるをえないのです。」

この二つのピアノ教室「早いのが良い」「遅いのがかえって良い」の感覚の違いがどこから来るかというと…

私は「時代が違う」と思いました(^^;;

つまりどういうことかというと、母の場合、譜読みが速い子がどんどん先まで勝手に持ってきて、どんどんマルあげなきゃいけないってことがなかったのですね。

あくまで、母から指示された曲を練習してきて、
母のいうとおり片手ずつレッスンしたり、
母がこの曲はOKというところまで弾けたらマルになってたわけです。

単純に言って、ある曲のマルは同じクオリティーまで来たらマルなわけで(実際はそこまで単純でなく、うまい下手はありますが)、いい加減に先に進ませるってのはなかったんです。だから、早く先に行く子は素質がある子だったんです。

昔は先生ってそういうもので、中身があってもなくても偉かったのよ。昭和の時代。
親はピアノのことをよく知らないことが多いし、中身とかはそんなに注文をつけなかった、つけられなかったですから。
ピアノ教室同士の競合も少なく、
ほかの習い事との競合も少ない牧歌的な時代でした。

もちろん、ある曲がいつまでたってもマルにならないと、生徒も先生も嫌になっちゃうので、そういうときは甘くしてマルにするんですが、「一本のカリキュラム」に迂回路を足していました。つまり、バイエルやりながら、メトードローズも使うとか、ツェルニー30番の前に100番も使うとか、要するに先に進まずに曲数を増やすんです。

ピアノの先生がよいと思う指導ペースでなく、子どもや親の要望に従ってどんどん曲(の数も難易度も)が進んでしまい、音の質がよくなく、演奏が雑だとぼやいているようでは、サービスが良すぎるというべきか悪いというべきか。でもこれが「今」の教室が置かれた状況なのでしょう。

「今」の時代に、母の教室があったらたぶんつぶれますよねー

どんどん曲を進ませて、コンクールで賞を取らせる「メソッド」というのは、スポンサーのニーズにお応えするために発達したともいえそうです。

あんまりストイックなのも、あんまりイケイケドンドンで音楽の本質から離れるのも、どっちも好きじゃありません。

折衷案的な、今も楽しく将来も楽しいくらいのミックスメソッドってのは、ありうると思うんですけどね…

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コメント (12)
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