年末の番組を観たついでに色々なことを思い出した。「七瀬ふたたび」と同じ筒井原作の「タイムトラベラー」は我々世代の永遠の宝物になっている。NHKに録画が残っていないがゆえに、我々の記憶の中に一番良い形となって刻み込まれ、消えていく幻の名作である。悪いけれど、その後何度も作られた「時をかける少女」という映画もアニメも似て非なるもの、全く凌駕していない。
私など、今でもラベンダーの香りが好きなのだが、それは一瞬、どこか違う時代に連れていってもらえるのではないか、という淡い期待感を持つからなのである。こう思っている人は、いっぱいいるはずだが、どうして皆さんカミングアウトしないのですか?
(蛇足ですが、「タイムトラベラー」においては、タイムトラベルするための薬品の調合をするとラベンダーの香りがしたことになっているのです。映画においては、それが全く削られていました。言語道断であります。プンプン。閑話休題。)(NHK人形劇「新八犬伝」の影響もあります。脚本の石山透さんもすごいです。)
というように、人の一生を左右するくらいの影響力のあるドラマをNHKは作っていたのだ。「少年ドラマシリーズ」となっていて、全ての作品がすごいという訳ではないにせよ、「タイムトラベラー」級の凄さは、大人のためのドラマと充分比肩できる。
大人のドラマで幻の名作は「天下御免」。脱線が止まらなくなるので、この一言でおしまい。
今でも、例えばジブリのアニメはひょっとしたらそれに相当するのかもしれないから、(私に対するインパクトはとても弱いのだけれど)現在でも子供を視野に入れた作品は作られているのだろう。でも、「タイムトラベラー」のようにスゴイかなぁ。
文学の方では「児童文学」という確固としたジャンルがあって、「時をかける少女」も広い意味ではそこにはいるかもしれない。「はまだひろすけ」なども入るのかな。海外ではムーミンのシリーズやドリトル先生、あるいはケストナーの作品なども思いつく。
だから、音楽にも「児童音楽」というジャンルがあって良いのではないか、と昔提唱したことがある。実際、カバレフスキーの「道化師」とか、ブリテンの「管弦楽入門」などはそこに入れても良い音楽かもしれない。
その提唱から何かが広がることはなかったけれど、これは今でも時々思い返すことだ。そして、井財野作品も実際には「児童音楽」と言って良いものも結構ある。差し詰めこの「西武門」などはそれにあたるかもしれない。昨年9月のピアノ発表会から。
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