以前にも紹介した「大志の歌」、いよいよ来る3月4日、初演の日を迎える。
場所は福岡県粕屋町立「サンレイクかすや さくらホール」。都合のつく方は、ぜひご来場いただきたい。開演は14時。
以下、プログラムに載せる解説文である。
画家で詩人の安野光雅の作品に「大志の歌 /童話の学校 校歌・寮歌」というのがあります。その「まえがき」によると,落語の「がまの油」を聴いているうちに「あ、あたしゃあがまだ、がまなんだ」と思うようになり、「がまでも学校に通う方がいい、そこで勉強して蝦蟇高等学校に受かりました。そこには校歌があるはずだ、無い?ないのか、無ければ作ろうと、空想はそれからそれへと転んでいくのでした。」とあります。
そのようにしてできあがった34の模擬的校歌・寮歌集が「大志の歌」です。そして、実際には校歌と言うにはあまりにも変化に富んだ、ストーリー性のあるものが多く、そこがこの詩集を面白くしている一因でしょう。
「後日何らかの方法で曲も聞いていただく機会があればいいなと思っています」と書いてあったのを真に受けて、井財野友人は安野先生に郵便で直談判しました。
「実は先約があります」との返事にやや落胆しましたが、先約者の曲もなかなかできていない実態もあり「この5曲に限って許可します」とのお返事をいただいたのでした。(その先約者が森ミドリさんだと後でわかり、また冷や汗が出ました。森ミドリさんは昭和50年代NHKニュースセンター9時のキャスターで一躍国民的に有名になった作曲家です。)
実に人間くさい様々な動物(あるいはそれ以外)の生きざまを、少しでも音楽として伝えられたら、と思います。
1. 茨城県筑波山村私立 蝦蟇高等学校 校歌「蝦蟇の歌」
校歌というのは、情感たっぷりに歌うようにはできていないのが普通です。ニュートラルな言葉にニュートラルな旋律、ひょっとしたら隣の学校の校歌にも使えるのではないか、と思えそうなものが大半を占めているでしょう。
この曲も最初はそれを踏襲して、あたりさわりなく始まります。これが段々そうでもなくなってくるところにご注目下さい。
音楽としては (典型的な校歌と同様に) 言葉の内容にはほとんど関係なくシニカルに、たまにはオーバーに進んでいきます。