井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

田園交響曲

2016-09-13 23:07:00 | オーケストラ
FMで、ロイブナー指揮のN響の演奏を聴いて思った。この曲を演奏したことは、数えるほどしかないことを。

学生時代の「指揮法」の時間、半年近くかけて田園を勉強した。だから、頭にはしっかり入っているつもりだった。

その後、札幌交響楽団にいた時、道東のどこかの町の体育館で田園を演奏する機会があった。

体育館での演奏はほぼ順調に進んでいたのだが、終楽章の最後の方、パート譜で、あと数段というところで、パッと照明が消えたのだ。

「こりゃダメだ」と、私は演奏をやめた。他の皆さんもサッサと演奏を止めるかと思いきや、皆さんはふにゃふにゃなりながらも続行するのであった。

場内の非常口上部の、あの緑の表示だけがついており、ときどきそれを遮るような形で指揮棒が見える。指揮の三石精一さんも振り続けているのだ。

これは弾かなくては、と思うのだが、記憶の何と曖昧なこと!次のフレーズが何だかはわかるのだが、どの音域だったかが定かではない。
要するに覚えていない。なので、私はドロップアウト。

しかし、皆さんは何とか最後まで演奏して、お客さんから万雷の拍手を得られることになった。

そして拍手の途中で、照明がつき始めた。まるで手品の種明かしをされたような、幻想から現実へひとっ飛びの瞬間である。

この停電、後からの説明では、外部から持ち込んだ電灯のブレーカーが落ちてしまったのだろう、とのこと。

それはともかくこの思い出が強烈過ぎて、他に演奏した記憶が全く残っていない。でも、したとして1回かそこらだと思う。

ディズニーの「ファンタジア」には第二楽章が出てくるし、昔の子ども用の百科事典で田園の解説を読んだ記憶もある。刑事コロンボでも演奏シーンがあった。
なので、昔は今より演奏されたのではないかと思うのだが、いかがであろうか。

やはり名曲だと思う。聴くのは好きだ。ただし、停電の体験以来、演奏したいとは全く思わない曲になってしまったが。