明治28年(1895年)建築の酒田を代表する
規模と格式を持った元料亭「山王くらぶ」
北前船の往来によって全国とつながった酒田は、
華やかで自由闊達な湊町文化が形成されていきました。
茶道や俳諧、生花が教養の一つとして盛んになり、
茶屋文化、料亭文化と共に風流を競い合っていったのです。

夢二の間
竹久夢二は、酒田を三度訪れ、
滞在中は山王くらぶを拠点に画会を開いたり、
象潟へのスケッチ旅行に出ました。
夢二が特に愛用、滞在中は必ず使われた部屋。

どのようなお料理が出されていたのか気になりますね。

料亭文化の間
実際に使用された食器などが並んでいます。
酒田は港を通して上方文化が入った土地柄のため、
商人たちは生け花や茶の湯の
豊かな教養を身につけていました。
茶屋の芸妓たちも文化的な教養や舞踊
・琴などの芸事に秀で、
酒田は北国の小都市ながら料亭文化の
華開く街となったのです。

酒田で一、二の格式を誇った老舗料亭にふさわしく、
各部屋の意匠は全て異なり、組子建具、床の間などは
銘木をふんだんに使い、襖の引きなども手の込んだしつらい、
優れた意匠は、次はどのようなお部屋だろうと期待をし、
そして、また驚かされるのでした。

よ~く見てみますと鳥海山と波と
北前船ではないでしょうか。
北前船の寄港地として栄えた
酒田らしさを感じます。

寺社めぐりの間、文人墨客の間、酒田商人の間、
北前船の間など酒田の繁栄ぶりがよくわかります。

喫茶「宵待亭」では、坪庭を眺めながら
茶菓を味わえるようです。

料亭山王くらぶのころ帳場として使われ、
毎晩女将さんと馴染みのお客様との
楽しい会話が交わされた部屋は、
ふれあいの間に。
市民と観光客の温かいふれあいが
できる場になるようです。

2003年、国登録有形文化財に指定されています。
2階では季節行事を中心とした企画展示をしており、
そちらも見学させていただきましょう。
山王くらぶ
山形県酒田市日吉町2-2-25
入館料:大人310円
2017.5.3