バッハのドッペル・コンツェルト、2台のヴァイオリンのための協奏曲のリハーサルをしていて、はっとさせられた。
第2楽章において、
「この41小節目から再現が始まるので・・・」
とソリストから注文が出た時、すかさずチェンバロの鈴木優人氏、
「バッハの小節ですね。」
「あ、本当だ!」と私。
次に第3楽章において、
「この41小節目から音楽が変わるので」とソリスト。
「これもバッハの小節ですね。」と鈴木氏。
「あっ」と驚くタメゴロー状態の私。
第3楽章の41小節目は、ソリスト二人が重音をかきならすところで、ヴァイオリンの4重音が鳴り響く、とても印象的な部分である。
高校以来とても好きな曲で、しょっちゅう弾いていたのに、そこが41という表象を持っていたことに今の今まで気がつかなかった。さすがは鈴木優人。(彼はこんなことばかり考えてチェンバロを弾いているのだろうか。)
ここで「41」について説明が必要だろう。
アルファベットを数字に置き換える方法がある。Aを1、Bを2と置き換えていくと、BACHは2+1+3+8で14になる。昔のドイツ語にはJという字が使われなかったのでヨハンはIOHANNと綴る。それでI.S.BACHを数字化すると9+18+14で41になる。
それで14も41もバッハの名前を由来とする大事な数字として作品中に現れる。これは声楽曲を扱う者にとっては常識。
バロック時代、コンチェルトは基本的に娯楽作品だったから、そんな中にも41が隠されているとは、私にとって全く予想外だった。
以前にもビブラートと弦素材の件で書いたが、やはり鈴木優人氏とのやりとりは愉快である。