
JR国立駅駅舎
所在地:国立市北1
建設年:1926(大正15)
構造・階数:木1
備考 :2006解体。復元については検討中
Photo 2005.11.5
シンプルな切妻屋根だが、向かって左側の屋根だけを長くして、部分的に左右非対称にしている。中央線の都市部の駅にしては駅舎が小さく、田舎の駅のような風情だった。
大正末期、駅ができた頃の国立は、かなりの田舎だったようだ。周辺の人口は今と比べると全然少なかった。駅前の住宅地は別荘地的な扱いで考えられていたぐらいだそうだ。そう考えると、田舎風だけどちょっとハイカラな駅舎になったのもなんとなく理解できる。

駅舎正面入口前
Photo 2005.11.5
「国立駅」の文字の上方にアルコーヴがあるが、その上は窓ではないようで、何だったのか写真からはよく分からない。下のホール写真では、この部分より下までが吹き抜けになっている。屋根裏部屋のようなものがあったのだろうか。無窓なので倉庫か物置だったのかもしれない。
車寄せの庇屋根も古いもののようだった。この部分の柱梁はレールを曲げたもの。簡便で軽快な感じ。

ホール
Photo 2005.11.5
アーチ型の採光窓の場所までが吹き抜けになっていて、意外に天井は高く開放的。日曜の午後だったので、さほど混雑しているわけでもなく、この駅舎のままでも十分なような気もしたが、通勤時間帯はもっと混んでいたのかもしれない。
中央線の高架化事業に伴い、駅舎は解体された。部材は保管されており、復元を検討中という話だったが、Wikipediaによると、復元用に土地を確保せねばならず、残念ながらまだ目途が立っていないそうだ。
JRが保存を拒否したのは、移転費用の問題や、老朽化、耐震性なのだろう。まあ、いろいろ商業施設を置いて利益を上げるのには向かない構造規模だったので、お金が掛かる保存などはせずに建て替えたかった、というのがほぼ真意なのではないかと思うが・・・。現在はなんだか冴えない駅舎が建っている。仮駅舎だろうか。こういう状態が続くのはあまり好ましいことではないなぁ。

駅前の大学通りから望む
Photo 2005.11.5
駅から少し離れた場所から眺める。大学通りの軸線の正面、アイストップの場所に印象的な姿が見えている。国立の駅前は住宅地として区画分譲された時に、駅前広場から放射状に道が造られ、ある意味、バロック的な景観構造が創り出された。桜並木の広い道(幅40m以上)の正面に駅舎が見える様子が、この街のイメージ形成に大きく関与してきたのは間違いない。
アイストップを活かした印象的な景観だったが、残念ながら解体前の時点で既に、後方に中高層マンションなどが見えてしまっていた。駅舎の背後にいろんな建物が乱雑に見えるのは好ましくないが、法整備などが後手に回った結果で、残念ながら後の祭りなのかも。
Wikipedia - 国立駅
Tokyo Lost Architecture #失われた建物 都下 #近代建築 #鉄道