まだ訪れたことのないウズベキスタンでのオールロケ、
日本・ウズベキスタン・カタール合作映画。
主演が前田敦子に不安を覚えるものの
日本人で出演している他の3人に期待して映画館へ。
<ウズベキスタン人ほど日本人を好きな民族はあまり見ない>
そう本で読んだことがありますが、日本人捕虜が過酷な環境下の中、
寒さと飢えに耐えながら真面目に働く日本人の姿を見て、
感動と尊敬の念を抱いたウズベキスタンの人々。
日本人捕虜を鑑とし、大統領にまでなった人もいる国。
日本人捕虜が建設したナヴォイ劇場は、オペラハウス。
そこに迷い込むように入っていく前田敦子演じる葉子が、
オーケストラを前に「愛の讃歌」を歌い、
クライマックスでは標高2,443mの
山頂でアカペラで歌います。
“舞台で歌う”という夢があるけれど、
今はテレビリポーターの仕事を必死でこなす葉子。
他人には壁を作り、他のクルーとは食事も一緒にせず、
言葉も通じない街に(英語も片言)1人でバスに乗り込み、
バザールの喧騒や暗い裏路地に迷い込んだり・・・。
ハラハラドキドキの突っ込みどころ満載ですが、
彼女のために書かれた脚本のようで、
その不思議な魅力が伝わります。
様々な出会い、体験をし、新しい扉を開く葉子が、
美しい風景とともに一コマごとに心の移ろいが
スクリーンに映し出しされていきます。
物語の終盤で警察署長が葉子に言う
「なぜ我々を知ろうとしないのか。話をしなければ
お互いを理解することはできないではないか」
多くの日本人には耳が痛いかもしれません。
監督:黒沢清
出演:前田敦子/染谷将太/柄本時生/
加瀬亮/アジズ・ラジャボフ
2019年/日本・ウズベキスタン・カタール合作/120分
テアトル新宿
2019.7.2