ハナエ・モリビル
所在地:港区北青山3-6
建設年:1978(昭和53)
構造 :RC・SRC
階数 :5F・B1F・塔屋1F
設計 :丹下健三+都市・建築設計研究所
備考 :2010年解体。
Photo 2010.2.14
森英恵のブランドキャラクター?である蝶をモチーフとして、空中から見ると蝶の形に見えるようにしたとも言われ、両翼部が前に出て、中央が引っ込んでいる。蝶の形云々はともかくとして、両翼を広げ、中央の前面に広場が取られて、人を呼び込むような形になっていたのは、贅沢なスペースデザインだったと思う。
歩道橋から Photo 2004.5.8
冬場はケヤキの葉が落ちて、建物の全体像が見えたため、ちょっと寒々しい感じにさえ思えてしまうところがあった。しかし夏場になると葉が繁って、建物は上の方しか見えなくなり、ミラーガラスにはケヤキの緑が映り込んで、街並みの中に溶け込んでいたりもした。一見するとクールなファサードだったが、表参道の緑をも考えに入れていたようで、ちょっと好感の持てるものだった。
解体直前の様子 Photo 2010.2.14
青山近辺にはあまり行かないが、昨年の春先にたまたま通りかかったら、既に建物の周囲は一部囲いが造られており、いつ解体されてもおかしくない状況になっていた。天候の良くない状況で撮ったので、なんだか暗くてパッとしない写真になってしまった。前面の広場的な部分を撮らずに終わったのも残念。
丹下健三設計による建物は、ギザギザで、前面の全体がミラーガラス張りでキラキラしていた。時期的には赤坂の草月会館(1978年)などと近く、全面ミラーガラス張りの先駆け的な建物だったかもしれない。この後には赤坂プリンスホテル新館(1982年)などが建てられるわけで、ギザギザ、カクカクでキラキラした結晶的なデザインを丹下さんは好きだったのかもなぁと思う。90年代に建てられた東京都庁は石張りだけどやっぱりカクカク。大津プリンスホテルなんかも全面ガラス張り。モダニズムの柱と梁のスケスケデザインとはまた異なる、キラキラした表皮をまとってなおかつ繊細なデザインなのが丹下さんの特徴なのかしら。
しかし、日本を代表する建築家の代表的作品の一つが、あっけなく解体されてしまうというのは、なんだか複雑な感じ。建築に携わる人って、それが30年そこそこで無くなってしまうなどとは思わずに造ってるわけなので、使いづらいとか、古くなったとか、ちょっと儲からないとかいう理由で建て替えられてしまうのはとても残念。産業廃棄物のこととかもあるので、建て替えを決断する前にもう少しじっくり検討して欲しいなと思う。
中二階から - 2009-01-19ハナエ・モリビル-表参道の「建築×ファッション」の歴史を振り返る
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都市の風景 Building and Subculture In Tokyo - (仮称)青山大林ビル建替計画 (仮称)表参道プロジェクト
Tokyo Lost Architecture
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