名曲喫茶・クラシック
所在地:中野区中野 5-66
構造・階数:木・2F
建設年:1916(大正5)
備考 :2005.1月末閉店 2005.11.2解体
Photo 2005.5.18
2005.11に「Site Y.M. 建築・都市徘徊」に記載しましたが、ブログ内に記事を移設しました。
五木寛之氏のエッセイを週刊誌で読んでいたら、行きつけの喫茶店が次第になくなってしまい残念である、というくだりがあり、フムフムと読み進めていたら「よく通った中野のクラシックももうない。」とあった。へ?、去年行ったんだけどな。自宅の近くでしょっちゅう通ってるし。間違いじゃないかしら?。気になって、早速訪ねてみる。すると、ガーン。2005年1月末で閉店だと。もう一度行っておけば良かった。
今回、初めて外観をしげしげと眺めてみた。お店をやっていた頃はこの路地にクラシックという黄色い看板が出ていたのだが、既にそれもない。1月の閉店後、数ヶ月の間に、ペイント落書きもされてしまった。今となってはただの廃墟。なんだかとても残念。
しかしこのお店、営業していた当時もかなり怪しい建物ではあった。年月を経てそうなってしまったのだろうが、店内の床があちこち傾いていた。窓や手摺もゆがんでいて、崩れてしまうのではないかとちょっと怖い。寄りかかったりするのをためらってしまう。椅子もかなり年季が入っていて、ギシギシガタガタ。バネがバカになっていて、座るとズルズルっと沈み込んでしまう。ただこの老朽化加減は昔からのものだったと、30年ほど前から店の様子を知る方に伺った。となるとこの怪しさも昔からのものだったのだろうか??
また、コーヒーを頼むとミルクがマヨネーズの蓋に入って出てくるのが印象的だった。店内がかなり暗いので、コーヒーは怪しい黒い飲み物になる。暗いと人間の味覚はやや鈍くなくなるということがよく判った!。多分にヒトは目で味わっているらしい。
それから、このお店には飲み物のmenuしかなかった。食べ物を出さない代わりに、ゴミを持ち帰れば食べ物の持ち込みOKというシステム。慣れたお客さんは、コンビニでサンドイッチなどを買って、店内でピクニックみたいにそれらを広げて食べていた。こういう営業スタイルでよく続けられるなぁと、ちょっと不思議だったのでした。
渋谷のクラシック喫茶・ライオンの方は、CDも使っていて、スピーカーも新しくしたりしているようだが、中野クラシックはアナログオンリーで、全部が「クラシック」だった模様。まあ、それはどちらでも良い。閉店の理由は判らないが、チェーン店のCafeに押されて、このような個性的なお店がなくなるのはやはり残念だ。建物がまだあるんだから、またお店開いてくれないかなぁと、何回も通ったわけでもないのに勝手に期待。
閉店になったらたちまち落書きがされてしまった。アートだという人もいるが、いかにもレベルが低い。どう考えてもやはりただの落書き。汚損しているとしか言いようがない。無人だから、古いからといって、落書きで汚して良いわけはない。もったいない、もったいない。
2005.11.2に通りかかったら、まさに解体している最中だった。結局、再開はなかった。重機が建物に襲いかかり、瞬く間に廃材の山を作っていた。解体の現場は、記憶を粉砕するようで、あまり見たくない。
名曲喫茶クラシック - Wikipedia
Tokyo Lost Architecture
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